[7月12日12:00.神奈川県藤沢市 江ノ島海岸 アリス研究所の面々、十条伝助、キール・ブルー]
「リンが1番だYo〜!」
「そうはさせないよ!」
「2人とも、待って〜!」
鏡音リン・レンの後を追う初音ミク。
「こーら、3人とも。これはあんた達、ボーカロイドの海水耐性実験なんだからね。はしゃぎ過ぎは禁物よ?」
アリスは右耳にインカムを着けており、これでボーカロイド達と通信している。
早速はしゃぐ年少組に釘を刺した。
「はーい!(×3)」
「そういうアリスも、水着に着替えて、海に入る気満々じゃないか」
敷島はジト目でアリスを見ていた。
敷島はカジュアルシャツとチノパン、スニーカーからTシャツに短パン、ビーチサンダルに履き替えてはいたが。
「失礼ね。私は研究者として、少しでも彼女達の近くで実験の観察をしようと……」
「理事。まさか、理事も海に入る気ですか?」
敷島は呆れた顔をして、アリスとは反対側にいる老博士に聞いた。
「いやいや。さすがに年寄りの冷や水じゃろうて。わしは今回のツアーの責任者として、ここでおとなしくさせてもらうよ」
そうしている間にキールが、借りてきたビーチパラソルを砂浜の上に刺した。
十条は敷島と似た格好はしていたが、Tシャツではなくアロハシャツであり、麦わら帽子を被っていた。
これだけ見ると、とても世界的なロボット研究者には見えない。
「おっと。そろそろ昼食の時間じゃの。キールや、準備ができたら、そこの海の家で焼きそばを買ってきてくれんか?」
「かしこまりました。敷島参事はどうなさいますか?」
「そうだな……。じゃあ、俺もお願いするか」
「アリス博士は……あれ?どちらに?」
「ん?あれ?さっきまであそこに……」
「何じゃ、あれは?」
近くの海の家に人だかりができていた。
「さあ……」
「ちょっと見てこよう」
[同日12:15.同場所・海の家“めろん” アリス・シキシマ]
打てば響く大きなラーメンどんぶり。
3杯目を平らげて、既に平らげて重ねた2つのどんぶりの上に更に重ね上げた。
直後に店内外から響く大きな歓声。
「とても美味しかったです」
「女王だ!金髪の大食い女王だ!」
「どこの国の人?」
「さあ……?」
様子を見に来た敷島とキールは唖然とした。
「マジかよ……」
「ウルトラ・スーパー・ジャンボラーメン、3杯食べたらタダと書いてあります。参事」
「え、えー……約束通り、タダでゲソ」
中高生と思しき白い服を着たバイト店員が驚いた様子で言った。
「あら?あなた達も食べに来たの?」
何食わぬ顔で敷島達を見るアリス。
「いえ。私は執事ロボットですので、食べられません」
「お前、何やってんだよ?」
「何って、ランチに決まってるじゃない」
「ランチというポリュームじゃねぇなっ!」
グラマラスな体型はこの大食で維持されているのは誰でも皆認めるところだが、いい感じな肉付きで肥満体型にならないのが凄い。
[同日12:30.同場所・砂浜 敷島孝夫&十条伝助]
「全く、アリスのヤツ……。絶対、泊まり掛けの実験と称した旅行だよ、これじゃ」
「まあまあ。アリス君も、まだ20代半ばの妙齢じゃ。遊びたい部分もあるじゃろうて。分かってやりなさい」
「はあ……。おっと!俺も仕事に戻らないと」
「うむうむ。頑張りたまえ」
敷島はカメラ片手にボーカロイド達の後を追った。
「ちょっと、プロデューサー。何かイヤらしい感じだよ?」
MEIKOがジト目で敷島を見た。
ボーカロイド達が着る水着もイメージカラーに沿ったもので、MEIKOは御多聞に漏れず、赤を基調としたビキニを着ていた。
「いや、これは……アリスから実験の記録映像の撮影を頼まれてて……」
敷島は少し焦りながら答えた。
「ふーん……?」
MEIKOはそれでもジト目で敷島から視線を外すことはなかった。
「そ、それより海に入ってどうだった?何か不具合とかは発生しなかったか?」
