[2月9日19時07分 天候:曇 静岡県富士市川成島 JR新富士駅→東海道新幹線742A列車1号車内]
私は高野君から譲り受けた画像を確認した。
そこには民宿内が無人になったことを確認した高野君と、そのパートナーの“青いアンブレラ”隊員が、エレベーターを使って地下室に潜入する所が映し出されていた。
カメラは高野君のボディカメラで撮影されたもの。
だからまるで、高野君の一人称視点のようである。
パートナーの隊員が、どこからどう見ても武装軍人の恰好をしていたので、高野君もそうだったのだろう。
こんなんで外を歩いたら、一発で通報される。
ところが、エレベーターを降りてからの状況が一変した。
地下室内が特異菌まみれになっていたのである。
そこからはモールデッドが現れる始末。
高野君は手持ちのマシンガンで、パートナーはショットガンで応戦した。
あまり広くない地下室に、モールデッドは5~6匹ほど現れただろうか。
しかし、高野君達はそれを難無く倒した。
これには、背筋が凍ったものだ。
まさか、公一伯父さんがこんなことをするような人ではないと思っていたからだ。
だから私達、殆ど丸腰で来てしまったのである。
そのような状態で、こんな化け物達と対峙したら殺されてしまう。
栃木の時は高橋がマグナムを持っていたのと、素手だけで戦闘力のあるリサが一緒だったから良かったようなものだ。
そして、特異菌まみれの研究室を探索した高野君達が、伯父さんが残して行ったと思われる資料を確認して持ち去る所が撮影されていた。
本当なら、それを私達が持って行きたかったのだが……。
しかし、そうこうしているうちに、更に状況が悪化。
そう、あのガス爆発である。
そう考えると、ガスボンベを爆発させたのは、“青いアンブレラ”と敵対する者のようである。
まあ、私と高橋を狙った可能性も無くはないが、このタイミングを見ると、高野君やそのパートナーを狙ったものと見て不自然は無いだろう。
生き埋めになるかもしれない状況の中で、高野君達は冷静な状況判断をした。
地下室の奥にある壁の下にある通気口みたいな鉄板を破壊すると、そこから脱出したのである。
そこは水路になっていた。
用水路なのか、それとも下水道なのかは不明だが、とにかく高野君達はそこから脱出して事無きを得たようである。
〔ピン♪ポン♪パン♪ポーン♪ 新幹線をご利用頂きまして、ありがとうございます。まもなく1番線に、“こだま”742号、東京行きが入線致します。黄色い点字ブロックの内側まで、お下がりください。この電車は、各駅に止まります。グリーン車は8号車、9号車、10号車。自由席は1号車から6号車と、13号車から16号車です。……〕
通過線を“のぞみ”や“ひかり”がバンバン通過していく中、ようやくホームに接近放送が流れた。
“のぞみ”や“ひかり”と同じ車両が、眩いヘッドライトを照らして接近してくる。
これもこのまま通過してしまうのではないかと思ったが、ちゃんとポイントをホームのある線路の方に入って来た。
それでも、最後尾の車両の所で待っていたので、時速70キロ以上のスピードで入線してくる。
こんな後ろの方に乗るのは、なるべく空いている車両に乗りたいと思ったからだ。
〔しんふじ、新富士です。しんふじ、新富士です。ご乗車、ありがとうございました〕
案の定、夜の上り列車は空いていた。
名古屋始発の“こだま”だから、というのもあるかもしれない。
とにかく、車内に入ると、空いている2人席に腰かけた。
夕食は食べたし、酒も飲んだので、帰りの旅のお供はお茶のペットボトル1本だけである。
ゴオッと轟音を立てて、通過列車が追い抜いて行く。
私はコートを脱ぐと、鞄と一緒に網棚の上に置いた。
そして、窓側に座る。
スマホを取り出して、善場主任にメールを送った
愛原「夕食を取っていたもので、少し連絡が遅れました。申し訳ありません」
という枕詞を入れ、それから、これから新幹線で帰京する旨を送信した。
