報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「沖縄戦の終わり」

2024-09-15 20:49:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月10日23時00分 天候:雨 沖縄県那覇市某所 学校法人沖縄中央学園那覇高校・体育館]

 突然のバイオハザードに見舞われた東京中央学園の修学旅行生達は、現場のホテルを脱出した後、姉妹校である沖縄中央学園のスクールバスに分乗し、取りあえずそこの体育館に避難していた。
 東京と違ってあまり公共交通機関の発達していない沖縄では、学校がスクールバスを保有していることは何も珍しいことではない。
 自分とこの学校では持っていなくても、地元のバス会社に運行を委託している所もある。
 沖縄中央学園では、自社便運行。
 その為、バスも白ナンバーである。
 だがそれが幸いし、早急な救援活動ができた。
 地元の医療関係者も有志で駆け付け、生徒達のケガや精神状態のチェックなどが行われた。
 幸いにして、救急搬送が必要なほどの大ケガや精神にダメージを受けている生徒はいなかった。
 が、一部の生徒達はここではなく、医療設備の整った施設が良いと判断され、それは救急車や学校職員の車などで搬送された。
 こんな夜間であるにも関わらず、沖縄中央学園の教職員が動けたのは、その学園においてはテスト期間中であり、その採点や準備の為に、彼らが遅くまで残っていたからというのが挙げられる。
 また、スクールバスの運転手は校務員を兼ねており、校務員室で休憩していたり、学校すぐ近くの自宅に帰宅していた為、招集に応じられたというのもあった。
 学校の敷地外では、マスコミ関係者が駆け付け、ここに事件に巻き込まれた生徒達が避難している旨の報道をしていた。

 テレビリポーター「……以上、現場から中継でお伝えしました。……ん!?」

 正門前で現場中継をしていたテレビリポーターの上空に、1機のヘリコプターが通過する。

 リポーター「あれはどこのヘリでしょうか?暗いので、所属がハッキリしません。見た目からして、軍用ヘリと思われますが……」

 そのヘリに乗っている者こそ、私達であった。

 高野芽衣子「取りあえず、ここで降りてもらいますよ。そろそろ降りてもらわないと、私達、誘拐の現行犯で撃墜されてしまいますから」
 愛原「BSAAの隊員が乗ってるのにか!?」
 レイチェル「まさか、“ブルー・アンブレラ”のヘリコプターに乗り込むハメになるとは……」
 高野「あら?あそこで私達が救助しなかったら、今頃タコの化け物と化した絵恋ちゃんのお腹の中よ?」
 レイチェル「ちっ……」
 高野「愛原先生、ヘリコプターは一瞬だけ地面に着陸します。すぐに離陸しますので、その瞬間に飛び降りてください」
 愛原「随分、無茶な降ろし方、させるなァ……!」
 高橋「先生、俺が付いてますから!」
 愛原「……分かったよ」

 高野君が乗降口のスライドドアを開ける。
 そして、ヘリパイロットがヘリを降下させた。
 ヘリは校庭の地面に一瞬だけ接地する。

 高野「今です!」
 高橋「よっしゃあーっ!」
 愛原「ちょ……おい!」

 私は高橋に抱き抱えられるようにして飛び降りた。
 おかげで、却ってバランスを崩し、地面を転がった。

 愛原「あ、いててて……。せっかく避難したのに、こんなんでケガしてたら笑い者だぞ」
 レイチェル「愛原センセイ、グリーンハーブ使いますか?」
 愛原「いや、そこまでのケガじゃねぇ!」

 ヘリは私達を降ろすと、そのまま急上昇して行った。

 高橋「ここからどうするんですか?」
 愛原「まずは引率者として、生徒達の安否確認だ!」

 生徒達が体育館に避難しているのは既に知っていた。

 愛原「三上先生!」
 三上「おお、愛原会長と助手の……」
 高橋「高橋っス!」
 三上「レイチェルも無事だったか!」
 レイチェル「……ハイ」
 愛原「危うく化け物に攻撃されるところを、軍隊のヘリに助けられたというわけです」

 私は“青いアンブレラ”とは言わなかった。
 三上先生も軍隊と聞いて、在日米軍かBSAAのヘリだと思ったのだろう。

 三上「そうでしたか」
 愛原「状況はどうですか?」

 私は状況を伺った。
 そして……。

 三上「沖縄中央学園もテスト期間中ですし、このままずっとここに留まるわけにも参りません。幸いにして地元の自治体が、生徒達の受け入れ先である宿泊先を確保していてくれています。医療関係者によるチェックが終わり次第、そこに移動する予定です」
 愛原「移動手段は?」
 三上「この学園がスクールバスを出してくれるのと、その宿泊施設が持っている送迎バスも出してくれて、それで何とか移動できそうです」
 愛原「そうですか……」

