[2月24日07時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング→1階ガレージ]
私は6時半に起床し、朝の身支度を整えると、7時には食卓についた。
リサ「先生、おはよう」
愛原「よっス。旅行の準備はできたか?」
リサ「まあね。でも、キャリーバッグ持って満員電車に乗るのは大変」
愛原「心配するな。今日は高橋が車で上野駅まで送って行ってやる」
リサ「えっ、いいの?」
高橋「チッ。先生の御命令じゃ、しょうがねぇ」
リサ「事務所の方はどうするの?」
愛原「高橋がいないのは朝の、お前の送りだけだし、どうせ今日は事務所はそんなに忙しくない。何せ窓のシャッターが開けられないんじゃどうしようも無いし、今日は2件のアポイント客と会うだけだし」
パール「私は事務所に残りますから」
愛原「そういうこと」
リサ「2人でいる間、パールにイタズラしちゃダメだよ?」
愛原「そんなことしないって」
パール「いくら先生でも、『流血の惨を見る事、必至で』ございますよ?」
パールは冷たい笑みを浮かべると、愛用のサバイバルナイフを取り出して刃をペロッと舐めた。
愛原「な?いくら俺でも命は惜しい」
リサ「う、うん。それなら大丈夫だね」
リサは安心すると、朝食のベーコンエッグをガツガツ食べ始めた。
愛原「ちょっと学校終わったらすぐ駅に来てもらう形だから慌ただしいけど、よろしく頼むな?」
リサ「うん。制服のまま新幹線に乗るなんて、修学旅行みたいだね」
愛原「俺には、入試受けに行く受験生に見えるよ」
リサ「東京中央学園は中高一貫校だから、高校入試は無いんだよね」
ただ、完全中高一貫校ではない為、高校から入学する生徒も一部にはいる。
これを『併設型中高一貫校』という。
実際、東京中央学園は中等部から大学部まであるが、短期大学部と4年制大学部を除き、各校バラバラの場所にある。
その為、完全中高一貫教育は行われていない。
ただ、高校入試の場合は、池袋にある工業科や商業科のある池袋高校で行われる為、上野高校が受験会場となることはない。
2000年代までは上野高校で入試が行われていたらしいが、受験生までもが上野高校内で怪奇現象に巻き込まれるという事態が発生し、行われなくなった。
その原因が殆ど取り除かれている今、上野高校で再開しても良いだろうに、今のところその動きは無い。
殆どリサが牛耳っているとはいえ、未だに『学校の七不思議』が存在する以上、実施できないのだろう。
リサが高等部を卒業して、完全に生きている七不思議が無くなった時、再開されるのかもしれない。
愛原「そういうことか」
リサ「でも、バッグには私服とか、着替えは入れておいたからね」
愛原「うん、その方がいい。……これ、新幹線のキップな?無くすなよ」
リサ「コインロッカーの中に、荷物と一緒に入れておけばいいかな?」
愛原「それでもいいよ。高橋、一応お前、駅まで着いて行ってやれ。車の駐車場代は後で払ってやるから」
高橋「分かりました」
朝食を食べ終えたリサと高橋は、1階のガレージに移動した。
リサは荷物と一緒に、助手席後ろのリアシートに座った。
愛原「気をつけて行けよ?」
リサ「うん、分かった」
愛原「俺達は東京駅から乗るから、お前は上野駅からだ。乗り遅れるなよ?」
リサ「うん、気をつける。先生こそ、先生の隣の席、空けておいてよね?」
愛原「いや、元々指定席だから大丈夫だぞ」
リサ「あ、そうか」
高橋「じゃあ先生、行ってきます」
愛原「ああ、頼むぞ。駐車場代、領収証もらってこいよ」
高橋「うっス」
高橋とリサを乗せた車は、ガレージを出て行った。
一応、周囲を確認してから、電動ガレージを閉めた。
善場主任の話では、栗原蓮華は夜しか活動できないのではないかと言われる。
