報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

懐かしい顔

2013-06-28 21:52:26 | 日記
 久しぶりに高速太郎氏にコメントを頂いた。実に懐かしい限りである。
 さて、ポテンヒット氏のチャリレポが続いており、その続編を期待する声が寄せられている。
 白状するが、私は実はここ10年ほど自転車には乗っていない。車は8年くらい運転していない。
 地方在住の方々にとっては信じられないことだろうが、これが都内勤務者の実状である。
 乗り物は電車、バス、タクシーが主である。確かに首都圏のタクシー料金は日本一高い……と、思わせといて、実はある程度の距離を乗ると、ヘタな地方の料金より安くなることがある。
 前に東北新幹線等が不発弾処理の為に、東京~大宮間が区間運休したことがある。その際に福島県郡山市に宿泊したのだが、そこのタクシーの料金を見て驚いた。首都圏ほどでないにせよ、初乗り料金が明らかに高い。車のグレードも首都圏より低い「小型」であるにも関わらずだ。しかも初乗り料金の距離も短く、上がり幅100円って何だよ、これって思った。仙台より高いじゃん。……よもや、これも震災の影響だなんて言うまいな?
 話が逸れてしまった。とにかくだ。それでも、自分で車を持つよりは安上がりだと言いたかったのだ。私自身、特に運転が上手いというわけでもない。免許は取れたのだが、しょっちゅうモノに接触していて、ついに左のミラー吹っ飛ばしたからなぁ……(私は大丈夫だと思ったのだが、運転感覚が見につかなかったようだ)。
 こりゃそのうち人を殺すことになると思って、自分で運転するのは諦めた。車だけでなく、バイクや自転車もだ。自分の技量を見切るのもまた人生だ。
 しかし、だ。実家に帰省した際にそこの車の維持費(税金から燃費まで全部)を見てみたが、明らかに私の1ヶ月辺りの交通費(通勤定期代を除く、バス代やタクシー代も含む。通勤定期代は会社持ちだからね)よりバカ高い。
 「若者の車離れ」と言われて久しいが、冗談じゃねーバーカと思うのが本音だ。鉄ヲタ乗り鉄派やってて良かったと思うよ。
コメント (5)
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涼しい夜

2013-06-28 00:18:32 | 日記
 “ボカロマスター”より。また続き。

 これは子守唄か。心地良い歌声が耳に響き渡る……。

「……!」
 敷島はそこで目が覚めた。仰向けに寝ていたので、眼下ならぬ“眼上”には、見慣れた天井があった。
「あ、たかおさん」
 ここは研究所の事務室だった。その片隅に3人掛けのソファが置いてあり、そこに寝かされていた。
 事務机の椅子には、ミクが1人だけ座っていた。室内には、他に誰もいない。
「……エミリーのヤツ、俺を殺さなかったんだな」
 敷島は状況を把握して、自分が病院から研究所に連れ戻されたことを理解した。
「たかおさん、お願いです。ここに『帰って』きてください!」
「……残念だけども、それは難しい相談だよ。人間、変わるもんだ。もっとも、さすがに病院での振る舞いは大人げ無さ過ぎたと思うけどな」
「そんな……」
 照明は点いておらず、差し込む西日だけが室内の明かりだ。そこへ電話が掛かってくる。
「あ、俺が取る。一応まだ事務員なんだからな」
 そう言って、電話を取った。
「南里ロボット研究所です。……平賀先生。……どうも、先程はお騒がせしました。つい、興奮してしまって、あんなことを……。お恥ずかしい限りです」
{「まあ、敷島さんが微妙な立場に立たされているのは分かります。だけど、あの時あなたが口走った内容……。やろうと思えば全て実現可能な事が、却って腹が立ちました」}
「申し訳ないです。それで、所長がお亡くなりになったのは本当なんですよね?」
{「ええ……」}
 通夜と告別式の日程と会場について、敷島は教えられた。天涯孤独の人間であったが、財団の幹部だったこともあり、そこで団体葬を行うという。
「エミリーはどうなりました?」
{「まだ動いてますよ。気丈にも、式の準備を手伝っています。まさか、敷島さん……」}
「会社はエミリーを狙っています。私がその手先となっているのも事実です。私が病院であんな行動を取ったのは……」
{「本当に喰えない人だ。全部知っているんですね。敷島さんの言動と行動が物語っていましたよ」}
「それを見抜いた先生も大した方です。ええ。設計図とボディさえあればいいのに、エミリーに“舌を噛ませ”なかったのは……そうすると、自爆するからですよ。冷静に考えれば、それはあり得ないでしょう。エミリーは所長の遺言を預かっています。それを然るべき人に伝えないまま自爆するなんて、エミリーの“性格”上、考えられないからです。あの時は興奮状態で、ついついあんなことをしてしまって……」
{「遺言のことまで知っていたとは……。言っときますけど、まだエミリーは遺言を喋ってませんから」}
「まあ、普通に考えればお葬式が終わってからですよね」
{「とにかく、敷島さんはどうやら完全に悪役ではないようなので、通夜と告別式には出席してもらいますから」}
「よろしくお願い致します。先生もどうか、泣かないで」

「!」
 敷島の電話が切れる。
「本当に、理解不能な人だ……」
「太一様」
 七海が綺麗なハンカチを差し出す。平賀は眼鏡を外して、涙を拭った。

 敷島は僅か1年ほどの付き合いだったから、残念そうな顔をしても、泣きはしなかった。
 平賀は弔辞を読んだが、途中で何度も言葉を詰らせた。
 赤月も最初のうちは気丈に振舞っていたが、平賀の弔辞でついに目に涙を浮かべた。
 肝心のエミリーは無表情で俯いたままであった。南里に製造されし、この“人形”は何を想う?

 火葬前日、敷島は大日本電機本社の上司達と仙台市内で落ち合った。
「キミのおかげで、プロジェクトは順調に進んでいるよ」
「初音ミク達はさすがに財団の直接管理になりそうだから、金さえ積めば……というわけにはいかないが、エミリーは何とか手に入れられそうだ」
「全く。意外と上手く行くものですなぁ。南里博士が高齢で心臓が弱いというんで、わざと敷島君に興奮させる様な口ゲンカを仕掛けさせたら、本当に心臓発作が起きるんですから」
「いや、本当に怖いねぇ……。ん?どうした、敷島君?」
「大丈夫でしょうか?もしかして私、人殺しになったんじゃ……?」
「大丈夫、心配いらん!キミはあくまで、出向先の上役に意見具申をしただけだ。そして、たまたまヒートアップしただけだ。何の問題も無い」
「その通り。それでも不安なら、こっちには敏腕人権派弁護士もいる。例え向こうさんが何かゴネてきても、100%勝てる」
「とにかく、キミは他の企業が横取りしてこないように見張りを続けててくれ。納棺の時に紛れて来るかもしれないからな」
「プロジェクトが成功したら、キミを本社勤務に戻してあげるのはもちろん、いい役職ポストも用意しよう。期待してるからね」
 上司達の言葉に押され、顔色を悪くして研究所に戻る敷島だった。

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 ドクター・ウィリーよりタチの悪い大企業ですな。
 でもアメリカ映画などでは、エージェントに堂々と暗殺させるくらいだから、いかにも日本的なやりかただろうなぁ……。てかこれ、確かに故意の殺人罪ではないが、未必の故意だろ。
コメント (3)
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