「別に。私達、元々ドクター・ウィリーにスパイロボットとしても活動できるように改造されたせいか、海に入っても平気だからね。わざわざ実験する必要あるのかしら?」
「それは……アリスに直接聞いてくれ」
敷島は苦笑した。
「あっ、プロデューサー。ちょうど良かった。オイル塗ってもらえませんか?」
「お前なぁ……」
砂浜に寝そべる巡音ルカ。
「今回はあくまで海水耐性実験であって、直射日光に当ててどれだけ変色するかの実験じゃないんだぞ」
「そうですか?」
「それに、平賀先生の技術で、お前達の体の表面は特殊加工で変色しないようになってるんだ。変にオイルなんか塗ったら、発火するぞ」
「発火!?発火するんですか!?」
「直射日光に当てたりしたら、お前達の体は超高温になるからな。人間だったら汗をかいたりして調節するけど……」
「それは知りませんでした。海に入ってきます」
「アリスが近くで観察してるはずだから」
で、今度は……。
「の、ノー!私は・ボーカロイドではないので・撮影しないで・ください」
キールと一緒にいたエミリーは、敷島のカメラに気づいて慌てて手を振った。
「十条理事から、お前達の関係の記録も録っておけって言われてるんだよ。ほら、もう少し寄り添って」
「……十条博士の命令とあれば、仕方ないですね」
キールはそう言って、エミリーの腰を抱いた。
「いや、命令はされてないけどな」
「え……?」
「えー、只今、マルチタイプのエミリーと執事ロボット1号のキール・ブルーの感情レイヤーの機能実験です。現在……」
敷島が撮影しながらレポートを加える。
「……エミリー婆さんが年下の若い男を誑かして、正に若いツバメとやらであります」
「ん?」
「MEIKO!」
敷島の後ろでアフレコしたMEIKOだった。
「MEIKO、待て!今日という・今日は……!」
エミリーが怒ってMEIKOを追い回した。
「えー、怒りの感情は正常に機能しているもようです」
冷静に撮影している敷島だった。
「きゃーっ!KAITO-っ!」
「KAITO、こっち向いてーっ!」
「ありゃ?」
女性ファンに囲まれて歓声を上げられているKAITOがいた。
「あちゃー……顔バレしちゃったか……」
敷島は参ったなぁといった感じで右手を頭にやったが、
「どうしたんですか?何かあったんですか?」
そこへミクもやってくる。
「おおっ!?初音ミクだ!」
「ミクさんがいる!」
「んんっ?!」
ミクは特徴的なエメラルドグリーンの長いツインテールが特徴なので、目立つことこの上ない。
今度は男性ファンが押し寄せてきた。
「まずい。これじゃ大騒ぎに……あ」
敷島はピーンと来るものがあった。
正にプロデューサー魂であった。
「全くもう……!」
エミリーとMEIKOのケンカを止めたのはアリス。
「MEIKOは要らんことするし、リンとレンは遠くまで泳ぎに行っちゃうし、タカオは何やって……って!?」
「はいはーい!ボーカロイドの全国ツアー、神奈川は横浜スーパーアリーナで8月に開催しまーっす!」
敷島はファンに全国ツアーのチラシ配りをやっていた(どこからチラシ持ってきた?)。
「こ、このっ……!」
チーン……。
「何で俺がこんなこと……」
ブチ切れたアリスに、頭から下を砂浜に埋められた敷島だった。
「付き合いますね、プロデューサー」
一緒に埋まるKAITO。
「いいよ。それより、早いとこリンとレンも撮影しないと。早くしないと、今度は砂じゃなくて海に沈められる」
敷島は自力で脱出すると、リンとレンを捜した。
「えーと……どこ行った?」
キョロキョロと捜す敷島。
するとそこへ、
「うわあああん!」
泣きじゃくりながら戻って来たリンと合流する。
「どうした、リン?」
「レンが……レンがいなくなっちゃったーっ!」
「ええーっ!?」
何が起きたのか!?
