報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「沖縄戦から一夜明けて」

2024-09-16 20:22:52 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月11日07時00分 天候:晴 沖縄県那覇市赤嶺 自衛隊那覇病院]

 特異菌の化け物と化した絵恋を倒したリサ達は、那覇空港に近接する自衛隊病院に向かった。
 BSAA極東支部日本地区本部隊は自衛隊出身者が多く、また、そこから出向者も数多い。
 その為、BSAA北米支部隊が米軍基地を拠点とするのに対し、日本地区隊は自衛隊駐屯地に拠点を置くことが多かった。
 沖縄の自衛隊駐屯地には普段、BSAAは常駐していないが、リサ達が修学旅行で沖縄に行くのに合わせ、地区隊もそこに出向している。
 今回、それが功を奏したわけだ。
 自衛隊病院の敷地内には、BSAAのドクターカーが裏手に駐車され、そこでリサと太平山美樹はウィルスチェックが行われた。
 その結果、リサは『陰性』で美樹は『陽性』。
 リサの場合、かつては体内に自分の特異菌を持っていたこともあり、絵恋から感染させられた特異菌をGウィルスが食べてしまったらしい。
 Gウィルスの無い美樹は、『陽性』。
 それでも見た目に症状が無いのは、鬼族の末裔だからか。
 何しろ、インフルエンザに感染したことが無いというのだから。
 だが、実際は『感染無症状』状態。
 直ちに、美樹には特異菌の特効薬が投与された。
 こっそりホテルに戻るつもりだった美樹だが、一晩様子を見なければならないとされ、美樹の宿泊先には善場が連絡することになった。
 リサの方は陰性だったので、ホテルに行っても良かったのだが、美樹のことが気になるからと、一緒に泊まることにした。
 尚、他の患者などに影響が無いよう、病棟内ではなく、ドクターカーの中で寝ることになった。

 美樹「あんまし寝られねがったっちゃねー……」
 リサ「ねー」

 ストレッチャーの上で寝る形になった為、あまり眠れなかったもよう。
 過ごし方は入院病棟に合わせているもよう。
 朝6時に起こされて、検温と問診が行われた。
 それから7時に食事が運ばれてくる。

 リサ「少なっ!」
 美樹「少なっ!」

 病院食なのだから仕方が無いとはいえ、その量はとても鬼娘2人の腹を満たせるようなものではなかった。
 食事が終わると、BSAAの軍医がやってきて、検査が行われた。

[同日09時00分 天候:晴 同病院敷地内・ドクターカー]

 BSAA軍医「陰性です」
 美樹「やった!」
 リサ「特異菌に感染して、全く症状が無いってのも珍しいね」
 美樹「そうなの?」
 リサ「うん。……もしかして、インフルエンザに罹ったことが無いって言っても、実は『感染無症状』だっただけなんじゃない?」
 美樹「あー……そう言われっとォ……」

 そこへ善場がやってくる。

 善場「おはようございます。具合は上々のようで何よりですね」
 リサ「善場さん」
 善場「それでは、ここを退出致します。着替えて、準備なさってください」
 美樹「あのー……ここの治療費は……?」
 善場「バイオハザードによる生物兵器ウィルスの感染については、その治療費等は全て国費負担となります。ですので、心配なさらないでください」
 美樹「すげェ!」
 善場「ただ、書類の手続きがありますので、後ほど……」
 美樹「学校の方は……?」
 善場「NPO法人デイライト東京事務所が、『正式且つ緊急に』あなたに協力を要請したということにしています。鬼の正体バレたらマズいですか?」
 美樹「いや……そこは公然の秘密ってヤツなんで、大丈夫です」
 リサ「わたしと同じだね」
 善場「あなたの場合は、『国家機密』です」
 リサ「……はーい」
 善場「というわけで太平山さん、リサの正体については、内密にお願いします」
 美樹「せっかく鬼の同族が見つかったと思ったのに……」
 善場「リサはあなたと違って、元人間ですよ。まあ、あなたも割と人間の血が混ざっているようですが……」
 美樹「へエ。本当は鬼の血が薄まっているはずが、何だかいきなり先祖返りを起こすようになって、このザマです」

 美樹は頭の角を指さした。
 いざという場合は、帽子を被って隠しているらしい。

 リサ「そうか!元から鬼だから、角が隠せないんだ!」
 美樹「そう。ん?角を隠す?」
 リサ「こう!」

 リサは鬼形態から人間形態へと変化した。

 リサ「はい、人間の姿」
 美樹「おお~!一流の鬼だべね!」
 リサ「だから違うって」
 善場「とにかく、着替えてください。今後の話は、それからです」

[同日10時00分 天候:晴 沖縄県那覇市壺川 メルキュールホテル沖縄那覇]

 自衛隊病院から車で移動したリサ達。
 まず最初に訪れたのは、そんな自衛隊基地から10分強走った所にあるホテルだった。
 愛原と高橋が、そこに泊まっているという。
 たまたまそこが、修学旅行生達の一部を受け入れたホテルでもあった。

