[1月20日11:00.天候:曇 千葉県銚子市 ニューグランドホテル犬吠・旧館1F]
愛原:「あそこの暗がりになっている所、あそこから呻き声のようなものが聞こえないか?」
高橋:「マジですか?」
愛原:「ちょっと行ってみよう」
高橋:「先生、俺が先導します」
愛原:「大丈夫か?」
高橋:「一応、これがありますのでね」
高橋は機械室で拾ったバールのようなものを振り上げた。
高橋:「ゾンビくらい、これで頭ボコしてブッ殺してやりますよ」
愛原:「鋭意稼働中の新館がすぐそこにあって、ゾンビがいるとは思えないんだが……」
とにかく、暗がりに行ってみることにした。
それは廊下の曲がり角で何故か窓が無い為に日当たりが悪く、しかも外は曇り空ということもあって、尚更暗かった。
高橋は懐中電灯片手に、バールを右肩の上に乗せて曲がり角を曲がった。
高橋:「こ、これは……!」
愛原:「どうした?」
高橋:「呻き声というか……」
それは閉まっている防火戸の隙間から風が吹き抜ける音だった。
重厚なドアの隙間から吹き抜ける風が重低音を立て、それがあたかも呻き声のように聞こえたのだった。
愛原:「何だ。ま、現実はこんなもんだ」
私は防火戸を開けて、壁に収納した。
すると今度は水の音が聞こえた。
愛原:「今度は何だ?」
高橋:「水の吹き出る音ですね」
愛原:「噴水でもあるのか?」
高橋:「……噴水じゃなくて便所ですよ」
愛原:「え!?」
水の音がするのは共用トイレの方からだった。
電気どころか、水道も止まっていないらしい。
男子トイレの方から音がした。
愛原:「ホテルのトイレにしては古いな……」
高橋:「元々古いホテルだったわけですよね?リニューアルしてないと、こんな感じですよ」
それは確かに。
水の音がするのは、和式トイレの方だった。
今時、ホテルのトイレで和式ってあるのか?
高橋の言うように、この旧館は本当に陳腐化した建物だったのだろう。
愛原:「よし、開けてみるぞ」
しかしその前に、一応ノックしてみる。
トイレのドアのノックは2回が基本。
但し、『トイレの花子さん』を呼び出す時は3回鳴らすのだという。
もっとも、ここは男子トイレだから花子さんなどいるわけがないが。
リサも霧生市のアンブレラ開発センターでは、『トイレの花子さん』に扮してたんだっけ。
高橋:「ゾンビが『入ってます』と言って来たら面白いんですけどね」
愛原:「不気味なだけだ」
ゾンビが喋れないのは体中が腐敗しているからだ。
つまり、脳も腐敗していてそもそも喋る機能が失われているのだ。
私はドアを開けた。
愛原:「……誰もいないな」
高橋:「そうですね」
ホテルの共用トイレといったらフラッシュバルブ方式をイメージするのだが、ここのトイレはタンク式であった。
どうやらタンクの弁が故障して水がずっと流れっ放しになっているらしい。
愛原:「水道代が勿体無い」
高橋:「管理がなってませんねー」
愛原:「水を止めよう」
高橋:「どうするんスか?」
愛原:「元栓を止めるんだよ。……ほら、あのパネルを開けたら出て来るはずだ」
高橋:「なるほど」
しかし点検口のドアは固く閉じられていた。
高橋:「ご安心ください。その為のバールです」
愛原:「確かに」
高橋はバールを使って、点検口の扉をこじ開けた。
すると中に水道管が通っており、このトイレの便器に水を供給する物がちゃんとあった。
だが、その元栓バルブが何故か無くなっている。
愛原:「あ、なるほど。ここで使うのか」
私は機械室で拾ったバルブハンドルを取り出した。
それで元栓を締める。
すると水が止まり、トイレ内に静寂が訪れた。
愛原:「やっと静かになったな」
高橋:「先生!」
愛原:「何だ?」
高橋:「トイレの中にメダルがありました!」
愛原:「何だって?」
高橋が先ほどのトイレの水タンクの蓋を開け、中を見ていた。
水が止まったせいでタンクの中は空になり、メダルが簡単に拾えた。
愛原:「オリンピックのメダル並みの大きさだな」
高橋:「先生、このメダルですよ、きっと!」
愛原:「何が?」
高橋:「さっきの銅像の台座にあった穴!サイズ同じです!」
愛原:「マジか!?」
私達は試しにさっきのエントランスロビーまで戻り、そこに鎮座している銅像の足元の台座にある丸い窪みにメダルを嵌め込んでみた。
すると!
高橋:「動いた!」
愛原:「おおっ!?」
銅像が1.5メートルほどせり上がった。
そして、台座の下から鉄格子が現れた。
鉄格子の向こうには、何やら扉がある。
高橋:「やっぱりこの銅像の仕掛けを解けば、アンブレラの秘密施設に行けるって寸法ですよ!」
愛原:「こんなんでいいのか!?」
仮にそうだとしても、まだ穴は2つある。
全部の穴を埋めないと、入口が完全に開いてくれないのだろう。
え?なに?やっぱりこの旧館中をメダル探して走り回れって?