「リンが1番だYo〜!」
「そうはさせないよ!」
「2人とも、待って〜!」
鏡音リン・レンの後を追う初音ミク。
「こーら、3人とも。これはあんた達、ボーカロイドの海水耐性実験なんだからね。はしゃぎ過ぎは禁物よ?」
アリスは右耳にインカムを着けており、これでボーカロイド達と通信している。
早速はしゃぐ年少組に釘を刺した。
「はーい!(×3)」
「そういうアリスも、水着に着替えて、海に入る気満々じゃないか」
敷島はジト目でアリスを見ていた。
敷島はカジュアルシャツとチノパン、スニーカーからTシャツに短パン、ビーチサンダルに履き替えてはいたが。
「失礼ね。私は研究者として、少しでも彼女達の近くで実験の観察をしようと……」
「理事。まさか、理事も海に入る気ですか?」
敷島は呆れた顔をして、アリスとは反対側にいる老博士に聞いた。
「いやいや。さすがに年寄りの冷や水じゃろうて。わしは今回のツアーの責任者として、ここでおとなしくさせてもらうよ」
そうしている間にキールが、借りてきたビーチパラソルを砂浜の上に刺した。
十条は敷島と似た格好はしていたが、Tシャツではなくアロハシャツであり、麦わら帽子を被っていた。
これだけ見ると、とても世界的なロボット研究者には見えない。
「おっと。そろそろ昼食の時間じゃの。キールや、準備ができたら、そこの海の家で焼きそばを買ってきてくれんか?」
「かしこまりました。敷島参事はどうなさいますか?」
「そうだな……。じゃあ、俺もお願いするか」
「アリス博士は……あれ?どちらに?」
「ん?あれ?さっきまであそこに……」
「何じゃ、あれは?」
近くの海の家に人だかりができていた。
「さあ……」
「ちょっと見てこよう」
[同日12:15.同場所・海の家“めろん” アリス・シキシマ]
打てば響く大きなラーメンどんぶり。
3杯目を平らげて、既に平らげて重ねた2つのどんぶりの上に更に重ね上げた。
直後に店内外から響く大きな歓声。
「とても美味しかったです」
「女王だ!金髪の大食い女王だ!」
「どこの国の人?」
「さあ……?」
様子を見に来た敷島とキールは唖然とした。
「マジかよ……」
「ウルトラ・スーパー・ジャンボラーメン、3杯食べたらタダと書いてあります。参事」
「え、えー……約束通り、タダでゲソ」
中高生と思しき白い服を着たバイト店員が驚いた様子で言った。
「あら?あなた達も食べに来たの?」
何食わぬ顔で敷島達を見るアリス。
「いえ。私は執事ロボットですので、食べられません」
「お前、何やってんだよ?」
「何って、ランチに決まってるじゃない」
「ランチというポリュームじゃねぇなっ!」
グラマラスな体型はこの大食で維持されているのは誰でも皆認めるところだが、いい感じな肉付きで肥満体型にならないのが凄い。
[同日12:30.同場所・砂浜 敷島孝夫&十条伝助]
「全く、アリスのヤツ……。絶対、泊まり掛けの実験と称した旅行だよ、これじゃ」
「まあまあ。アリス君も、まだ20代半ばの妙齢じゃ。遊びたい部分もあるじゃろうて。分かってやりなさい」
「はあ……。おっと!俺も仕事に戻らないと」
「うむうむ。頑張りたまえ」
敷島はカメラ片手にボーカロイド達の後を追った。
「ちょっと、プロデューサー。何かイヤらしい感じだよ?」
MEIKOがジト目で敷島を見た。
ボーカロイド達が着る水着もイメージカラーに沿ったもので、MEIKOは御多聞に漏れず、赤を基調としたビキニを着ていた。
「いや、これは……アリスから実験の記録映像の撮影を頼まれてて……」
敷島は少し焦りながら答えた。
「ふーん……?」
MEIKOはそれでもジト目で敷島から視線を外すことはなかった。
「そ、それより海に入ってどうだった?何か不具合とかは発生しなかったか?」