それなら、太陽が出ているうちは安全だということだ。
但し、昼間でも、太陽の当たらない場所に隠れれば良いことなので、油断はできない。
吸血鬼だって、隠れ家の地下室に昼の間は潜んでいるのと同じことだ。
ここなら例えば、地下鉄とか。
あくまでも太陽の光に弱いというだけであって、蛍光灯などの照明は何ともないらしい。
ガッシャーンという音を立てて、電動シャッターが閉まり切ればもう安心だ。
私は再びエレベーターに乗って、3階に移動した。
愛原「高橋とリサが出発したぞ」
パール「かしこまりました。今、食後のコーヒーをお淹れ致します」
愛原「悪いな」
既にキッチンでは、パールが洗い物をしていた。
コーヒーメーカーが、ちょうどドリップコーヒーを淹れているところだ。
私は購読している新聞に目を通したが、今朝の新聞においては、蓮華がやったと思われる猟奇殺人事件の記事は無かった。
パール「今日は9時からクライアントが1件と、11時から1件入っております」
愛原「うん。どちらも不動産屋さんなことから、事故物件の調査依頼だな」
多くは何とも無いのだが、たまーにヤバい事象の物件もあるので、油断はできない。
ただその場合、高額な報酬があったりするので、ヒマな時は引き受けるようにしていた。
大体は数日間その物件に住んでみて、実際に何か起こるかどうかを調査するだけだ。
病死や事故死などの孤独死、自殺の場合は世話無いが、殺人事件の現場となると厄介だ。
いや、本当に幽霊が出るとか、そういうことじゃなくて、もしもまだ殺人犯が捕まっていなかったり、実は共犯者がいましたなんてオチだった場合、犯人が現場に戻ってくる恐れがあるのだ。
不動産屋が殺人事件の現場となった事故物件の調査依頼に対して、特に報酬を高めに設定している理由はそれだ。
愛原「まだ少し時間があるから、パールも出発の準備とかしておきなよ」
パール「ありがとうございます」
私もコーヒーを飲み終わったら事務所に移動して、来客を迎える準備をしておこうと思った。
私は6時半に起床し、朝の身支度を整えると、7時には食卓についた。
リサ「先生、おはよう」
愛原「よっス。旅行の準備はできたか?」
リサ「まあね。でも、キャリーバッグ持って満員電車に乗るのは大変」
愛原「心配するな。今日は高橋が車で上野駅まで送って行ってやる」
リサ「えっ、いいの?」
高橋「チッ。先生の御命令じゃ、しょうがねぇ」
リサ「事務所の方はどうするの?」
愛原「高橋がいないのは朝の、お前の送りだけだし、どうせ今日は事務所はそんなに忙しくない。何せ窓のシャッターが開けられないんじゃどうしようも無いし、今日は2件のアポイント客と会うだけだし」
パール「私は事務所に残りますから」
愛原「そういうこと」
リサ「2人でいる間、パールにイタズラしちゃダメだよ?」
愛原「そんなことしないって」
パール「いくら先生でも、『流血の惨を見る事、必至で』ございますよ?」
パールは冷たい笑みを浮かべると、愛用のサバイバルナイフを取り出して刃をペロッと舐めた。
愛原「な?いくら俺でも命は惜しい」
リサ「う、うん。それなら大丈夫だね」
リサは安心すると、朝食のベーコンエッグをガツガツ食べ始めた。
愛原「ちょっと学校終わったらすぐ駅に来てもらう形だから慌ただしいけど、よろしく頼むな?」
リサ「うん。制服のまま新幹線に乗るなんて、修学旅行みたいだね」
愛原「俺には、入試受けに行く受験生に見えるよ」
リサ「東京中央学園は中高一貫校だから、高校入試は無いんだよね」
ただ、完全中高一貫校ではない為、高校から入学する生徒も一部にはいる。
これを『併設型中高一貫校』という。
実際、東京中央学園は中等部から大学部まであるが、短期大学部と4年制大学部を除き、各校バラバラの場所にある。
その為、完全中高一貫教育は行われていない。