すると、すぐに主任から返信があり、『お疲れ様でした』との労いの言葉があってから、早速明日、報告に来て欲しいとのことだった。
愛原「あー、そうか……。こりゃ、酒など飲んでる場合じゃなかったな」
高橋「先生?」
愛原「善場主任から、明日、今日の事を報告して欲しいとのことだ。帰ったら、報告書の作成だな」
高橋「そういうことっスか。もちろん、手伝いますよ」
高橋は大きく頷いた。
〔「お待たせ致しました。19時10分発、“こだま”742号、東京行き、まもなく発車致します」〕
発車の時刻が近づくと、ホームに発車ベルが鳴り響く。
〔1番線、“こだま”742号、東京行きが発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください。お見送りのお客様は、黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕
そして、甲高い客終合図のブザーが聞こえて来ると、ドアチャイムが鳴ってドアが閉まった。
それから列車が走り出す。
新富士駅で3分停車したが、次の三島駅でも通過列車の待ち合わせをするのだろう。
私は善場主任とのやり取りを終えると、今度はリサに、新幹線に乗った旨をLINEで送った。
こちらも既読はすぐに付いて、返信も早かった。
愛原「報告書を纏めると言っても、調査内容について纏めることは殆ど無いんだよなぁ……」
高橋「アネゴのことを書くしかないっスよ」
愛原「まあな……」
因みに高野君が民宿の地下室に潜入した画像のデータは、今はくれなかった。
記録媒体にして、うちの事務所に送るという。
その方が、互いにとっても良いだろうとのこと。
確かに私としては、高野君が新富士駅にいることをすぐにデイライトに報告しなければならなくなる。
記録媒体も、事務所に持ち帰らず、デイライトの事務所まで持って来いと言うだろう。
そこで、後で送る作戦のようだ。
いつ届くか分からないが、デイライトに行くのは明日午前中なのだから、それまでに送っておいて欲しいものだ。
私は高野君から譲り受けた画像を確認した。
そこには民宿内が無人になったことを確認した高野君と、そのパートナーの“青いアンブレラ”隊員が、エレベーターを使って地下室に潜入する所が映し出されていた。
カメラは高野君のボディカメラで撮影されたもの。
だからまるで、高野君の一人称視点のようである。
パートナーの隊員が、どこからどう見ても武装軍人の恰好をしていたので、高野君もそうだったのだろう。
こんなんで外を歩いたら、一発で通報される。
ところが、エレベーターを降りてからの状況が一変した。
地下室内が特異菌まみれになっていたのである。
そこからはモールデッドが現れる始末。
高野君は手持ちのマシンガンで、パートナーはショットガンで応戦した。
あまり広くない地下室に、モールデッドは5~6匹ほど現れただろうか。
しかし、高野君達はそれを難無く倒した。
これには、背筋が凍ったものだ。
まさか、公一伯父さんがこんなことをするような人ではないと思っていたからだ。
だから私達、殆ど丸腰で来てしまったのである。
そのような状態で、こんな化け物達と対峙したら殺されてしまう。
栃木の時は高橋がマグナムを持っていたのと、素手だけで戦闘力のあるリサが一緒だったから良かったようなものだ。
そして、特異菌まみれの研究室を探索した高野君達が、伯父さんが残して行ったと思われる資料を確認して持ち去る所が撮影されていた。
本当なら、それを私達が持って行きたかったのだが……。
しかし、そうこうしているうちに、更に状況が悪化。
そう、あのガス爆発である。
そう考えると、ガスボンベを爆発させたのは、“青いアンブレラ”と敵対する者のようである。
まあ、私と高橋を狙った可能性も無くはないが、このタイミングを見ると、高野君やそのパートナーを狙ったものと見て不自然は無いだろう。
生き埋めになるかもしれない状況の中で、高野君達は冷静な状況判断をした。
