お寺の正門のことを何というか。普通なら、山門と答えるだろう。ところが、上海アリス幻樂団の“蓮台野夜行(れんだいのやこう)”5曲目のコメントには、
「山門は三門って漢字が正しい」
と、書かれている。
はてさて、それでは私の信仰する日蓮正宗総本山の大石寺ではどのように書いているのかというと、日蓮正宗公式サイトにある大石寺境内図を見ると、ちゃんと「三門」と書いてあるのだ。
では何故、山門と三門が混同してしまうようになったのか。ウィキペディアを見てみたが、元々はそれぞれが別の由来であったようだ。どうも的を得ないが、確かに三門の方が正しいのだろう。
因みに三門には普通、扉を設けないという。これは、
「一切衆生が仏門に入ることを拒まない仏の大慈大悲を表すものといわれる」
と、ウィキペディアにある。ふむふむ。なるほど。確かに勧誡先のお寺には、扉が無かったなぁ……。大石寺はどうだったかな?
是非とも私のような初心者には、このような所から教えて頂きたいものだ。
一見、謗法に見える楽曲からも学べるものはある(ほとんどが小説のネタと化しているが)。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
“ボーカロイドマスター”より。レンの暴走。
ミュージカル全国公演が始まった。
ツアーが進む度に注目度がアップしていく。
多忙の中、ボーカロイド達への疲弊度もアップしているように見えた。
そしてツアー最後の地で、千秋楽を迎えた。
カーテンコールの中、多くの観客から割れんばかりの拍手を頂戴した。
「やっと終わったわね」
普段は無表情のルカ。実際に演劇中においてもミステリアスな魔導師エルルカを演じていたが、さすがに千秋楽の時は笑みを浮かべた。
「うん。楽しかったね」
ミクも大きく頷いた。他の研究所のボーカロイド達も、同じような顔をしていた。
「皆、お疲れさん」
敷島が労いの言葉を掛ける。
「ミュージカルは大成功だ。本当皆、よくやってくれたよ」
「ありがとうございます!」
「特にリンとレン。よく主役と準主役の大役を果たしてくれた。俺から礼を言わせてくれ」
敷島が双子の2人に謝辞を述べると、他の出演者から拍手が起きた。しかしリンは片目を瞑って、
「ちょっと~、まだ早いんじゃないの?この物語、まだ続きがあるんでしょ?原作じゃ、今度はみくみく辺りが主役だよ?」
「えっ、わたし!?わたしじゃなくて、弱音ハクさんじゃない?」
ミクの狼狽ぶりに、笑いが起きる。だが1人、笑わない者がいた。レンである。
「じゃあ、帰る準備するか。あ、リンはちょっと話があるから残ってて」
「ラジャー」
びっくりするレン。
「ぷ、プロデューサー?リンが何か?」
「いや、ちょっと大事な話さ。でも大丈夫。先にレン、着替えてていいよ」
「……!」
レンはMEIKOを見た。MEIKOは小さく手招きした。
「だいぶ体にガタが来ただろ?」
「うん。手足がガクガクだよ~」
「だろうな。でも、それももうすくだ。もうすぐで楽になるぞ」
部屋の外で聞き耳を立てるレンは、不吉な予感がした。
「これが最後の仕事になったからな。あとはもう思い残すことは無いだろ?」
「そうだね」
レンは体が震えた。今正にリンが壊されようとしている……!?