 善場「私は太平山さんをホテルまで送って行きます。また後ほど」
 リサ「分かった」

 リサは車から降ろされると、その足でホテルの中に入った。
 そして、ロビーに向かう。

 愛原「リサ!」
 リサ「先生!」
 愛原「検査の方も何とも無かったみたいだな?」
 リサ「わたしはね。ミキが陽性だったから、心配になって付き合ってた」
 愛原「なるほど。いくら症状が無くても、油断はできないからな。もしかすると、突然、変異を起こして暴れるかもしれない。それに備えて残ってくれたというわけか」
 リサ「う、うん。そんなところ……」

 実はそこまで殊勝な理由ではなく、ただ単に気になっただけなのだが。

 リサ「他の皆は?」
 愛原「高橋も、他の修学旅行生も疲れて部屋にいるよ。何しろ、昨夜はあんなことがあった後だからな。元々今日が自由行動で良かったよ」
 リサ「そうなんだ」
 愛原「善場係長は、その太平山美樹さんってコをホテルに送ってから、またここに来るそうだな?」
 リサ「うん、そう。どうも、秋北学院も自由行動になりそうだよ」
 愛原「そうなのか?」
 リサ「だって秋北学院、那覇中央ホテルの隣のホテルに泊まってたんだもん。直接影響は無くても、避難命令とか出されたでしょ?てんやわんやだったのは、向こうも同じだよ」
 愛原「うーん……それもそうだな」
 リサ「秋北学院は元々今日、班別研修だったらしいけど」
 愛原「そうか」
 リサ「ところで、東京中央学園はどうするの?」
 愛原「一応、帰りの飛行機、予定通りの便に乗って帰ることになってる。それまでホテルの外に出て散策するも良し。ホテルの中で休んでるのも良しだ」
 リサ「じゃあ、わたしも少し寝ようかな。昨夜はあんまり寝れなかったし」
 愛原「そうするといい。部屋はシングルルームを用意してあるから。カードキーも預かってる」
 リサ「分かった。えーと……那覇空港での集合時間は……」
 愛原「14時30分。15時40分発のソラシドエアに乗るから」
 リサ「それまでに行けばいいんだね」
 愛原「そう。幸い、ホテルの前はモノレールの駅があるから、それで空港までは乗り換え無しで行ける。駅から空港までは10分くらいだ」
 リサ「近っ!」
 愛原「だからある意味、ゆっくりはできるんだよ」
 リサ「分かった。少し、休ませてもらうね」
 愛原「ああ。寝坊はするなよ?」
 リサ「分かってる」

 リサは愛原からカードキーをもらうと、それで客室へと向かった。
 腹は減っていたが、それよりも眠気の方が大きかった。
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“愛原リサの日常” 「沖縄戦終結」

2024-09-16 12:38:07 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月10日24時00分 天候:曇 沖縄県那覇市某所 那覇中央ホテル]

 太平山美樹「あと1回!」

 美樹が金棒で絵恋の頭頂部を殴る。
 既に金棒は棘がいくつか取れ、少し曲がっていた。
 殴った所からは、光る瘤が現れ、そこが弱点である。
 BSAAの戦闘ヘリが機銃掃射で、そこを集中攻撃する。

 絵恋「ギャアアアアアッ!!」

 ついにHPが0になった絵恋は断末魔を上げながら、体中を石灰化させていった。

 美樹「石化した!?」
 リサ「石灰化だよ!……特異菌に感染していたんだ……」
 美樹「特異菌???」
 リサ「あんたがどういう『鬼』で、わたしに近づいたか知らないけど、こっちはもっとヤバいことになってる。こいつは……巻き込まれただけなんだ……」
 美樹「一体、どういうことだ?」

 首だけになった絵恋がリサの近くに落ちる。
 その首は化け物ではなく、人間の状態だった。

 リサ「一体どうしてこんなことになった!?」
 絵恋「気をつけ……斉藤……早苗……。変なクッキー……食べ……ジュース……」

 そして、最後に残った首も石灰化していった。

 リサ「斉藤早苗か……」
 美樹「斉藤早苗……」
 リサ「デザート……食べられなかった……」

 リサは石灰の1つを手に取ると、名残惜しそうにした。

 美樹「デザート?」

 と、そこへ……。

 愛原「リサ!リサ!大丈夫だったか!?」

 愛原と善場が駆け付けた。

 リサ「愛原先生……」

 それから上空からは、BSAAの隊員達がヘリからロープを使って降下している。

 愛原「ケガは無いか!?」
 リサ「うん、大丈夫」
 愛原「ここはBSAAが捜査を始める!もうすぐ立入禁止になるから、ここから離れよう!」
 リサ「分かった」
 善場「絵恋は倒したのですね?」
 リサ「うん。これが、その残骸」

