[3月30日14:40.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅八重洲南口→東北新幹線ホーム]
〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、東京駅八重洲口です。お忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください」〕
私達を乗せた都営バスは、無事に東京駅八重洲南口に到着した。
そこはJRバスのターミナルの並びである。
なので、ここからJRバスに乗り換えるのであれば、とても便利だということだ。
なのに、同じ有明から東京駅に向かうJRバスは遠く離れた日本橋口に到着する為に乗り換えが不便という……。
東京駅の外観を丸の内側と八重洲側しか知らない上京者が、日本橋口で立ち尽くしているシーンを何度も見た作者である。
愛原:「こっちだよ」
バスを降りてそのまま進行方向に向かい、JRバスの乗り場の横を通って、駅構内に入る。
確かにJRバスの到着地も八重洲南口だと思っていたなら、日本橋口に到着した途端、ここはどこ?状態になるだろう。
八重洲南口と違い、駅の中に入ったらすぐにキップ売り場や改札口があるわけではないので。
愛原:「俺達は入場券を買おう」
私は券売機で入場券を3枚買った。
東海道新幹線の改札口は独立しているので、入ればすぐ東海道新幹線のコンコースだが、他の新幹線は違う。
まずは在来線コンコースに入って、そこから新幹線改札口を目指さなくてはならない。
愛原:「お土産は買う?まだ少し時間あるよ?」
上野凛:「買っておきます」
上野姉妹はコンコース内にある土産物店で、土産を探し出した。
とはいうものの、だいたい決まってるみたいだ。
凛:「定番のがいいですね」
愛原:「“ひよこ”、“ひよこサブレ”、“東京バナナ”、“ごまたまご”……確かに!」
もちろん、自分達だけではなく、自分達が世話になっている天長会の人々にでも送るのだろう。
愛原:「えーと……キミ達が乗るのは、23番線だな。……おっ、凄い。17両編成だって。こりゃいい」
この姉妹達はまだデイライトの指示を受けていないので、どこの車両に乗っても良いはずだ。
しかし……。
高橋:「先生、一服したいんスけど、いいっスかー?」
新幹線ホームの喫煙所狙いの高橋が、棒読みのように言った。
愛原:「あいよ。すまんがキミ達、先頭車に乗ってもらってもいいかな?」
凛:「いいですよ」
愛原:「悪いね」
17両編成ということは、E5系にE6系が連結されているということだ。
上りはE5系に乗ったのだから、帰りはE6系に乗ると面白いと思ったのだ。
私が乗るわけではないのだがな。
〔「今度の23番線の電車は、15時12分発、“なすの”261号、郡山行きです。17両編成で参ります。……」〕
ホームに着くと、高橋はホームの喫煙所に向かった。
私達は、先頭の17号車が来る辺りに並ぶ。
並ぶといっても、そこまで端の車両では先客がいないほど空いているのだが。
“なすの”号は、東海道新幹線で言えば三島や静岡止まりの“こだま”号みたいなものなので、乗客はそんなに多くない。
23番線は新幹線ホームの中でも西端にあり、その向こう側は上野東京ラインのホームである。
列車が来ないと、ホームからはそのホームがよく見えるのである。
今は、普通列車が入線しているようだが……。
〔♪♪♪♪。23番線に、15時12分発、“なすの”261号、郡山行きが17両編成で参ります。この電車は、各駅に止まります。グランクラスは10号車、グリーン車は9号車と11号車、自由席は1号車から5号車と、12号車から17号車です。まもなく23番線に、“なすの”261号、郡山行きが参ります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕
しばらく普通列車を眺めていると、接近放送がホームに響いた。
東海道新幹線ホームと違い、JR東日本の新幹線ホームにはホームドアが無いので注意だ。
これは車両形式も編成もバラバラで来るので、規格統一が条件のホームドアが設置できないのだろう。
もっとも、鉄ヲタとしてはその方が楽しいのだがな。
〔「23番線、お下がりください。15時12分、当駅始発の“なすの”261号が参ります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください」〕
比較的速い速度(時速70キロくらい?)で、列車が入線してくる。
確か運転士が通常、手動でブレーキ操作するのは時速30キロ以下だから、それまではATCによる自動ブレーキで減速するはずである。
もちろん、ホームにいたのでは、今のブレーキが自動なのか手動なのかは分からないが。
E5系が初音ミクのような煌びやかなエメラルドグリーンなら、E6系はMEIKOのような鮮やかな赤である。
