報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

小説の途中ですが、ここで冨士参詣深夜便をお送りします。

2014-07-22 19:36:55 | 日記
「殺すぞ」と脅し連れ去る=突入に「妻」と言い逃れ―藤原容疑者・小5女児監禁(時事通信) - goo ニュース

 まあ、別に深夜帯ってわけでもないんだけど……。
 一部ネットユーザーの予想に反して無事に見つかった女の子であるが、犯人がイタいヲタだったのが何とも遣る瀬無い。
 こればかりはパラパラ茜さんが、「キモいんだよ、氏ねっ!」と書かれても致し方無いことだと思う。
 ますます、二次元ヲタの形見が狭くなることですな。こういう時、「いやいや、私は二次ヲタなんかじゃありません。鉄ヲタです。安全宣言者です」と、逃げられるのだからラクだ。

 私は最初、この犯人を生涯独身認定者だと思っていた。
 生まれて此の方、結婚に対して前科も未遂も無い者のことだな。そしたら、違うようだ。離婚歴があるんだと。
 子供はいなかったようだ。
「娘が欲しくてやった」
 というのならまだ分かる(だからといって許されることではない)が、
「嫁が欲しくてやった」
 というのは【お察しください】。
 私もアマチュア作家だから、こんなストーリーを思い浮かべてしまった。

 初公判の法廷。
 犯人(被告)は証言台に立ち、まずは、
「楽しい思い出をありがとう」
 と述べる。反省の言葉は全く述べない。当たり前だ。
 被告自身は法律に違反してしまったという自覚はあるものの、少女に対して危害を加えたという自覚は無いからだ。
 むしろ幸せにしてあげるために良かれと思ってやったこと。それの何が悪いという感じだ。
「私はこれから服役することになるでしょう。しかし出所した後、また改めてプロポーズをしに行きます」
 と、ヤンデレ発言をする。
 当然ながら裁判官は、反省が全く見られないからと被告に求刑通りまたは量刑マックスの懲役刑を命ずる。
 しかし、皮肉にも被告は誘拐はしても殺人はしていない。
 だから、絶対に死刑にも無期懲役にもならない。有期刑がせいぜいだ。
「どこへ隠れても無駄です。私は必ず会いに行きます」
 と、閉廷しても、被告は被害者一家を震え上がらせるのだった……。

 なんて。
 私の趣味には合わないな、これ。
 てか、書いてて本当に日本の刑罰は甘いなと思う。とっととユルユルの少年法も廃止にしろ。
 国外に向けての集団的自衛権も大事だが、もっと国内のことにも目を向けてくれよ、安倍総理。
 消費税だけ上げて終わりじゃねーぞ、安倍総理。
 アベノミクスの効果、全然来てねーぞ、安倍総理。
 頼んだぞ、安倍総理。

 ああ、そうそう。
 以前どこかで、犬の散歩に連れて行った少女が誘拐されて、犬だけ帰って来たという事件があったじゃない?
 その女の子も、全然明後日の場所で見つかって保護されたわけだけども……。
 あれ、事件前には既にそれとほぼ同じストーリーの同人誌が発売されてたってよ?
 私もネットで見本を見たことがある。
 ただ結末が現実では無事に保護されたわけだけども、同人誌ではヲタクが喜ぶ結末通り、
「少女は何度も犯人達に【ぴー】され、ついには【女の悦び】に目覚めて、いつまでも【性の饗宴】を楽しみましたとさ。めでたしめでたし」
 というものだったと思う。
 だからさしものネットユーザー達も、
「これ、作者が犯人じゃねーのかw」
 とか、
「この本持ってるヤツ、すぐに処分しないとサツにパクられるぞw」
 とか、様々な論が飛んだという。

 結論、2次元ヲタの考えていることは皆だいたい一緒ということだ。

 え、私?私は2次元ヲタではありません(ウソ)。
 健全な鉄道ファンであります(自称)。
 乗り鉄大好き、バスも好きなだけの……あれ、電話だ。

 はい、もしもし?

 多摩先生:「おい、雲羽!ユタとマリアの18禁裏ストーリー、もう締切過ぎてんぞ!」

 ギクッ!

