[5月10日06時15分 天候:曇 沖縄県国頭郡恩納村 シェラトン沖縄サンマリーナ・リゾート]
枕元の電話機から、モーニングコールの着信音が流れる。
愛原「ううーん……」
あとは私のスマホのアラーム。
私は手を伸ばしてスマホのアラームを止め、高橋は電話の受話器を取った。
高橋「お電話ありがとうございやす……。愛原学探偵事務所っス……」
愛原「おい、寝ぼけてんじゃねーよ」
高橋「あっ……」
高橋は電話を切った。
愛原「おはよう」
高橋「おはようございます……」
私はベッドから起き上がった。
愛原「おおっと!」
何故かこのホテルのベッド、マットレスが高い位置にある。
低身長の私は、思わず飛び下りてしまいそうな感じだ。

愛原「このホテルの朝食は7時からだ。それまでに会場に行くぞ」
高橋「あ、はい」
私はバスルームに行って、顔を洗うことにした。
愛原「それにしても、昨夜は大変だったなぁ……」
高橋「そうっスね……」
リサを連れて彼女らの部屋に行ったのだが、レイチェルは既に目を覚ましていて、リサを見るなりキレ散らかした。
いつもの生真面目でクールな性格とは、全く違う一面を見ることができた。
高橋よりも威力の強そうなマグナムをリサに発砲するところだったのだから。
一緒に付いてきてくれた淀橋さんや小島さんが止めに入ってくれなければ、レイチェルはリサに発砲しただろう。
いくら高橋が持っている物よりも威力が強そうといったところで、それだけでリサが死ぬとは思えない。
だが、発砲音が館内に響くので、それで大騒ぎになってしまうだろう。
私とリサの全力土下座で、何とかレイチェルの怒りを鎮めた次第。
因みに高橋の誤射については、ちょうど近隣で花火が打ち上がっていたので、それで誤魔化せた。
このホテルではなく、近隣で結婚式のパーティーがあったらしく、その祝いの花火が打ち上がったようである。
[同日07時00分 天候:晴 同ホテル・メインタワー1階“ダイニングルーム・センス”]
朝食はバイキング形式。
リサにとってはありがたい形式だろう。
ところで昨夜の騒ぎで、引率の先生達からは何も言われなかったのかというと、結論から言えば何も言われなかった。
それどころか……。
愛原「あっ、三上先生、おはようございます」
三上「おっ、あー……愛原会長、おはようございます」
愛原「昨夜はだいぶ飲まれたみたいですね?」
三上「いやあ……こういう所でなかなか飲む機会が無くて……。若い先生達の仕事の悩みとか聞いているうちに、ついつい痛飲してしまって……」
先生達3人は飲み過ぎてしまい、そのまま部屋に戻ってダウンしていた。
その為、就寝時間の見回りは私と高橋だけで行うこととなってしまった。
愛原「昨夜は何事もありませんでしたので。幸いなことに」
三上「は、これはどうも恐れ入ります。どうか、この事は生徒達や学校には御内密に……」
愛原「ええ、ええ、もちろんですよ。うちのリサがお世話になっていることですし……」
三上先生は終始ばつが悪そうだった。
愛原「出発はいつもの通り、9時ですな?」
三上「はい。その予定でお願いします」
愛原「分かりました」
リサ「先生、おはようございまーす!」
レイチェル「……オハヨウゴザイマス」
三上「おはよう」
愛原「おはよう。今朝も1番乗りだな」
リサ「食べ放題には目が無くて~!」
三上「お前は大食いなんだから、他の人の分も食うなよ?」
リサ「はーい」
レイチェル「愛原センセイ、昨夜は取り乱しました」
三上「ん?昨夜?」
愛原「おっと!レイチェル!ノーノーノーノー!」
レイチェル「Huh?」
三上「昨夜が何か?」
愛原「いえいえ、何でも無いです!近隣の花火の音が、まるで銃の発砲音に似てたなぁ……と、そういう話です」
三上「ああ……。確かに、銃の発砲音のようなものが聞こえましたね。そうですか。あれは花火でしたか」
愛原「!!!」
そ、そういえば、私達の部屋と先生達の部屋は並びにあるんだった!
