[5月7日18:25.天候:雨 埼玉県さいたま市大宮区 湯快爽快おおみや]
新大宮バイパスの下り線は混んでいた。
特に事故とか工事のせいではなく、GWのせいだからだろう。
普通乗用車でも、やたら他県ナンバーを見かけたので、GWを埼玉や都内で過ごした車がそれぞれの地域へ帰る為、集中したものと思われる。
その為か到着遅延により、間に合わず、雨が先に降り出すという結果になってしまった。
運転手:「到着しました。皆さん、お気をつけて」
バスの発着場に到着する。
以前は正面入口に近い場所で乗り降りしていたのだが、車道に面していた為か、増設された駐車場に移動となってしまった。
勇太とマリアはローブのフードを被り、宗一郎と佳子は相合傘で向かう。
宗一郎:「いやいや、参ったねぇ……」
マリア:「申し訳ありません。道路渋滞までは、占っていませんでした」
宗一郎:「しょうがないよ。というか確かにGWなんだから、そりゃバイパスも高速も混むだろうね。キミ達は大丈夫なのかい?」
勇太:「まあ、深夜に出発する夜行便だから、大丈夫だと思うけど……」
中央道は朝から混む。
では、夜は?【お察しください】。
館内に入り、靴を脱いで上がる。
館内は館内で、賑わっているようだ。
特に、家族連れが多い。
もちろん、勇太達もその一組だ。
宗一郎は入浴券の他、タオルや館内着のレンタルセット券も購入した。
宗一郎:「まあ、気を取り直してゆっくりしよう。まずは、風呂に入ろう」
というわけで、2階の大浴場に向かった。
勇太:「露天風呂が大変なことになってるぅ……!」
脱衣場から露天風呂が見えるのだが、ゲリラ豪雨により、露天風呂の利用者が内風呂に避難してくるという事態が起きていた。
ただでさえ混雑しているというのに、これでは内風呂は芋洗い状態である。
勇太:「ど、どうする?」
宗一郎:「こうなっては仕方が無い。とにかく、先に洗い場を確保だ!」
勇太:「う、うん」
何はともあれ、先に洗い場で体を洗わないことには、そもそも湯船に入ることはできない。
驚くべきことに、サウナも混雑しているのか、その入口前に列ができているほどだった。
中には諦めて、風呂から上がる人もチラホラ……。
宗一郎:「行くぞ、勇太」
勇太:「えっ、どこに?」
体を洗い終わると、宗一郎に肩を叩かれた。
宗一郎:「決まってるじゃないか」
宗一郎は露天風呂を指さした。
宗一郎:「ここの施設は内風呂は沸かし湯で、天然温泉は露天風呂だけだ。つまり、露天風呂に入らないことには意味が無い」
勇太:「本気で言ってるの!?」
露天風呂には一部屋根の掛かっている所もあるにはあるが、そこも人でいっぱいだ。
宗一郎:「あの中はどうだろう?」
宗一郎は『庵湯』を指さした。
小屋になっている場所で、吹き曝しの露天風呂と比べて少し温度が高いという。
勇太:「あそこも混んでるんじゃないの?」
宗一郎:「いや、分からんぞ。行ってみよう」
勇太:「ひぃ~!」
2人の親子は天然のシャワーに打たれながら、露天風呂のエリアにある庵湯に入った。
その小屋の中は中で洗い場があり、そして大きな湯船がある。
外の吹き曝しと比べれば温度が高いということもあり、子供はいなかった。
その為か、思ったよりは空いている。
宗一郎:「隣、すいません」
老翁:「あいよ」
勇太:「すいません」
宗一郎:「どうだ、勇太?『為せば成る』と言うだろう?」
勇太:「『洗えば食える 何物も』だっけ?」
宗一郎:「クレヨンしんちゃんか!余計な下の句は要らん!諦めてはいかんのだ」
勇太:「『諦めたら、そこで試合終了』だもんね」
宗一郎:「スラムダンクか!作者の年代だぞ!」
懐かしい~!
