報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「バレンタインデー」

2024-01-09 22:19:29 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月14日15時00分 天候:晴 東京都台東区上野 JR上野駅→京成上野駅]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は新橋のデイライトで打ち合わせをした後は、山手線に乗って上野駅にやってきた。

〔うえの~、上野~。ご乗車、ありがとうございます。次は、鶯谷に、停車します〕

 京成上野駅に行って、スカイライナーのキップを買う為である。
 電車を降りて、改札口に向かう。
 すると……。

 リサ「あ、先生!」

 そこへ学校帰りのリサと偶然会った。

 愛原「何だ、リサか。学校帰りか?」
 リサ「うん、そう」
 レイチェル「Hello.」
 愛原「Hello.Good day,today.」
 レイチェル「Yes.」
 リサ「もしかして学校からの呼び出し?今日はわたし、何もしてないよ?」
 愛原「違う違う。旅行の準備だって言っただろ」
 リサ「あ、そうか。お兄ちゃんは?」
 愛原「高橋は別件で、警察に行ってる」
 リサ「お兄ちゃんの方が何かやらかしたの?」
 愛原「いや、交友関係の方だろう。どうせ車やバイクでヤンチャしてる知り合いがやらかして、そいつらが高橋の名前でも出したんじゃないの?高橋も、『とんだトバッチリだ!』って半ギレしてたから」
 リサ「自業自得だと思うけど」
 愛原「まあな。じゃあ、気をつけて帰るんだぞ」
 リサ「先生。わたしも行っていい?」
 愛原「行っていいったって、京成上野駅に行くだけだぞ?」
 リサ「それでもいい」
 レイチェル「旅行って、どこか行くんですか?」
 愛原「今度の23日、ポツンと祝日があるだろ?日帰りで温泉に行こうと思って。高尾山の温泉にはもう行ったから、今度は成田空港近くの方に行ってみようと思ってさ」
 リサ「エレンを成田空港に見送りに行った時に気づいたんだよね?」
 愛原「まあ、そういうことだな。100%俺の趣味だ。後は週末、2泊3日で仙台の方にでも行こうと思ってね。俺の実家の帰省も兼ねて。年末年始、帰らなかったから」
 レイチェル「そういうことでしたか。あの……私も御一緒してもよろしいですか?」
 愛原「えっ!?」
 レイチェル「私の分の費用は、私が自分で出しますから」
 愛原「いいけど、わざわざ成田空港の近くまで行って、温泉入って帰るだけだぞ?」
 レイチェル「はい。それでも構いません。日本の温泉がどういう所だか、まだ分かりませんので」
 愛原「そういうことか。それならいいよ。ちょうどこれから、キップを買いに行くところだから」
 リサ「おー、ありがとう」
 レイチェル「チケットカウンターで購入するのですか?」
 愛原「いや、券売機でいいだろう」

 有人窓口は旅行客で混んでいたが、券売機の方はそうでもなかった。
 券売機でも、乗りたい号車や座席を指名買いすることができる。
 リサがいるので、乗車車両は先頭車か最後尾でないといけない。

 愛原「うん、良かった。ちょうどいい時間帯のスカイライナー、席が空いてる。俺は1人で乗るから、2人で一緒の座席にしたら?」
 リサ「う、うん。そうだねぇ……」
 レイチェル「いいえ。私が勝手に付いて行くだけなので、どうぞ愛原先生とリサが一緒に座ってください。帰りもそうしてください」
 愛原「あ、いや、帰りはスカイライナーには乗らないよ」
 レイチェル「そうなんですか?」
 愛原「帰りは別のルートで行こうと思ってるよ」
 レイチェル「そうですか」
 リサ「愛原先生は、色々と詳しいんだよ」
 レイチェル「そうらしいですね」

