報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「沖縄からの帰り」

2024-09-18 20:59:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月11日14時18分 天候:晴 沖縄県那覇市鏡水 沖縄都市モノレール線電車(列番不明)先頭車内→那覇空港駅]

 

 電車に乗っている10分間、リサは太平山美樹と話をした。
 名字の太平山はその名の通り、秋田県内にある太平山という山から取ったこと。
 今は1つの一族だが、そのルーツは岩手県から落ち延びて来た鬼と、秋田県南部、恐らく宮城県北部辺りから落ち延びて来たと思われる鬼達が集合して今の一族になったと言われていること、鬼の女は少なく、とても貴重で、田舎ではお姫様扱いされているということ。

 美樹「一族の中だけでの結婚じゃ、自ずから限界ばあるし、かといって人間と結婚したら、血が薄まっちまう。まあ、今更手遅れだけンども。んだもんで、関東に別の鬼の女達がいると聞いて、ツアーを組んで温泉旅行に行ったっちゅうわけよ」
 リサ「ああ。確かに上野んとこ、女ばっかりだねw いいんじゃないの?利恵もオトコ欲しがってるみたいだしwww」
 美樹「子持ちの年増じゃねー……」
 リサ「ハハ、そうか。じゃあ、リンとリコは?」
 美樹「そんなんいるっちゃ?」
 リサ「まあ、人間とのハーフだけど」
 美樹「半鬼か。まあ、血が薄まってるっちゅうことが問題だから……。そこで、リサだよ」
 リサ「えっ?」
 美樹「リサは純血の鬼だし、電撃も火炎攻撃もできる。こらうちの一族じゃ、大歓迎だべよ」
 リサ「それは残念。わたしは愛原先生一筋」
 美樹「スクールラブだっちゃ?」
 レイチェル「違いますよ。愛原センセイは、探偵です」
 美樹「探偵?探偵さんが、なして学校に?」
 リサ「PTA会長だから。うちの学校、PTA会長も引率者をやるの」
 美樹「デカい学校は大変だっちゃねー」

〔♪♪(車内チャイム。「谷茶前(たんちゃめー)」)♪♪。 まもなく、終点の那覇空港、那覇空港駅に到着します。お出口は、左側です〕
〔本日は、沖縄都市モノレール(ゆいレール)をご利用頂きまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いように、お支度ください。ドア付近の方は、ドアに手を挟まれないよう、ご注意願います。また、お降りの際は、足元にご注意ください。空港ターミナルへは、中央の連絡通路をご利用ください〕

 沖縄民謡をアレンジしたオルゴール調の車内チャイムが流れると、乗客達は降りる支度を始めた。
 ド平日だというのに、あちらこちらから中国語などの外国語が聞こえて来る。

 レイチェル「降りたら、すぐターミナルに向かいましょう。時間ピッタリですよ」
 リサ「分かった。ミキはどこまで来るんだ?」
 美樹「取りあえず、そのターミナルまで。どうせ1日乗車券で、またモノレールで戻れるからね」
 リサ「そうか」

 電車がホームに停車して、ドアが開く。

 

〔……那覇空港、那覇空港、終点です。ゆいレールをご利用頂き、ありかとうございます。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕

 リサ達はホームに降りた。

 

 そこからエスカレーターに乗って、改札口を目指す。

 リサ「ミキ達はいつ帰るんだ?」
 美樹「明日。明日、羽田経由で帰る。この分だと、明日も自由行動になりそうだっちゃね。元々明日が自由行動なんだけどw」
 リサ「そうか」

 リサはこの他にも一応、ミキがどのホテルに泊まっているか聞いておいた。
 元々泊まっていたホテルは直接的な被害は無かったが、規制線内に入ってしまった為、やはり東京中央学園生と同様、バラバラのホテルになってしまった。
 中には郊外のホテルになってしまった者もいるという。
 幸い、美樹はまだモノレール沿線のホテルだったから助かったとのこと。

[同日14時30分 天候:晴 同地区内 那覇空港2階・国内線エリア]

