[5月11日07時00分 天候:晴 沖縄県那覇市赤嶺 自衛隊那覇病院]
特異菌の化け物と化した絵恋を倒したリサ達は、那覇空港に近接する自衛隊病院に向かった。
BSAA極東支部日本地区本部隊は自衛隊出身者が多く、また、そこから出向者も数多い。
その為、BSAA北米支部隊が米軍基地を拠点とするのに対し、日本地区隊は自衛隊駐屯地に拠点を置くことが多かった。
沖縄の自衛隊駐屯地には普段、BSAAは常駐していないが、リサ達が修学旅行で沖縄に行くのに合わせ、地区隊もそこに出向している。
今回、それが功を奏したわけだ。
自衛隊病院の敷地内には、BSAAのドクターカーが裏手に駐車され、そこでリサと太平山美樹はウィルスチェックが行われた。
その結果、リサは『陰性』で美樹は『陽性』。
リサの場合、かつては体内に自分の特異菌を持っていたこともあり、絵恋から感染させられた特異菌をGウィルスが食べてしまったらしい。
Gウィルスの無い美樹は、『陽性』。
それでも見た目に症状が無いのは、鬼族の末裔だからか。
何しろ、インフルエンザに感染したことが無いというのだから。
だが、実際は『感染無症状』状態。
直ちに、美樹には特異菌の特効薬が投与された。
こっそりホテルに戻るつもりだった美樹だが、一晩様子を見なければならないとされ、美樹の宿泊先には善場が連絡することになった。
リサの方は陰性だったので、ホテルに行っても良かったのだが、美樹のことが気になるからと、一緒に泊まることにした。
尚、他の患者などに影響が無いよう、病棟内ではなく、ドクターカーの中で寝ることになった。
美樹「あんまし寝られねがったっちゃねー……」
リサ「ねー」
ストレッチャーの上で寝る形になった為、あまり眠れなかったもよう。
過ごし方は入院病棟に合わせているもよう。
朝6時に起こされて、検温と問診が行われた。
それから7時に食事が運ばれてくる。
リサ「少なっ!」
美樹「少なっ!」
病院食なのだから仕方が無いとはいえ、その量はとても鬼娘2人の腹を満たせるようなものではなかった。
食事が終わると、BSAAの軍医がやってきて、検査が行われた。
[同日09時00分 天候:晴 同病院敷地内・ドクターカー]
BSAA軍医「陰性です」
美樹「やった!」
リサ「特異菌に感染して、全く症状が無いってのも珍しいね」
美樹「そうなの?」
リサ「うん。……もしかして、インフルエンザに罹ったことが無いって言っても、実は『感染無症状』だっただけなんじゃない?」
美樹「あー……そう言われっとォ……」
そこへ善場がやってくる。
善場「おはようございます。具合は上々のようで何よりですね」
リサ「善場さん」
善場「それでは、ここを退出致します。着替えて、準備なさってください」
美樹「あのー……ここの治療費は……?」
善場「バイオハザードによる生物兵器ウィルスの感染については、その治療費等は全て国費負担となります。ですので、心配なさらないでください」
美樹「すげェ!」
善場「ただ、書類の手続きがありますので、後ほど……」
美樹「学校の方は……?」
善場「NPO法人デイライト東京事務所が、『正式且つ緊急に』あなたに協力を要請したということにしています。鬼の正体バレたらマズいですか?」
美樹「いや……そこは公然の秘密ってヤツなんで、大丈夫です」
リサ「わたしと同じだね」
善場「あなたの場合は、『国家機密』です」
リサ「……はーい」
善場「というわけで太平山さん、リサの正体については、内密にお願いします」
美樹「せっかく鬼の同族が見つかったと思ったのに……」
善場「リサはあなたと違って、元人間ですよ。まあ、あなたも割と人間の血が混ざっているようですが……」
美樹「へエ。本当は鬼の血が薄まっているはずが、何だかいきなり先祖返りを起こすようになって、このザマです」
美樹は頭の角を指さした。
いざという場合は、帽子を被って隠しているらしい。
リサ「そうか!元から鬼だから、角が隠せないんだ!」
美樹「そう。ん?角を隠す?」
リサ「こう!」
リサは鬼形態から人間形態へと変化した。
リサ「はい、人間の姿」
美樹「おお~!一流の鬼だべね!」
リサ「だから違うって」
善場「とにかく、着替えてください。今後の話は、それからです」
[同日10時00分 天候:晴 沖縄県那覇市壺川 メルキュールホテル沖縄那覇]
自衛隊病院から車で移動したリサ達。
まず最初に訪れたのは、そんな自衛隊基地から10分強走った所にあるホテルだった。
愛原と高橋が、そこに泊まっているという。
たまたまそこが、修学旅行生達の一部を受け入れたホテルでもあった。
善場「私は太平山さんをホテルまで送って行きます。また後ほど」