 私は慣れた手付きで、券売機を操作した。
 取りあえずまずは、4人分のキップを発券する。

 愛原「同じ車両でいいから、レイチェルも近くの席を取るといいよ」
 レイチェル「分かりました」

 レイチェルは通路を挟んで向かいの座席を予約した。
 支払いはカードである。
 BSAAから支給されているのだろうか。

 レイチェル「これでいいですか?」
 愛原「そうだね。じゃあ、キップは無くさないように」
 レイチェル「分かりました。待ち合わせは、ここでいいですかね?」
 愛原「そうだな。そこの改札口付近にしよう」
 リサ「誰も飛行機に乗らないのに、成田空港まで行く特急に乗るとか……w」
 愛原「前々から行きたかったんだよ。北海道の新千歳空港なんか、空港ターミナル内に温泉があるくらいなんだぞ」
 リサ「そうなんだ!……でも残念。わたし達の修学旅行は、沖縄」
 愛原「そうだな。しかも、羽田空港からだ。羽田空港の近くにも温泉があるようなんだが、ちょっとよく分からん。まあ、今回は成田空港で」
 リサ「分かった。先生が連れて行ってくれる所だったら、どこでも楽しいよ」
 愛原「ありがとう。次はJRの方に行って、新幹線のキップだ。……まさかレイチェル、仙台も一緒に来るんじゃ?」
 レイチェル「いえ。それは結構です。さすがに部隊からは、長距離の旅行は禁止されているので」
 愛原「あれ?修学旅行は?」
 レイチェル「学校行事には参加して良いとのことです。修学旅行は学校行事ですので、これは可能です」
 愛原「個人的な長距離旅行が禁止か……」
 レイチェル「成田空港は関東地方内にありますし、鉄道を利用しても1時間と掛かりません。であるなら、特に部隊の方から制限が掛かることはないかと」
 愛原「それなら大丈夫だな」

 私達は今度は、JR上野駅に移動した。
 ここも“みどりの窓口”ではなく、指定席券売機で新幹線を予約した。

 愛原「“はやぶさ”は満席が多いが、“やまびこ”ならまだ何とかなる。良かったな」
 リサ「うん、そうだね」
 愛原「新幹線のキップは、俺が預かっておこう」
 リサ「これで用事は終わり?」
 愛原「ああ。一緒に帰ろう」
 リサ「うん」
 レイチェル「待ってください。まだ、寄る所があります」
 リサ「ここじゃなくて、アキバでしょ?」
 レイチェル「そうです」
 愛原「買い物か?」
 リサ「そう」
 レイチェル「日本では2月14日はイベ……」
 リサ「わーわー!レイチェル!喋っちゃダメ!」
 レイチェル「Oh...Secretでしたか。ゴメンナサイ」
 愛原「何だ何だ?BSAAが出動するような内緒話か?」
 レイチェル「大丈夫です。BSAAなら、ここにいます」
 愛原「そ、それもそうか」

 正規隊員ではなく、正規隊員になる為の養成学校に通う養成員ではあるが、レイチェルもBSAAの関係者だ。
 軍隊で言えば、士官学校生のようなもの。

 愛原「じゃあ、取りあえず秋葉原まで一緒に行こうか」
 リサ「うん」

 私達は3番線・4番線ホームに向かった。
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“私立探偵 愛原学” 「最初の平日」

2024-01-09 15:07:28 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月13日16時00分 東京都墨田区菊川2丁目 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 愛原「日本アンブレラで、怪しい関係者は全員逮捕したんじゃないですか?」
 善場「そうです。ただ、実際にバイオテロの責任を問えるのは、五十嵐社長以下、本部長や副本部長クラスまでであり、それ未満の立場の社員については、逮捕されても証拠不十分で釈放とか、書類送検とかになっています」
 愛原「日野博士についてはどうなんでしょうね?」
 善場「お待ちください」

 善場主任は自分のノートPCを取り出し、それでどこかのネットワークにアクセスしたようだ。
 日本アンブレラの元関係者達が今、どうしているかが分かる一覧表だ。
 五十嵐元社長や副社長の親子については、未だに公判中となっている。
 確か今は、最高裁に上告中のはずだ。
 親子は経営者としての立場上の責任を取るのは吝かではないが、白井達の研究内容については関知していないので、責任は取れないと主張している。
 それに対して東京高裁は、『日本法人の最高責任者が、アメリカ法人の失態を知らないとは到底考えられず、研究部門の最高責任者である白井伝三郎の研究内容についても、立場的に知り得たはずで、それを知らないという主張は信用できない』としている。
 善場主任のPCでは、白井は死亡扱いになっている。

 善場「お待たせしました。日野博士、本名は日野博士ですね」
 愛原「ああ、博士と書いて『ひろし』ですか」
 善場「はい。精神薬に関する研究開発において、違法行為があったとして逮捕されています。が、不起訴処分になっていますね。現在の動向は不明となっています。持っている国家資格は、薬剤師や臨床検査技師などですね」

