[5月1日14:00.天候:雨 東京都渋谷区千駄ヶ谷 バスタ新宿→ニュウマン新宿・飲食店]
降りしきる雨の中、稲生達を乗せた高速バスは、およそ1時間50分の遅延をもってバスタ新宿に到着した。
稲生:「あー、やっと着いた……」
マリア:「うん。確かにバスの中にトイレ付いてて正解だわ」
マリアはローブを羽織ると、荷棚で寝そべって寝ている人形達をバッグの中にしまう。
稲生:「それよりお腹空いたね」
マリア:「それだ。ワンスターホテルに行く前に、遅いランチにしよう。というか、これのおかげで、食べたらすぐホテルに行ける」
稲生:「本当はその前に秋葉原散策とかしたかったんだけど……」
マリア:「ん?何か言った?」
稲生:「い、いや、別に……」
マリア:「? そうか?」
2人はバスタ新宿からJR新宿駅方面に向かった。
途中にニュウマン新宿というファッションビルがある。
バスタ新宿からも傘を差さずに行けて、飲食店もある。
飲食店は昼時を過ぎたこともあり、そんなに混んでいなかった。
そのうちの1つの店舗に入ると、カウンター席に横並びに座る。
稲生:「ビーフカレー食べたかったんだ」
マリア:「そういえば最近、屋敷の食事に出てなかったな……」
カレーの発祥の地はインドであるが、それをナンではなくライスに掛け、尚且つとろみのあるルーにしたのは宗主国のイギリスである。
その為か、そのイギリス人のマリアがいるからなのか、屋敷の食事にもたまにカレーが出てくることがあった。
あくまでも、たまにである。
それというのも、マリアはあまりそこまでカレーが好きと言うわけでもなく……。
マリア:「この、限定ランチのハンバーグ定食はまだありますか?」
店員:「はい、ございますよ」
マリア:「それでは、これを……」
店員:「かしこまりました」
カレーではなく、ハンバーグ定食を注文した。
稲生は大きなビーフの入っているビーフカレーを注文した。
稲生:「このカレー、美味しいや」
マリア:「あまり食べ過ぎると、今度はディナーが食べにくくなるからな……」
稲生:「エレーナのホテルの話?」
マリア:「そう。本当に藤谷さんも来るって?」
稲生:「そうなんだよ。藤谷班長の会社、本社が墨田区にあるからね。……エレーナのホテルには、エレーナの知り合いのウクライナ人が滞在しているらしいね」
マリア:「何だかんだ言って、母国に知り合いがいるんじゃないか。それにエレーナが藤谷さんに泣きついて、藤谷さんから支援金をせしめたという……」
稲生:「本当に避難民に使うだけならいいけど、エレーナのことだから、『中間マージン頂くぜ!』って懐に入れそうだね」
マリア:「それな」
稲生:「あとは、鈴木君がいくらか出すだろうね」
マリア:「懐に入れるなら、鈴木の金にしろって言いたい」
稲生:「ハハハ……」
この後、食後のコーヒーを飲んでから、店をあとにした。
[同日15:00.天候:雨 東京都新宿区西新宿 都営地下鉄新宿駅・新宿線ホーム→新宿線1488K電車先頭車内]
〔「5番線、ご注意ください。各駅停車、本八幡行きが長い10両編成で参ります。ホームドアから下がってお待ちください」〕
エレーナのホテルがある森下まで、都営新宿線一本である。
そのホームは京王新線と共同であるが、管理は京王電鉄である。
その為、改札口やホームに立っている駅員は京王の社員であり、東京都交通局の職員はいない。
駅の自動放送も京王のものだし、改札機の意匠も京王である。
電車を待っていると、笹塚駅から京王の車両が入線してきた。
雨が降っているからか、車体は濡れている。
京王新線は地下線であるが、笹塚駅は地上にある為、雨が降っていれば濡れる。
〔「ご乗車ありがとうございました。新宿、新宿です。車内にお忘れ物の無いよう、ご注意ください。5番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです」〕
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/4d/a768dbc19a0964cbbc6c7206a72d5cb8.jpg)
ローズピンクの座席に腰かける。
緑色の塗装が目立つ都営車ではないせいか、マリアの契約悪魔のベルフェゴールがモブキャラとして現れることはなかった。
