[1月19日20:00.天候:晴 千葉県銚子市 ニューグランドホテル犬吠2Fゲームコーナー]
夕食後に愛原達と別れたリサと斉藤絵恋は、2Fのゲームコーナーに向かった。
2Fへはロビーの吹き抜け階段からでも上がれる。
斉藤:「オジさん、随分酔っ払ってたね」
リサ:「うん。大丈夫。愛原さんは、酔いが醒めるの早いから」
斉藤:「そうなの。うちのお父さんなんか、取引先との接待とかゴルフの帰りなんかいつも酔っ払って帰って来て、そのまま寝ちゃうんだから」
リサ:「!?」
その時、リサにまた一瞬だけフラッシュバックが起きた。
斉藤:「どうしたの?」
リサ:「な、何でも無い。それより、何して遊ぶ?」
斉藤:「そうねぇ……。あのエアホッケーとかはどう?」
リサ:「OK.望むところ」
斉藤:「温泉と言えば卓球だなんてお父さんが言ってたけど、実際無いもんね」
エアホッケーがあるだけでもマシである。
斉藤:「リサさんはエアホッケーやったことある?」
リサ:「無い。どうやるの?」
斉藤:「卓球は知ってるでしょ?体育でやったから」
リサ:「それは知ってる」
斉藤:「このテーブルを挟んで、お互いにこのマレットを持って、このパックを打ち合いっこするの。で、相手側の穴にパックを入れたら得点ってわけ」
リサ:「なるほど」
斉藤:「ちょっとやってみましょう。まずは、さっき頂いた1000円札を両替……」
で、100円玉を入れると盤上からエアが吹き出てパックが滑りやすくなる。
斉藤:「じゃあ、私から打たせてもらうね」
リサ:「ん!」
斉藤、軽くコンッとパックを打つ。
カンコンとパックがテーブルの縁に当たり、ジグザグに動きながらリサの所へやってきた。
斉藤:「で、パックが来たら私に打ち返して!」
リサ:「ラジャ!」
カンッ!(リサ、マレットでパックを打ち返す)
コーン!
斉藤:「きゃ!」
リサ:「あ゛……!」
リサの打ち返したパックが宙を飛び、斉藤の広いおでこに当たった。
斉藤:「あ、あたしに打ち返してくれてありがとう……!」
リサ:「ど、どういたしまして……。ていうかサイトー、大丈夫?」
斉藤:「り、リサさん、初めての割にはいいスマッシュだわ……。体育の時の卓球みたい……」
リサ:「もう1度!もう1度やろう!今度は私から打つ。かるーく……」
コン。
斉藤:「そうそう、強く打ち過ぎる必要は無いのよ。そーれっ!」
尚、強く打ち過ぎて相手方の顔面にパックを直撃させたのは作者も経験済みである。
リサ:「ん!」
今度はリサ、ちゃんと上手に打ち返した。
斉藤:「そうそう!その調子よ!……よーし!スマッシュ!!」
スポッ!
斉藤:「あ゛ーっ!?」
今度は斉藤の手からマレットがすっぽ抜け、リサの顔面に直撃した。
斉藤:「きゃあああ!リサさん!?ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
リサ:「??? 今、何が起きた???」
当のリサはきょとんとしている。
マレットが顔面直撃しても何とも無い。
そりゃそうだ。
リサ・トレヴァーは、マグナムの弾を食らっても殆どダメージなど食らわないほどなのだから。
斉藤:「わざとじゃないの!手の汗でマレットがすっぽ抜けてぇぇぇ!」
リサ:「マレットを相手に当てるのも戦法?」
斉藤:「全然違うわ!私のミスなの!ごめんなさぃぃぃぃ!嫌いにならないでぇぇぇっ!」
リサ:「大丈夫。気を取り直してもう一回やろう」
これが終わると、次はUFOキャッチャー。
斉藤:「これがなかなか上手く行かないのよねー!」
リサ:「私もこういうクレーンで、運搬されてたなぁ……」
斉藤:「はい?」
リサ:「いや、何でも無い……」
それが終わると次はスロットマシン。
(取りあえず、ジャグラーで大勝ちし、終始御満悦の作者近影)
雲羽:「うひょひょひょひょ!報恩坊での功徳が止まらなーい!」
斉藤:「何か、変なオジさんがいるから別のにしましょ」
リサ:「こういう所で大勝ちしても、お菓子しか当たらないよ」
