[5月7日17:00.天候:雨 栃木県那須塩原市 ホテル天長園・大浴場]
高橋:「あ!この、不肖の弟子、高橋正義がぁ~!あ!無二の師匠、愛原先生にぃ~!あ!断固としてお応えして参るぅ~!あ!決意でありますぅ~!」
愛原:「毎度いつもの恒例……」
天長会信者:「あのお兄さんは、顕正会の信者さんか何かで?」
愛原:「いえ、違います……。恥ずかしいからさっさとやってくれ!」
高橋:「いざ!参らん~!」
高橋、喜び勇んで私の背中を流し始めた。
愛原:「全くもう……」
天長会信者:「ハハハ……。まるで、寅さんに付き従うチンピラの少年みたいですな」
愛原:「フーテンの寅さんに、そういう役の子が出てくる話、ありましたっけ?」
高橋:「はぁ~♪グッと来て~♪ガッと来て~♪」
愛原:「何だその歌……」
私は呆れる他、無かった。
雨はまだ降り続いてる為、露天風呂は諦めることにした。
また雨が止んだら来ることにしよう。
[同日18:00.天候:雨 同ホテル・最上階レストラン]
入浴の後は最上階のレストランに行き、そこで夕食。
テーブル席に行くと、『愛原様』という表示がしてあった。
愛原:「ここだな」
凛:「お客様、お飲み物は何になさいますか?」
愛原:「おっと!?凛ちゃん!?」
そこへ着物を着た凛がやってきた。
愛原:「何してんの?」
凛:「17時から22時まで、臨時のアルバイトです。明日は朝6時から9時までのシフトに入りました」
愛原:「働くねぇ……」
凛:「家業の手伝いなので、私でも大丈夫なんです」
女将の職は外されたが、経営者一族の1人という点は変わっていないわけだ。
その娘なのだから、家業を手伝うという事か。
そういえばうちの近所にはスナックがあるのだが、そこのママの娘がまだ小中学生くらいなのに『お手伝い』と称して、夜でも働いてたな。
店舗兼住宅だからこそできることだと思うが。
凛もその感覚でバイトしているということか。
リサは……【お察しください】。
愛原:「そうなのか。偉いなぁ。じゃあね、俺はビール」
高橋:「俺も先生と同じので」
リサ:「わたしも先生と同じので」
愛原&高橋:「アホかーっ!」
凛:「えー……先生方は瓶ビール2本に、リサ先輩はオレンジジュースで宜しいですね」
愛原:「リサ、そうしろ」
リサ:「ぶー……オレンジジュース」
凛:「かしこまりました。少々お待ちください。それでは、お鍋に火を点けます」
こういう旅館・ホテルの夕食の定番。
固形燃料に火を点けて温める一人鍋。
今日は1人すき焼きのようだ。
愛原:「リサ、その肉は生で食べないように」
リサ:「うっ……はーい」
どうやら生で食べようとしていたらしいのだが、私に先に釘を刺されたようだ。
そして、凛が瓶ビールとオレンジジュースを持って来る。
オレンジジュースも瓶入りで、既に開栓されていた。
高橋:「さ、先生、どうぞ!」
リサ:「さ、先生、どうぞ!」
愛原:「こらこら!ビールとオレンジジュースを混ぜる奴があるか!リサは自分で注ぎなさい」
リサ:「えー……」
愛原:「次は俺のを注いでもらうから」
リサ:「ほんと!?」
愛原:「じゃあ、まずは乾杯だ!乾杯!」
高橋:「お疲れ様っしたーっ!」
リサ:「お疲れー!」
リサは早速、バクバク食べ始める。
愛原:「しっかし、露天風呂入れなくて残念だったなー」
高橋:「もう、そろそろ雨止むんじゃないスかね?」
凛:「夜は晴れるそうですよ」
愛原:「やっぱり。夜、また入りに行くか」
高橋:「そうしましょう」
私がグラスのビールを飲み干したので、今度はリサが注いでくる。
愛原:「おっ、ありがとう」
リサ:「先生!わたし!わたしにも!」
リサは自分のオレンジジュースの瓶を渡してきた。
高橋:「おい。先生に注がせるとは、てめぇ……」
愛原:「まあ、いいじゃないか。オマエも、ほら」
高橋:「あっ!さっ、サーセン!」
するとリサ、こんなことを言い出した。
リサ:「先生、ジュースを口に含んで」
愛原:「ん、何だ?」
リサ:「で、口移しして?」
愛原:「どんなプレイだ!?」
高橋:「そういうプレイ……ですね。アホだ、こいつ……」
食欲が旺盛なうちは、性欲が抑えられているはずなのだが……。
[同日20:00.天候:晴 同ホテル・大浴場]
夕食を食べた後で、もう一度大浴場に行った。
もう雨が止んでいることもあり、露天風呂に入ることができた。
すると、更に外から太鼓の音と鐘の音が聞こえて来た。
