報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「マリアンナの見た夢」

2016-01-12 22:37:44 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月5日21:15.天候:晴 東名高速上り線(用賀パーキング) 稲生勇太、マリアンナ・ベルフェ・スカーレット、藤谷春人]

 用賀パーキングの休憩棟は4階建てになっている。
 ここには降車専用のバス停があり、ここで降りた乗客も休憩棟の中に入ることになる。
 入ってすぐにエレベーターと階段があるので、どちらでも降りて良い。
 大きな荷物を持った高速バスの乗客は、エレベーターを使うことが多いようだ。
 エレベーターは2階には止まらず、すぐ下の3階か、1階まで降りる。
 稲生達のような車の休憩者は、1階に下りることはないだろう。
 尚、エレベーターの横には多目的トイレもある。
 本当の休憩スペースは3階。

  

 有人対応の店舗は存在しないが、自販機コーナーはある。
「マリア先生、大丈夫か?飯は食っていたのに、あんまり気分が良くなさそうだな?」
「さっきまでは良かったんですが、どうしたんでしょうねぇ……」
「まあ、いいや。俺は上にいるからさ、稲生君はマリア先生を見ててな」
「ええ」
 藤谷がタバコを吸うのに、また階段を上がっていった。

「…………」
 女子トイレの個室に入ったマリア。
 別に用を足すとか、そういうことじゃなくて……。
(どうしよう……。私、死んじゃう……)
 マリアは予知夢を見ていた。
 それは自分が死ぬ夢だった。
 今さら死ぬこと自体は怖くない。
 復讐劇で多くのスクールメイトを悪魔の手を使って手に掛けてきたわけだから、人間としての人生は終了させた。
 それでも罪が許されないというのなら、それも仕方が無い。
 だが、今は心残りがあった。
 今度こそ本当に一人前になって、魔道師としての人生を再スタートさせたことに対する期待、そして何より、稲生のこと……。
「師匠……」
 マリアはローブから水晶球を出して、イリーナに相談した。
 するとイリーナの回答は、
「一人前になったあなたが見た夢だから、それまでとは格段に的中率が高くなっているはずよ」
 とのこと。
 だが、
「大事なことだから、もっと落ち着ける所で話しましょう。大丈夫。いくら的中するかもといったって、普通は今日、明日に起きることではないから」
 と。
「今夜はユウタ君ちに泊まるんでしょう?その時、もう1度アタシに連絡ちょうだい」
 で、ここでの話は終わった。
 さすがに今日中の帰宅は大変だということをイリーナも理解してくれて、修行の再開は明日からにしてくれるそうだ。

「あ、どうでした、マリアさん?」
 トイレの前で稲生が待っていた。
「ああ。まあ、大丈夫」
「本当ですか?」
「完璧ではないが、まあ少しは良くなった。ユウタの家に泊まらせてもらうということで、少し緊張していたかも」
「別に、大丈夫ですよ。マリアさんのことを家に話したら、特に変なことは言ってませんでしたから」
「そうか」

[同日22:00.天候:晴 首都高速3号線 稲生、マリア、藤谷]

 事故の後の復旧に1時間は掛かった。
 ようやく通行止めは解除になったが、しばらくの間、稲生達は渋滞の中を進まなければならなかった。
「班長、すいません。用賀駅から近かったんですから、僕達、そこから電車に乗り継いでも良かったですね」
 稲生は申し訳無さそうに言った。
「なに言ってるんだい。水臭いこと言うなよ。これまでの付き合いじゃないか」
 藤谷はハンドルを握りながら笑った。
 ようやく渋滞ポイントを抜けて、アクセルを踏み込む。
「マリア先生も、お元気になって良かったっス」
「まあな」
 マリアはまだ顔色が悪い状態ながらも、大きく頷いた。
 尚、マリアが固い言葉遣いをしているのは、何も魔道師だからではない。
 これもまた、人間時代に受けた性暴力の後遺症によるものだ。
 だからイリーナの前では敬語ではあるものの、もう少し女言葉に近いし、気心知れたエレーナなどの若い魔女達とはもっと柔らかい言葉を使っている。
 どうしても、男性の前ではそうなるということだ。
 その中で1番信用している稲生の前であっても。
「藤谷氏」
「何ですか?」
「遅れを取り戻すのは結構だが、くれぐれも安全は軽視するなよ?私の魔法でも面倒見切れないぞ?」
「分かってますよ。ちゃんと自分の運転技量と、相談してますよ」
「一人前のマリアさんはどんな大事故でも大丈夫ですが、僕はまだロクに魔法も使えないんですよ。多分、今現在のマリアさんは自分自身の身を守るのに精一杯だと思うので、とても僕までは守りきれない。でも僕は、まだ自分の身も守れない。だからですよ、班長?」
「分かってるって。俺も、命あっての物種だと思ってる。ちゃんと安全運転するさ。マリア先生、この車にいる限りにおいては、アッシが稲生君を守りますんで、安心してください」
「あ、ああ……」
 マリアは俯き加減に頷いた。
(そうじゃない……。そうじゃないんだ……)
 マリアは両膝に置いた拳をギュッと握った。

