[1月20日13:30.天候:不明 千葉県銚子市 ニューグランドホテル犬吠・旧館地下4F]
見取り図にあった古いエレベーターに乗って地下深くまで下りると、無機質なコンクリート壁がまず目に付いた。
そして、また階段があって更に下る。
下りると左に鉄製のドアがあり、そこを開けると……。
愛原:「あー、あった。これが旧アンブレラの秘密研究所か……」
意外なことに、中の造りは意外と秘密めいてはいない。
普通の製薬会社の研究所を訪れると、中はこんな感じ的な……。
愛原:「総合受付がある。すいませーん!見学希望の者ですがぁ!」
高橋:「誰もいませんよ、先生」
愛原:「それもそうだな」
この研究所も停電はしておらず、ちゃんと照明が点いていた。
まるで、つい最近まで活動していたかのようだ。
愛原:「誰もいないのなら、ちょっと家探しさせてもらうか」
高橋:「うっス!」
本当はホテル旧館地下の旧アンブレラの秘密研究所を見つけたら、それでもうミッションは終了だ。
後は手持ちのデジカメで証拠の写真でも撮れば良い。
さすがにタイラントそのものと、タイラントに追われている最中に写真は撮れなかったがな。
あとは何かこう……証拠となるようなものを手土産に持ち帰ればいいだろう。
だが、引っ越しする気は満々だったようで、受付の周りも、その奥の事務室もすっかり片付けられていた。
使われなくなった事務机や椅子などが放置されているだけで、書類などは1枚も無い。
愛原:「さすがは世界的なバイオテロ組織。そう簡単に尻尾は掴ませないってか」
高橋:「その割にはタイラントなんて御大層なモノ、放置して行きましたよね」
愛原:「それな」
ここの旧アンブレラの関係者達は慌てて出て行ったのか、或いは計画的に出て行ったのか分からんな。
まあ、計画的に出て行ったのだが、一応慌てて出て行ったかのようなフリをした?
いや、誰得だよそれ?って感じだな。
総合受付のあるレセプションホールには警備室もある。
そこに入ると、警備システムはまだ稼働していた。
愛原:「ここの警備室で電子ロックを解除できるな」
高橋:「でも、やっぱりカードが必要みたいですよ」
私は無言で先ほどのカードキーを取り出した。
で、それを端末横の穴に差し込むと、操作できるようになった。
愛原:「後で新館のホテルマンをボコして、どういうことだかゲロさせましょう」
高橋:「いや、普通に聞こうよ」
所内の監視カメラを見てみたが、人影など全く映っていなかった。
ゾンビもいないし、ハンターやリッカーもいなさそうだ。
じゃあ、あのタイラントはどうしてあそこにいたんだ?
私はついここから脱走したのだろうと思っていたのだが……。
愛原:「よし。電子ロックは全て解除したぞ」
高橋:「さすがです」
愛原:「ついでにタイラントが来られないよう、ここからあのエレベーターの電源を切っておく。あとは入口の鉄扉も電子ロックだ」
あの馬鹿力でブチ破られそうな気はするが、足止めさせておく時間は必要だ。
愛原:「あとは別の脱出経路の確保だな」
高橋:「えっ?」
愛原:「だって今来た道は戻れないだろ?タイラントが張ってるんだから……」
高橋:「あっ、そうか……。でも、都合良くありますかね?」
愛原:「こういう秘密の施設ってもんは、ヤバくなった場合、自爆装置でも付いているものだ。で、関係者まで巻き込まれるわけには行かないから、関係者だけでも助かる方法が確保されているはずなんだ。例えば脱出ポッドとかな」
高橋:「なるほど」
私は室内にあった所内の見取り図を引っ張り出した。
愛原:「あった!この研究所の最深部に、何かトロッコのようなものがあるみたいだぞ。これを使えば脱出できる」
高橋:「どうやって行きますか?」
愛原:「エレベーターを起動させて、それから……。高橋、お前も手伝え」
高橋:「はい」
脱出経路を確保するのに30分以上は要した気がする。
だが、これで安全に脱出できるはずだ。
[同日14:00.天候:不明 同市内 旧アンブレラコーポレーション・ジャパン地下秘密研究所]
脱出経路を確保した私達は、脱出用のトロッコがある最深部へ向かうことにした。
幸いゲームや映画のように、ゾンビが徘徊していたり、クリーチャーが跋扈しているというようなことは無かった。
一応、タイラントが追って来る気配は無いものの、入口は塞いでいるが、それでも万が一ということがある。
ボヤボヤはできなかった。
愛原:「ん!?」
途中の部屋に、この研究所で研究されていたであろう物があった。
「ある」のではなく、「あった」だ。
何故過去形かというと、それが入っていたと思われるカプセルが見るも無残に破壊され、いなくなっていたからである。
かなり大きなカプセルだ。
私はもちろん、高橋が入ってもまだ余りそうな……って!