地下室の奥にある壁の下にある通気口みたいな鉄板を破壊すると、そこから脱出したのである。
そこは水路になっていた。
用水路なのか、それとも下水道なのかは不明だが、とにかく高野君達はそこから脱出して事無きを得たようである。
〔ピン♪ポン♪パン♪ポーン♪ 新幹線をご利用頂きまして、ありがとうございます。まもなく1番線に、“こだま”742号、東京行きが入線致します。黄色い点字ブロックの内側まで、お下がりください。この電車は、各駅に止まります。グリーン車は8号車、9号車、10号車。自由席は1号車から6号車と、13号車から16号車です。……〕
通過線を“のぞみ”や“ひかり”がバンバン通過していく中、ようやくホームに接近放送が流れた。
“のぞみ”や“ひかり”と同じ車両が、眩いヘッドライトを照らして接近してくる。
これもこのまま通過してしまうのではないかと思ったが、ちゃんとポイントをホームのある線路の方に入って来た。
それでも、最後尾の車両の所で待っていたので、時速70キロ以上のスピードで入線してくる。
こんな後ろの方に乗るのは、なるべく空いている車両に乗りたいと思ったからだ。
〔しんふじ、新富士です。しんふじ、新富士です。ご乗車、ありがとうございました〕
案の定、夜の上り列車は空いていた。
名古屋始発の“こだま”だから、というのもあるかもしれない。
とにかく、車内に入ると、空いている2人席に腰かけた。
夕食は食べたし、酒も飲んだので、帰りの旅のお供はお茶のペットボトル1本だけである。
ゴオッと轟音を立てて、通過列車が追い抜いて行く。
私はコートを脱ぐと、鞄と一緒に網棚の上に置いた。
そして、窓側に座る。
スマホを取り出して、善場主任にメールを送った
愛原「夕食を取っていたもので、少し連絡が遅れました。申し訳ありません」
という枕詞を入れ、それから、これから新幹線で帰京する旨を送信した。
すると、すぐに主任から返信があり、『お疲れ様でした』との労いの言葉があってから、早速明日、報告に来て欲しいとのことだった。
愛原「あー、そうか……。こりゃ、酒など飲んでる場合じゃなかったな」
高橋「先生?」
愛原「善場主任から、明日、今日の事を報告して欲しいとのことだ。帰ったら、報告書の作成だな」
高橋「そういうことっスか。もちろん、手伝いますよ」
高橋は大きく頷いた。
〔「お待たせ致しました。19時10分発、“こだま”742号、東京行き、まもなく発車致します」〕
発車の時刻が近づくと、ホームに発車ベルが鳴り響く。
〔1番線、“こだま”742号、東京行きが発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください。お見送りのお客様は、黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕
そして、甲高い客終合図のブザーが聞こえて来ると、ドアチャイムが鳴ってドアが閉まった。
それから列車が走り出す。
新富士駅で3分停車したが、次の三島駅でも通過列車の待ち合わせをするのだろう。
私は善場主任とのやり取りを終えると、今度はリサに、新幹線に乗った旨をLINEで送った。
こちらも既読はすぐに付いて、返信も早かった。
愛原「報告書を纏めると言っても、調査内容について纏めることは殆ど無いんだよなぁ……」
高橋「アネゴのことを書くしかないっスよ」
愛原「まあな……」
因みに高野君が民宿の地下室に潜入した画像のデータは、今はくれなかった。
記録媒体にして、うちの事務所に送るという。
その方が、互いにとっても良いだろうとのこと。
確かに私としては、高野君が新富士駅にいることをすぐにデイライトに報告しなければならなくなる。
記録媒体も、事務所に持ち帰らず、デイライトの事務所まで持って来いと言うだろう。
そこで、後で送る作戦のようだ。
いつ届くか分からないが、デイライトに行くのは明日午前中なのだから、それまでに送っておいて欲しいものだ。