「別に。私達、元々ドクター・ウィリーにスパイロボットとしても活動できるように改造されたせいか、海に入っても平気だからね。わざわざ実験する必要あるのかしら?」
「それは……アリスに直接聞いてくれ」
敷島は苦笑した。
「あっ、プロデューサー。ちょうど良かった。オイル塗ってもらえませんか?」
「お前なぁ……」
砂浜に寝そべる巡音ルカ。
「今回はあくまで海水耐性実験であって、直射日光に当ててどれだけ変色するかの実験じゃないんだぞ」
「そうですか?」
「それに、平賀先生の技術で、お前達の体の表面は特殊加工で変色しないようになってるんだ。変にオイルなんか塗ったら、発火するぞ」
「発火!?発火するんですか!?」
「直射日光に当てたりしたら、お前達の体は超高温になるからな。人間だったら汗をかいたりして調節するけど……」
「それは知りませんでした。海に入ってきます」
「アリスが近くで観察してるはずだから」
で、今度は……。
「の、ノー!私は・ボーカロイドではないので・撮影しないで・ください」
キールと一緒にいたエミリーは、敷島のカメラに気づいて慌てて手を振った。
「十条理事から、お前達の関係の記録も録っておけって言われてるんだよ。ほら、もう少し寄り添って」
「……十条博士の命令とあれば、仕方ないですね」
キールはそう言って、エミリーの腰を抱いた。
「いや、命令はされてないけどな」
「え……?」
「えー、只今、マルチタイプのエミリーと執事ロボット1号のキール・ブルーの感情レイヤーの機能実験です。現在……」
敷島が撮影しながらレポートを加える。
「……エミリー婆さんが年下の若い男を誑かして、正に若いツバメとやらであります」
「ん?」
「MEIKO!」
敷島の後ろでアフレコしたMEIKOだった。
「MEIKO、待て!今日という・今日は……!」
エミリーが怒ってMEIKOを追い回した。
「えー、怒りの感情は正常に機能しているもようです」
冷静に撮影している敷島だった。
「きゃーっ!KAITO-っ!」
「KAITO、こっち向いてーっ!」
「ありゃ?」
女性ファンに囲まれて歓声を上げられているKAITOがいた。
「あちゃー……顔バレしちゃったか……」
敷島は参ったなぁといった感じで右手を頭にやったが、
「どうしたんですか?何かあったんですか?」
そこへミクもやってくる。
「おおっ!?初音ミクだ!」
「ミクさんがいる!」
「んんっ?!」
ミクは特徴的なエメラルドグリーンの長いツインテールが特徴なので、目立つことこの上ない。
今度は男性ファンが押し寄せてきた。
「まずい。これじゃ大騒ぎに……あ」
敷島はピーンと来るものがあった。
正にプロデューサー魂であった。
「全くもう……!」
エミリーとMEIKOのケンカを止めたのはアリス。
「MEIKOは要らんことするし、リンとレンは遠くまで泳ぎに行っちゃうし、タカオは何やって……って!?」
「はいはーい!ボーカロイドの全国ツアー、神奈川は横浜スーパーアリーナで8月に開催しまーっす!」
敷島はファンに全国ツアーのチラシ配りをやっていた(どこからチラシ持ってきた?)。
「こ、このっ……!」
チーン……。
「何で俺がこんなこと……」
ブチ切れたアリスに、頭から下を砂浜に埋められた敷島だった。
「付き合いますね、プロデューサー」
一緒に埋まるKAITO。
「いいよ。それより、早いとこリンとレンも撮影しないと。早くしないと、今度は砂じゃなくて海に沈められる」
敷島は自力で脱出すると、リンとレンを捜した。
「えーと……どこ行った?」
キョロキョロと捜す敷島。
するとそこへ、
「うわあああん!」
泣きじゃくりながら戻って来たリンと合流する。
「どうした、リン?」
「レンが……レンがいなくなっちゃったーっ!」
「ええーっ!?」
何が起きたのか!?