斉藤:「だよねぇ。さっきから体を動かしてたせいか、少し暑くなってきたわ」
リサ:「ちょっと外に出てみる?」
斉藤:「外は寒くない?」
リサ:「ちょっと出てみるだけ。寒くなったら中に入る」
斉藤:「それもそうだね」
リサと斉藤は、新館エントランスから外に出てみた。
岸壁が目と鼻の先ということもあってか、潮騒がよく聞こえた。
斉藤:「あっちの方って何になってるのかな?」
リサ:「駐車場」
斉藤:「その更に向こうの方に、古い建物が建ってるじゃない?何かブキミ……」
リサ:「うん」
ちょうど月が旧館の屋上辺りにあった。
斉藤:「せっかくきれいなお月様なのに、あの建物のせいでホラーになっちゃってるわ。お父さんに頼んで取り壊してもらおうかしら」
リサ:「うん。……んんっ!?」
リサは斉藤の言葉に頷くだけであったが、その旧館屋上にある物を見つけて絶句した。
旧館屋上といっても、常人には双眼鏡が無いと現認できないくらいの距離がある。
リサはBOWの力で、視力も双眼鏡並みに強くすることができるのだ。
その視力でリサが見たのは……。
リサ:「た、タイラント君!?」
斉藤:「え、なに?何かいるの?」
リサの目には黒い中折れ帽を被り、黒いロングコートを羽織った男が旧館屋上の給水タンクの上に座っているのが見えた。
リサには見覚えがある。
それはタイラント。
霧生市で現れた者は左手が異様にクリーチャー化していたが、リサの知り合いのタイラントはそれだけではない。
とても長身であることを除けば、人間とパッと見変わらない姿をした量産型タイラントもいる。
そのタイラントは、リサの視線に気づくとニヤッと愛想笑いを浮かべたかのように見えた。
リサ:「タイラント君……」
斉藤:「リサさん!リサさん!」
斉藤はリサに呼び掛けながら体を揺さぶった。
リサ:「……あ、サイトー。なに?」
斉藤:「どうしたのよ?ボーッとしちゃって……」
リサ:「いや、何でもない……」
再びリサが視線を戻すと、もうタイラントの姿は無くなっていた。
斉藤:「ねぇ、今度は寒くなって来たわ。早く中に戻りましょう」
リサ:「うん」
リサは再び館内に戻りながら首を傾げた。
リサ:(何であそこにタイラント君がいたんだろう……?)
夕食後に愛原達と別れたリサと斉藤絵恋は、2Fのゲームコーナーに向かった。
2Fへはロビーの吹き抜け階段からでも上がれる。
斉藤:「オジさん、随分酔っ払ってたね」
リサ:「うん。大丈夫。愛原さんは、酔いが醒めるの早いから」
斉藤:「そうなの。うちのお父さんなんか、取引先との接待とかゴルフの帰りなんかいつも酔っ払って帰って来て、そのまま寝ちゃうんだから」
リサ:「!?」
その時、リサにまた一瞬だけフラッシュバックが起きた。
斉藤:「どうしたの?」
リサ:「な、何でも無い。それより、何して遊ぶ?」
斉藤:「そうねぇ……。あのエアホッケーとかはどう?」
リサ:「OK.望むところ」
斉藤:「温泉と言えば卓球だなんてお父さんが言ってたけど、実際無いもんね」
エアホッケーがあるだけでもマシである。
斉藤:「リサさんはエアホッケーやったことある?」
リサ:「無い。どうやるの?」
斉藤:「卓球は知ってるでしょ?体育でやったから」
リサ:「それは知ってる」
斉藤:「このテーブルを挟んで、お互いにこのマレットを持って、このパックを打ち合いっこするの。で、相手側の穴にパックを入れたら得点ってわけ」
リサ:「なるほど」
斉藤:「ちょっとやってみましょう。まずは、さっき頂いた1000円札を両替……」
で、100円玉を入れると盤上からエアが吹き出てパックが滑りやすくなる。
斉藤:「じゃあ、私から打たせてもらうね」
リサ:「ん!」
斉藤、軽くコンッとパックを打つ。
カンコンとパックがテーブルの縁に当たり、ジグザグに動きながらリサの所へやってきた。
斉藤:「で、パックが来たら私に打ち返して!」
リサ:「ラジャ!」
カンッ!(リサ、マレットでパックを打ち返す)
コーン!