 稲生達は夜の首都高を一路、埼玉へと飛ばして行く。
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旅行2日目 その2

2016-01-12 21:00:03 | 日記
 宮の沢駅は琴似駅より延伸された比較的新しい駅なのだが、どうも雰囲気がガンサバイバー的な……。
 それは反対側の新さっぽろ駅でもそうであり、“バイオハザード in 札幌”があったとしたら、間違いなくステージの1つになるだろう。
 車両は8000系。
 電車は新しい。
 但し、東西線に限らず、札幌市地下鉄の車両には網棚が無いので注意。
 JRや他の私鉄の感覚で荷物を乗せようしたら、どうなるかは【お察しください】。
 札幌市地下鉄の車内自動放送の声優さんって、仙台市営バスの放送もしているような気がする。
 因みにここの地下鉄でも、CMは流している。
 なので私の小説で、顕正会の会館下車駅とか宗門末寺の下車駅とかの案内もできるというわけだ。

 因みに地下鉄では『さっぽろ』、JRでは『札幌』だ。
 従って、地下鉄東西線の駅名は『新さっぽろ』だが、隣接するJRは『新札幌』である。
 そこで何をしに行ったのかというと、明日の帰りはバスではなく、さすがにJRに乗ろうと思い、快速“エアポート”号の指定席“uシート”の指定席券を購入しに行ったのである。
 いつもは指定席券売機で買う私だが、北海道ではいつも“みどりの窓口”で買っている。
 理由は特に無い。
 首都圏と違って、そんなに混んでいないからかもしれない。

 新札幌駅で無事に指定席券を購入した私は、再び地下鉄の新さっぽろ駅に戻った。
 今度は南郷13丁目駅で降りる。
 この辺りは南郷7丁目、南郷13丁目、南郷18丁目と続く。
 で、某鉄道テクノバンドユニットの歌では、『合わせて38丁目でございます』と歌っている。

 行った場所は“南郷の湯”。
 駅から徒歩数分のご近所さんだ。
 元はバスの営業所だったということもあり、今でも北海道中央バスと繋がりがあるもよう。
 昨日はスマホの落し物で世話になったことだし、ここでゆっくりして行こうと思った。
 ここは銭湯の延長線のようなものらしく、大浴場にはボディーソープやシャンプーなどが備え付けられていない。
 タオルの貸し出しも行っていないので、一回使いきりのアメニティとタオルがセットになった物も購入した。
 尚、ここの洗い場は珍しく、温度調整ができない。
 蛇口とシャワーが押しボタン式なのはベタな法則として、温度調整がないというのは初めて見た。
 それでも露天風呂はあるもので、そこはぬるま湯と熱湯があった。
 しばらく浸かっていたのだが、手の皸(あかぎれ)が何だか治ってきたような……?気のせいかな。
 でも今日は一度も出血せず、絆創膏も貼らずに済んだ。
 何だかんだ言って、温泉の効果はあるのかもしれない。

 ここでは風呂上りに足つぼマッサージを受けてみた。
 幸い水虫も改善状態に向かっているので、本当、2~3年ぶりくらいか、足つぼマッサージを受けるのは。
 おかげでここでも、また新しいアイディアが浮かんだ。
 どちらかというと、“アンドロイドマスター”シリーズの方だけどね。
 どちらにも使えそうなネタが浮かんだので、まあ、そこは上手いことアイディアを振り分けることにしよう。

 帰りは再び地下鉄を乗り継いで、ホテルまで戻ってきた。
 夕食を何にしようか考えていたのだが、以前泊まった別のホテルに入居しているレストラン。
 あれの創作肉料理が美味かったのを覚えていたので、そこに行ってみた。
 幸い、今回泊まっているホテルからは、狸小路(という名のアーケード街)の並びにある。

