報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「帰省最終日」 4

2022-06-05 20:12:55 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月7日18:25.天候:雨 埼玉県さいたま市大宮区 湯快爽快おおみや]

 新大宮バイパスの下り線は混んでいた。
 特に事故とか工事のせいではなく、GWのせいだからだろう。
 普通乗用車でも、やたら他県ナンバーを見かけたので、GWを埼玉や都内で過ごした車がそれぞれの地域へ帰る為、集中したものと思われる。
 その為か到着遅延により、間に合わず、雨が先に降り出すという結果になってしまった。

 運転手:「到着しました。皆さん、お気をつけて」

 バスの発着場に到着する。
 以前は正面入口に近い場所で乗り降りしていたのだが、車道に面していた為か、増設された駐車場に移動となってしまった。
 勇太とマリアはローブのフードを被り、宗一郎と佳子は相合傘で向かう。

 宗一郎:「いやいや、参ったねぇ……」
 マリア:「申し訳ありません。道路渋滞までは、占っていませんでした」
 宗一郎:「しょうがないよ。というか確かにGWなんだから、そりゃバイパスも高速も混むだろうね。キミ達は大丈夫なのかい?」
 勇太:「まあ、深夜に出発する夜行便だから、大丈夫だと思うけど……」

 中央道は朝から混む。
 では、夜は?【お察しください】。
 館内に入り、靴を脱いで上がる。
 館内は館内で、賑わっているようだ。
 特に、家族連れが多い。
 もちろん、勇太達もその一組だ。
 宗一郎は入浴券の他、タオルや館内着のレンタルセット券も購入した。

 宗一郎:「まあ、気を取り直してゆっくりしよう。まずは、風呂に入ろう」

 というわけで、2階の大浴場に向かった。

 勇太:「露天風呂が大変なことになってるぅ……!」

 脱衣場から露天風呂が見えるのだが、ゲリラ豪雨により、露天風呂の利用者が内風呂に避難してくるという事態が起きていた。
 ただでさえ混雑しているというのに、これでは内風呂は芋洗い状態である。

 勇太:「ど、どうする?」
 宗一郎:「こうなっては仕方が無い。とにかく、先に洗い場を確保だ!」
 勇太:「う、うん」

 何はともあれ、先に洗い場で体を洗わないことには、そもそも湯船に入ることはできない。
 驚くべきことに、サウナも混雑しているのか、その入口前に列ができているほどだった。
 中には諦めて、風呂から上がる人もチラホラ……。

 宗一郎:「行くぞ、勇太」
 勇太:「えっ、どこに?」

 体を洗い終わると、宗一郎に肩を叩かれた。

 宗一郎:「決まってるじゃないか」

 宗一郎は露天風呂を指さした。

 宗一郎:「ここの施設は内風呂は沸かし湯で、天然温泉は露天風呂だけだ。つまり、露天風呂に入らないことには意味が無い」
 勇太:「本気で言ってるの!?」

 露天風呂には一部屋根の掛かっている所もあるにはあるが、そこも人でいっぱいだ。

 宗一郎:「あの中はどうだろう?」

 宗一郎は『庵湯』を指さした。
 小屋になっている場所で、吹き曝しの露天風呂と比べて少し温度が高いという。

 勇太:「あそこも混んでるんじゃないの?」
 宗一郎:「いや、分からんぞ。行ってみよう」
 勇太:「ひぃ~!」

 2人の親子は天然のシャワーに打たれながら、露天風呂のエリアにある庵湯に入った。
 その小屋の中は中で洗い場があり、そして大きな湯船がある。
 外の吹き曝しと比べれば温度が高いということもあり、子供はいなかった。
 その為か、思ったよりは空いている。

 宗一郎:「隣、すいません」
 老翁:「あいよ」
 勇太:「すいません」
 宗一郎:「どうだ、勇太?『為せば成る』と言うだろう?」
 勇太:「『洗えば食える 何物も』だっけ?」
 宗一郎:「クレヨンしんちゃんか!余計な下の句は要らん!諦めてはいかんのだ」
 勇太:「『諦めたら、そこで試合終了』だもんね」
 宗一郎:「スラムダンクか!作者の年代だぞ!」

 懐かしい~!