ノーヒントで探すのは骨が折れるが、やっぱりやるしか無いのだろうなぁ……。
愛原:「あそこの暗がりになっている所、あそこから呻き声のようなものが聞こえないか?」
高橋:「マジですか?」
愛原:「ちょっと行ってみよう」
高橋:「先生、俺が先導します」
愛原:「大丈夫か?」
高橋:「一応、これがありますのでね」
高橋は機械室で拾ったバールのようなものを振り上げた。
高橋:「ゾンビくらい、これで頭ボコしてブッ殺してやりますよ」
愛原:「鋭意稼働中の新館がすぐそこにあって、ゾンビがいるとは思えないんだが……」
とにかく、暗がりに行ってみることにした。
それは廊下の曲がり角で何故か窓が無い為に日当たりが悪く、しかも外は曇り空ということもあって、尚更暗かった。
高橋は懐中電灯片手に、バールを右肩の上に乗せて曲がり角を曲がった。
高橋:「こ、これは……!」
愛原:「どうした?」
高橋:「呻き声というか……」
それは閉まっている防火戸の隙間から風が吹き抜ける音だった。
重厚なドアの隙間から吹き抜ける風が重低音を立て、それがあたかも呻き声のように聞こえたのだった。
愛原:「何だ。ま、現実はこんなもんだ」
私は防火戸を開けて、壁に収納した。
すると今度は水の音が聞こえた。
愛原:「今度は何だ?」
高橋:「水の吹き出る音ですね」
愛原:「噴水でもあるのか?」
高橋:「……噴水じゃなくて便所ですよ」
愛原:「え!?」
水の音がするのは共用トイレの方からだった。
電気どころか、水道も止まっていないらしい。
男子トイレの方から音がした。
愛原:「ホテルのトイレにしては古いな……」
高橋:「元々古いホテルだったわけですよね?リニューアルしてないと、こんな感じですよ」
それは確かに。
水の音がするのは、和式トイレの方だった。
今時、ホテルのトイレで和式ってあるのか?
高橋の言うように、この旧館は本当に陳腐化した建物だったのだろう。
愛原:「よし、開けてみるぞ」
しかしその前に、一応ノックしてみる。
トイレのドアのノックは2回が基本。
但し、『トイレの花子さん』を呼び出す時は3回鳴らすのだという。
もっとも、ここは男子トイレだから花子さんなどいるわけがないが。
リサも霧生市のアンブレラ開発センターでは、『トイレの花子さん』に扮してたんだっけ。
高橋:「ゾンビが『入ってます』と言って来たら面白いんですけどね」
愛原:「不気味なだけだ」
ゾンビが喋れないのは体中が腐敗しているからだ。
つまり、脳も腐敗していてそもそも喋る機能が失われているのだ。
私はドアを開けた。
愛原:「……誰もいないな」
高橋:「そうですね」
ホテルの共用トイレといったらフラッシュバルブ方式をイメージするのだが、ここのトイレはタンク式であった。
どうやらタンクの弁が故障して水がずっと流れっ放しになっているらしい。
愛原:「水道代が勿体無い」
高橋:「管理がなってませんねー」
愛原:「水を止めよう」
高橋:「どうするんスか?」
愛原:「元栓を止めるんだよ。……ほら、あのパネルを開けたら出て来るはずだ」
高橋:「なるほど」
しかし点検口のドアは固く閉じられていた。
高橋:「ご安心ください。その為のバールです」
愛原:「確かに」
高橋はバールを使って、点検口の扉をこじ開けた。
すると中に水道管が通っており、このトイレの便器に水を供給する物がちゃんとあった。
だが、その元栓バルブが何故か無くなっている。
愛原:「あ、なるほど。ここで使うのか」
私は機械室で拾ったバルブハンドルを取り出した。
それで元栓を締める。
すると水が止まり、トイレ内に静寂が訪れた。
愛原:「やっと静かになったな」
高橋:「先生!」
愛原:「何だ?」
高橋:「トイレの中にメダルがありました!」
愛原:「何だって?」
高橋が先ほどのトイレの水タンクの蓋を開け、中を見ていた。
水が止まったせいでタンクの中は空になり、メダルが簡単に拾えた。
愛原:「オリンピックのメダル並みの大きさだな」
高橋:「先生、このメダルですよ、きっと!」
愛原:「何が?」
高橋:「さっきの銅像の台座にあった穴!サイズ同じです!」
愛原:「マジか!?」
私達は試しにさっきのエントランスロビーまで戻り、そこに鎮座している銅像の足元の台座にある丸い窪みにメダルを嵌め込んでみた。
すると!
高橋:「動いた!」
愛原:「おおっ!?」
銅像が1.5メートルほどせり上がった。
そして、台座の下から鉄格子が現れた。
鉄格子の向こうには、何やら扉がある。
高橋:「やっぱりこの銅像の仕掛けを解けば、アンブレラの秘密施設に行けるって寸法ですよ!」
愛原:「こんなんでいいのか!?」
仮にそうだとしても、まだ穴は2つある。
全部の穴を埋めないと、入口が完全に開いてくれないのだろう。
え?なに?やっぱりこの旧館中をメダル探して走り回れって?
ノーヒントで探すのは骨が折れるが、やっぱりやるしか無いのだろうなぁ……。