「レンはどうするの?」
「レンはまだ大丈夫だろ。何しろ準備するのに、結構手間ひま掛かるんだ、こういうのは。リンの方が先にできたからさ」
「何か、心配だね」
「大丈夫だって」
レンは今にも部屋に飛び込みたくなった。しかし、それをMEIKOが抑える。
「今飛び込んだら、リンちゃんも巻き込んでしまうよ?ここは堪えて。私の計画通りに動きなさい」
「分かった……」
レンは目の前にいるボーカロイドの元祖を、すっかり信用してしまっていた。
そしてその夜。人間の関係者達は、打ち上げですっかり盛り上がった。
敷島がほろ酔い気分で南里研究所に戻って来た時には、すっかり日付が変わっていた。このまま研究所で休んでいこうか。そう考えていた。
「お帰りなさい。随分と遅くまで盛り上がったみたいですね」
公道から研究所へ向かう坂の途中で、レンがやってきた。
「おっ、レン。お疲れさんな。いやいや、結局ドクター・ウィリーが襲って来なくて良かったよ」
「『その調子では、襲われたらひとたまりもありませんね』」
「ん?何か、どこかで聞いたセリフだな?……あっ、そうだ。確かミュージカルの前半辺りで、アレンがリリアンヌに命令されて、レオンハルト親衛隊長を暗殺する時辺りの……」
「よく覚えてますね」
「そりゃもう……。で、それがどうしたんだ?」
レンはズボンのポケットから、バタフライナイフを取り出した。
「アレンなら剣を抜いていますが、実際ここにはそんなもの無いですからね」
「……ミュージカルの再現か?何のつもりだ?」
「物語の流れをご存知なら、もう分かってるでしょ?『あなたにはここで死んでもらいます』」
「レン!お前、ふざけるのも……」
だが、レンは素早い動きで敷島の胸にナイフを突き刺した。
「れ、レン、お前……!?」
敷島は胸を押さえて倒れた。
「……とどめを刺す前に聞く。どうして、リンを壊すんだ?リンが何をした?お前はリンの何が気に入らないんだ?」
「な、何言って……!?」
「『ごまかすつもりなら、もういいです』」
レンはナイフを振り上げた。ミュージカルでは誰の助けも無く、親衛隊長は暗殺されてしまう。それがMEIKO演じる親衛隊長の娘を激昂させ、革命蜂起のきっかけとなってしまうのだが……。
「ロケット・アーム!」
エミリーの声がして、エミリーの右手が飛んできた。ロケットと言っても、実際はチェーンの付いた有線式である。なので、飛距離も限られている。
「ぶっ!」
それはレンの左顔面に直撃し、レンは坂を数メートル転げ落ちた。
「敷島さん・大丈夫ですか?今・救急車を・呼んで・います」
「邪魔するなぁーっ!」
レンが体勢を立て直して向かってくる。
「鏡音レン!シャットダウン・せよ!」
エミリーは警告したが、それは聞く様子が無い。
エミリーは右腕を戻すと、今度は左腕を飛ばしてレンを掴んだ。そして、そこから電流を流す。
「うわああっ!!」
過電流により、レンは強制シャットダウンされた。
「応急手当・します」
幸い、敷島は直前に避けたこともあって、急所は外れていた。
「明確な殺意があったな……。俺、やっぱり嫌われてたのかな……」
「No.恐らく・ウィルスか・何かでしょう」
遠くから救急車のサイレンの音が聞こえてきた。
「山門は三門って漢字が正しい」
と、書かれている。
はてさて、それでは私の信仰する日蓮正宗総本山の大石寺ではどのように書いているのかというと、日蓮正宗公式サイトにある大石寺境内図を見ると、ちゃんと「三門」と書いてあるのだ。
では何故、山門と三門が混同してしまうようになったのか。ウィキペディアを見てみたが、元々はそれぞれが別の由来であったようだ。どうも的を得ないが、確かに三門の方が正しいのだろう。
因みに三門には普通、扉を設けないという。これは、
「一切衆生が仏門に入ることを拒まない仏の大慈大悲を表すものといわれる」
と、ウィキペディアにある。ふむふむ。なるほど。確かに勧誡先のお寺には、扉が無かったなぁ……。大石寺はどうだったかな?
是非とも私のような初心者には、このような所から教えて頂きたいものだ。
一見、謗法に見える楽曲からも学べるものはある(ほとんどが小説のネタと化しているが)。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
“ボーカロイドマスター”より。レンの暴走。
ミュージカル全国公演が始まった。
ツアーが進む度に注目度がアップしていく。
多忙の中、ボーカロイド達への疲弊度もアップしているように見えた。
そしてツアー最後の地で、千秋楽を迎えた。
カーテンコールの中、多くの観客から割れんばかりの拍手を頂戴した。
「やっと終わったわね」
普段は無表情のルカ。実際に演劇中においてもミステリアスな魔導師エルルカを演じていたが、さすがに千秋楽の時は笑みを浮かべた。
「うん。楽しかったね」
ミクも大きく頷いた。他の研究所のボーカロイド達も、同じような顔をしていた。
「皆、お疲れさん」
敷島が労いの言葉を掛ける。
「ミュージカルは大成功だ。本当皆、よくやってくれたよ」
「ありがとうございます!」
「特にリンとレン。よく主役と準主役の大役を果たしてくれた。俺から礼を言わせてくれ」
敷島が双子の2人に謝辞を述べると、他の出演者から拍手が起きた。しかしリンは片目を瞑って、
「ちょっと~、まだ早いんじゃないの?この物語、まだ続きがあるんでしょ?原作じゃ、今度はみくみく辺りが主役だよ?」
「えっ、わたし!?わたしじゃなくて、弱音ハクさんじゃない?」
ミクの狼狽ぶりに、笑いが起きる。だが1人、笑わない者がいた。レンである。
「じゃあ、帰る準備するか。あ、リンはちょっと話があるから残ってて」
「ラジャー」
びっくりするレン。
「ぷ、プロデューサー?リンが何か?」
「いや、ちょっと大事な話さ。でも大丈夫。先にレン、着替えてていいよ」
「……!」
レンはMEIKOを見た。MEIKOは小さく手招きした。
「だいぶ体にガタが来ただろ?」
「うん。手足がガクガクだよ~」
「だろうな。でも、それももうすくだ。もうすぐで楽になるぞ」
部屋の外で聞き耳を立てるレンは、不吉な予感がした。
「これが最後の仕事になったからな。あとはもう思い残すことは無いだろ?」
「そうだね」
レンは体が震えた。今正にリンが壊されようとしている……!?