 多摩先生:「あと、敷島とアリスのセ○クスシーンもだ!こっちはもう結婚した設定なんだから、遠慮するこたねーぞ!」

 お、お後がよろしいようで……。
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“ユタと愉快な仲間たち” 「その頃、東京では……」

2014-07-22 15:15:27 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[7月21日10:00.東京都23区内某所 日蓮正宗・正証寺 藤谷春人&男子部長]

「あっ、男子部長!おはようございまーす!」
 藤谷が受付ロビーに入ると、ソファに男子部長を発見した。
「おう、藤谷さん。おはよう。なに?行ってきたの、夏期講習?」
「ういッす。青年部もそろそろ卒業なんで、記念に行ってきましたよ」
「おいおい、まだ30かそこらだろ?」
「R35です。あ、これ、お土産です」
「おお~、悪いな。……って、何気に藤谷建設の広告入ってるし」
「藤谷組です」
「夏は忙しいんだろ?」
「はい。今月は北平和会館(※)の改修工事がありますし、来月は芙蓉会館(※※)の増改築工事が……」
「ちょっと、こっちにおいで」
 ※東京都北区赤羽にある創価学会の会館。京浜東北線の赤羽〜東十条間にある。
 ※※東京都板橋区常盤台にある顕正会の会館。東武東上線ときわ台駅から徒歩【お察しください】。
「な、何スか!?何なんスか!?」
「キミには謗法厳戒という言葉を叩きこんでもらわないとダメみたいだな?」
「い、いや……。そ、そうだ!来週には埼玉の法勝寺さんから本堂の改修工事を請け負ってまして!」
「! それならいいか……」
 因みに、さいたま新都心駅から徒歩20分としか紹介されていないが、何故JR大宮駅東口から東武バス『天沼循環』に乗り、庚申前バス停下車。徒歩5分と書かないのだろう……?
「功徳です!あっ、因みに来月は同じさいたま市内で崇教真光の道場の新築工事が……」
 東町一丁目バス停付近?
 場所がマイナー過ぎて、本部拠点の顕正会員はもちろん、恐怖の武闘派集団妙観講の皆さんにすらスルーされている感が否めない。
 てか、“乗りバス”してないと絶対気づかない場所だ。
「やっぱ今日、夜まで残ってもらうから」
「ああっ!そんな殺生な……!」

[7月21日11:00.同場所 栗原江蓮&蓬莱山鬼之助]

「おっ、藤谷班長の車だ」
「さすが熱心なヤツだぜ」
「まあ、そうでないと班長以上にはなれないからね」
「ヒマなヤツめ」
「まあ、そう言うなって。で、どうすんの?キノも入る?」
「鬼が寺ん中に入れねぇって何度も言ってんだろー。そこで待ってるよ」
「班長の車ん中?鍵掛かってるだろ?」

 ガチャガチャ……ガチッ!(←特殊工具で鍵を開ける音)

「これでぉk」
「その特殊工具はともかく、それを髪の中から出すというネタは威吹さんのパクリだよな?どう見ても?」
「そんなワケねーだろ」
「いや、そんなワケあるし。てか、車ん中、暑いんじゃない?」
「こんなの、オレんちと比べりゃ全然涼し……」

 ガチャ。(←キノが運転席後ろのドアを開けた音)

「!?」

 ……バンッ。(←キノが運転席後ろのドアを閉めた音)

「何やってんだよ?」
 江蓮は眉を潜めた。
「やっぱクソ暑いって?だから言ったじゃんよ」
「い、いや、違う!誰か乗ってる!」
「は?……気のせいだろ?」

 ガチャ。(←車のドアが開いた音。キノが開けたわけではない)