高橋:「先生!これ、あのタイラントが入っていたカプセルじゃ!?」
愛原:「やっぱり脱走していたのか!」
私はもちろんこのカプセルについても写真を撮った。
他にもカプセルがあったが、それらはもぬけの殻だった。
最初から無かったのか、或いは移設されただけなのかは分からない。
愛原:「ああ、なるほど。そういうことか」
何で秘密研究所がここにあるのか分かったような気がした。
千葉県銚子市は太平洋に面している。
で、この研究所も、すぐそこが海のはずだ。
アメリカのアンブレラ本体からタイラントなどを船で移送する為なのではないか?
脱出用のトロッコも、普段は船の『積み荷』を研究所に移送する為に使用されていたのではないかと推理する。
ま、確たる証拠は無いがな。
高橋:「ん?こっちのドアは?」
愛原:「見取り図によると、ただの倉庫らしいな。多分そこももぬけの殻だろう」
高橋が開けてみると……。
高橋:「先生、何か服とか掛かってますけど?」
愛原:「ん?」
ハンガーラックがあり、そこにタイラントが着ていたコートとか帽子とかが掛けてあった。
他にも服飾関係のものがある。
ここは衣裳部屋か何かか?
高橋:「先生、これ見覚えありませんか!?」
高橋はラックに掛かっている服から、セーラー服を取り出した。
サイズ的には女子高生よりも、女子中学生とか……或いは私立の女子小学生が着るような……。
愛原:「リサだ!リサの服だ!!」
霧生市でリサと初めて会った時、彼女はセーラー服を着ていた。
そして仙台市郊外の廃校地下に建設された秘密研究所で再会した時も、彼女は同じ服を着ていた。
高橋:「仮面もあります!」
霧生市で初めて会った時、リサは目の部分しか開いていない白い仮面を着けていた。
今となっては、それがリサ・トレヴァーの暴走を防止する為の装置であったと思われる。
愛原:「ここにリサがいたのか!?」
高橋:「……か、或いはリサの仲間か……」
そう言えばリサはタイラントと一緒にいた。
ここにもタイラントがいるということは、リサの仲間もいるということだ!
愛原:「さっき監視カメラで見た時、それらしい姿は無かったぞ?」
高橋:「カメラの映らない所に隠れているか、或いはどこかに連れて行かれたのかもしれませんね」
或いは、私達と今一緒に暮らしているリサ本人がここに……。
いや、それは無いな。
彼女の記憶が無いのは、人間だった頃のみ。
リサ・トレヴァーとなってからの記憶ははっきりしているので、もしここにいたことがあるのなら、とっくに私にその話をしていても良いはずだ。
愛原:「高橋君、この辺りをもう少し詳しく調べてみよう。もしかしたら、リサのことがもっとわかる何かがあるかもしれない」
高橋:「はい!」
見取り図にあった古いエレベーターに乗って地下深くまで下りると、無機質なコンクリート壁がまず目に付いた。
そして、また階段があって更に下る。
下りると左に鉄製のドアがあり、そこを開けると……。
愛原:「あー、あった。これが旧アンブレラの秘密研究所か……」
意外なことに、中の造りは意外と秘密めいてはいない。
普通の製薬会社の研究所を訪れると、中はこんな感じ的な……。
愛原:「総合受付がある。すいませーん!見学希望の者ですがぁ!」
高橋:「誰もいませんよ、先生」
愛原:「それもそうだな」
この研究所も停電はしておらず、ちゃんと照明が点いていた。
まるで、つい最近まで活動していたかのようだ。
愛原:「誰もいないのなら、ちょっと家探しさせてもらうか」
高橋:「うっス!」
本当はホテル旧館地下の旧アンブレラの秘密研究所を見つけたら、それでもうミッションは終了だ。
後は手持ちのデジカメで証拠の写真でも撮れば良い。
さすがにタイラントそのものと、タイラントに追われている最中に写真は撮れなかったがな。
あとは何かこう……証拠となるようなものを手土産に持ち帰ればいいだろう。
だが、引っ越しする気は満々だったようで、受付の周りも、その奥の事務室もすっかり片付けられていた。
使われなくなった事務机や椅子などが放置されているだけで、書類などは1枚も無い。
愛原:「さすがは世界的なバイオテロ組織。そう簡単に尻尾は掴ませないってか」
高橋:「その割にはタイラントなんて御大層なモノ、放置して行きましたよね」
愛原:「それな」
ここの旧アンブレラの関係者達は慌てて出て行ったのか、或いは計画的に出て行ったのか分からんな。
まあ、計画的に出て行ったのだが、一応慌てて出て行ったかのようなフリをした?
いや、誰得だよそれ?って感じだな。
総合受付のあるレセプションホールには警備室もある。
そこに入ると、警備システムはまだ稼働していた。
愛原:「ここの警備室で電子ロックを解除できるな」
高橋:「でも、やっぱりカードが必要みたいですよ」
私は無言で先ほどのカードキーを取り出した。
で、それを端末横の穴に差し込むと、操作できるようになった。
愛原:「後で新館のホテルマンをボコして、どういうことだかゲロさせましょう」
高橋:「いや、普通に聞こうよ」
所内の監視カメラを見てみたが、人影など全く映っていなかった。
ゾンビもいないし、ハンターやリッカーもいなさそうだ。
じゃあ、あのタイラントはどうしてあそこにいたんだ?