「レンはどうするの?」
「レンはまだ大丈夫だろ。何しろ準備するのに、結構手間ひま掛かるんだ、こういうのは。リンの方が先にできたからさ」
「何か、心配だね」
「大丈夫だって」
レンは今にも部屋に飛び込みたくなった。しかし、それをMEIKOが抑える。
「今飛び込んだら、リンちゃんも巻き込んでしまうよ?ここは堪えて。私の計画通りに動きなさい」
「分かった……」
レンは目の前にいるボーカロイドの元祖を、すっかり信用してしまっていた。
そしてその夜。人間の関係者達は、打ち上げですっかり盛り上がった。
敷島がほろ酔い気分で南里研究所に戻って来た時には、すっかり日付が変わっていた。このまま研究所で休んでいこうか。そう考えていた。
「お帰りなさい。随分と遅くまで盛り上がったみたいですね」
公道から研究所へ向かう坂の途中で、レンがやってきた。
「おっ、レン。お疲れさんな。いやいや、結局ドクター・ウィリーが襲って来なくて良かったよ」
「『その調子では、襲われたらひとたまりもありませんね』」
「ん?何か、どこかで聞いたセリフだな?……あっ、そうだ。確かミュージカルの前半辺りで、アレンがリリアンヌに命令されて、レオンハルト親衛隊長を暗殺する時辺りの……」
「よく覚えてますね」
「そりゃもう……。で、それがどうしたんだ?」
レンはズボンのポケットから、バタフライナイフを取り出した。
「アレンなら剣を抜いていますが、実際ここにはそんなもの無いですからね」
「……ミュージカルの再現か?何のつもりだ?」
「物語の流れをご存知なら、もう分かってるでしょ?『あなたにはここで死んでもらいます』」
「レン!お前、ふざけるのも……」
だが、レンは素早い動きで敷島の胸にナイフを突き刺した。
「れ、レン、お前……!?」
敷島は胸を押さえて倒れた。
「……とどめを刺す前に聞く。どうして、リンを壊すんだ?リンが何をした?お前はリンの何が気に入らないんだ?」
「な、何言って……!?」
「『ごまかすつもりなら、もういいです』」
レンはナイフを振り上げた。ミュージカルでは誰の助けも無く、親衛隊長は暗殺されてしまう。それがMEIKO演じる親衛隊長の娘を激昂させ、革命蜂起のきっかけとなってしまうのだが……。
「ロケット・アーム!」
エミリーの声がして、エミリーの右手が飛んできた。ロケットと言っても、実際はチェーンの付いた有線式である。なので、飛距離も限られている。
「ぶっ!」
それはレンの左顔面に直撃し、レンは坂を数メートル転げ落ちた。
「敷島さん・大丈夫ですか?今・救急車を・呼んで・います」
「邪魔するなぁーっ!」
レンが体勢を立て直して向かってくる。
「鏡音レン!シャットダウン・せよ!」
エミリーは警告したが、それは聞く様子が無い。
エミリーは右腕を戻すと、今度は左腕を飛ばしてレンを掴んだ。そして、そこから電流を流す。
「うわああっ!!」
過電流により、レンは強制シャットダウンされた。
「応急手当・します」
幸い、敷島は直前に避けたこともあって、急所は外れていた。
「明確な殺意があったな……。俺、やっぱり嫌われてたのかな……」
「No.恐らく・ウィルスか・何かでしょう」
遠くから救急車のサイレンの音が聞こえてきた。