 愛原「おー、ギリギリだったな!」
 リサ「間に合った?」
 愛原「ギリギリセーフ!じゃあ、チケット渡すよ」
 リサ「ういっス!」
 美樹「東京中央学園は、ソラシドエアなんだ」
 愛原「あれ?キミは確か……」
 美樹「秋北学院の太平山美樹です。予定が全部キャンセルになっちまって、自由行動になったもんで、リサの見送りに来ました」
 愛原「そうなんだ」
 美樹「あなたが愛原先生ですか?」
 愛原「はい。愛原学です。そこにいるリサの保護者です」
 リサ「と、同時にわたしのダーリン」
 美樹「ふぇっ!?もう『獲物』にしとんのけ!?そらたまげた!」
 愛原「何か、勝手にそうなっちゃって……」
 リサ「だから、美樹の一族には入れないねー」
 美樹「むむむ……」
 愛原「だから、何の話?」
 美樹「まあ、どっちにしろ、秋田さ来たら、遊びに来てけさいよ。思いっきし歓迎しますっけ」
 愛原「行く機会あるかなぁ……」
 リサ「ミキが東京に来ればいいんだよ。栃木までは行ったんでしょ?」
 美樹「あー、まあ……。いっそのこと、大学を東京にすっかな」
 リサ「まだ決めてなかったの!?」
 愛原「オマエも宙に浮いた状態ではあるだろ?」
 リサ「た、確かに……」
 美樹「そっか。リサもまた決めてねぇのけ」
 リサ「決めてたんだけど、ちょっとまた保留にしたっていうかぁ……」
 高橋「先生、そろそろ保安検査場に行きましょう。何か確認したら、リサ達が最後みたいっス!」
 愛原「何だ、そうか。誰も遅刻しないなんて、立派だなー」
 リサ「というか、昨夜のショッキングな出来事のせいで、はっちゃけられないんだと思う」

 早めに空港に行って、そこで時間を潰そうという者達が多かったらしい。
 リサだって本当なら、首里城とか国際通りを歩きたかったのだが。

 高橋「ホテルの売店で土産買っといて正解でしたね」
 愛原「まあ、結果的にはな」
 リサ「じゃあ、ミキ。見送りありがとう」
 美樹「連絡待ってっからね」

 リサ達は美樹と別れると、保安検査場に向かった。
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“愛原リサの日常” 「修学旅行最終日」

2024-09-18 15:48:47 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月11日13時00分 天候:晴 沖縄県那覇市壺川 メルキュールホテル沖縄那覇・客室]

 リサはワケの分からない夢を見て目が覚めた。
 最後には、人間だった頃の我那覇絵恋がやってきたが……。

 リサ「斉藤早苗……許さない……!」

 枕元に置いたスマホが着信音を鳴らす。
 画面を見ると、レイチェルからだった。

 リサ「もしもし……?」
 レイチェル「おはようです!そろそろ起きて準備しないと、チコクしますよ!」
 リサ「あー……ハイハイ。今起きる……」

 この部屋にはリサ1人しかいないことに気づいた。
 部屋は1人でも、同じ建物に監視者がいれば良いことになっている。
 レイチェルが掛けてきたということは、レイチェルがこのホテルにいるのだろう。
 リサは起き上がると、まずはバスルームに向かった。
 バスルームはトイレ、洗面台、バスタブやシャワーが一体化されたものだが、ビジネスホテルのそれよりはやや広い。
 リサにとってホテルの方が安心なのは、トイレが必ず洋式だからである。

 リサ「お腹空いた……」

 リサは洗面所で顔を洗ったり、トイレを済ませたりした。

[同日13時55分 天候:晴 同ホテル・ロビー]

 レイチェル「……はい。これからリサを連れて、那覇空港へ向かいます。集合時間には着けると思います。……はい。リサは部屋で寝ているようです。先ほど電話で起こしましたので……」

 ホテルに入って来る1人の制服姿の女子高生。
 それは太平山美樹。
 鬼の名前は『美鬼』とのこと。
 それと同時に、エレベーターからリサが降りて来る。

 リサ「お待たせ」
 レイチェル「リサ」
 美樹「リサさん!」
 レイチェル「Huh?」
 美樹「は?」
 リサ「んっ?ミキ、来てたの?」
 美樹「結局、今日は班別研修が中止になって、自由行動になったべね」
 レイチェル「リサ、知り合いですか?」
 リサ「昨日、エレンとの戦いで共闘した、太平山美樹。秋田から来た鬼だよ。ミキ、この人はレイチェル・グラハム。BSAAの養成員で、東京中央学園の留学生」
 美樹「ど、どンも。太平山美樹です。……日本語、分かります?」
 レイチェル「はい、大丈夫ですよ。ドウゾよろしく」