老翁:「青年よ。『閑古鳥 南北向きて 鳴き至る』これに続く下の句を答えよ」
勇太:「うーん……。『東西向いて 鳴くは雛(ひよこ)か』」
老翁:「何故に?」
勇太:「いえ、だって、南北方向の横断歩道は青になったらカッコーが鳴いて、東西方向の横断歩道は青になったらヒヨコが鳴くんで」
宗一郎:「信号機か!この御老人はそういう答えを求めてはいない!」
老翁:「むむ!さすが若者ならではの着眼点じゃ。次の問題。『弾打つは 海物語 マリンちゃん』、これに続く下の句を考えい」
宗一郎:「な、何ですか、それは?む
勇太:『雲羽の目的 今はウリンか』ですか?」
宗一郎:「何でだ?!」
老翁:「フフフ……。『弾』と名誉監督の『多摩』を掛けたか。だが、字余りじゃ。面白いがな。粗削りだが、素質ある所は素晴らしい。これからも、精進したまえ」
するとその老翁は、見る見るうちに風貌が変わって……。
勇太:「だ、大師匠様!?」
何と、魔法道ダンテ門流創始者のダンテ・アリギエーリの姿に変わった!
びっくりして仰け反った勇太、足を滑らせて湯船にドボン!
勇太:「ゴボゴボゴボカバベボ……!○o。.」
宗一郎:「おい、大丈夫が!?」
宗一郎が勇太を引き上げる。
勇太:「ブバッ!?……はぁっ、はぁっ!」
宗一郎:「子供じゃあるまいし、風呂の中で溺れるヤツがあるか!」
勇太:「だ、だって……あ、ばれっ?!ブボッ!」
勇太、溺れた時に飲んでしまったお湯を吐き出した。
宗一郎:「あ、あれ?!さっきの御老体は?」
子供:「パパー!急に晴れたよー!?」
さっきまで雷がドカンドカン鳴って、滝のような雨が降っていたのだが、いつの間にか止んで、西日が差し込んでいた。
ダンテ:「青年よ。次の時代を作るのは、お前達だ。期待しているぞ」
勇太の頭の中に、ダンテの声が響いていた。
勇太:「あー、びっくりした……」
宗一郎:「びっくりしたのはこっちだよ。さっきの御老体、消えてしまったようだが、大丈夫なのか?」
勇太:「う、うん。大師匠様は、イリーナ先生の先生でもある、凄い御方だから……」
宗一郎:「えっ!?そんな偉い人だったのか!?」
勇太:「う、うん。凄い御方という言葉さえ、失礼なほどの……」
時折お忍びで、弟子達の様子を見に来ることがあるとは聞いたことがあるが、まさかまだ見習いの自分の所に来るとは思ってもみなかった勇太は、ただただ驚くしかなかったという。
新大宮バイパスの下り線は混んでいた。
特に事故とか工事のせいではなく、GWのせいだからだろう。
普通乗用車でも、やたら他県ナンバーを見かけたので、GWを埼玉や都内で過ごした車がそれぞれの地域へ帰る為、集中したものと思われる。
その為か到着遅延により、間に合わず、雨が先に降り出すという結果になってしまった。
運転手:「到着しました。皆さん、お気をつけて」
バスの発着場に到着する。
以前は正面入口に近い場所で乗り降りしていたのだが、車道に面していた為か、増設された駐車場に移動となってしまった。
勇太とマリアはローブのフードを被り、宗一郎と佳子は相合傘で向かう。
宗一郎:「いやいや、参ったねぇ……」
マリア:「申し訳ありません。道路渋滞までは、占っていませんでした」
宗一郎:「しょうがないよ。というか確かにGWなんだから、そりゃバイパスも高速も混むだろうね。キミ達は大丈夫なのかい?」
勇太:「まあ、深夜に出発する夜行便だから、大丈夫だと思うけど……」
中央道は朝から混む。
では、夜は?【お察しください】。
館内に入り、靴を脱いで上がる。
館内は館内で、賑わっているようだ。
特に、家族連れが多い。
もちろん、勇太達もその一組だ。
宗一郎は入浴券の他、タオルや館内着のレンタルセット券も購入した。
宗一郎:「まあ、気を取り直してゆっくりしよう。まずは、風呂に入ろう」
というわけで、2階の大浴場に向かった。
勇太:「露天風呂が大変なことになってるぅ……!」
脱衣場から露天風呂が見えるのだが、ゲリラ豪雨により、露天風呂の利用者が内風呂に避難してくるという事態が起きていた。
ただでさえ混雑しているというのに、これでは内風呂は芋洗い状態である。
勇太:「ど、どうする?」