リサ「分かった」
リサは車から降ろされると、その足でホテルの中に入った。
そして、ロビーに向かう。
愛原「リサ!」
リサ「先生!」
愛原「検査の方も何とも無かったみたいだな?」
リサ「わたしはね。ミキが陽性だったから、心配になって付き合ってた」
愛原「なるほど。いくら症状が無くても、油断はできないからな。もしかすると、突然、変異を起こして暴れるかもしれない。それに備えて残ってくれたというわけか」
リサ「う、うん。そんなところ……」
実はそこまで殊勝な理由ではなく、ただ単に気になっただけなのだが。
リサ「他の皆は?」
愛原「高橋も、他の修学旅行生も疲れて部屋にいるよ。何しろ、昨夜はあんなことがあった後だからな。元々今日が自由行動で良かったよ」
リサ「そうなんだ」
愛原「善場係長は、その太平山美樹さんってコをホテルに送ってから、またここに来るそうだな?」
リサ「うん、そう。どうも、秋北学院も自由行動になりそうだよ」
愛原「そうなのか?」
リサ「だって秋北学院、那覇中央ホテルの隣のホテルに泊まってたんだもん。直接影響は無くても、避難命令とか出されたでしょ?てんやわんやだったのは、向こうも同じだよ」
愛原「うーん……それもそうだな」
リサ「秋北学院は元々今日、班別研修だったらしいけど」
愛原「そうか」
リサ「ところで、東京中央学園はどうするの?」
愛原「一応、帰りの飛行機、予定通りの便に乗って帰ることになってる。それまでホテルの外に出て散策するも良し。ホテルの中で休んでるのも良しだ」
リサ「じゃあ、わたしも少し寝ようかな。昨夜はあんまり寝れなかったし」
愛原「そうするといい。部屋はシングルルームを用意してあるから。カードキーも預かってる」
リサ「分かった。えーと……那覇空港での集合時間は……」
愛原「14時30分。15時40分発のソラシドエアに乗るから」
リサ「それまでに行けばいいんだね」
愛原「そう。幸い、ホテルの前はモノレールの駅があるから、それで空港までは乗り換え無しで行ける。駅から空港までは10分くらいだ」
リサ「近っ!」
愛原「だからある意味、ゆっくりはできるんだよ」
リサ「分かった。少し、休ませてもらうね」
愛原「ああ。寝坊はするなよ?」
リサ「分かってる」
リサは愛原からカードキーをもらうと、それで客室へと向かった。
腹は減っていたが、それよりも眠気の方が大きかった。
特異菌の化け物と化した絵恋を倒したリサ達は、那覇空港に近接する自衛隊病院に向かった。
BSAA極東支部日本地区本部隊は自衛隊出身者が多く、また、そこから出向者も数多い。
その為、BSAA北米支部隊が米軍基地を拠点とするのに対し、日本地区隊は自衛隊駐屯地に拠点を置くことが多かった。
沖縄の自衛隊駐屯地には普段、BSAAは常駐していないが、リサ達が修学旅行で沖縄に行くのに合わせ、地区隊もそこに出向している。
今回、それが功を奏したわけだ。
自衛隊病院の敷地内には、BSAAのドクターカーが裏手に駐車され、そこでリサと太平山美樹はウィルスチェックが行われた。
その結果、リサは『陰性』で美樹は『陽性』。
リサの場合、かつては体内に自分の特異菌を持っていたこともあり、絵恋から感染させられた特異菌をGウィルスが食べてしまったらしい。
Gウィルスの無い美樹は、『陽性』。
それでも見た目に症状が無いのは、鬼族の末裔だからか。
何しろ、インフルエンザに感染したことが無いというのだから。
だが、実際は『感染無症状』状態。
直ちに、美樹には特異菌の特効薬が投与された。
こっそりホテルに戻るつもりだった美樹だが、一晩様子を見なければならないとされ、美樹の宿泊先には善場が連絡することになった。
リサの方は陰性だったので、ホテルに行っても良かったのだが、美樹のことが気になるからと、一緒に泊まることにした。
尚、他の患者などに影響が無いよう、病棟内ではなく、ドクターカーの中で寝ることになった。
美樹「あんまし寝られねがったっちゃねー……」
リサ「ねー」
ストレッチャーの上で寝る形になった為、あまり眠れなかったもよう。
過ごし方は入院病棟に合わせているもよう。
朝6時に起こされて、検温と問診が行われた。
それから7時に食事が運ばれてくる。
リサ「少なっ!」
美樹「少なっ!」
病院食なのだから仕方が無いとはいえ、その量はとても鬼娘2人の腹を満たせるようなものではなかった。
食事が終わると、BSAAの軍医がやってきて、検査が行われた。
[同日09時00分 天候:晴 同病院敷地内・ドクターカー]
BSAA軍医「陰性です」
美樹「やった!」
リサ「特異菌に感染して、全く症状が無いってのも珍しいね」
美樹「そうなの?」