私はついここから脱走したのだろうと思っていたのだが……。
愛原:「よし。電子ロックは全て解除したぞ」
高橋:「さすがです」
愛原:「ついでにタイラントが来られないよう、ここからあのエレベーターの電源を切っておく。あとは入口の鉄扉も電子ロックだ」
あの馬鹿力でブチ破られそうな気はするが、足止めさせておく時間は必要だ。
愛原:「あとは別の脱出経路の確保だな」
高橋:「えっ?」
愛原:「だって今来た道は戻れないだろ?タイラントが張ってるんだから……」
高橋:「あっ、そうか……。でも、都合良くありますかね?」
愛原:「こういう秘密の施設ってもんは、ヤバくなった場合、自爆装置でも付いているものだ。で、関係者まで巻き込まれるわけには行かないから、関係者だけでも助かる方法が確保されているはずなんだ。例えば脱出ポッドとかな」
高橋:「なるほど」
私は室内にあった所内の見取り図を引っ張り出した。
愛原:「あった!この研究所の最深部に、何かトロッコのようなものがあるみたいだぞ。これを使えば脱出できる」
高橋:「どうやって行きますか?」
愛原:「エレベーターを起動させて、それから……。高橋、お前も手伝え」
高橋:「はい」
脱出経路を確保するのに30分以上は要した気がする。
だが、これで安全に脱出できるはずだ。
[同日14:00.天候:不明 同市内 旧アンブレラコーポレーション・ジャパン地下秘密研究所]
脱出経路を確保した私達は、脱出用のトロッコがある最深部へ向かうことにした。
幸いゲームや映画のように、ゾンビが徘徊していたり、クリーチャーが跋扈しているというようなことは無かった。
一応、タイラントが追って来る気配は無いものの、入口は塞いでいるが、それでも万が一ということがある。
ボヤボヤはできなかった。
愛原:「ん!?」
途中の部屋に、この研究所で研究されていたであろう物があった。
「ある」のではなく、「あった」だ。
何故過去形かというと、それが入っていたと思われるカプセルが見るも無残に破壊され、いなくなっていたからである。
かなり大きなカプセルだ。
私はもちろん、高橋が入ってもまだ余りそうな……って!
高橋:「先生!これ、あのタイラントが入っていたカプセルじゃ!?」
愛原:「やっぱり脱走していたのか!」
私はもちろんこのカプセルについても写真を撮った。
他にもカプセルがあったが、それらはもぬけの殻だった。
最初から無かったのか、或いは移設されただけなのかは分からない。
愛原:「ああ、なるほど。そういうことか」
何で秘密研究所がここにあるのか分かったような気がした。
千葉県銚子市は太平洋に面している。
で、この研究所も、すぐそこが海のはずだ。
アメリカのアンブレラ本体からタイラントなどを船で移送する為なのではないか?
脱出用のトロッコも、普段は船の『積み荷』を研究所に移送する為に使用されていたのではないかと推理する。
ま、確たる証拠は無いがな。
高橋:「ん?こっちのドアは?」
愛原:「見取り図によると、ただの倉庫らしいな。多分そこももぬけの殻だろう」
高橋が開けてみると……。
高橋:「先生、何か服とか掛かってますけど?」
愛原:「ん?」
ハンガーラックがあり、そこにタイラントが着ていたコートとか帽子とかが掛けてあった。
他にも服飾関係のものがある。
ここは衣裳部屋か何かか?
高橋:「先生、これ見覚えありませんか!?」
高橋はラックに掛かっている服から、セーラー服を取り出した。
サイズ的には女子高生よりも、女子中学生とか……或いは私立の女子小学生が着るような……。
愛原:「リサだ!リサの服だ!!」
霧生市でリサと初めて会った時、彼女はセーラー服を着ていた。
そして仙台市郊外の廃校地下に建設された秘密研究所で再会した時も、彼女は同じ服を着ていた。
高橋:「仮面もあります!」
霧生市で初めて会った時、リサは目の部分しか開いていない白い仮面を着けていた。
今となっては、それがリサ・トレヴァーの暴走を防止する為の装置であったと思われる。
愛原:「ここにリサがいたのか!?」
高橋:「……か、或いはリサの仲間か……」
そう言えばリサはタイラントと一緒にいた。
ここにもタイラントがいるということは、リサの仲間もいるということだ!
愛原:「さっき監視カメラで見た時、それらしい姿は無かったぞ?」
高橋:「カメラの映らない所に隠れているか、或いはどこかに連れて行かれたのかもしれませんね」
或いは、私達と今一緒に暮らしているリサ本人がここに……。
いや、それは無いな。
彼女の記憶が無いのは、人間だった頃のみ。
リサ・トレヴァーとなってからの記憶ははっきりしているので、もしここにいたことがあるのなら、とっくに私にその話をしていても良いはずだ。
愛原:「高橋君、この辺りをもう少し詳しく調べてみよう。もしかしたら、リサのことがもっとわかる何かがあるかもしれない」
高橋:「はい!」