 そして、善場主任はその日野博士の顔写真を画面に出す。

 善場「リサを『医者』として診ようとした男は、これで間違いない?」
 リサ「うん!わたしが会った時は、もっと白髪があったけど、これで間違いないよ!」
 善場「今は栗原家で、主治医みたいなことをしていたのかもしれませんね。闇医者行為で、医師法違反でも検挙できそうです」
 リサ「偽医者だったのかぁ……」
 善場「それよりリサ、ここはいいから、早いとこテスト勉強して来なさい」
 リサ「はーい」
 愛原「お前、シレッといるもんなぁ……」

 リサは階段から4階の自室に向かった。

 愛原「何か、お手伝いできることはありますか?」
 善場「今のところは無さそうですね。奥日光の捜査もまだ続いていますので」
 愛原「栗原蓮華、全く姿を現しませんね」
 善場「どこかに潜んでいるのでしょう。……これはまだ公になっていないのですが、リサよりも不利な条件に陥っているものと思われます」
 愛原「と、仰いますと?」
 善場「目撃証言があるのは事実なんですが、それが全て夜間なんですよ」
 高橋「人目の無ェ夜に移動してんじゃねーの?」
 善場「私共も、最初はそう思いました。ですが、どうやら昼は行動できないらしいのです」
 高橋「それって……」
 愛原「宮城にいた日本版リサ・トレヴァー『6番』と同じだな。リサも、欠陥とバカにしていたヤツ」
 高橋「いましたね!」

 10代前半の少女が多い中で、『6番』は20代であった。
 見た目は美人だったが、肌はやたら色白かったのを覚えている。
 公一伯父さんがプリウスミサイルを放ち、『6番』の家に突っ込んだことで、壁に穴が開き、そこから差し込んだ西日を浴びた『6番』は自然発火して死亡した。

 高橋「でもよ、それって逆に見つかりにくいんじゃねーの?」
 善場「そういうことです。リサみたいに、GPSを仕込んでいるわけでは無いですからね」

 昼間は一切行動できないヴァンパイア型。
 昼間も行動はできるが、昼間は人間同然の力しか出せない人狼型のいずれかかと思われたが、どうやら前者のようである。

 愛原「北関東にいるんですよね?」
 善場「そこから西に移動しているようなので、今は新潟などに移動しているかもしれませんね?」
 愛原「新潟かぁ……」
 善場「今は夜の長い季節ですので、比較的有利な条件であると思われます」
 愛原「確かに」
 善場「既に何人もの人間を襲って食べているので、体質が変わったかもしれませんね」
 愛原「当然、私達は見つけ次第、殺していいわけですね?」
 善場「はい。もちろん、お持ちの銃の使用・発砲も許可します」
 高橋「いいねぇ!先生、この旅行券で鬼退治に行きましょうや!」
 愛原「行き先、仙台方面じゃなくていいの?」
 高橋「……おっと、そうでした」
 善場「まあ、あくまで新潟方面ではないかという予想なだけで、それが本当に当たっているかどうかは分かりませんよ?」
 愛原「そうですよね」

[同日18時00分 天候:晴 愛原家3階ダイニング]

 愛原「お、今日は大きな魚だなぁ」
 パール「ホッケの塩焼きです」
 愛原「肉もいいけど、たまには魚も食べたいもんな」
 高橋「そうっスね」
 リサ「……ま、それは確かに」
 パール「リサさんには、他にも焼肉がありますから」
 リサ「レアでお願い!」
 愛原「ステーキじゃねーよ」
 高橋「ったく、こいつは……」
 愛原「今日は俺が魚の気分だったから魚中心の夕食になるが、明日はリサの功績を称えて、ステーキにしておこう」
 リサ「おー!」
 愛原「明日はちょっと、旅行の予約でもしておこう。あいにくと、間に平日が入ってるんだよなぁ……」
 高橋「そういえばそうっスね。ガッコ、あんのか?」
 リサ「あるね……」
 愛原「学校が終わってから出発しよう」
 リサ「いいの?」
 愛原「いいよ。で、その前日は別の温泉にでも行けばいいんだ。……かなりマニアックになるかもだぞ?」
 高橋「上等です」
 パール「お付き合いさせて頂きます」
 リサ「先生とだったら、地獄の果てまで一緒だよ!」
 愛原「いや、地獄までは行きたくねぇなぁ」
 リサ「どこにするの?」
 愛原「春休みと被らないようにしないと。どうもリサの春休みの藤野は、1週間程度でいいらしいな」
 高橋「1週間程度って、確か春休みって短いんじゃなかったでしたっけ?」
 愛原「短いね。卒業生は1ヶ月くらいあるけど、在校生は2週間も無いんじゃないかな?」