 老翁:「青年よ。『閑古鳥 南北向きて 鳴き至る』これに続く下の句を答えよ」
 勇太:「うーん……。『東西向いて 鳴くは雛(ひよこ)か』」
 老翁:「何故に?」
 勇太:「いえ、だって、南北方向の横断歩道は青になったらカッコーが鳴いて、東西方向の横断歩道は青になったらヒヨコが鳴くんで」
 宗一郎:「信号機か!この御老人はそういう答えを求めてはいない!」
 老翁:「むむ!さすが若者ならではの着眼点じゃ。次の問題。『弾打つは 海物語 マリンちゃん』、これに続く下の句を考えい」
 宗一郎:「な、何ですか、それは?む
 勇太:『雲羽の目的 今はウリンか』ですか?」
 宗一郎:「何でだ?!」
 老翁:「フフフ……。『弾』と名誉監督の『多摩』を掛けたか。だが、字余りじゃ。面白いがな。粗削りだが、素質ある所は素晴らしい。これからも、精進したまえ」

 するとその老翁は、見る見るうちに風貌が変わって……。

 勇太:「だ、大師匠様!?」

 何と、魔法道ダンテ門流創始者のダンテ・アリギエーリの姿に変わった!
 びっくりして仰け反った勇太、足を滑らせて湯船にドボン!

 勇太:「ゴボゴボゴボカバベボ……!○o。.」
 宗一郎:「おい、大丈夫が!?」

 宗一郎が勇太を引き上げる。

 勇太:「ブバッ!?……はぁっ、はぁっ!」
 宗一郎:「子供じゃあるまいし、風呂の中で溺れるヤツがあるか!」
 勇太:「だ、だって……あ、ばれっ?!ブボッ!」

 勇太、溺れた時に飲んでしまったお湯を吐き出した。

 宗一郎:「あ、あれ?!さっきの御老体は?」
 子供:「パパー!急に晴れたよー!?」

 さっきまで雷がドカンドカン鳴って、滝のような雨が降っていたのだが、いつの間にか止んで、西日が差し込んでいた。

 ダンテ:「青年よ。次の時代を作るのは、お前達だ。期待しているぞ」

 勇太の頭の中に、ダンテの声が響いていた。

 勇太:「あー、びっくりした……」
 宗一郎:「びっくりしたのはこっちだよ。さっきの御老体、消えてしまったようだが、大丈夫なのか?」
 勇太:「う、うん。大師匠様は、イリーナ先生の先生でもある、凄い御方だから……」
 宗一郎:「えっ!?そんな偉い人だったのか!?」
 勇太:「う、うん。凄い御方という言葉さえ、失礼なほどの……」

 時折お忍びで、弟子達の様子を見に来ることがあるとは聞いたことがあるが、まさかまだ見習いの自分の所に来るとは思ってもみなかった勇太は、ただただ驚くしかなかったという。
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“大魔道師の弟子” 「帰省最終日」 3

2022-06-05 14:48:33 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月7日17:31.天候:曇 埼玉県蕨市 JR蕨駅→京浜東北線1686C電車10号車内]

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の2番線の電車は、17時31分発、各駅停車、大宮行きです〕

 イオンモールで手に入れた戦利品は、宅急便で送っておいた。
 エレーナが大荷物抱えて配達しに来るのが、今から目に見えるようだ。

〔まもなく2番線に、各駅停車、大宮行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕

 電車がやってくる。
 いつもの通りのスカイブルーのラインカラーだ。
 平日だと夕方ラッシュで混んでいるだろうが、週末だとそれほどでもない。

〔わらび、蕨。ご乗車、ありがとうございます〕

 稲生家の面々とマリアは先頭車に乗り込んだ。
 真冬ならもう真っ暗な時間だが、晩春の今はまだだいぶ明るい。

〔2番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 今回の帰省において、最後の利用となる京浜東北線。
 その蕨駅発車は、スムーズなものだった。