〔「各駅停車の本八幡行きです。途中駅での急行の通過待ち合わせはございません。まもなく、発車致します」〕
1分の停車時間の後、ホームに発車ベルが鳴り響いた。
〔「5番線から各駅停車の本八幡行き、発車致します」〕
ピンポーンピンポーンと2回ドアチャイムが鳴って、ドアが閉まる。
ホームドアが閉まって、運転席から僅かに発車合図のブザーが聞こえてくる。
ガチャッとハンドルを操作する音が聞こえて来たかと思うと、床下からエアーの抜ける音が聞こえた。
それから、電車がスーッと走り出した。
先頭車はモーターの積んでいないクハ車である為、あまりインバータ制御のモーターの音は聞こえてこない。
〔都営新宿線をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は、各駅停車、本八幡行きです。次は新宿三丁目、新宿三丁目。丸ノ内線、副都心線はお乗り換えです。お出口は、右側です〕
〔This is the local train bound for Motoyawata.The next station is Shinjyuku-sanchome.S02.Please change here for the Marunouchi line and the Fukutoshin line.〕
マリア:「駅に着いたら、ホテルまで外歩きだろう?雨は止む様子が無い」
稲生:「そうかぁ……」
マリア:「多分、今日1日ずっと雨だよ」
稲生:「春になったら、雨が降るようになるね」
その為か、エレーナの“魔女の宅急便”も、雨の時は割増料金になるという。
稲生:「一応、エレーナに今、地下鉄で向かっているという連絡はしておこう」
マリア:「その方がいいな」
稲生:「もしかして、ホテル貸切状態なのかな?避難民の」
マリア:「小さなホテルだけど、1フロアにつき、10部屋くらいあって、それが5階建てだろう?全部部屋を避難民で埋めたら、相当な数になるんじゃないかな?」
稲生:「それもそうかぁ……」
エレーナから返信が来た。
『了解だぜ!待ってるぜ!』とか、『避難民には一部の部屋しか貸してねーよ』とか書いてあった。
稲生:「やっぱりな」
稲生は微笑を浮かべて、スマホをしまった。
降りしきる雨の中、稲生達を乗せた高速バスは、およそ1時間50分の遅延をもってバスタ新宿に到着した。
稲生:「あー、やっと着いた……」
マリア:「うん。確かにバスの中にトイレ付いてて正解だわ」
マリアはローブを羽織ると、荷棚で寝そべって寝ている人形達をバッグの中にしまう。
稲生:「それよりお腹空いたね」
マリア:「それだ。ワンスターホテルに行く前に、遅いランチにしよう。というか、これのおかげで、食べたらすぐホテルに行ける」
稲生:「本当はその前に秋葉原散策とかしたかったんだけど……」
マリア:「ん?何か言った?」
稲生:「い、いや、別に……」
マリア:「? そうか?」
2人はバスタ新宿からJR新宿駅方面に向かった。
途中にニュウマン新宿というファッションビルがある。
バスタ新宿からも傘を差さずに行けて、飲食店もある。
飲食店は昼時を過ぎたこともあり、そんなに混んでいなかった。
そのうちの1つの店舗に入ると、カウンター席に横並びに座る。
稲生:「ビーフカレー食べたかったんだ」
マリア:「そういえば最近、屋敷の食事に出てなかったな……」
カレーの発祥の地はインドであるが、それをナンではなくライスに掛け、尚且つとろみのあるルーにしたのは宗主国のイギリスである。
その為か、そのイギリス人のマリアがいるからなのか、屋敷の食事にもたまにカレーが出てくることがあった。
あくまでも、たまにである。
それというのも、マリアはあまりそこまでカレーが好きと言うわけでもなく……。
マリア:「この、限定ランチのハンバーグ定食はまだありますか?」
店員:「はい、ございますよ」
マリア:「それでは、これを……」
店員:「かしこまりました」
カレーではなく、ハンバーグ定食を注文した。
稲生は大きなビーフの入っているビーフカレーを注文した。
稲生:「このカレー、美味しいや」
マリア:「あまり食べ過ぎると、今度はディナーが食べにくくなるからな……」
稲生:「エレーナのホテルの話?」
マリア:「そう。本当に藤谷さんも来るって?」
