[5月7日07:00.天候:晴 東京都千代田区鍛冶町 JR神田駅]
岩本町駅で電車を降りた私達は、徒歩でJR神田駅に向かった。
神田駅の入口に行くと、既に上野姉妹が待っていた。
上野凛:「おはようございます!」
上野理子:「おはようございます」
上野姉妹も私服だった。
スポーツ系の凛はショートパンツ姿だったが、それほどでもない理子はスカート姿だ。
リサと比べれば、その丈は長い。
凛:「今日はよろしくお願いします!」
さすが体育会系なのか、凛はハッキリとした挨拶をしてくる。
愛原:「ああ、おはよう。今日はよろしくな。じゃあ、キップは1人ずつ持とう」
私はキップの束を取り出した。
新幹線は普通車指定席である。
先頭車や最後尾ではない為、予め善場主任を通してBSAAには連絡してある。
リサ:「わたし、先生の隣ね!」
高橋:「俺もお願いします!」
愛原:「ハイハイ」
というわけで必然的に、私は3人席の真ん中になるわけである。
愛原:「2人は2人席で隣同士でいいかな?」
凛:「あ、はい。ありがとうございます」
愛原:「じゃあ、まずは東京駅まで行こう。乗車券だけを改札口に入れてね」
私は『東京山手線内→那須塩原』と書かれた乗車券を手にした。
これは片道の距離が101km以上200km以下の乗車券に適用される制度で、名前の通り、東京の山手線各駅とその内側を走る中央・総武線の各駅ならどこからでも乗り降りして良いというものである。
私達は東京駅から新幹線に乗るわけだが、神田駅から東京駅まで他の電車に乗った場合、その分の運賃を新たに払う必要があるのかというと、それは無い。
東京山手線内の各駅であればどこからでも良いので、これが例え新宿駅から中央線に乗って東京駅まで行っても、その区間分の運賃は新たに請求されない。
尚、片道201キロ以上の長距離になると『東京都区内』となり、更に乗降可能駅の範囲が広がる。
ホームの駅名看板に、□に『山』と書かれた表示を見ることができるが、これは『東京山手線内』の駅であるという意味である。
私達は山手線に一駅だけ乗り、東京駅に向かった。
[同日07:30.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅・新幹線ホーム]
東京駅に着いて、私達は東北新幹線乗り場に向かった。
さすがに新幹線改札口では、乗車券・特急券2枚重ねで行くことは皆知っていた。
リサ:「先生、駅弁はー?朝ごはん!」
愛原:「ホームに駅弁売り場があるから、そこで好きなの買っていいぞ」
リサ:「おー!」
高橋:「先生、俺はタバコ吸って来ます」
愛原:「あいよ。8号車な。間違えるなよ?多分、E6系も連結されてるから、そっちに間違えて乗るなよ?」
高橋:「分かってますって。要は赤い新幹線じゃなく、緑の新幹線に乗れってことですね」
愛原:「そういうことだ。オマエの駅弁は買っといてやるよ」
高橋:「先生と同じのでオナシャス!」
愛原:「分かった」
これから乗る列車が出るホームにエスカレーターで上がると、高橋はホームの喫煙所に行き、私達は駅弁売り場に行った。
リサ:「これがいい!」
やはりというか、リサは牛肉弁当を所望した。
私はやっぱり幕の内弁当。
高橋も同じ物でいいというので、これを2つ買う。
上野姉妹、凛は意外と“深川めし”を所望した。
愛原:「意外だね?意外なヤツ、チョイスしたね?」
凛:「山育ちなもので、こういう海鮮系は珍しいんです」
愛原:「そうなのか」
意外と日本の鬼って、山育ちが多いよな。
まあ、鬼ヶ島とかは海の上に位置しているが、それ以外は確かに山に住んでいるというイメージが近い(それにしても、鬼ヶ島の鬼達は、どうやって海を渡って人間の村を襲っていたのだろう)。
上野姉妹の栃木県も内陸県だし、リサが長いこと暮らしていた霧生市も内陸部にある。
愛原:「うーむ……」
リサ:「どうしたの、先生?」
愛原:「いや、基本的に日本の鬼は山に住んでいることが多いが、鬼ヶ島は海にあるなと思って……」
凛:「それが、どうかしましたか?」
愛原:「いや、孤島とも言える鬼ヶ島の鬼達は、どうやって海を渡って人間の村を襲っていたのかなって……」
凛:「村を襲っていたのではなく、いわゆる海賊行為を行っていたようですよ」
愛原:「そうなのか。……よく知ってるな」
凛:「天長会で、そういう話があったもので」
愛原:「ふーん……」
凛:「あとは干潮の時に海が浅くなるので、その時に徒歩で渡っていたとも言われています」
愛原:「そんな簡単にできるものかね?」
凛:「リサ先輩が使役されるタイラントとかも、かなり身長が高いじゃないですか」
タイラントは安土桃山時代からいたのか?
