[4月5日10:00.天候:晴 長野県北安曇郡白馬村 白馬八方バスターミナル]
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/7b/8f2c27c307ddb4c59cbe13fe65a41bef.jpg)
今度の帰省は高速バスを利用することにした稲生。
イリーナも一緒なら、交通費などポーンと出してくれるのだが、今は不在である。
一応、生活費としてゴールドカードを何枚か置いて行ってくれたが、よく日本政府を含む西側諸国から資産凍結の対象にならないものだと感心した。
一応、マリアもアメックスのグリーンカードは持っている。
マリア:「いいのか?勇太の帰省に私もついて行くだけだから、自分の分は自分で払うよ?」
稲生:「いや、いいんだ。一番安いはずの高速バス代くらい、自分で出さないと。それに、僕がマリアを連れて行くんだから、やっぱり僕が出さないと」
マリア:「……あまり無理はするなよ」
バスは長距離便ということもあり、完全予約制である。
久しぶりの何のコロナ規制も無いGWとなるということもあり、交通機関は混雑が予想されている。
真っ先に予約センターに電話して、バスターミナルに行ったが、窓口は混んでいなかった。
平日だからだろうか。
稲生:「よし、乗車券ゲット」
4列シートだが、マリアと隣同士で予約できた。
稲生:「乗車券は……」
マリア:「当日まで勇太が預かってて。私は領収証だけもらう」
稲生:「分かった」
領収証は後でイリーナに渡すのかもしれない。
マリア:「それより、この後、どうする?もう帰る?」
稲生:「いや、せっかく屋敷の外に久しぶりに出たんだから、もう少しゆっくりしよう。買い物とかね」
マリア:「そりゃいいな」
2人はバスターミナルから出ると、待たせていた車に乗り込んだ。
マリアの魔力を使った為、車はロンドンタクシーに酷似している。
黒いスーツに白い帽子を目深に被った運転手が降りて来て、ドアを開けた。
稲生:「ザ・ビッグまでお願い」
運転手:「…………」
マリアの人形で作った無口な運転手は、稲生の注文に無言で頷いた。
ザ・ビッグは、白馬村内にあるイオン系のスーパーである。
テナントとして100均も入居している為、稲生達は村の中心部に来る機会がある時は必ず寄っていた。
[同日10:20.天候:晴 同村内 ザ・ビッグ白馬店]
バスターミナルから車で5~6分くらい、牧歌的な風景の道路を走る。
車が駐車場に止まると、2人の魔道士は車を降りた。
スーパーであるが、食料品などの他に日用品も売っている。
食料品はメイド人形達が買ってくるので、稲生達は日用品を買うことが多かった。
……どちらかというと、スーパーよりは100均で。
稲生:「そろそろ電池が無いから、買っておこう。あとはモバイルバッテリーを……」
マリア:「マニキュアと化粧水をそろそろ買い足しておこう」
稲生:「あっ、そろそろ靴下買い足しておいて……」
マリア:「ナプキンあるな……。あとは……」
100均あるある。
数点買いのつもりが、ついつい買ってしまうパターン。
稲生:「案外買っちゃうものですね」
マリア:「だけど全部、必要といえば必要だしな」
稲生:「うん、それは確かにね」
[同日10:50.天候:晴 同村内 白馬駅前の湯]
買い物を終えた2人は、再び車に乗った。
今度はJR白馬駅に向かう。
しかし、お目当ては駅ではなく、そこに隣接した足湯だった。
足湯なら、無料で入れる。
また、施設内には文庫もあり、そこに置かれた本を読みながら足湯に浸かるということもできる。
マリア:「魔導書一冊紛れ込ませたら、大変なことになるかな」
稲生:「勝手に誰かが魔法を使うことになるから、大騒ぎだね」
足湯に浸かっていると血行が良くなり、新陳代謝が上がって体が温まってくる。