稲生:「そうなんだよ。藤谷班長の会社、本社が墨田区にあるからね。……エレーナのホテルには、エレーナの知り合いのウクライナ人が滞在しているらしいね」
マリア:「何だかんだ言って、母国に知り合いがいるんじゃないか。それにエレーナが藤谷さんに泣きついて、藤谷さんから支援金をせしめたという……」
稲生:「本当に避難民に使うだけならいいけど、エレーナのことだから、『中間マージン頂くぜ!』って懐に入れそうだね」
マリア:「それな」
稲生:「あとは、鈴木君がいくらか出すだろうね」
マリア:「懐に入れるなら、鈴木の金にしろって言いたい」
稲生:「ハハハ……」
この後、食後のコーヒーを飲んでから、店をあとにした。
[同日15:00.天候:雨 東京都新宿区西新宿 都営地下鉄新宿駅・新宿線ホーム→新宿線1488K電車先頭車内]
〔「5番線、ご注意ください。各駅停車、本八幡行きが長い10両編成で参ります。ホームドアから下がってお待ちください」〕
エレーナのホテルがある森下まで、都営新宿線一本である。
そのホームは京王新線と共同であるが、管理は京王電鉄である。
その為、改札口やホームに立っている駅員は京王の社員であり、東京都交通局の職員はいない。
駅の自動放送も京王のものだし、改札機の意匠も京王である。
電車を待っていると、笹塚駅から京王の車両が入線してきた。
雨が降っているからか、車体は濡れている。
京王新線は地下線であるが、笹塚駅は地上にある為、雨が降っていれば濡れる。
〔「ご乗車ありがとうございました。新宿、新宿です。車内にお忘れ物の無いよう、ご注意ください。5番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです」〕
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/4d/a768dbc19a0964cbbc6c7206a72d5cb8.jpg)
ローズピンクの座席に腰かける。
緑色の塗装が目立つ都営車ではないせいか、マリアの契約悪魔のベルフェゴールがモブキャラとして現れることはなかった。
〔「各駅停車の本八幡行きです。途中駅での急行の通過待ち合わせはございません。まもなく、発車致します」〕
1分の停車時間の後、ホームに発車ベルが鳴り響いた。
〔「5番線から各駅停車の本八幡行き、発車致します」〕
ピンポーンピンポーンと2回ドアチャイムが鳴って、ドアが閉まる。
ホームドアが閉まって、運転席から僅かに発車合図のブザーが聞こえてくる。
ガチャッとハンドルを操作する音が聞こえて来たかと思うと、床下からエアーの抜ける音が聞こえた。
それから、電車がスーッと走り出した。
先頭車はモーターの積んでいないクハ車である為、あまりインバータ制御のモーターの音は聞こえてこない。
〔都営新宿線をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は、各駅停車、本八幡行きです。次は新宿三丁目、新宿三丁目。丸ノ内線、副都心線はお乗り換えです。お出口は、右側です〕
〔This is the local train bound for Motoyawata.The next station is Shinjyuku-sanchome.S02.Please change here for the Marunouchi line and the Fukutoshin line.〕
マリア:「駅に着いたら、ホテルまで外歩きだろう?雨は止む様子が無い」
稲生:「そうかぁ……」
マリア:「多分、今日1日ずっと雨だよ」
稲生:「春になったら、雨が降るようになるね」
その為か、エレーナの“魔女の宅急便”も、雨の時は割増料金になるという。
稲生:「一応、エレーナに今、地下鉄で向かっているという連絡はしておこう」
マリア:「その方がいいな」
稲生:「もしかして、ホテル貸切状態なのかな?避難民の」
マリア:「小さなホテルだけど、1フロアにつき、10部屋くらいあって、それが5階建てだろう?全部部屋を避難民で埋めたら、相当な数になるんじゃないかな?」
稲生:「それもそうかぁ……」
エレーナから返信が来た。
『了解だぜ!待ってるぜ!』とか、『避難民には一部の部屋しか貸してねーよ』とか書いてあった。
稲生:「やっぱりな」
稲生は微笑を浮かべて、スマホをしまった。