リサ「うん。……もしかして、インフルエンザに罹ったことが無いって言っても、実は『感染無症状』だっただけなんじゃない?」
美樹「あー……そう言われっとォ……」
そこへ善場がやってくる。
善場「おはようございます。具合は上々のようで何よりですね」
リサ「善場さん」
善場「それでは、ここを退出致します。着替えて、準備なさってください」
美樹「あのー……ここの治療費は……?」
善場「バイオハザードによる生物兵器ウィルスの感染については、その治療費等は全て国費負担となります。ですので、心配なさらないでください」
美樹「すげェ!」
善場「ただ、書類の手続きがありますので、後ほど……」
美樹「学校の方は……?」
善場「NPO法人デイライト東京事務所が、『正式且つ緊急に』あなたに協力を要請したということにしています。鬼の正体バレたらマズいですか?」
美樹「いや……そこは公然の秘密ってヤツなんで、大丈夫です」
リサ「わたしと同じだね」
善場「あなたの場合は、『国家機密』です」
リサ「……はーい」
善場「というわけで太平山さん、リサの正体については、内密にお願いします」
美樹「せっかく鬼の同族が見つかったと思ったのに……」
善場「リサはあなたと違って、元人間ですよ。まあ、あなたも割と人間の血が混ざっているようですが……」
美樹「へエ。本当は鬼の血が薄まっているはずが、何だかいきなり先祖返りを起こすようになって、このザマです」
美樹は頭の角を指さした。
いざという場合は、帽子を被って隠しているらしい。
リサ「そうか!元から鬼だから、角が隠せないんだ!」
美樹「そう。ん?角を隠す?」
リサ「こう!」
リサは鬼形態から人間形態へと変化した。
リサ「はい、人間の姿」
美樹「おお~!一流の鬼だべね!」
リサ「だから違うって」
善場「とにかく、着替えてください。今後の話は、それからです」
[同日10時00分 天候:晴 沖縄県那覇市壺川 メルキュールホテル沖縄那覇]
自衛隊病院から車で移動したリサ達。
まず最初に訪れたのは、そんな自衛隊基地から10分強走った所にあるホテルだった。
愛原と高橋が、そこに泊まっているという。
たまたまそこが、修学旅行生達の一部を受け入れたホテルでもあった。
善場「私は太平山さんをホテルまで送って行きます。また後ほど」
リサ「分かった」
リサは車から降ろされると、その足でホテルの中に入った。
そして、ロビーに向かう。
愛原「リサ!」
リサ「先生!」
愛原「検査の方も何とも無かったみたいだな?」
リサ「わたしはね。ミキが陽性だったから、心配になって付き合ってた」
愛原「なるほど。いくら症状が無くても、油断はできないからな。もしかすると、突然、変異を起こして暴れるかもしれない。それに備えて残ってくれたというわけか」
リサ「う、うん。そんなところ……」
実はそこまで殊勝な理由ではなく、ただ単に気になっただけなのだが。
リサ「他の皆は?」
愛原「高橋も、他の修学旅行生も疲れて部屋にいるよ。何しろ、昨夜はあんなことがあった後だからな。元々今日が自由行動で良かったよ」
リサ「そうなんだ」
愛原「善場係長は、その太平山美樹さんってコをホテルに送ってから、またここに来るそうだな?」
リサ「うん、そう。どうも、秋北学院も自由行動になりそうだよ」
愛原「そうなのか?」
リサ「だって秋北学院、那覇中央ホテルの隣のホテルに泊まってたんだもん。直接影響は無くても、避難命令とか出されたでしょ?てんやわんやだったのは、向こうも同じだよ」
愛原「うーん……それもそうだな」
リサ「秋北学院は元々今日、班別研修だったらしいけど」
愛原「そうか」
リサ「ところで、東京中央学園はどうするの?」
愛原「一応、帰りの飛行機、予定通りの便に乗って帰ることになってる。それまでホテルの外に出て散策するも良し。ホテルの中で休んでるのも良しだ」
リサ「じゃあ、わたしも少し寝ようかな。昨夜はあんまり寝れなかったし」
愛原「そうするといい。部屋はシングルルームを用意してあるから。カードキーも預かってる」
リサ「分かった。えーと……那覇空港での集合時間は……」
愛原「14時30分。15時40分発のソラシドエアに乗るから」
リサ「それまでに行けばいいんだね」
愛原「そう。幸い、ホテルの前はモノレールの駅があるから、それで空港までは乗り換え無しで行ける。駅から空港までは10分くらいだ」
リサ「近っ!」
愛原「だからある意味、ゆっくりはできるんだよ」
リサ「分かった。少し、休ませてもらうね」
愛原「ああ。寝坊はするなよ?」
リサ「分かってる」
リサは愛原からカードキーをもらうと、それで客室へと向かった。
腹は減っていたが、それよりも眠気の方が大きかった。