 リサは石灰を見せた。

 善場「特異菌に感染していたわけですか。しかし、どうして気づけなかったのか……」
 リサ「斉藤早苗に変なクッキーやらジュースやら飲まされて、それで感染したらしいよ」
 善場「やはり斉藤早苗ですか」
 美樹「あの……」

 そこへ美樹が話し掛けた。

 善場「あなたは……?」
 美樹「秋田県の秋北学院高校の太平山美樹と言います。さっきから斉藤早苗ってコ、探してるみてぇスけど、うちに来たことがあるんで、何か関係あるんスか?」
 善場「何ですって?……あなたの素顔は?」
 美樹「ああ……」

 美樹はやっと般若の仮面を外した。
 そこには高校3年生女子、年相応の整った顔立ちが現れた。
 髪はリサよりも短く切っていてボーイッシュ。
 但し、リサと同じように、頭からは2本角が生えている。
 そして、口元には牙が覗いていた。

 善場「BSAAのアプリに反応しない。あなた、一体……」
 美樹「よく分かんねぇけど、私は鬼の末裔です。ただ、先祖返り起こしてるみたいで、私の代、結構こういう御先祖様みてぇなことになっちゃってて……」
 善場「リサのようにGウィルスなどを保有することで、『鬼のような』姿に変化しているというわけではなく、本当に元から鬼だったのですね」
 美樹「まあ、そういうこってす。一体……東京じゃ何が起きてるんスか?それとも、沖縄だから、こんなことになったんですか?」

 美樹は東北の訛りを交えながら、本当にワケが分からないといった感じだった。

 美樹「私は、同族が沖縄の化け物と戦ってるみてぇだから助太刀しようと思って来たんですが……」
 善場「……機会があれば、いずれお話しします。どうも、斉藤早苗とも関わりがあるようなので、後ほどお話しを伺うことになるでしょう。連絡先を交換させて頂けませんか?」
 美樹「はい……」
 リサ「栃木の……板室温泉に泊まりに来た『秋田の鬼族』って、あなたのこと?」
 美樹「ああ、そうです。栃木で同族が経営している温泉があるって聞いて、相互扶助の精神で泊まりに行ったことがあります」
 リサ「京都からも酒呑童子の関係者が泊まりに行ったってよ」
 美樹「あの酒呑童子!秋田でも有名ですっけ!」
 リサ「まあ、わたしは2度と行きたくないけど」
 美樹「んん?」
 善場「取りあえず、ここを離れましょう。リサはBSAAへ。メディカルチェックを行います。あなたも来てください。いくら鬼族の末裔とはいえ、特異菌に感染していると良くないので」
 美樹「さっきからその特異菌って何なんスか?」

 愛原は、かつて我那覇絵恋だった石灰の欠片達を指さして答えた。

 愛原「簡単に言えば、人間をあんな化け物に変化させてしまう、恐ろしい菌だよ」
 美樹「ええっ!?生まれてこの方、インフルエンザにも罹ったことの無い私が!?」
 リサ「鬼って凄いよねぇ!」
 愛原「お前が言うな!……まさか、永遠に生きてるわけじゃないだろうな?」
 美樹「いえ、さすがにそれは無いです。吸血鬼とかじゃないんで。ただ、かなり長生きですよ。私の曽祖父ちゃん、113歳まで生きました」
 愛原「長っ!」
 美樹「だいたい、曾孫が大人になる頃に死ぬってーのが、うちの家系です」
 善場「……もしかして、アンブレラの関係者がそちらに行ったりしませんでしたか?」
 美樹「あ、来ましたよ。何か、『血を採らせてくれー』とか来たらしいですが」
 善場「やっぱり……」
 愛原「何か御存知なんですか?」
 善場「……後ほど、お話しします」

 現場ではBSAAが、かつて我那覇絵恋だった石灰を回収している。
 解析や分析を行うのだろう。
 リサ達は規制線の外に出ると、そこに止まっていたBSAAの装甲車に乗り込んだ。

 美樹「ゴツい軍用車だなゃ~!初めて乗るっちゃね!」
 愛原「ところでキミも修学旅行中でしょ?抜け出してきて、大丈夫なの?」
 美樹「うちの学校、ビジネスホテル貸切で泊まってるんですよ。1人1部屋なんで、起床時間までに戻れば大丈夫です」
 リサ「そういうもんなのか……」

 尚、リサ達より後に沖縄入りした為、同じ3泊4日でも、帰りはリサ達より遅いとのこと。

 愛原「秋北学院ってことは、秋田県北部だな。大館能代空港からだと、那覇までの直行便は無いだろ?」
 美樹「へエ。なもんで、羽田で乗り換えです」
 愛原「なるほど」

 かつては伊丹空港へも航空便があり、沖縄方面への乗り換えなら、そちらの方が時間も短縮されるだろうが、あいにくと今は運休中であり、今は羽田便しか飛行機が飛んでいない。
 よって、乗り換えは羽田でしかできないわけである。
 まあ、羽田~那覇はその便数も多いので、乗り換えには困らないが。
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