報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「魔道士2人のショッピング」

2022-06-01 19:49:44 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月6日08:00.天候:晴 埼玉県川口市某所 稲生家]

 この日はゴールデンウィークの平日。
 有休が取れた者はそのまま連休を楽しめるだろうし、そうでない者は【お察しください】。
 特にカレンダー通りが当たり前の学校関係者は、【お察しください】。
 因みに勇太の両親は、有休が取れなかった。
 いや、その表現は語弊があるだろう。
 今年度から会社の副社長に就任した父親の宗一郎。
 そもそも経営陣、特に代表取締役の中にいるのに、有休もヘッタクレもあるのだろうか。
 尚、元々が地方支社長で、それらや営業所も含む統括エリア本部長を経ている為、副社長としての業務は、これら地域エリア統括本部長達を更に統括することである。
 で、宗一郎は普通に迎えに来た役員車に乗って出勤していったそうだ(常務取締役以上、専務取締役以下は契約したハイヤーだが、副社長以上は会社で車を用意し、運転手だけタクシー会社から派遣されるタイプ。なので、ハイヤーの緑ナンバーに対し、役員車は白ナンバー)。

 勇太:「おはよう……」
 佳子:「あら、おはよう。もう、御飯できるわよ」
 勇太:「うん。頂きます……」

 マリアは既に起きていて、先にダイニングで朝食を食べていた。

 佳子:「お母さんも今日は出掛けるからね」
 勇太:「そうなの?」
 佳子:「夕方までには帰るけどね」
 マリア:「本日の家事は、私の人形達にお任せください」

 ミク人形とハク人形が人間形態に変化し、メイドとして家事をやっていた。
 尚、朝食に関しては佳子が作ってくれたものである。

 佳子:「お昼は外で食べてきてね」
 勇太:「分かってるよ。僕達も夕方までには帰るよ」

 平日なので、普段の日よりは休暇が取れた人達がいる分、電車は空いているだろうが、それでも平日ダイヤで運転される以上、それなりの混雑はあるだろう。

 勇太:「快速が運転される直前の電車で行こう」
 マリア:「そうなの?」
 勇太:「朝のラッシュが終わってからの方がいいからさ」
 マリア:「分かった」

 なので、まだ少し時間がある。
 朝食を食べてからでも、まだ時間があるだろう。

[同日09:00.天候:晴 稲生家3F 勇太の部屋]

 母親から部屋の掃除をするよう言い付けられた勇太は、朝食の後で自分の部屋の掃除機掛けを行なった。
 屋敷ではダニエラが掃除をしてくれていたのだが、ここにはいないので、自分でやるしかない。
 窓を開けて換気しながら掃除機を掛けていると、窓の外から物音がした。

 勇太:「ん?」

 窓の外へ顔を出すと、屋上の物干し台からクラリスが洗濯物を干している音だと分かった。
 南側に向かって、物干し台がある。
 勇太の部屋も南向きの為、必然的に勇太の部屋の真上に物干し台がある形になる。

 勇太:「何だ、ミカエラか……」

 勇太が部屋に引っ込もうとした時、ミカエラはマリアの白いブラウスを干した。

 勇太:「ん?」

 その後は、緑色のプリーツスカート。
 昨日まで穿いていたものだ。
 洗濯機で洗えるタイプなので、ミカエラがそれで洗ったのだろう。
 なので今、マリアは違う服を着ている。
 今度はマリアのそれまで着ていた下着を干し始めた。
 男のロマンを感じながら見とれていると、横から小石のようなものが飛んできて頭に当たった。

 勇太:「いでっ!?」
 マリア:「なに掃除サボッてんの?勇太が終わらないと、出掛けられないよ?」

 隣の窓から、マリアが顔を出していた。
 そこは、マリアが寝泊まりしている部屋である。

 勇太:「は、はい。すいません!」

 勇太は慌てて部屋の中に引っ込んだ。
 今のマリアは換えの白いブラウスに黒色のリボン、スカートは黒いプリーツだった。
 白と黒のモノトーンであるが、こちらの方が魔女らしい。
 しかし、頭には緑色のカチューシャ、そして深緑色のローブを着ることで、ベルフェゴールとの契約を表すのだろう。

[同日09:49.天候:晴 埼玉県蕨市 JR蕨駅→京浜東北線949B電車10号車内]

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の1番線の電車は、9時49分発、各駅停車、磯子行きです。次は、西川口に止まります〕

 マリア:「快速に乗らないの?」
 勇太:「ユザワヤのある御徒町には、平日の快速は止まらないんだよ」
 マリア:「そうなんだ。……ああ、そういえばエレーナのホテルの後で乗った電車がそうだったような気がする」
 勇太:「そうでしょう?」

〔まもなく1番線に、各駅停車、磯子行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。次は、西川口に止まります〕

 電車の接近放送が流れ、いつものE233系電車が入線してくる。
 尚、同じ形式の電車が宇都宮線や高崎線でも運転されているが、電車用と列車用と別れており、走行性能に違いが出されている。

〔わらび、蕨。ご乗車、ありがとうございます〕

 1つ隣の南浦和駅でドカドカ乗ったか、前の車両は混んでいたが、後ろの車両は比較的空いていた。
 また、平日とはいえ、休暇が取れた者達が休んでいることもあり、いつもの朝よりは乗客が少ない状態になっている。

〔1番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 電車はダイヤ通りに発車した。

〔次は、西川口です〕
〔The next station is Nishi-Kawaguchi.JK40.〕

 マリア:「これから行く店は、駅から近い?」
 勇太:「もう、近いどころか、駅のすぐ横だよ」
 マリア:「そうなんだ。いい所、見つけてくれたね」
 勇太:「いやいや」
 マリア:「因みに……勇太が行きたい『男のロマン』の店も、駅から近い?」
 勇太:「近いです」

 前者は今も電車の窓からよく見え、後者はホテルメッツが出来るまで電車の窓から見えていた。

 マリア:「私の行きたい店はともかく、勇太の行きたい店はあの恰好じゃ入りにくいだろうから着替えたよ」

 デザイン的には制服ファッションの1つなのだろうが、そこから少々ゴスロリに寄せたかといった感じの服装。
 まあ、完全に勇太の母校の制服のデザインをモチーフにした服よりは、やや大人に見えるだろう。
 やや。

 勇太:「お気遣い、ありがとうございます」
 マリア:(まあ、何日も着たから、そろそろ洗いたかったというの本音だけどね)
コメント
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