ただ、高校入試の場合は、池袋にある工業科や商業科のある池袋高校で行われる為、上野高校が受験会場となることはない。
2000年代までは上野高校で入試が行われていたらしいが、受験生までもが上野高校内で怪奇現象に巻き込まれるという事態が発生し、行われなくなった。
その原因が殆ど取り除かれている今、上野高校で再開しても良いだろうに、今のところその動きは無い。
殆どリサが牛耳っているとはいえ、未だに『学校の七不思議』が存在する以上、実施できないのだろう。
リサが高等部を卒業して、完全に生きている七不思議が無くなった時、再開されるのかもしれない。
愛原「そういうことか」
リサ「でも、バッグには私服とか、着替えは入れておいたからね」
愛原「うん、その方がいい。……これ、新幹線のキップな?無くすなよ」
リサ「コインロッカーの中に、荷物と一緒に入れておけばいいかな?」
愛原「それでもいいよ。高橋、一応お前、駅まで着いて行ってやれ。車の駐車場代は後で払ってやるから」
高橋「分かりました」
朝食を食べ終えたリサと高橋は、1階のガレージに移動した。
リサは荷物と一緒に、助手席後ろのリアシートに座った。
愛原「気をつけて行けよ?」
リサ「うん、分かった」
愛原「俺達は東京駅から乗るから、お前は上野駅からだ。乗り遅れるなよ?」
リサ「うん、気をつける。先生こそ、先生の隣の席、空けておいてよね?」
愛原「いや、元々指定席だから大丈夫だぞ」
リサ「あ、そうか」
高橋「じゃあ先生、行ってきます」
愛原「ああ、頼むぞ。駐車場代、領収証もらってこいよ」
高橋「うっス」
高橋とリサを乗せた車は、ガレージを出て行った。
一応、周囲を確認してから、電動ガレージを閉めた。
善場主任の話では、栗原蓮華は夜しか活動できないのではないかと言われる。
それなら、太陽が出ているうちは安全だということだ。
但し、昼間でも、太陽の当たらない場所に隠れれば良いことなので、油断はできない。
吸血鬼だって、隠れ家の地下室に昼の間は潜んでいるのと同じことだ。
ここなら例えば、地下鉄とか。
あくまでも太陽の光に弱いというだけであって、蛍光灯などの照明は何ともないらしい。
ガッシャーンという音を立てて、電動シャッターが閉まり切ればもう安心だ。
私は再びエレベーターに乗って、3階に移動した。
愛原「高橋とリサが出発したぞ」
パール「かしこまりました。今、食後のコーヒーをお淹れ致します」
愛原「悪いな」
既にキッチンでは、パールが洗い物をしていた。
コーヒーメーカーが、ちょうどドリップコーヒーを淹れているところだ。
私は購読している新聞に目を通したが、今朝の新聞においては、蓮華がやったと思われる猟奇殺人事件の記事は無かった。
パール「今日は9時からクライアントが1件と、11時から1件入っております」
愛原「うん。どちらも不動産屋さんなことから、事故物件の調査依頼だな」
多くは何とも無いのだが、たまーにヤバい事象の物件もあるので、油断はできない。
ただその場合、高額な報酬があったりするので、ヒマな時は引き受けるようにしていた。
大体は数日間その物件に住んでみて、実際に何か起こるかどうかを調査するだけだ。
病死や事故死などの孤独死、自殺の場合は世話無いが、殺人事件の現場となると厄介だ。
いや、本当に幽霊が出るとか、そういうことじゃなくて、もしもまだ殺人犯が捕まっていなかったり、実は共犯者がいましたなんてオチだった場合、犯人が現場に戻ってくる恐れがあるのだ。
不動産屋が殺人事件の現場となった事故物件の調査依頼に対して、特に報酬を高めに設定している理由はそれだ。
愛原「まだ少し時間があるから、パールも出発の準備とかしておきなよ」
パール「ありがとうございます」
私もコーヒーを飲み終わったら事務所に移動して、来客を迎える準備をしておこうと思った。