「あのー、何か御用ですか?」
「うわっ、出たーっ!」
「う、うそっ!?マジ!?いきなり妖気が……」
「てめぇ、誰だ!?」
「雪女郎連合会東海支部南富士地区の氷奈です」
「雪女が真夏に活動してんじゃねぇ!」
「てか、まだ藤谷班長狙ってんの?ここまで来ると、ストーカーもいいとこだねぇ……」
「そうだそうだ!そうだぞ!」
「いえ。もう彼とは盟約を正式に交わしてますが……」
「あー、よく聞こえなかった。もう1回」
「おう、そうだ。もう1回」
 江蓮が右耳に右手を添えた。
 キノもマネする。
「ですから、彼とは結婚を前提としたお付き合いを……
「……聞いた?」
「おう、聞いた。よし!分かった!」
 キノはパンッと手を叩いた。
「それじゃ江蓮、オレ達も結婚を前提として付き合いを本格的に……あ、あれ?」
「ちょっと藤谷さんに確認してくる!」
「は、速い……!逃げ足が
「あのー……」
「あ?」
「地獄界の鬼族さん……ですよね?」
「それがどうした?」
「地獄界の鬼族さんがここにいてはダメですよー?」
「おめェに言われたかねぇっ!」

[7月21日15:00.埼玉県さいたま市大宮区 江蓮の家 栗原江蓮、蓬莱山鬼之助、蓬莱山魔鬼]

「今日は両親も出掛けてていないから、今晩のメシは自炊だな」
「マジか?よっしゃ!今夜はオレも自家発電しなくて済むってこったな!」
「アホか!……ん?」
 大宮公園駅から歩いて帰る途中、もうすぐ家という所で江蓮は足を止めた。
「何だ?」
「家の方から妖気がする……!」
「なにっ!?江蓮の家を狙うたぁ、いい度胸だぜ!オレんちへご招待ってか!?」
(妖怪が地獄界行っても、あんまり意味無いんじゃ???)
 と、江蓮は素朴な疑問を持った。
「で、どこにいる?」
 江蓮もまたユタほどではないが、強い霊力を持っている。
 ユタがS級なのに対し、江蓮はA級とされる。
「妖気が漂ってくる方向からして……玄関!」
「けっ、堂々とピンポン押してきやがったか?」
 門扉からそっと玄関を覗いてみる。
 すると確かに玄関ドアの前に誰かいた。
 しかし、ピンポン押して誰か出てくるのを待っているという感じではない。
 ドアの前にしゃがみ込んで、何かやっている。
 驚いたことに、その怪しい人物は少女らしかった。
 セーラー服のようなデザインの服を着ていたが、江蓮にはどこの中学または高校の制服だか分からなかった。
「いや、待て。あれって……」
 そこでキノ、気づく。
 そして、つかつかとその人物に歩み寄り、
「何やってんだ、お前!」
 その人物の襟首を掴んだ。
「はにゃーん♪」
「萌え声出すなっ、気持ち悪ィ!」
「誰もいなかったみたいだから、ピッキングで開けて入ろうかと思って」
「アホか!」
「ああ、魔鬼ちゃんだった……」
 江蓮は記憶を穿り返して、ようやく思い出した。
 江蓮が蓬莱山家に滞在していた時、よく話し掛けてくる中学生がいた。そのコだ、と。
「何しに来たんだ?」
「夏休みに入ったから、遊びに来たんだよ!」
「はあ!?聞いてねーぞ、オレ!」
「うん。言ってないもん!」
「くぉらっ!」

[7月21日15:30.江蓮の家 江蓮、キノ、魔鬼]

{「あー、やっぱ江蓮ちゃんとこ行ったんか。困ったコやなぁ〜」}
 キノは実家の姉である美鬼に電話を掛けていた。
「困ったコやな、じゃねーよ!せっかく江蓮と2人っきりの夜を過ごす所だったのによ!連れ戻しに来てくれよ!?」
{「今から迎えに行ったんじゃ、ウチもお世話になるハメになるんよ。それでもええの?」}
「くそっ……!」
{「とにかく、オトンとオカンにはウチから言っとくき、取りあえず今晩は江蓮ちゃんによう交渉しといてや」}
「オレかよ!」
{「アンタ、魔鬼の兄ちゃんやろ?」}
「オメーは更にその上の姉だけどな!」
{「あ?今何て言ったん?」}
「ギクッ……!」