 東京中央学園は名前の通り私立だから、都立高校と比べれば、若干違う所もあるだろう。
 だが、確かに期間は同じくらいだったはずだ。

 リサ「せっかくの春休みなのにぁ……」
 愛原「そう言うな。少しでも、人間に近づく為の治療だぞ」

 どちらかというと、リサの暴走を抑える為の物と言った方がいいか。
 背中から触手が生えるなどの化け物化を防ぐ為の物といった感じ。
 現状、リサが人間に戻るのかなり困難ということになっている。
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“私立探偵 愛原学” 「リサの調査結果」

2024-01-09 10:19:59 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月11日12時30分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 学校から戻ったリサは、お昼にパールが作ったチャーシュー麺を食べながら、私に調査結果を報告した。
 ラーメンはスーパーで買って来た袋麺である。

 愛原「坂上先生の親父さん、アンブレラの社員だったのか……。営業マンだけど」

 これは偶然だろうか。
 学校へ行きたがるリサを東京中央学園に入れたデイライトは……。
 今はもう卒業してしまったが、中等部の方にも何かあったのかもしれない。
 それとも、高等部への調査の布石だったか。
 私はメールで、善場主任に報告した。
 それと、気になることがあるので、電話しても良いかどうかを確認した。
 するとOKとのことで、私は善場主任に電話を掛けた。

 善場「善場です」
 愛原「善場主任、愛原です。お休みのところ、申し訳ありません」
 善場「バイオテロに関することでしたら、年中無休ですから構いませんよ」
 愛原「バイオテロというか……。リサが東京中央学園に入ったのって、デイライトさんの思惑ですよね?」
 善場「そうですよ。今さら隠し立てするつもりはございません。所長は覚えておいでですか?リサの入学先の候補に、聖クラリス女学館もあったことを」
 愛原「あー、そう言えば……」

 六本木にある女子校である。
 東京中央学園と同じく、中高一貫校である。
 制服がリサのトラウマをくすぐるセーラー服だったので、そこは断った。
 結果的には日本版リサ・トレヴァー『1番』が既にそこにおり、ややもすれば、そこが日本版マルハワ・デザイアになるところだったので、それを避けることができた形にはなった。

 善場「東京中央学園も怪しいと睨んでいましたので、BOWたるリサを投入してみたらどうなるかを実験してみたかったというのはあります。やや時間は掛かりましたが、驚くべき結果を残してくれました。白井伝三郎が科学講師として学園に潜入していたどころか、特異菌の事や斉藤秀樹容疑者のことまで明かしてくれたのですから」
 愛原「担任の坂上先生の父親が、元アンブレラの社員だったというのは?」
 善場「それは大した成果ではないですね。元々が日本アンブレラは、アンブレラグループの光の部分を出す為に創業されました。その光の部分の営業部門の社員には、いくら調査しても、闇の部分の深い所までは分かりませんでしたので」
 愛原「そうでしたか」
 善場「問題は闇の部分ですね。アメリカの本体が廃止した研究を、日本では引き続き行っていたわけですから」
 愛原「はい」
 善場「日野博士は、白井伝三郎の下で働いていた研究員の1人です。白井が本部長で、日野博士は研究主任です」
 愛原「なるほど」

 リサの話では、坂上先生の親父さんは担当課長だったという。
 なるほど。
 主任と担当課長では、後者の方が上だろう。
 部門が違うのだから、比較対象になるのかどうかは不明だが。

 善場「他にも元アンブレラ社員が、例えば学校法人の教員に転職したりすることはあったようです」
 愛原「そこは調査しなくて良いのですか?」
 善場「もちろん調査済みです。具体的なバイオテロや、その準備罪に問われるようなことをしていたわけではないのであれば、特にこちらは何もしません」
 愛原「それもそうですね」
 善場「日野博士については、こちらでも調べておきましょう」
 愛原「ありがとうございます」