車内はE5系の普通車はフル規格なので3人席があるが、E6系は在来線規格なので、2人席しかない。
また、実はシートピッチもE5系普通車よりも狭くなっている。
車両基地から整備済みの状態で来たからか、ここまでの乗客は乗っておらず、座席の向きも下り方向にセットされていた。
なので、車掌が乗り込むとドアが開く。
〔「お待たせ致しました。どうぞ、ご乗車ください」〕
ドアが開くと、上野姉妹は列車に乗り込んだ。
大きな荷物は重そうだったが、半分BOWの血が入っている姉妹達には軽い物のようだ。
ヒョイと荷棚の上に上げてしまう。
そして、一旦ホームに降りて来た。
凛:「今日まで、ありがとうございました」
愛原:「いやいや、いいよ。気を付けて帰るんだよ。この列車で大丈夫?」
凛:「はい。那須塩原で、最終バスに乗り継ぎできるので」
この列車で那須塩原駅までは、1時間くらいしか掛からない。
つまり、夕方前だというのに、もうこの2人の家まで行くバスは最終便の時間なのだ。
愛原:「そうか。今度は入学式だな」
凛:「はい。よろしくお願いします」
愛原:「こちらこそ」
2人とも、学校の寮に入ることになる。
寮は特に中等部、高等部で別れているわけではないので、1つ屋根の下で暮らすのは間違いないようだ。
また、基本的に寮は2人一部屋らしい。
[同日15:12.天候:晴 東京駅・東北新幹線ホーム]
発車の時間が迫り、ホームに発車ベルが鳴り響く。
上野姉妹も、車内に戻っていった。
〔23番線から、“なすの”261号、郡山行きが発車致します。次は、上野に止まります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕
〔「23番線、ドアが閉まります。ご注意ください」〕
ベルが鳴り終わると、甲高い客扱い終了ブザーが鳴り響く。
これを合図に、車掌がドアを閉めるのである。
高橋:「おっ、もう発車ですか?」
このタイミングで、高橋が喫煙所から戻って来た。
愛原:「オマエ、ギリギリだよ」
私がツッコミを入れた時点でドアが閉まり、列車がゆっくりと走り出していた。
最後に手を振って見送る。
そして、1号車の尾灯まで見送ったところで、私達は歩き出した。
愛原:「これで、ミッション終了だな」
リサ:「帰るまでがミッションじゃないの?」
愛原:「まあ、そうか」
リサの言う通り、事務所に戻って報告書を作成し、それを提出するまでがミッションか。
愛原:「それじゃ、戻るか。タダで」
私は手持ちの都営バス1日乗車券を取り出して言った。
東20系統が廃止されるまで、あと1日である。
〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、東京駅八重洲口です。お忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください」〕
私達を乗せた都営バスは、無事に東京駅八重洲南口に到着した。
そこはJRバスのターミナルの並びである。
なので、ここからJRバスに乗り換えるのであれば、とても便利だということだ。
東京駅の外観を丸の内側と八重洲側しか知らない上京者が、日本橋口で立ち尽くしているシーンを何度も見た作者である。
愛原:「こっちだよ」
バスを降りてそのまま進行方向に向かい、JRバスの乗り場の横を通って、駅構内に入る。
確かにJRバスの到着地も八重洲南口だと思っていたなら、日本橋口に到着した途端、ここはどこ?状態になるだろう。
八重洲南口と違い、駅の中に入ったらすぐにキップ売り場や改札口があるわけではないので。
愛原:「俺達は入場券を買おう」
私は券売機で入場券を3枚買った。
東海道新幹線の改札口は独立しているので、入ればすぐ東海道新幹線のコンコースだが、他の新幹線は違う。
まずは在来線コンコースに入って、そこから新幹線改札口を目指さなくてはならない。
愛原:「お土産は買う?まだ少し時間あるよ?」
上野凛:「買っておきます」
上野姉妹はコンコース内にある土産物店で、土産を探し出した。
とはいうものの、だいたい決まってるみたいだ。
凛:「定番のがいいですね」
愛原:「“ひよこ”、“ひよこサブレ”、“東京バナナ”、“ごまたまご”……確かに!」
もちろん、自分達だけではなく、自分達が世話になっている天長会の人々にでも送るのだろう。
愛原:「えーと……キミ達が乗るのは、23番線だな。……おっ、凄い。17両編成だって。こりゃいい」
この姉妹達はまだデイライトの指示を受けていないので、どこの車両に乗っても良いはずだ。
しかし……。
高橋:「先生、一服したいんスけど、いいっスかー?」
新幹線ホームの喫煙所狙いの高橋が、棒読みのように言った。
愛原:「あいよ。すまんがキミ達、先頭車に乗ってもらってもいいかな?」
凛:「いいですよ」
愛原:「悪いね」
17両編成ということは、E5系にE6系が連結されているということだ。