斉藤:「きゃ!」
リサ:「あ゛……!」
リサの打ち返したパックが宙を飛び、斉藤の広いおでこに当たった。
斉藤:「あ、あたしに打ち返してくれてありがとう……!」
リサ:「ど、どういたしまして……。ていうかサイトー、大丈夫?」
斉藤:「り、リサさん、初めての割にはいいスマッシュだわ……。体育の時の卓球みたい……」
リサ:「もう1度!もう1度やろう!今度は私から打つ。かるーく……」
コン。
斉藤:「そうそう、強く打ち過ぎる必要は無いのよ。そーれっ!」
尚、強く打ち過ぎて相手方の顔面にパックを直撃させたのは作者も経験済みである。
リサ:「ん!」
今度はリサ、ちゃんと上手に打ち返した。
斉藤:「そうそう!その調子よ!……よーし!スマッシュ!!」
スポッ!
斉藤:「あ゛ーっ!?」
今度は斉藤の手からマレットがすっぽ抜け、リサの顔面に直撃した。
斉藤:「きゃあああ!リサさん!?ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
リサ:「??? 今、何が起きた???」
当のリサはきょとんとしている。
マレットが顔面直撃しても何とも無い。
そりゃそうだ。
リサ・トレヴァーは、マグナムの弾を食らっても殆どダメージなど食らわないほどなのだから。
斉藤:「わざとじゃないの!手の汗でマレットがすっぽ抜けてぇぇぇ!」
リサ:「マレットを相手に当てるのも戦法?」
斉藤:「全然違うわ!私のミスなの!ごめんなさぃぃぃぃ!嫌いにならないでぇぇぇっ!」
リサ:「大丈夫。気を取り直してもう一回やろう」
これが終わると、次はUFOキャッチャー。
斉藤:「これがなかなか上手く行かないのよねー!」
リサ:「私もこういうクレーンで、運搬されてたなぁ……」
斉藤:「はい?」
リサ:「いや、何でも無い……」
それが終わると次はスロットマシン。
(取りあえず、ジャグラーで大勝ちし、終始御満悦の作者近影)
雲羽:「うひょひょひょひょ!報恩坊での功徳が止まらなーい!」
斉藤:「何か、変なオジさんがいるから別のにしましょ」
リサ:「こういう所で大勝ちしても、お菓子しか当たらないよ」
斉藤:「だよねぇ。さっきから体を動かしてたせいか、少し暑くなってきたわ」
リサ:「ちょっと外に出てみる?」
斉藤:「外は寒くない?」
リサ:「ちょっと出てみるだけ。寒くなったら中に入る」
斉藤:「それもそうだね」
リサと斉藤は、新館エントランスから外に出てみた。
岸壁が目と鼻の先ということもあってか、潮騒がよく聞こえた。
斉藤:「あっちの方って何になってるのかな?」
リサ:「駐車場」
斉藤:「その更に向こうの方に、古い建物が建ってるじゃない?何かブキミ……」
リサ:「うん」
ちょうど月が旧館の屋上辺りにあった。
斉藤:「せっかくきれいなお月様なのに、あの建物のせいでホラーになっちゃってるわ。お父さんに頼んで取り壊してもらおうかしら」
リサ:「うん。……んんっ!?」
リサは斉藤の言葉に頷くだけであったが、その旧館屋上にある物を見つけて絶句した。
旧館屋上といっても、常人には双眼鏡が無いと現認できないくらいの距離がある。
リサはBOWの力で、視力も双眼鏡並みに強くすることができるのだ。
その視力でリサが見たのは……。
リサ:「た、タイラント君!?」
斉藤:「え、なに?何かいるの?」
リサの目には黒い中折れ帽を被り、黒いロングコートを羽織った男が旧館屋上の給水タンクの上に座っているのが見えた。
リサには見覚えがある。
それはタイラント。
霧生市で現れた者は左手が異様にクリーチャー化していたが、リサの知り合いのタイラントはそれだけではない。
とても長身であることを除けば、人間とパッと見変わらない姿をした量産型タイラントもいる。
そのタイラントは、リサの視線に気づくとニヤッと愛想笑いを浮かべたかのように見えた。
リサ:「タイラント君……」
斉藤:「リサさん!リサさん!」
斉藤はリサに呼び掛けながら体を揺さぶった。
リサ:「……あ、サイトー。なに?」
斉藤:「どうしたのよ?ボーッとしちゃって……」
リサ:「いや、何でもない……」
再びリサが視線を戻すと、もうタイラントの姿は無くなっていた。
斉藤:「ねぇ、今度は寒くなって来たわ。早く中に戻りましょう」
リサ:「うん」
リサは再び館内に戻りながら首を傾げた。
リサ:(何であそこにタイラント君がいたんだろう……?)