愛原:「どうやら、天長会で何かお祈りの儀式でもやっているようだな」
気が付くと、先ほどは大浴場がそれなりに賑わっていたのに対し、今は空いている。
こういう所では夕方よりも、夜の方が賑わうイメージがあるのだが、逆だ。
恐らく今日の利用者の大半である天長会信者達が、あの太鼓や鐘の鳴り響く会場にいるのだろう。
愛原:「何だか神秘的だねぇ……」
高橋:「何だか気味悪いです」
愛原:「そうか?」
高橋:「『煮えたぎる湯に浸けて……死ねば人間、生きていれば魔女』みたいな……」
愛原:「そりゃ魔女裁判だ!」
すると、太鼓の音色が変わった。
それまでは、速いテンポでドンドコドンドコ鳴っていたのが、今はドン!ドン!ドン!ドン!と規則正しい音色に変わった。
高橋:「天長会はガサ入れしないんスかね?」
愛原:「いや、しただろ。したけど、何も見つからなかっただけだ。白井の犯行を裏付けるような、何かをな。多分、上手く天長会の教義にカムフラージュしてるんだろうな」
天長会が運営していた児童養護施設。
そこと日本アンブレラが癒着し、『養子に出す』と称してアンブレラが子供を引き取り、人体実験を行っていたところまでは分かっている。
リサもそこにいたことで日本アンブレラに捕まり、『最も危険な12人の巫女』の1人となるべく、様々な人体改造を受けて今に至っている。
と、いうことは……。
愛原:「向こうの儀式に、リサは参加しなくていいんだよな?」
高橋:「リサは信者じゃないでしょう?」
愛原:「信者というか……崇め奉られる側?」
高橋:「ああいう新興宗教は、教祖様が神だから、関係無いんじゃないスか」
実際にリサが呼ばれたり、連れて行かれるようなことは無かった。
『最も危険な12人の巫女』は、天長会の教義には出ているものの、リサがそのうちの1人だと喧伝はされていなかったからだろう。
どうも、今は消えてしまった東京中央学園上野高校の“トイレの花子さん”がそうだとされているようだ。
愛原:「まあ、そうだな」
高橋:「どうします?」
愛原:「どうするも何も、俺達はただの一般利用者だ。知らんぷりしておこう」
高橋:「うス」
もっとも、その割には関係者割引を物凄く使っているのだから、私も都合が良いな。
高橋:「あ!この、不肖の弟子、高橋正義がぁ~!あ!無二の師匠、愛原先生にぃ~!あ!断固としてお応えして参るぅ~!あ!決意でありますぅ~!」
愛原:「毎度いつもの恒例……」
天長会信者:「あのお兄さんは、顕正会の信者さんか何かで?」
愛原:「いえ、違います……。恥ずかしいからさっさとやってくれ!」
高橋:「いざ!参らん~!」
高橋、喜び勇んで私の背中を流し始めた。
愛原:「全くもう……」
天長会信者:「ハハハ……。まるで、寅さんに付き従うチンピラの少年みたいですな」
愛原:「フーテンの寅さんに、そういう役の子が出てくる話、ありましたっけ?」
高橋:「はぁ~♪グッと来て~♪ガッと来て~♪」
愛原:「何だその歌……」
私は呆れる他、無かった。
雨はまだ降り続いてる為、露天風呂は諦めることにした。
また雨が止んだら来ることにしよう。
[同日18:00.天候:雨 同ホテル・最上階レストラン]
入浴の後は最上階のレストランに行き、そこで夕食。
テーブル席に行くと、『愛原様』という表示がしてあった。
愛原:「ここだな」
凛:「お客様、お飲み物は何になさいますか?」
愛原:「おっと!?凛ちゃん!?」
そこへ着物を着た凛がやってきた。
愛原:「何してんの?」
凛:「17時から22時まで、臨時のアルバイトです。明日は朝6時から9時までのシフトに入りました」
愛原:「働くねぇ……」
凛:「家業の手伝いなので、私でも大丈夫なんです」
女将の職は外されたが、経営者一族の1人という点は変わっていないわけだ。
その娘なのだから、家業を手伝うという事か。
そういえばうちの近所にはスナックがあるのだが、そこのママの娘がまだ小中学生くらいなのに『お手伝い』と称して、夜でも働いてたな。
店舗兼住宅だからこそできることだと思うが。
凛もその感覚でバイトしているということか。
リサは……【お察しください】。
愛原:「そうなのか。偉いなぁ。じゃあね、俺はビール」
高橋:「俺も先生と同じので」
リサ:「わたしも先生と同じので」
愛原&高橋:「アホかーっ!」
凛:「えー……先生方は瓶ビール2本に、リサ先輩はオレンジジュースで宜しいですね」