愛原「そ、そうなんですよ。どうも、近くで結婚式のパーティーをやっていたようで、その祝砲があったようで……」
三上「なるほど」
リサ「先生!これって、どの料理を取ってもいいの!?」
愛原「いいけど、取り過ぎるなよ」
リサ「豪華ホテルってこともあって、一杯あるー!」
三上「愛原会長方も、ここは私に任せて、どうぞ先に朝食を」
愛原「いいんですか?」
三上「昨夜は全て会長方にお任せしてしまいましたので、今朝は私共にお任せください。それに……二日酔い気味で、食欲が湧かないものですから……」
愛原「もしかしたら、売店でソルマックくらい売ってるかもしれませんよ?」
三上「そうですか。後で探してみます」
高橋「何故にソルマックなんスか?」
愛原「いや、あれだよ。魔道師達が出て来るドラマ作品で、日本人魔道師が二日酔いした先輩魔道師にソルマックを勧めるシーンがある」
高橋「打ち切りになったヤツっスね」
愛原「あれも東京中央学園で撮影されたからね。……ま、そんなことはどうでもいい。お言葉に甘えて、俺達も食おう」
高橋「はい」
朝食にはゴーヤチャンプルーのような沖縄料理もあれば、ベーコンやウィンナーなどのオーソドックスな料理もある。
鮭の切り身を焼いた物もあった。
他には……。
愛原「ベーコンとゴーヤと玉ねぎを入れてください」
スタッフ「かしこまりました」
客の目の前で、調理スタッフがオムレツを焼いてくれたりとかもあった。
出来立てアツアツのオムレツが、客に提供されるというわけである。
愛原「あとは米だな。沖縄に来てから、白米食ってない」
高橋「なるほど。米関係で言ったら、ジューシーでしたか」
愛原「そうそう。昨夜はパンだったし」
高橋「それもそうっスね」
リサと比べてはいけないが、あれもこれもと選んでいるうちに、結構な量になってしまった。
リサなど、これを何倍も平らげるのだから凄い。
リサ自身が大食いというよりは、リサの体内を牛耳っているGウィルスが大食いなんだな。
幸いなことにGウィルスは、人間の食べ物でも栄養が補給できる為、それが安定供給されているうちは暴走することはない。
但し、結果的に大食いになるのだが。
おかげさまで今、リサの臓器で心臓が7つ、脳が5つほどのストックがあると言われている。
つまり今、脳や心臓を撃ち抜いて、それぞれ1つ潰しても、ストックされている他の脳や心臓がすぐにその代わりを担う。
だから、リサは死なないのだと。
それら予備の臓器は、Gウィルスの中に隠されている。
高橋「先生、飲み物持って来ます。何にしますか?」
愛原「まずは水でいいよ。それから、食後にコーヒー」
高橋「分かりました」
まあ、まずは三上先生の言葉に甘えて、先に朝食を頂くことにしよう。
枕元の電話機から、モーニングコールの着信音が流れる。
愛原「ううーん……」
あとは私のスマホのアラーム。
私は手を伸ばしてスマホのアラームを止め、高橋は電話の受話器を取った。
高橋「お電話ありがとうございやす……。愛原学探偵事務所っス……」
愛原「おい、寝ぼけてんじゃねーよ」
高橋「あっ……」
高橋は電話を切った。
愛原「おはよう」
高橋「おはようございます……」
私はベッドから起き上がった。
愛原「おおっと!」
何故かこのホテルのベッド、マットレスが高い位置にある。
低身長の私は、思わず飛び下りてしまいそうな感じだ。

愛原「このホテルの朝食は7時からだ。それまでに会場に行くぞ」
高橋「あ、はい」
私はバスルームに行って、顔を洗うことにした。
愛原「それにしても、昨夜は大変だったなぁ……」
高橋「そうっスね……」
リサを連れて彼女らの部屋に行ったのだが、レイチェルは既に目を覚ましていて、リサを見るなりキレ散らかした。
いつもの生真面目でクールな性格とは、全く違う一面を見ることができた。
高橋よりも威力の強そうなマグナムをリサに発砲するところだったのだから。
一緒に付いてきてくれた淀橋さんや小島さんが止めに入ってくれなければ、レイチェルはリサに発砲しただろう。
いくら高橋が持っている物よりも威力が強そうといったところで、それだけでリサが死ぬとは思えない。
だが、発砲音が館内に響くので、それで大騒ぎになってしまうだろう。
私とリサの全力土下座で、何とかレイチェルの怒りを鎮めた次第。
因みに高橋の誤射については、ちょうど近隣で花火が打ち上がっていたので、それで誤魔化せた。
このホテルではなく、近隣で結婚式のパーティーがあったらしく、その祝いの花火が打ち上がったようである。
[同日07時00分 天候:晴 同ホテル・メインタワー1階“ダイニングルーム・センス”]
朝食はバイキング形式。