〔次は、南浦和です〕
〔The next station is Minami-Urawa.JK42.〕

 晴れていれば、西日が電車内に差し込んで眩しい。
 しかし、今はどんよりと曇って、そのようなことはない。

 宗一郎:「着く頃までは、雨は持つかね?」
 マリア:「恐らくは……」
 宗一郎:「最後のレジャーだというのに、ゲリラ豪雨でケチが付くのではたまらんからね」
 マリア:「そうですね」

 イリーナなら、もしかしたら天気を変えられる力を持っているかもしれない。
 何しろ、使い魔のドラゴンが吐くブレスで雲を掃うことができるというからだ。
 悪魔と契約し、使い魔のいないマリアには到底できないことだった。

[同日17:46.天候:曇 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅→湯快爽快おおみや送迎バス]

〔まもなく終点、大宮、大宮。お出口は、左側です。新幹線、高崎線、宇都宮線、埼京線、川越線、東武アーバンパークラインとニューシャトルはお乗り換えです。電車とホームの間が広く空いている所がありますので、足元にご注意ください。今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 蕨から大宮までは、凡そ15分ほど。
 まだ、雨が降る様子は無い。
 またもや、ポイント通過で電車が大きく揺れる。
 マリアは今度は人形達が落ちないよう、ポイントを通過し終わってからバッグを下ろした。
 荷棚に置くのは、人形達がそこに乗りたがるからである。

〔「まもなく大宮、大宮、終点です。1番線に入ります。お出口は、左側に変わります。電車が大きく揺れますので、お立ちのお客様はご注意ください。また、前方の車両におきまして、ホームがカーブしている為、電車とホームの間が広く空いている所がございます。お降りの際は、足元にもご注意ください。本日も京浜東北線をご利用頂きまして、ありがとうございました」〕

 電車がホームに停車する。
 まだ大宮駅の京浜東北線ホームには、ホームドアが無い。
 設置する予定はあるようで、その工事らしきものは行われているが、今の所はまだだ。
 その為、電車が停車すると、すぐに車両のドアが開いた。

〔「ご乗車ありがとうございました。大宮ぁ、大宮、終点です。傘などお忘れ物の無いよう、ご注意ください。……」〕

 ここで電車を降りる。
 階段を昇るが、乗客が多いので、電車到着直後は混雑する。

 宗一郎:「ここはいつも混むからね」
 勇太:「ある意味、大宮駅の名物だよ」

 コンコースも人が多い所は、さすが埼玉県一のターミナル駅といったところだろう。
 改札口を出て、西口に向かう。
 みどりの窓口前付近では、何かしらイベントが行われていることがある。
 もっとも、今日は通過するだけだ。
 西口のペデストリアンデッキに出ると、様々な営業活動が見られる。
 様々なチラシ配りやティッシュ配りはもちろん、日本赤十字社による献血呼びかけも日常の光景だ。

 マリア:「無料でティッシュ貰えるの、日本だけらしい」

 マリアはどこぞのエステサロンのティッシュをもらって言った。
 女性向けサロンであるから、ティッシュ配りのアルバイトも、基本的には女性にしか渡さない。

 勇太:「場合によってはマスクをくれたりもするよ」
 マリア:「マジ!?」

 この御時世、むしろ外国ではタダでマスクがもらえる事の方が多いらしい。
 尚、作者は蕨駅東口で、大宮駅近辺のラブホのチラシとマスクをもらいました。
 ペデストリアンデッキを下りて、西武バスの降車バス停を越えた辺りに、日帰り温泉施設行きの送迎バスが停車している。
 施設のラッピングがでかでかと貼られたマイクロバスだ。