愛原:「そしたら、桃太郎達がわざわざ舟を調達する意味が無くなる」
凛:「兵器や手勢も乗せる為、帰りは宝物を乗せる為に舟を調達したらしいですよ」
愛原:「そうなのか。何か、まるでキミ達が本物の鬼のように見えてくるよ」
凛:「……母が投与された特異菌って、どうもアメリカとかヨーロッパの事件の元となったヤツとは違うみたいです」
愛原:「違う!?」
凛:「はい。白井博士がどこからか手に入れた、鬼のDNAと混合したとか……。だから、私の母は鬼のような姿になりますよね」
愛原:「おいおい、変なタイミングで新たな真相が出て来たな」
白井は鬼を復活させようとしでもしていたのか?
凛:「白井博士は永遠の命に拘っていました。鬼の寿命も長いですから、関心があったそうです。『最も危険な12人の巫女たち』が、どうして危険なのかと言いますと、『鬼の化身だから』だそうです」
愛原:「……せっかくだから、天長会に行って詳しい話を聞いた方がいいか?」
白井は死んだが、どこかで別の人間に生まれ変わっている。
天長会は、それを知っているかもしれない。
私は駅弁と飲み物を買うと、8号車へと急いだ。
〔ピン♪ポン♪パン♪ポン♪ 22番線に、7時44分、“やまびこ”355号、仙台行きが17両編成で参ります。この電車は、各駅に止まります。グランクラスは10号車、グリーン車は9号車と11号車、自由席は1号車から3号車と、12号車から17号車です。まもなく22番線に、“やまびこ”355号、仙台行きが参ります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕
ホームを歩いていると、接近放送が鳴り響いた。
ホームに清掃員が整列していないので、どうやら折り返し列車ではないようだ。
すぐに乗れそうなので、私達はすぐに列に並んだ。
岩本町駅で電車を降りた私達は、徒歩でJR神田駅に向かった。
神田駅の入口に行くと、既に上野姉妹が待っていた。
上野凛:「おはようございます!」
上野理子:「おはようございます」
上野姉妹も私服だった。
スポーツ系の凛はショートパンツ姿だったが、それほどでもない理子はスカート姿だ。
リサと比べれば、その丈は長い。
凛:「今日はよろしくお願いします!」
さすが体育会系なのか、凛はハッキリとした挨拶をしてくる。
愛原:「ああ、おはよう。今日はよろしくな。じゃあ、キップは1人ずつ持とう」
私はキップの束を取り出した。
新幹線は普通車指定席である。
先頭車や最後尾ではない為、予め善場主任を通してBSAAには連絡してある。
リサ:「わたし、先生の隣ね!」
高橋:「俺もお願いします!」
愛原:「ハイハイ」
というわけで必然的に、私は3人席の真ん中になるわけである。
愛原:「2人は2人席で隣同士でいいかな?」
凛:「あ、はい。ありがとうございます」
愛原:「じゃあ、まずは東京駅まで行こう。乗車券だけを改札口に入れてね」
私は『東京山手線内→那須塩原』と書かれた乗車券を手にした。
これは片道の距離が101km以上200km以下の乗車券に適用される制度で、名前の通り、東京の山手線各駅とその内側を走る中央・総武線の各駅ならどこからでも乗り降りして良いというものである。
私達は東京駅から新幹線に乗るわけだが、神田駅から東京駅まで他の電車に乗った場合、その分の運賃を新たに払う必要があるのかというと、それは無い。
東京山手線内の各駅であればどこからでも良いので、これが例え新宿駅から中央線に乗って東京駅まで行っても、その区間分の運賃は新たに請求されない。
尚、片道201キロ以上の長距離になると『東京都区内』となり、更に乗降可能駅の範囲が広がる。
ホームの駅名看板に、□に『山』と書かれた表示を見ることができるが、これは『東京山手線内』の駅であるという意味である。
私達は山手線に一駅だけ乗り、東京駅に向かった。
[同日07:30.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅・新幹線ホーム]
東京駅に着いて、私達は東北新幹線乗り場に向かった。