 私は電話を切った。
 13時を過ぎると、私は学校に電話した。

 愛原「あ、もしもし。坂上先生ですか?リサの保護者の愛原です。いつもお世話になっております」

 相手はリサの担任の坂上先生。

 愛原「うちのリサが御迷惑をお掛けしました。私の責任ですので、どうかリサの事は……」

 と、謝罪した上で……。

 愛原「日野博士の情報、ありがとうございました。恐らくかなり有益な情報になると思いますので、こちらに関しても御礼を言わせてください」
 坂上「あ、あの……」
 愛原「はい?」
 坂上「いえ、何でもありません」
 愛原「そうですか。宜しかったら、また日野博士のことについて分かったことがありましたら、是非とも教えて頂けないでしょうか?私に直接でも構いませんし、リサに言って頂いても構いませんから」
 坂上「わ、分かりました」

 私は電話を切った。
 妙だな。
 坂上先生の反応がおかしい。
 どうやら、何か隠しているのかもしれない。

[2月13日15時00分 天候:晴 愛原学探偵事務所2階]

 週が明けて、善場主任が事務所にやってきた。

 善場「遅くなりまして、申し訳ございません。こちらがお返しする商品券など、有価証券類になります」
 愛原「ありがとうございます」
 善場「こちらの書類に御記入願います」
 愛原「分かりました」

 私が事務所の応接コーナーで、そのようなやり取りをしていると……。

 リサ「ただいまァ」

 リサが帰って来た。

 パール「リサさん、今、来客中ですよ」
 リサ「知ってる。善場さんでしょ?だったら、ちょうどいいかと思って」
 善場「ちょうどいいって、どういうこと?」

 応接コーナーは衝立で仕切られていたが、そこから善場が顔を覗かせた。
 制服姿のリサは、鞄の中からA4サイズの茶封筒を取り出した。

 リサ「担任の坂上先生から。当時同級生だった日野博士の息子の日記」
 善場「ええっ?」
 愛原「何だって!?」
 善場「どうしてあなたの担任が持っていたの?」
 リサ「坂上先生、隠し事をしていて、日野先輩が行方不明になった時、部室からそのノートを見つけたんだって。気になることが色々書いてあったから、それを持って帰っちゃって、そのままになってたんだって」
 善場「なるほど。そういうことですか」

 善場主任は、リサからノートを受け取った。
 どうやらノートは、普段から『いい人』を演じている日野という人物が、それに対するストレスの捌け口をぶつける為の物だったようだ。
 ノートそのものにも、『恨みのノート』と書かれている。
 人望の厚さからイジメまでは受けていなかったようだが、パラパラとノートを捲っていた善場主任の表情が段々と険しくなる。

 善場「これは坂上教諭にも、事情聴取しなければなりませんね」
 リサ「今、テスト期間中だけど……」
 善場「関係ありません。このノートは預からせて頂きます。いいですね?」
 リサ「もちろん。その為に預かって来たんだから……」
 愛原「一体、どんなことが書いてあったんですか?」
 善場「彼は男版リサだったようです。もちろん、中身は人間ですがね。『薬』の力を使って、リサのような『魔王軍』を結成し、普段は『いい人』を演じながら、裏では怪奇現象にかこつけた『復讐』をしていたようです。ほら、相手がいい人だと調子に乗る人っているじゃないですか。対象はそれです」
 愛原「なるほど。で、その薬というのは……」
 善場「日本アンブレラで作られたと思われる違法薬物ですね。この日野という人物は、親がアンブレラの研究職員だったのを良いことに、そういう薬物を手に入れていたようです」
 高橋「アンパンか?シャブか?」
 善場「そちらの方が、まだ可愛いくらいです。外観上の化け物にはなりませんが、中身が化け物になるような薬物です。BSAAでも押収されたくらいですから」
 愛原「それは怖いですね」

 具体的には、飲めばたちどころにサイコパスや殺人狂にしてしまう薬とか。
 1時間なら1時間、2時間なら2時間と時間を定めて服用した人間の心臓を停止させてしまう薬とか。
 『恨みのノート』には、日野がその薬を手に入れたことが書かれていたという。
 日本アンブレラが作っていた薬は、何も化け物になるようなウィルスとか新種の菌だけではなかったということ。
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