 宗一郎:「よろしく」
 運転手:「はい、どうぞー」

 バスに乗り込んで、1番後ろの4人席に並んで座った。
 こういうバスの場合、出入口付近から席が埋まって行くようだ。
 なので、後ろの席は空いている。
 バスの中は、スピーカーからラジオの音声が流れて来ている。

 勇太:「宴会でも予約してるの?」
 宗一郎:「いや、そうしたかったんだが、どうも今はコロナ禍で中止にしているようだ。しょうがないので、夕食は普通に取ることになるよ」
 勇太:「そうなんだ」

[同日18:00.天候:曇 送迎バス車内]

 発車の時間になり、運転手がエンジンを掛けた。

 運転手:「はい、それでは出発しまーす!」

 バスの自動ドアが閉まる。
 マイクロバスにはエアブレーキが搭載されていない為、自動ドアの開閉もドアエンジンを使わず、電動で行う(中・大型バスの乗降扉の開閉は、エアブレーキのエアを利用して行っている)。
 バスロータリーの中を通って、方向を反転させ、入浴施設に向かう。
 この時、新大宮バイパスに出るまで西進する形となるのだが、やはり晴れていれば西日が眩しいはずである。
 ところが、今にも雨が降り出しそうな程に曇っている為、運転手もサンバイザーを使わずに運転していた。
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“大魔道師の弟子” 「帰省最終日」 2

2022-06-05 07:44:36 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月7日11:30.天候:晴 埼玉県川口市 イオンモール川口前川3F“楽市楽座”]

 モール内の書店で、目当ての本を購入したマリア。
 数冊購入したが、その中には人形に関するものや手芸に関するものの他、魔女について研究した事が書かれた民俗学者の本もあった。
 全部日本語だが、例の眼鏡を使って読むのだろう。

 勇太:「この本、送る?」
 マリア:「家に帰ったら読むから、すぐには送らない」
 勇太:「そうか」
 マリア:「それよりどうする?まだ時間あるよね?」
 勇太:「せっかくだから、少し遊んで行こうか」

 というわけで、やってきたのはモール内のゲームセンター。

 雲羽:「おおっ!来たぞ、マリンちゃん!ロリキャラのウリンもいいねぇ!」
 AD:「カントク!撮影中ですよ!?」
 多摩:「海物語ならゲーセンの台でもいいんかいw」
 雲羽:「よし、来たっ!ワリンの“ふたりの海物語”!」

 パチンコ台を尻目に、2人の魔道士はクレーンゲームに向かう。

 マリア:「勇太、あのテディベア取って!」
 勇太:「よーし、分かった。(テディベアにも興味深々なマリア、かわいい)」

 そういえば他にも、以前に勇太がクレーンゲームで取ったぬいぐるみがマリアに部屋に飾られてたり、屋敷内の他の場所に飾られていたりした。
 もっとも、マリアにはテディベアが欲しい理由が他にもあるのかもしれない。

 勇太:「1回や2回で取ろうなんて思ってはいけない。500円玉は使うくらいの気持ちでなくちゃ」

 そう言って勇太は500円玉を投入した。
 実際に100円玉に換算すると何枚分の費用が掛かったかは想像にお任せするが、勇太は確実にテディベアをゲットしたのである。

 マリア:「Amazing!」
 勇太:「……取ってみると、案外デカいな。これはさすがに送るよね?」
 マリア:「まあ、そうだね。他には何する?」
 勇太:「そうだねぇ……」

 カジノらしく、スロットとか……。

 勇太:「カジノ系はマリアが強い……!?」
 マリア:「たまたまだよ、たまたま」(←しかしドヤ顔である)

 でも、やっぱりパチンコもやる。

 雲羽:「いいか?この“海物語”は右回りがミソだぞ」
 勇太:「名城線?」
 雲羽:「名古屋の地下鉄じゃねぇ!」

 東京山手線と大阪環状線は『内回り』『外回り』なのに、名古屋市営地下鉄名城線はどうして『右回り』『左回り』なのだろう?