 とはいえ、100名近くの修学旅行生全員を全て受け入れられる宿泊機関は皆無に等しく、複数の宿泊施設に分けて入ることになったという。
 一部は病院に運ばれた為、一晩そこで過ごす者もいるだろう。
 それらは倉田先生が付き添っているとのこと。

 三上「私はユースホステルの方に向かいます。そこが50人ほどなら受け入れられるとのことですので」
 愛原「なるほど、そうですか……」

 あとは、10~20人ずつ市内のホテルが受け入れてくれるらしい。
 引率者が足りないので、一部は班長や学級委員長などが引率代行をすることになりそうだ。

 三上「そういえば、リサさんの姿が見えませんが?」
 愛原「ええ。まだホテルにいます」
 三上「何ですって!?」
 愛原「危険を承知で、今から迎えに行こうと思っていますよ」

 デイライトの善場係長も那覇空港に到着し、現場に向かっているという。
 そこで落ち合うことになりそうだ。

 愛原「どうしますか?私はここにいた方がいいですか?リサを迎えに行きたいのですが……」
 三上「そうですねぇ……。どうやら、そろそろチェックの方も終わるみたいですし……」
 高橋「俺がここに残りますよ」
 愛原「高橋!?」
 高橋「三上センセー。愛原先生の不肖にして唯一の弟子である、この俺が残りますよ」
 三上「そ、そうですか。弟子の方が残って下さるなら、それはそれでいいですが……」
 愛原「リサと合流できたら、連絡します!」

 私はそう言うと、まだ雨が降りしきる中、体育館の外に出た。
 正門は閉まっているので、通用門から出る形になる。
 幸い正門側の方はマスコミ関係者がいるので、通用門の方から出た方がいいだろう。
 学校の外に出ると、大通りに出てタクシーを拾った。

 愛原「那覇中央ホテルまでお願いします!」
 運転手「えっ!?あそこは何かガス爆発だか何だか、大きな事故があって、通行規制されてますよ?」
 愛原「その規制線の所まででいいですから!」

 あとは善場係長に連絡して、何とか合流するしかない。

 運転手「わ、分かりました」

 タクシーは現場に向かって走り出した。
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“愛原リサの日常” 「秋田から来た鬼娘」

2024-09-15 18:30:51 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月10日22時30分 天候:雨 沖縄県那覇市上空 全日空479便機内]

 善場「こ、これは……」

 雨が降り続く那覇市上空を航行する旅客機。
 羽田発那覇行きとしては、最終便に当たる。
 この機内には、デイライトの善場が搭乗していた。
 まもなく着陸ということもあり、飛行機は雲の下を飛行している。
 事件現場は、そんな飛行機の機内からでも確認できた。

 部下「座標からして那覇中央ホテル。東京中央学園の修学旅行生が宿泊していると思われるホテルです」

 善場の隣に座る黒スーツの部下の男は、善場にそう言った。

 善場「まさか、リサが!?」
 部下「BSAAのアプリでは、『未登録』となっていますので、その可能性は低いです。恐らく、我々でも把握していない新種のBOWかと」
 善場「あんな巨大なBOWが、今まで未登録だったというの!?」

 ホテルの建物は既に半壊状態であり、崩壊した所からは火の手が上がっていた。
 飛行機の周りには、BSAAなどのヘリコプターが何機も飛び交っている。
 その中には……。

 善場「あ、あれは、“青いアンブレラ”のヘリ!日本国内では活動が許可されていないというのに!」
 部下「……係長、その“青いアンブレラ”より、メッセージが来ております」
 善場「なに!?」
 部下「こ、これを……」

 部下は少し躊躇うように、善場にタブレット見せた。

 高野芽衣子「いい加減意地張ってないで、役立たずのBSAAより、こっちの活動を認めなさいよ。石頭女w」
 善場「くっ……くくく……このっ……!!」
 部下「か、係長!落ち着いて!せっかく、人間に戻れたというのに、またウィルスが活性化してしまいます!」
 善場「……降機したら、すぐ現場に向かいます。車の用意を」
 部下「はっ!」

[同日同時刻 天候:雨 同場所 那覇中央ホテル]

 絵恋「リサ……食ベタイ……!」
 リサ「わたしが食う約束だろ!オマエが食ってどうする!!」

 巨大なタコ女に変化した絵恋は、タコの足のような触手をリサに何本も伸ばす。
 リサはそれを交わし、長く鋭く伸ばした爪で足を引っ掻いた。
 鬼の爪に引き裂かれた足は、すぐに本体から切り離されるものの、すぐにまた新しい足が本体から生えて来る。