上りはE5系に乗ったのだから、帰りはE6系に乗ると面白いと思ったのだ。
私が乗るわけではないのだがな。
〔「今度の23番線の電車は、15時12分発、“なすの”261号、郡山行きです。17両編成で参ります。……」〕
ホームに着くと、高橋はホームの喫煙所に向かった。
私達は、先頭の17号車が来る辺りに並ぶ。
並ぶといっても、そこまで端の車両では先客がいないほど空いているのだが。
“なすの”号は、東海道新幹線で言えば三島や静岡止まりの“こだま”号みたいなものなので、乗客はそんなに多くない。
23番線は新幹線ホームの中でも西端にあり、その向こう側は上野東京ラインのホームである。
列車が来ないと、ホームからはそのホームがよく見えるのである。
今は、普通列車が入線しているようだが……。
〔♪♪♪♪。23番線に、15時12分発、“なすの”261号、郡山行きが17両編成で参ります。この電車は、各駅に止まります。グランクラスは10号車、グリーン車は9号車と11号車、自由席は1号車から5号車と、12号車から17号車です。まもなく23番線に、“なすの”261号、郡山行きが参ります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕
しばらく普通列車を眺めていると、接近放送がホームに響いた。
東海道新幹線ホームと違い、JR東日本の新幹線ホームにはホームドアが無いので注意だ。
これは車両形式も編成もバラバラで来るので、規格統一が条件のホームドアが設置できないのだろう。
もっとも、鉄ヲタとしてはその方が楽しいのだがな。
〔「23番線、お下がりください。15時12分、当駅始発の“なすの”261号が参ります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください」〕
比較的速い速度(時速70キロくらい?)で、列車が入線してくる。
確か運転士が通常、手動でブレーキ操作するのは時速30キロ以下だから、それまではATCによる自動ブレーキで減速するはずである。
もちろん、ホームにいたのでは、今のブレーキが自動なのか手動なのかは分からないが。
E5系が初音ミクのような煌びやかなエメラルドグリーンなら、E6系はMEIKOのような鮮やかな赤である。
車内はE5系の普通車はフル規格なので3人席があるが、E6系は在来線規格なので、2人席しかない。
また、実はシートピッチもE5系普通車よりも狭くなっている。
車両基地から整備済みの状態で来たからか、ここまでの乗客は乗っておらず、座席の向きも下り方向にセットされていた。
なので、車掌が乗り込むとドアが開く。
〔「お待たせ致しました。どうぞ、ご乗車ください」〕
ドアが開くと、上野姉妹は列車に乗り込んだ。
大きな荷物は重そうだったが、半分BOWの血が入っている姉妹達には軽い物のようだ。
ヒョイと荷棚の上に上げてしまう。
そして、一旦ホームに降りて来た。
凛:「今日まで、ありがとうございました」
愛原:「いやいや、いいよ。気を付けて帰るんだよ。この列車で大丈夫?」
凛:「はい。那須塩原で、最終バスに乗り継ぎできるので」
この列車で那須塩原駅までは、1時間くらいしか掛からない。
つまり、夕方前だというのに、もうこの2人の家まで行くバスは最終便の時間なのだ。
愛原:「そうか。今度は入学式だな」
凛:「はい。よろしくお願いします」
愛原:「こちらこそ」
2人とも、学校の寮に入ることになる。
寮は特に中等部、高等部で別れているわけではないので、1つ屋根の下で暮らすのは間違いないようだ。
また、基本的に寮は2人一部屋らしい。
[同日15:12.天候:晴 東京駅・東北新幹線ホーム]
発車の時間が迫り、ホームに発車ベルが鳴り響く。
上野姉妹も、車内に戻っていった。
〔23番線から、“なすの”261号、郡山行きが発車致します。次は、上野に止まります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕
〔「23番線、ドアが閉まります。ご注意ください」〕
ベルが鳴り終わると、甲高い客扱い終了ブザーが鳴り響く。
これを合図に、車掌がドアを閉めるのである。
高橋:「おっ、もう発車ですか?」
このタイミングで、高橋が喫煙所から戻って来た。
愛原:「オマエ、ギリギリだよ」
私がツッコミを入れた時点でドアが閉まり、列車がゆっくりと走り出していた。
最後に手を振って見送る。
そして、1号車の尾灯まで見送ったところで、私達は歩き出した。
愛原:「これで、ミッション終了だな」
リサ:「帰るまでがミッションじゃないの?」
愛原:「まあ、そうか」
リサの言う通り、事務所に戻って報告書を作成し、それを提出するまでがミッションか。
愛原:「それじゃ、戻るか。タダで」
私は手持ちの都営バス1日乗車券を取り出して言った。
東20系統が廃止されるまで、あと1日である。