「! キノ、どうしたの?」
「クソ姉貴のヤツ……!」
 何故か焦げ臭さを漂わせてリビングに戻って来たキノ。
「お姉ちゃんに口答えして、電話越しに雷攻撃食らったんだね!」
 魔鬼は笑いながら言った。
「マジ!?」
「あ、大丈夫です。電話は無事ですから。お姉ちゃん、物凄く器用なんで、本当にピンポイントでの攻撃ができるんですよ!」
 魔鬼は長姉の自慢をした。
「そ、そう……」
「悪ィ、江蓮。姉貴からの命令で、魔鬼を泊まらせてくんねーか?」
「ここで断ったら、キノが責任を取らされるんだね?」
「そういうことだ」
「いいよ。部屋空いてるし」
「わーい!キノ兄ぃ、ありがとう!」
「礼なら江蓮に言え。あー、おめーはこの家、初だったな。便所の場所くらい教えてやるよ」
(何故、トイレの場所のだけ!?)
 と、江蓮。
「そこで寝泊まりしろ」
「いや、ちょっと待て、キノ!妹さんをそんな所に押し込むんじゃない!ちゃんとした部屋が空いてるから!」
「しかし、釈迦の息子のラーフラというヤツは、目上の人んちに泊まる時は遠慮して便所で寝泊まりしたって話だぞ?」
「何それ?そんなの逆に気を使うよ。しかも目上って……私は別にそんな目上とか思ってないから!……しっかし、お姉さんといい、あんたんとこは本当に厳しいね」
「ふっ。兄弟が多いと大変なんだ……」
 しみじみと語るキノだった。
「あ、ああ……そうか」
 一人っ子の江蓮には、手の届かない話だ。しかし、
(兄弟か……。いいな……)
 とも、思うのだった。
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“ユタと愉快な仲間たち” 「魔道師の修行(?)」

2014-07-22 02:23:35 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[7月20日12:00.マリアの屋敷・ダイニングルーム イリーナ、ユタ、マリア、威吹]

「やあ、お疲れさま。お昼御飯の用意ができたよー」
 イリーナは地下にあるプールから戻って来た3人に労いの言葉を掛けた。
「どうだった?マリアの上達具合は?」
「なかなかいいですよ」
 と、ユタはイリーナの質問に答えた。
 しかし威吹は笑いを堪える感じで、
「最初、梯子から手を放せず震えてやがってさ、ユタも困った顔してたぞ。ちゃんとこいつの背丈でも足がつく浅さだってのによ」
 と、言い放った。
 マリアは、かぁっと顔を赤らめて俯いた。
「まあまあ、威吹。今では僕の手を掴んで、バタ足ができるようになりましたよ」
「マジかー!そりゃ上出来だよ。何しろ、最初は水に入ることすらできなかったんだんだから」
「どんだけだよ!」
 ついに威吹は噴き出してしまった。
「それじゃ、午後もレッスンお願いね。休憩は適宜取ってね」
「はい」
「でもこの分なら、想定より早く泳げるようになれそうだなぁ……。やっぱり、有能なインストラクターがいると最高だね」
「いえ、そんな……」
 ユタは照れ笑いを浮かべた。
「泳げるようになったら、謹慎が解除になるっていう条件だからね」
「それは、あんたが付けたのか?」
 と、威吹。
「謹慎を解除するにも、色々な言い訳……もとい、大義名分を考えないとダメなんだよー。今朝も言ったように、例えば新しい魔道書を探すのに湖底に潜んなきゃダメだからとか……」
「それだって、あんまり強い言い訳にはならなさそうだな」
「まあね」
 そんなのイリーナが探せばいいだろうとなってしまう。
「ポーリンもエレーナも、人間だった頃は泳ぎの経験が無いから、ここは1つ、うちのマリアが真っ先に泳げるようにすれば、大師匠も文句は無いんじゃないかねぇ……」
「そういうものか」
「何しろ、エレーナ関連以外、外に出したこと無いから。謹慎中だからね」
「そんな例外、よく認められたな?」
「まあ、つっても1回だけだし。エレーナの命が救われたんだから、結果オーライってことで」
 上層部でも、弟子の数を減らしたくないという思惑があったようである。

[7月20日13:00.同場所 イリーナ&威吹]