 リサ「一体どうして……どうしてこうなったぁぁぁぁっ!!」
 絵恋「私ニ食ベラレタラ、教エテアゲル。ソレハモウ……私ノ体ノ中デ、ジックリト……」
 リサ「ふざけるなーっ!」

 この戦闘の様子を、隣の建物の屋上から見ている者がいた。
 その者は高校の制服らしいのを着て、般若の仮面を着けている。

 ???「鬼だ……鬼の同士だ……。他にもいたんだ……!助太刀する!」

 そして、軽い身のこなしでヒラリと屋上の柵を乗り越えると……。

 ???「鬼の同士!タコの化け物退治、助太刀するだ!」
 リサ「ええっ!?だ、誰!?」

 リサよりは背の高い、般若の仮面の女は手に金棒を持っていた。
 リサも金棒は一応、造って持ってはいるが、ここにはない。
 般若の仮面の女は、それを軽々と振るい、器用に触手を上ると、くるっと1回転して、金棒で絵恋の頭を殴り付けた。
 スカートの下には、黒いスパッツを穿いているので、下着が見えることはない。

 絵恋「いったーい!」

 すると、絵恋の後頭部に白く光る瘤が現れた。
 般若の女は、リサの横に着地する。

 ???「秋田県秋北学院高校3年生、太平山美樹、鬼の名前は『美鬼』。よろスく」

 やや東北訛りで自己紹介する女。

 太平山美樹「あんだは?」
 リサ「愛原リサ……東京中央学園上野高校……」
 美樹「おー、東京の鬼かぁ……!ホンドか?」
 リサ「ホントだよ!」
 絵恋「ユルサナーーーーイ!!」

 絵恋は突然現れた女に怒り心頭。

 絵恋「ヨクモ殴ッタナァァァァァッ!!」
 美樹「あれは敵でいいんだべ?」
 リサ「う、うん」
 美樹「よっしゃ!さっさと倒すど!町がヤベェことになる!」
 リサ「ちょ、ちょっと……!」

 上空から機銃掃射が放たれる。

 美樹「おお~!さすが沖縄!すぐ軍隊ば来たべ!」
 リサ「違う!あれはBSAA!国連軍の一派!」
 美樹「ンだから、軍隊だべ?」
 リサ「そ、そうか!」

 しかもそのうちの1機は、“青いアンブレラ”のヘリだった。

 愛原「リサ、聞こえるか!?」
 リサ「先生!」

 ヘリコプターのスピーカーから、愛原の声がする。

 美樹「先生?東京の学校の先生は、ヘリコプターに乗んのか?」
 リサ「ちょっと黙ってて!」
 愛原「さっきの攻撃だ!どうやら、絵恋の頭を攻撃すると、弱点が現れるらしい!そこを機銃掃射するから、さっきの攻撃をもう1度頼む!」
 リサ「ええーっ!?」
 美樹「さっきの光るコブは、弱点だったんけ!そんなら、もっかい行くだど!」
 リサ「ええーっ!?」
 絵恋「そうは行くか!」
 美樹「うわっ!」

 美樹、今度は絵恋の触手に捕まってしまう。

 絵恋「私とリサさンノ間ニ、割リ込ンデ来ヤガッテ……八ツ裂キニシテ食ッテヤル!」
 美樹「人食い鬼を食っても不味いだけだよ!」
 リサ「! あいつ、今なんて……?い、いや、それより……」

 リサは息を大きく吸い込んだ。
 そして、体中から放電を始める。

 リサ「放してやれ!!」

 リサは久しぶりに電撃を放った。

 絵恋「キャアアアアッ!」
 美樹「ちょ、こっちにもビリビリ来んだけど!?」

 感電した絵恋は、美樹を放した。

 美樹「凄ェ!東京の鬼は、雷攻撃が使えるっけ!?」
 リサ「たまたまだよ!」
 美樹「でも、おかげで攻撃しやすくなったべ!」

 ゴンッ!

 絵恋「ギャッ!」

 美樹は再び絵恋の後頭部を金棒で攻撃。
 殴られたところに、光る瘤が現れる。
 すかさずそこを、BSAAのヘリが機銃掃射。

 絵恋「ギャアアアアアアッ!!」
 美樹「おおっ、効いてるっちゃ!」
 リサ「あと2~3回、同じ攻撃をすれば倒れると思う」
 美樹「よっしゃ!また電撃頼むど!」

 美樹はまた金棒を担ぐと、人間にはできないほどの軽い身のこなしで、崩壊したホテルの壁などを足場に、ヒョイヒョイと絵恋に向かって行った。

 リサ「強い……」

 リサは美樹が強い鬼だと思ったが、美樹は美樹で、

 美樹「電撃使えるなんて、強い鬼だっちゃね!」

 と、思ったという。
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