 美樹もリサより背が高いが、レイチェルはそれ以上だ。
 レイチェルから僅かだが、見下ろされる形となった美樹は少し退いた。

 美樹「よろスく……」
 レイチェル「それより、そろそろ那覇空港に行かないと。愛原センセイがお待ちです」
 リサ「おー、そうだった!カードキー返してくるね!」

 リサはフロントに行って、チェックアウトをしに行った。
 それからホテルの外に出る。
 ホテルの前は大通りになっていて、国道329号線(那覇東バイパス)となっている。
 外に出ると、やや少し強い風が3人に吹きかかった。
 金髪をポニーテールにしているレイチェルの髪が1番靡いたが、おかっぱにしているリサの方が、髪が顔に掛かるなどした。
 その中で1番髪が短い美樹は、特に影響は受けていない。

 美樹「潮の香りがするっちゃね」
 リサ「海が近いんだよ」
 美樹「山育ちなもんで、こういう海の匂いは結構鼻につくンだ」
 リサ「それはわたしも同じだね」
 美樹「鬼は基本的に山育ちだな」
 リサ「う、うん……」

 かくいうリサには、子供の頃に記憶が殆ど無い。
 辛うじて小学生の頃には、アンブレラの非人道的な実験でBOWにさせられた記憶はある。
 人間だった頃の記憶が無いという意味だ。

[同日14時08分 天候:晴 同地区内 沖縄都市モノレール壺川駅→沖縄都市モノレール線電車(列番不明)先頭車内]

 

 ホテルのすぐ近くにある壺川駅に行った。
 ここではSuicaやPasmoが使えるので、リサとレイチェルはそれで改札口を通過しようとした。
 だが、美樹は1日乗車券で改札口を通過した。

 リサ「美樹はキップなんだ?」
 美樹「他の皆、昨夜は大変で、疲れてっから。取りあえず、アタシ1人で回ることにしたっちゃ。なもんでリサさん達の見送りでも、させてもらうっちゃ」
 リサ「そうか。……ああ、リサでいいよ。私もミキって呼んだ方が呼びやすい」
 美樹「そっか。そんなら、リサ、よろしく」
 リサ「こちらこそ」

 尚、1日乗車券は投入口に入れるタイプではなく、QRコード読取タイプ。
 乗車券に印刷されたQRコードを改札機の読取機に読ませるタイプ。
 日本ではやや珍しいが、外国、特にアジア圏ではQRコード印刷の乗車券は珍しくないそうだ。
 ホームに行くと、2面2線の対向式になっていた。
 電車は2両編成または3両編成で、今度来る電車は2両編成のようである。
 尚、ワンマン運転となっている。
 昼間は10分に1本の本数。
 2両編成なので、リサはどちらの車両に乗っても良い。

〔♪♪♪♪。まもなく、2番線に、那覇空港行きの電車が参ります。危ないですから、柵から離れて、お待ちください〕

 

 そして、2両編成の電車がやってきた。
 平日の昼間にも関わらず、そこそこの賑わいである。
 地元に対する道路渋滞対策も去ることながら、モノレール自体が観光資源になったというのもあるという。
 電車に乗り込むと、リサ達は座席の前の吊り革に掴まった。
 他に東京中央学園の生徒は乗っておらず、皆して早めに空港に向かったのだと分かる。
 リサのスマホにも、淀橋と小島が先に那覇空港に行った旨のLINEが来ていた。
 ホームに発車メロディが鳴り響く。
 接近メロディも発車メロディも、沖縄民謡をアレンジしたオルゴールだった。

〔ドアが閉まります〕

 ワンマン運転のせいか、運転士が乗務員室の窓から顔を出して、出発監視をしている。
 車両のドアチャイムやホームドアチャイムは、首都圏で聴けるものと同じタイプ。
 ドアが閉まり切ったことを確認すると、運転士は運転席に座ってハンドルを操作した。
 エアが抜ける音がして、インバータの音が車内に響く。
 スーッと滑らかな滑り出しだが、東京モノレールよりも新しいせいか、そんなに大きく揺れることはない。

〔次の停車駅は、奥武山公園(おおのやまこうえん)、奥武山公園です〕

 リサはドアの窓から、街の方を見た。
 現場の近くということもあって、高架線を走るモノレールから見えないかと思ったのだ。
 辛うじてパトカーの赤色灯や、規制線のテープなどが僅かにチラッと見えただけだった。
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