さすがに新幹線改札口では、乗車券・特急券2枚重ねで行くことは皆知っていた。
リサ:「先生、駅弁はー?朝ごはん!」
愛原:「ホームに駅弁売り場があるから、そこで好きなの買っていいぞ」
リサ:「おー!」
高橋:「先生、俺はタバコ吸って来ます」
愛原:「あいよ。8号車な。間違えるなよ?多分、E6系も連結されてるから、そっちに間違えて乗るなよ?」
高橋:「分かってますって。要は赤い新幹線じゃなく、緑の新幹線に乗れってことですね」
愛原:「そういうことだ。オマエの駅弁は買っといてやるよ」
高橋:「先生と同じのでオナシャス!」
愛原:「分かった」
これから乗る列車が出るホームにエスカレーターで上がると、高橋はホームの喫煙所に行き、私達は駅弁売り場に行った。
リサ:「これがいい!」
やはりというか、リサは牛肉弁当を所望した。
私はやっぱり幕の内弁当。
高橋も同じ物でいいというので、これを2つ買う。
上野姉妹、凛は意外と“深川めし”を所望した。
愛原:「意外だね?意外なヤツ、チョイスしたね?」
凛:「山育ちなもので、こういう海鮮系は珍しいんです」
愛原:「そうなのか」
意外と日本の鬼って、山育ちが多いよな。
まあ、鬼ヶ島とかは海の上に位置しているが、それ以外は確かに山に住んでいるというイメージが近い(それにしても、鬼ヶ島の鬼達は、どうやって海を渡って人間の村を襲っていたのだろう)。
上野姉妹の栃木県も内陸県だし、リサが長いこと暮らしていた霧生市も内陸部にある。
愛原:「うーむ……」
リサ:「どうしたの、先生?」
愛原:「いや、基本的に日本の鬼は山に住んでいることが多いが、鬼ヶ島は海にあるなと思って……」
凛:「それが、どうかしましたか?」
愛原:「いや、孤島とも言える鬼ヶ島の鬼達は、どうやって海を渡って人間の村を襲っていたのかなって……」
凛:「村を襲っていたのではなく、いわゆる海賊行為を行っていたようですよ」
愛原:「そうなのか。……よく知ってるな」
凛:「天長会で、そういう話があったもので」
愛原:「ふーん……」
凛:「あとは干潮の時に海が浅くなるので、その時に徒歩で渡っていたとも言われています」
愛原:「そんな簡単にできるものかね?」
凛:「リサ先輩が使役されるタイラントとかも、かなり身長が高いじゃないですか」
タイラントは安土桃山時代からいたのか?
愛原:「そしたら、桃太郎達がわざわざ舟を調達する意味が無くなる」
凛:「兵器や手勢も乗せる為、帰りは宝物を乗せる為に舟を調達したらしいですよ」
愛原:「そうなのか。何か、まるでキミ達が本物の鬼のように見えてくるよ」
凛:「……母が投与された特異菌って、どうもアメリカとかヨーロッパの事件の元となったヤツとは違うみたいです」
愛原:「違う!?」
凛:「はい。白井博士がどこからか手に入れた、鬼のDNAと混合したとか……。だから、私の母は鬼のような姿になりますよね」
愛原:「おいおい、変なタイミングで新たな真相が出て来たな」
白井は鬼を復活させようとしでもしていたのか?
凛:「白井博士は永遠の命に拘っていました。鬼の寿命も長いですから、関心があったそうです。『最も危険な12人の巫女たち』が、どうして危険なのかと言いますと、『鬼の化身だから』だそうです」
愛原:「……せっかくだから、天長会に行って詳しい話を聞いた方がいいか?」
白井は死んだが、どこかで別の人間に生まれ変わっている。
天長会は、それを知っているかもしれない。
私は駅弁と飲み物を買うと、8号車へと急いだ。
〔ピン♪ポン♪パン♪ポン♪ 22番線に、7時44分、“やまびこ”355号、仙台行きが17両編成で参ります。この電車は、各駅に止まります。グランクラスは10号車、グリーン車は9号車と11号車、自由席は1号車から3号車と、12号車から17号車です。まもなく22番線に、“やまびこ”355号、仙台行きが参ります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕
ホームを歩いていると、接近放送が鳴り響いた。
ホームに清掃員が整列していないので、どうやら折り返し列車ではないようだ。
すぐに乗れそうなので、私達はすぐに列に並んだ。