マリア:「新陳代謝が上がり過ぎて、汗が止まらん!」
マリアは緑色のブレザーを脱いだ。
稲生:「自販機でスポーツドリンク飲もう!」
勇太は足湯施設の外側にある自販機で、スポーツドリンクを買い求めた。
さすがに牛乳の自販機は無かった。
代わりにアイスクリームの自販機はあったが、それよりは汗で失った塩分と水分を補給するのが先だと思った。
マリア:「足だけだから大丈夫だと思って油断すると、大変だな」
稲生:「そうだね」
尚、こんなこともあろうかと思い、タオルは屋敷から持ってきていた。
それで足を拭く。
グレーのプリーツスカートから、チラチラと赤みがかった白い太ももが見えるが、マリアもスカートの裾を気にしながら吹いている為か、更にその先が見えることはなかった。
マリア:「まあ、疲れは取れる感じだけどね」
稲生:「それが狙いだったんだ」
ようやく靴下と靴を履いて、車に戻る。
稲生:「屋敷に戻ってください」
そして、運転手に告げた。
車は、ロータリーから国道に出る。
稲生:「帰省の件、母さんに連絡したら、『家族で旅行に行かないか』ってさ」
マリア:「そうか。それじゃ、私は遠慮しといた方がいいな。稲生ファミリー水入らずの……」
稲生:「いや、それが『マリアさんも一緒に』ってことらしいんだ」
マリア:「Huh?師匠はいないよ。多分、来月になっても帰ってこないと思う」
稲生:「僕もそう言ったんだけど、マリアだけでもいいって」
マリア:「しかし……」
稲生:「父さんの話じゃ、『4人以上でないと予約できないプランだから』ということらしい」
マリア:「日本も核家族化が進んでるだろうに、随分と変わったプランだな」
稲生:「どうせ、父さんの会社の福利厚生か何かのプランだよ」
マリア:「そういうことか。まあ、そういうことなら、協力させてもらうよ」
稲生:「ありがとう!早速、連絡しておくね」
勇太は自分のスマホを取り出した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/7b/8f2c27c307ddb4c59cbe13fe65a41bef.jpg)
今度の帰省は高速バスを利用することにした稲生。
イリーナも一緒なら、交通費などポーンと出してくれるのだが、今は不在である。
一応、生活費としてゴールドカードを何枚か置いて行ってくれたが、よく日本政府を含む西側諸国から資産凍結の対象にならないものだと感心した。
一応、マリアもアメックスのグリーンカードは持っている。
マリア:「いいのか?勇太の帰省に私もついて行くだけだから、自分の分は自分で払うよ?」
稲生:「いや、いいんだ。一番安いはずの高速バス代くらい、自分で出さないと。それに、僕がマリアを連れて行くんだから、やっぱり僕が出さないと」
マリア:「……あまり無理はするなよ」
バスは長距離便ということもあり、完全予約制である。
久しぶりの何のコロナ規制も無いGWとなるということもあり、交通機関は混雑が予想されている。
真っ先に予約センターに電話して、バスターミナルに行ったが、窓口は混んでいなかった。
平日だからだろうか。
稲生:「よし、乗車券ゲット」
4列シートだが、マリアと隣同士で予約できた。
稲生:「乗車券は……」
マリア:「当日まで勇太が預かってて。私は領収証だけもらう」
稲生:「分かった」
領収証は後でイリーナに渡すのかもしれない。
マリア:「それより、この後、どうする?もう帰る?」
稲生:「いや、せっかく屋敷の外に久しぶりに出たんだから、もう少しゆっくりしよう。買い物とかね」
マリア:「そりゃいいな」
2人はバスターミナルから出ると、待たせていた車に乗り込んだ。
マリアの魔力を使った為、車はロンドンタクシーに酷似している。