 レストランは女子会の会場予約が入っていたらしく、男性客は私だけという有様だったが、この歳になればそんなことは気にしない。
 ていうか、私と大して歳の変わらぬ30代前半から半ばくらいの面々だったぞ。
 これで女子会と呼んでいいものかどうか心の中で首を傾げた私だったが、彼女達もそう思っていたらしく、自虐ネタにしていた。
 だが、
「40、50の人達はそもそも自覚すらしてないからね」
 と、笑いながら言っていた。
 つまり、もっと年上の40代、50代のオバハン方は、何の疑いも無く、かつ年甲斐も無く、自分達の集まりを臆面も無く『女子会』と呼んでいることを笑っているのだろう。

 いいぞ!もっと笑ってやれ!
 ……ていうか、御同輩の『女子』の皆様においても、自覚しているんだったら呼ぶのやめようね。
 えー、しっかりブログのネタにさせて頂いた上、小説のネタ帳に書き込ませて頂きました。

 料理は美味かった。
 材料からして全て有機物に拘っているところが素晴らしい。
 ネギ類が苦手な私も、ここの店の料理のネギなら食えるな!
 つまり、私の嫌いな物は、美味く料理されたものは食えるということだ。
 是非とも1人で来るのはもったいないので、今度は誰かと一緒に来たいところだが、あいにくと一緒に来てくれる人がいないからなぁ……。
 女子会が行われるくらいだから、女性と一緒の方がいいかもしれない。

 というわけで、2日目は無事に終了。
 明日はいよいよ帰りの飛行機に乗ることになるが、既に新千歳空港には温泉施設があるので、もう明日はそこに直行して、集合時間まで過ごすことに決めている。
 交通手段にバスではなく、電車を選んだのもそれが理由だ。

 今回は乗り鉄はサブにして、メインを温泉と乗りバスにしたわけだが、それはそれで良かったかもしれない。
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旅行2日目 その1

2016-01-12 20:04:33 | リアル旅行記
 前回なら乗り鉄するところ、今回は趣向を変えてみた。
 今回のテーマは、ズバリ温泉でゆったりすること。
 それでも1日につき、2回が限度なところが、私もまだまだビギナーといったところだ。

 最初の行き先は“湯の花 朝里殿”。
 小樽市内の朝里川温泉に位置する日帰り浴場である。
 札幌市内から無料送迎バスが1日2往復出ており、私はそのバスが最初に出る円山公園駅まで向かった。
 朝ラッシュの市街地であるが、意外とそんなに人がいない。
 やはり、そこは地方都市か。
 そう思いながら地下鉄の大通駅に向かう地下道に降りると、様相が一変した。
 地上は小雪が舞い、アイスバーンとなった路面であったが、それが全く無く、暖房も入っている地下道を市民達は移動していたのだった。
 その様相たるや、朝ラッシュの大宮駅エキュート通路並みと言って良いのではないか。
 地下街の無いさいたま市や仙台市のイメージで来た、真に恥ずかしい余所者であった。
 昨年は地下鉄南北線には乗っていたが、東西線には一切乗っていなかったので、今回は良い機会だ。
 ホームドアが全駅に設置されている札幌市地下鉄では、全路線でワンマン運転が行われている。
 そのホームドアの開閉音が、仙台市地下鉄南北線と同じ。
 メーカーが一緒なのだろう。
 大通駅まではメチャ混みの電車も、ここでぞろぞろ降りて行く。
 札幌市地下鉄の財政は、まあまあ良いらしい。
 但し、昨日乗ったタクシーの運転手の話によると、琴似駅が棒線駅になってしまったことにより、却って寂れた感があるという。
 地元に若かりし頃から住んでいたという運転手であるが、札幌市の交通政策については数々の不満があるらしい。
 市電をループ化する金があるのなら、老朽化している地下鉄駅の改修をしろとか、南北線の真駒内から先への延伸計画を進めろとか言っていた。
 ループ化した所にはロードヒーターを入れたものだから、その維持費だけで年間数億円掛かるとのこと。
 因みに、市電は赤字である。