宗一郎:「こうなっては仕方が無い。とにかく、先に洗い場を確保だ!」
勇太:「う、うん」
何はともあれ、先に洗い場で体を洗わないことには、そもそも湯船に入ることはできない。
驚くべきことに、サウナも混雑しているのか、その入口前に列ができているほどだった。
中には諦めて、風呂から上がる人もチラホラ……。
宗一郎:「行くぞ、勇太」
勇太:「えっ、どこに?」
体を洗い終わると、宗一郎に肩を叩かれた。
宗一郎:「決まってるじゃないか」
宗一郎は露天風呂を指さした。
宗一郎:「ここの施設は内風呂は沸かし湯で、天然温泉は露天風呂だけだ。つまり、露天風呂に入らないことには意味が無い」
勇太:「本気で言ってるの!?」
露天風呂には一部屋根の掛かっている所もあるにはあるが、そこも人でいっぱいだ。
宗一郎:「あの中はどうだろう?」
宗一郎は『庵湯』を指さした。
小屋になっている場所で、吹き曝しの露天風呂と比べて少し温度が高いという。
勇太:「あそこも混んでるんじゃないの?」
宗一郎:「いや、分からんぞ。行ってみよう」
勇太:「ひぃ~!」
2人の親子は天然のシャワーに打たれながら、露天風呂のエリアにある庵湯に入った。
その小屋の中は中で洗い場があり、そして大きな湯船がある。
外の吹き曝しと比べれば温度が高いということもあり、子供はいなかった。
その為か、思ったよりは空いている。
宗一郎:「隣、すいません」
老翁:「あいよ」
勇太:「すいません」
宗一郎:「どうだ、勇太?『為せば成る』と言うだろう?」
勇太:「『洗えば食える 何物も』だっけ?」
宗一郎:「クレヨンしんちゃんか!余計な下の句は要らん!諦めてはいかんのだ」
勇太:「『諦めたら、そこで試合終了』だもんね」
宗一郎:「スラムダンクか!作者の年代だぞ!」
懐かしい~!
老翁:「青年よ。『閑古鳥 南北向きて 鳴き至る』これに続く下の句を答えよ」
勇太:「うーん……。『東西向いて 鳴くは雛(ひよこ)か』」
老翁:「何故に?」
勇太:「いえ、だって、南北方向の横断歩道は青になったらカッコーが鳴いて、東西方向の横断歩道は青になったらヒヨコが鳴くんで」
宗一郎:「信号機か!この御老人はそういう答えを求めてはいない!」
老翁:「むむ!さすが若者ならではの着眼点じゃ。次の問題。『弾打つは 海物語 マリンちゃん』、これに続く下の句を考えい」
宗一郎:「な、何ですか、それは?む
勇太:『雲羽の目的 今はウリンか』ですか?」
宗一郎:「何でだ?!」
老翁:「フフフ……。『弾』と名誉監督の『多摩』を掛けたか。だが、字余りじゃ。面白いがな。粗削りだが、素質ある所は素晴らしい。これからも、精進したまえ」
するとその老翁は、見る見るうちに風貌が変わって……。
勇太:「だ、大師匠様!?」
何と、魔法道ダンテ門流創始者のダンテ・アリギエーリの姿に変わった!
びっくりして仰け反った勇太、足を滑らせて湯船にドボン!
勇太:「ゴボゴボゴボカバベボ……!○o。.」
宗一郎:「おい、大丈夫が!?」
宗一郎が勇太を引き上げる。
勇太:「ブバッ!?……はぁっ、はぁっ!」
宗一郎:「子供じゃあるまいし、風呂の中で溺れるヤツがあるか!」
勇太:「だ、だって……あ、ばれっ?!ブボッ!」
勇太、溺れた時に飲んでしまったお湯を吐き出した。
宗一郎:「あ、あれ?!さっきの御老体は?」
子供:「パパー!急に晴れたよー!?」
さっきまで雷がドカンドカン鳴って、滝のような雨が降っていたのだが、いつの間にか止んで、西日が差し込んでいた。
ダンテ:「青年よ。次の時代を作るのは、お前達だ。期待しているぞ」
勇太の頭の中に、ダンテの声が響いていた。
勇太:「あー、びっくりした……」
宗一郎:「びっくりしたのはこっちだよ。さっきの御老体、消えてしまったようだが、大丈夫なのか?」
勇太:「う、うん。大師匠様は、イリーナ先生の先生でもある、凄い御方だから……」
宗一郎:「えっ!?そんな偉い人だったのか!?」
勇太:「う、うん。凄い御方という言葉さえ、失礼なほどの……」
時折お忍びで、弟子達の様子を見に来ることがあるとは聞いたことがあるが、まさかまだ見習いの自分の所に来るとは思ってもみなかった勇太は、ただただ驚くしかなかったという。