黒いスーツに白い帽子を目深に被った運転手が降りて来て、ドアを開けた。
稲生:「ザ・ビッグまでお願い」
運転手:「…………」
マリアの人形で作った無口な運転手は、稲生の注文に無言で頷いた。
ザ・ビッグは、白馬村内にあるイオン系のスーパーである。
テナントとして100均も入居している為、稲生達は村の中心部に来る機会がある時は必ず寄っていた。
[同日10:20.天候:晴 同村内 ザ・ビッグ白馬店]
バスターミナルから車で5~6分くらい、牧歌的な風景の道路を走る。
車が駐車場に止まると、2人の魔道士は車を降りた。
スーパーであるが、食料品などの他に日用品も売っている。
食料品はメイド人形達が買ってくるので、稲生達は日用品を買うことが多かった。
……どちらかというと、スーパーよりは100均で。
稲生:「そろそろ電池が無いから、買っておこう。あとはモバイルバッテリーを……」
マリア:「マニキュアと化粧水をそろそろ買い足しておこう」
稲生:「あっ、そろそろ靴下買い足しておいて……」
マリア:「ナプキンあるな……。あとは……」
100均あるある。
数点買いのつもりが、ついつい買ってしまうパターン。
稲生:「案外買っちゃうものですね」
マリア:「だけど全部、必要といえば必要だしな」
稲生:「うん、それは確かにね」
[同日10:50.天候:晴 同村内 白馬駅前の湯]
買い物を終えた2人は、再び車に乗った。
今度はJR白馬駅に向かう。
しかし、お目当ては駅ではなく、そこに隣接した足湯だった。
足湯なら、無料で入れる。
また、施設内には文庫もあり、そこに置かれた本を読みながら足湯に浸かるということもできる。
マリア:「魔導書一冊紛れ込ませたら、大変なことになるかな」
稲生:「勝手に誰かが魔法を使うことになるから、大騒ぎだね」
足湯に浸かっていると血行が良くなり、新陳代謝が上がって体が温まってくる。
マリア:「新陳代謝が上がり過ぎて、汗が止まらん!」
マリアは緑色のブレザーを脱いだ。
稲生:「自販機でスポーツドリンク飲もう!」
勇太は足湯施設の外側にある自販機で、スポーツドリンクを買い求めた。
さすがに牛乳の自販機は無かった。
代わりにアイスクリームの自販機はあったが、それよりは汗で失った塩分と水分を補給するのが先だと思った。
マリア:「足だけだから大丈夫だと思って油断すると、大変だな」
稲生:「そうだね」
尚、こんなこともあろうかと思い、タオルは屋敷から持ってきていた。
それで足を拭く。
グレーのプリーツスカートから、チラチラと赤みがかった白い太ももが見えるが、マリアもスカートの裾を気にしながら吹いている為か、更にその先が見えることはなかった。
マリア:「まあ、疲れは取れる感じだけどね」
稲生:「それが狙いだったんだ」
ようやく靴下と靴を履いて、車に戻る。
稲生:「屋敷に戻ってください」
そして、運転手に告げた。
車は、ロータリーから国道に出る。
稲生:「帰省の件、母さんに連絡したら、『家族で旅行に行かないか』ってさ」
マリア:「そうか。それじゃ、私は遠慮しといた方がいいな。稲生ファミリー水入らずの……」
稲生:「いや、それが『マリアさんも一緒に』ってことらしいんだ」
マリア:「Huh?師匠はいないよ。多分、来月になっても帰ってこないと思う」
稲生:「僕もそう言ったんだけど、マリアだけでもいいって」
マリア:「しかし……」
稲生:「父さんの話じゃ、『4人以上でないと予約できないプランだから』ということらしい」
マリア:「日本も核家族化が進んでるだろうに、随分と変わったプランだな」
稲生:「どうせ、父さんの会社の福利厚生か何かのプランだよ」
マリア:「そういうことか。まあ、そういうことなら、協力させてもらうよ」
稲生:「ありがとう!早速、連絡しておくね」
勇太は自分のスマホを取り出した。