 円山公園駅で降りると、それまで小雪だった市街地と違い、少し歩けば頭に雪が積もりそうなほどの強さになっていた。
 駅から少し歩いたが、明らかに件の送迎バスと思しき塗装(ラッピング?)をした中型バスが止まっているのが見えたので、そこへ少し急ぎ足で向かう。
 多分大丈夫だとは思うが、もし慌てて行って転倒したりしたら大変だからね。
 バスは日野のメルファ。
 中型バスなので、マイクロバスより大きく、大型バスよりは小さい。
 大江戸温泉物語の送迎バスで、同じ車種のバスが使用されている所を見たことがある。
 私が1番乗りであったが、この送迎バス、少々特殊なルールがあるようだ。
 まず、2往復運行されているバスのうち、往路の早い便に乗った客は基本、復路も早い便に乗らなくてはならない。
 但し、復路で遅い便に乗りたい場合、空席がある場合は変更可能。
 予約制ではない。
 予約制ではないのに、どうして空席があるかどうか分かるのか。
 それは往路乗車時に、帰りのバスの時間が表示された札が渡されるのである。
 復路乗車時に、その札を運転手に渡す(というか、ドア横のカゴの中に入れる)。
 つまり、座席の数の分、札も同じ数を用意しておくことで、余れば空席ありというのが分かるというわけだ。
 もし往路しか乗らず、復路は電車か別のバスに乗るよといった場合はどうするのかというと、その札はフロントに返すようにとのことだ。
 そうすることで、フロントでも復路便キャンセル分の数が把握できるということ。
 面白いルールだが、慣れていないと札を渡すのを忘れてしまいそうだ。
 ……と、思ったら、やっぱり返すのを忘れてそのまま持って行ってしまう客もいるとのこと。
 やっぱりねぇ……。

 バスは途中のバス停から次々に客をピックアップしていく。
 平日の午前中なのだから当たり前だが、お年寄りが多い。
 多分そうだろうと思って、私は比較的後ろに座ったのだが、平日にしては半分近くの乗りだったと思う。
 これはひょっとすると、休日は満席で運行するのかもしれない。
 バスは札樽自動車道など通らず、一般道をひたすら走る。
 途中でJR北海道バスの一般路線車と何度もすれ違ったり、追い抜いたりしたが、さすがの私もまだJRバスの一般路線車に乗ったことがない。
 今回はもう乗りバスは無理だから、逆に北関東で運転されているそれに乗ってもいいかもしれない。

 バスは雪の降り積もる国道5号線を進んで行ったが、以外とそんなに滑らないものだ。
 もちろん冬タイヤを履いているのだろうし、運転手も雪道は走り慣れているだろうから、加速して良い場所と減速すべき場所を上手く弁えているのだろう。
 一応、私はシートベルトを締めておいたが、取り越し苦労で済んで良かった。

 こっちの温泉は澄んだお湯が特徴で、そんなに匂いもしない。
 全体的にお湯が熱め(42度くらい?)だが、客層に合わせてそうしているのか、それとも元からこの温度設定なのかは分からない。
 ただ、源泉掛け流しとかではなそうだが……。
 お年寄りは熱めのお湯が好きとのことだが、本来、それは逆に健康に悪いんだがね。
 ぬるめの湯にじっくり浸かるのが良いのだが、人間、歳を取ると肌の感覚も鈍くなるということなのだろうか。

 風呂上りにボディケアを受ける。
 私の場合、1人で温泉施設に来ると、いつもマッサージを受ける。
 これは何故かというと、小説のアイディアが1番浮かびやすいからだ。
 おかげで今回も、いいアイディアが浮かんだ。
 が、しかし、大きな欠点が1つある。
 それは施術中なんだから当たり前なのだが、せっかくのアイディアをネタ帳に書き込めないのである。
 結果!こうやってブログ更新している時には、既に半分くらい忘れているのである。

 ダメじゃん!

 帰りは予定通り、復路便の早いバスに乗る。
 ルール通り、札をドア横のカゴの中に入れて乗り込む。
 座った席も往路と一緒。
 別に、席までは決められているわけではなく、たまたまそこが空いていただけのこと。
 やっぱり、年寄り達は前の席から座りたがるからね。

 下車した場所は円山公園駅ではなく、宮の沢駅にした。
 復路便乗車時に、どこで降りるか運転手に申告するのである。
 別に、乗った場所で降りなければならないというルールは無い。
 実は円山公園駅の乗り場は意外と地下鉄出入口から離れているのだが、宮の沢駅はその出入口の前でバスを止めてくれるのだ。
 だからだろう。
 そこでの乗降が1番多い。
 で、私の場合は更に乗り鉄の為に、始発駅である当駅で降りたという理由もある。

 だいぶ長くなってしまったので、ここで一旦切らせて頂く。
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