愛原:「リサ、そうしろ」
リサ:「ぶー……オレンジジュース」
凛:「かしこまりました。少々お待ちください。それでは、お鍋に火を点けます」
こういう旅館・ホテルの夕食の定番。
固形燃料に火を点けて温める一人鍋。
今日は1人すき焼きのようだ。
愛原:「リサ、その肉は生で食べないように」
リサ:「うっ……はーい」
どうやら生で食べようとしていたらしいのだが、私に先に釘を刺されたようだ。
そして、凛が瓶ビールとオレンジジュースを持って来る。
オレンジジュースも瓶入りで、既に開栓されていた。
高橋:「さ、先生、どうぞ!」
リサ:「さ、先生、どうぞ!」
愛原:「こらこら!ビールとオレンジジュースを混ぜる奴があるか!リサは自分で注ぎなさい」
リサ:「えー……」
愛原:「次は俺のを注いでもらうから」
リサ:「ほんと!?」
愛原:「じゃあ、まずは乾杯だ!乾杯!」
高橋:「お疲れ様っしたーっ!」
リサ:「お疲れー!」
リサは早速、バクバク食べ始める。
愛原:「しっかし、露天風呂入れなくて残念だったなー」
高橋:「もう、そろそろ雨止むんじゃないスかね?」
凛:「夜は晴れるそうですよ」
愛原:「やっぱり。夜、また入りに行くか」
高橋:「そうしましょう」
私がグラスのビールを飲み干したので、今度はリサが注いでくる。
愛原:「おっ、ありがとう」
リサ:「先生!わたし!わたしにも!」
リサは自分のオレンジジュースの瓶を渡してきた。
高橋:「おい。先生に注がせるとは、てめぇ……」
愛原:「まあ、いいじゃないか。オマエも、ほら」
高橋:「あっ!さっ、サーセン!」
するとリサ、こんなことを言い出した。
リサ:「先生、ジュースを口に含んで」
愛原:「ん、何だ?」
リサ:「で、口移しして?」
愛原:「どんなプレイだ!?」
高橋:「そういうプレイ……ですね。アホだ、こいつ……」
食欲が旺盛なうちは、性欲が抑えられているはずなのだが……。
[同日20:00.天候:晴 同ホテル・大浴場]
夕食を食べた後で、もう一度大浴場に行った。
もう雨が止んでいることもあり、露天風呂に入ることができた。
すると、更に外から太鼓の音と鐘の音が聞こえて来た。
愛原:「どうやら、天長会で何かお祈りの儀式でもやっているようだな」
気が付くと、先ほどは大浴場がそれなりに賑わっていたのに対し、今は空いている。
こういう所では夕方よりも、夜の方が賑わうイメージがあるのだが、逆だ。
恐らく今日の利用者の大半である天長会信者達が、あの太鼓や鐘の鳴り響く会場にいるのだろう。
愛原:「何だか神秘的だねぇ……」
高橋:「何だか気味悪いです」
愛原:「そうか?」
高橋:「『煮えたぎる湯に浸けて……死ねば人間、生きていれば魔女』みたいな……」
愛原:「そりゃ魔女裁判だ!」
すると、太鼓の音色が変わった。
それまでは、速いテンポでドンドコドンドコ鳴っていたのが、今はドン!ドン!ドン!ドン!と規則正しい音色に変わった。
高橋:「天長会はガサ入れしないんスかね?」
愛原:「いや、しただろ。したけど、何も見つからなかっただけだ。白井の犯行を裏付けるような、何かをな。多分、上手く天長会の教義にカムフラージュしてるんだろうな」
天長会が運営していた児童養護施設。
そこと日本アンブレラが癒着し、『養子に出す』と称してアンブレラが子供を引き取り、人体実験を行っていたところまでは分かっている。
リサもそこにいたことで日本アンブレラに捕まり、『最も危険な12人の巫女』の1人となるべく、様々な人体改造を受けて今に至っている。
と、いうことは……。
愛原:「向こうの儀式に、リサは参加しなくていいんだよな?」
高橋:「リサは信者じゃないでしょう?」
愛原:「信者というか……崇め奉られる側?」
高橋:「ああいう新興宗教は、教祖様が神だから、関係無いんじゃないスか」
実際にリサが呼ばれたり、連れて行かれるようなことは無かった。
『最も危険な12人の巫女』は、天長会の教義には出ているものの、リサがそのうちの1人だと喧伝はされていなかったからだろう。
どうも、今は消えてしまった東京中央学園上野高校の“トイレの花子さん”がそうだとされているようだ。
愛原:「まあ、そうだな」
高橋:「どうします?」
愛原:「どうするも何も、俺達はただの一般利用者だ。知らんぷりしておこう」
高橋:「うス」
もっとも、その割には関係者割引を物凄く使っているのだから、私も都合が良いな。