リサにとってはありがたい形式だろう。
ところで昨夜の騒ぎで、引率の先生達からは何も言われなかったのかというと、結論から言えば何も言われなかった。
それどころか……。
愛原「あっ、三上先生、おはようございます」
三上「おっ、あー……愛原会長、おはようございます」
愛原「昨夜はだいぶ飲まれたみたいですね?」
三上「いやあ……こういう所でなかなか飲む機会が無くて……。若い先生達の仕事の悩みとか聞いているうちに、ついつい痛飲してしまって……」
先生達3人は飲み過ぎてしまい、そのまま部屋に戻ってダウンしていた。
その為、就寝時間の見回りは私と高橋だけで行うこととなってしまった。
愛原「昨夜は何事もありませんでしたので。幸いなことに」
三上「は、これはどうも恐れ入ります。どうか、この事は生徒達や学校には御内密に……」
愛原「ええ、ええ、もちろんですよ。うちのリサがお世話になっていることですし……」
三上先生は終始ばつが悪そうだった。
愛原「出発はいつもの通り、9時ですな?」
三上「はい。その予定でお願いします」
愛原「分かりました」
リサ「先生、おはようございまーす!」
レイチェル「……オハヨウゴザイマス」
三上「おはよう」
愛原「おはよう。今朝も1番乗りだな」
リサ「食べ放題には目が無くて~!」
三上「お前は大食いなんだから、他の人の分も食うなよ?」
リサ「はーい」
レイチェル「愛原センセイ、昨夜は取り乱しました」
三上「ん?昨夜?」
愛原「おっと!レイチェル!ノーノーノーノー!」
レイチェル「Huh?」
三上「昨夜が何か?」
愛原「いえいえ、何でも無いです!近隣の花火の音が、まるで銃の発砲音に似てたなぁ……と、そういう話です」
三上「ああ……。確かに、銃の発砲音のようなものが聞こえましたね。そうですか。あれは花火でしたか」
愛原「!!!」
そ、そういえば、私達の部屋と先生達の部屋は並びにあるんだった!
愛原「そ、そうなんですよ。どうも、近くで結婚式のパーティーをやっていたようで、その祝砲があったようで……」
三上「なるほど」
リサ「先生!これって、どの料理を取ってもいいの!?」
愛原「いいけど、取り過ぎるなよ」
リサ「豪華ホテルってこともあって、一杯あるー!」
三上「愛原会長方も、ここは私に任せて、どうぞ先に朝食を」
愛原「いいんですか?」
三上「昨夜は全て会長方にお任せしてしまいましたので、今朝は私共にお任せください。それに……二日酔い気味で、食欲が湧かないものですから……」
愛原「もしかしたら、売店でソルマックくらい売ってるかもしれませんよ?」
三上「そうですか。後で探してみます」
高橋「何故にソルマックなんスか?」
愛原「いや、あれだよ。魔道師達が出て来るドラマ作品で、日本人魔道師が二日酔いした先輩魔道師にソルマックを勧めるシーンがある」
高橋「打ち切りになったヤツっスね」
愛原「あれも東京中央学園で撮影されたからね。……ま、そんなことはどうでもいい。お言葉に甘えて、俺達も食おう」
高橋「はい」
朝食にはゴーヤチャンプルーのような沖縄料理もあれば、ベーコンやウィンナーなどのオーソドックスな料理もある。
鮭の切り身を焼いた物もあった。
他には……。
愛原「ベーコンとゴーヤと玉ねぎを入れてください」
スタッフ「かしこまりました」
客の目の前で、調理スタッフがオムレツを焼いてくれたりとかもあった。
出来立てアツアツのオムレツが、客に提供されるというわけである。
愛原「あとは米だな。沖縄に来てから、白米食ってない」
高橋「なるほど。米関係で言ったら、ジューシーでしたか」
愛原「そうそう。昨夜はパンだったし」
高橋「それもそうっスね」
リサと比べてはいけないが、あれもこれもと選んでいるうちに、結構な量になってしまった。
リサなど、これを何倍も平らげるのだから凄い。
リサ自身が大食いというよりは、リサの体内を牛耳っているGウィルスが大食いなんだな。
幸いなことにGウィルスは、人間の食べ物でも栄養が補給できる為、それが安定供給されているうちは暴走することはない。
但し、結果的に大食いになるのだが。
おかげさまで今、リサの臓器で心臓が7つ、脳が5つほどのストックがあると言われている。
つまり今、脳や心臓を撃ち抜いて、それぞれ1つ潰しても、ストックされている他の脳や心臓がすぐにその代わりを担う。
だから、リサは死なないのだと。
それら予備の臓器は、Gウィルスの中に隠されている。
高橋「先生、飲み物持って来ます。何にしますか?」
愛原「まずは水でいいよ。それから、食後にコーヒー」
高橋「分かりました」
まあ、まずは三上先生の言葉に甘えて、先に朝食を頂くことにしよう。