〔リーチ!〕

 勇太:「あ、何か来た」
 雲羽:「なにっ!?」

〔「輝くー♪マリンブルー♪せーので飛び込もう♪……」〕

 勇太:「おおっ!?」
 雲羽:「なにっ!?いきなり確変行くとはっ!?」
 勇太:「この金髪がマリンちゃん?」
 雲羽:「そうだ!このボインがいいんだ!」
 勇太:「そうだね」
 マリア:「……おい!」

 AD:「どうします?カントクが……」
 多摩:「後でボコす」

[同日13:00.天候:晴 同モール1F KFC]

 マリア:バリボリバリボリ
 勇太:「ちょっとマリアさん!某日本のリサ・トレヴァーじゃないんだから、骨ごと食べないで!」
 マリア:「勇太、おかわり。オリジナルチキン3ピース。ほら、さっさと行けよ!」
 勇太:「はぁーい……。(二次元キャラにも嫉妬するマリアさん、かわいい……)」

[同日14:00.天候:晴 イオンモール川口前川バス停(構内始発)→国際興業バスSC01系統車内]

 帰りのバスはワンステップバスだった。
 都営バスではノンステップバスに統一されたが、それ以外の首都圏のバス会社ではワンステップバスも混在している。
 再び後ろの2人席に座った。
 マリアが買った本は勇太が持ってあげたが、テディベアに関してはマリアが大事そうに抱えている。

〔「お待たせ致しました。蕨駅東口行き、発車致します」〕

 バスは定刻通りに発車した。
 中途半端な時間なせいか、車内は往路と比べると空いている。

〔♪♪♪♪。毎度、国際興業バスをご利用頂きまして、ありがとうございます。このバスは、蕨駅東口行きです。次はイオンモール川口前川、イオンモール川口前川でございます〕

 上りのバスは、県道上の『イオンモール川口前川』バス停にも止まる。
 なので、同じ名前のバス停が路線上に2つ存在することになる。

 勇太:「今から集荷の依頼をしておいたよ。夕方に出発するだろうから、それまでに来てもらうように頼んだ」

 勇太はスマホを見せて言った。

 マリア:「ありがとう。手際がいいね」
 勇太:「いやいや……」

 お腹一杯食べたら、機嫌が良くなったようだ。

[同日14:20.天候:晴 同市内 稲生家]

 勇太:「ただいまァ」
 マリア:「戻りました」
 佳子:「お帰りなさい。……あら、また随分と買ってきたのねぇ!」
 勇太:「買ったのは、マリアの本だけなんだけどね。これらは、ゲーセンの景品で……」

 テディベアの他にも、お菓子とかアニメキャラのグッズとか……。

 佳子:「どうするの、これ?」
 勇太:「……と、いうわけでお土産です。ビールのおつまみにどうぞ」

 勇太、クレーンゲームでゲットしたビーフジャーキーやあたりめの入った箱を出した。
 他にも、チョコレートなどのお菓子も。

 勇太:「グッズは……持って帰ります」
 佳子:「そうしなさい。家に置かれても困るしね。そのテディベアは?」
 勇太:「屋敷に送るよ。さっき、集荷依頼した」
 佳子:「そう」
 勇太:「因みに、いつ出るの?」
 佳子:「17時31分発の京浜東北線に乗るわよ」
 勇太:「分かった」
 マリア:「それまで、本でも読むか……」

 マリアは勇太から本を受け取ると、それで3階の部屋に向かった。

 勇太:「あっ、マリア。出発する準備もしておくんだよ?」
 マリア:「分かってるよ」

 マリアは頷いて、エレベーターに乗った。

 マリア:(本を読むとあっという間だから、先に出発の準備をしておくか)

 そして部屋に入ると……。

 ミカエラ:「お帰りなさいませ、マスター。出発の準備を整えておきました」
 マリア:「早っ!」

 メイド人形達がやっていてくれたおかげで、マリアは集中して本を読むことができた。
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