「あんたは泳がんの?」
「いや、オレはもういい。それより、いくつか聞きたいことがある」
「ありとあらゆる個人指導は、うちの師匠から禁じられているんだよ~」
「あ!?」
「まあ、それは冗談だけど。でも、答えられるものと、そうでないものがあるよ」
「まず、今後のことだ。ユタやオレに許した滞在期間は1週間。それまでにマリアを泳げるようにしろってことだな?」
「できればね。でもさっきのユウタ君の話ぶりからして、どうやらもっと早く泳げるようになれそうだね。あ、もちろん、それでも来週までゆっくりしていいからね」
「招かれた側が言うのもアレだが、期限を設けた理由って何だ?オレ達がそれ以上ここに滞在すると、何か不都合でもあるのか?」
「いや、そういうわけじゃないけど、せっかくの夏休みですもの。こんな山奥に引きこもってないで、どこかパーッと遊びに行きたいじゃない?」
「齢1000年超えた魔女の言うセリフか?」
 威吹は変な顔になった。
「齢1000年超えたからこそよ」
「なに?どういうことだ?」
「修行時代はもちろん、一人前になってからも、歳が若いと色々と自由に制限が課せられるのよ」
「あんたはその修行時代も、随分と奔放にやっていたそうじゃないか?」
「あの時は若かったからね。それに、ポーリンが真面目過ぎるだけよ。とにかく、この歳になれば、もう私にあれやこれやと言ってくる人間はまずいないし。せいぜい、ポーリンくらいかな。師匠も、うるさく言う人じゃない」
「それだ。あんた達の師匠とは、如何なる存在の者だ?」
「……たまに聞かれるんだけど、私もよく分からない」
「は?直弟子として、近くにいたんだろう?」
「そうだけど、先生は絶対に私達にも正体を明かさなかったからね。ポーリンなら知ってるかも、だけど……」
「あんたはどうして魔道師に?」
「まあ……成り行きだね。多分、私がマリアを弟子にしたのと同じように、先生も私を見つけて弟子にしてくれたんだと思う」
「ということは、自分から志願したわけではないのか」
「そういうこと。でも、私は後悔してない。『全てを失い、全てを手に入れる』と言われるけど、人間時代は失うものなんて無かったし、だけど魔道師になってから得る物は大きかったからね」
「……人間時代に既に全てを失ったマリアも、恐らくは後悔していまい。だが、そのノリでユタを誘うのは如何なものか。ユタにとって、今は満たされている状態だ。それを全て捨てて、魔道師に誘うのは酷だと思うが?」
「そうねぇ……」
「得る物も大きいのかもしれないが、失う物も大きいからな」
「だからユウタ君にあっては、じっくり考えて欲しいわけ。私やマリアは選択肢が無いくらいに追い詰められた状況で、考える時間も必要無かったしね」
「オレは反対だがな。オレには何の旨味も無い話だ。それどころか、損な話だ」
「……ま、話の内容的にはそうかもね」
「ん?」
「さて、私は魔道書の整理でもしてようかね」
「お、おい。今、含み笑いしなかったか?」
「威吹君は適当に寛いでくれていいからね。あ、でも、マリアのお人形さんをイジめたりすると、後で怖いかもよ」
「それもそれで、面白い展開になりそうだがな」
 威吹はニヤッと笑って、部屋の隅に控えているフランス人形を見た。
「どうしてもと言うのなら、無理に止めないけど……。そこは、威吹君の判断にお任せするね」
「……いらん揉め事を起こすと、ユタの怒りを買いそうだな。別の部屋で、昼寝でもさせてもらおうか」
「それが賢明ね」
 イリーナは片目を瞑った。
「ユタはマリアの相手があるからいいが、オレはずっと屋敷に閉じ籠もるのも退屈だな」
「外で熊と格闘したら、いい退屈しのぎになるんじゃない?威吹君なら、熊とも素手で戦えるよね」
「熊がいるのか!さすが夏山だな!」
「猪や鹿も時々ね」
「そりゃいい。食料には困らんな」
「うんうん。……てか、食うのかよ」
 イリーナは呆れた顔をした。
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