[5月12日15時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]
事務所に1本の外線電話が入る。
パール「お電話ありがとうございます。愛原学探偵事務所でございます」
リサがパールのすぐ近くに行って、聞き耳を立てる。
聴力向上の為に、人間形態から鬼形態に戻るのを忘れない。
尖った耳をピクピク動かして、パールの電話に耳を傾ける。
受話器の向こうからは、愛原の声が聞こえた。
愛原「もうすぐ事務所に到着する。ちょっと下に下りて来てくれ」
というもの。
パール「承知しました」
パールが電話を切ると同時に、事務所の前には1台のタクシーが止まった。
パール「ちょっと行ってきます!リサさんはここにいてください!」
リサ「あっ……!」
パールはリサが呼んでいたエレベーターに乗り込んで行ってしまった。
リサ「先を越された……。まあ、いいか」
リサは事務所内にある監視カメラのモニタを見た。
モニタには、1階のガレージが映し出されている。
タクシーから降りてきたのは、愛原と高橋。
高橋はフラつきながら、タクシーを降りていた。
そこへパールが合流し、高橋の手を取りながら、ガレージの中に入る。
そして、3人がエレベーターに乗り込んだ。
リサはエレベーターの方に近づく。
案の定、エレベーターは2階に止まった。
そこから降りて来たのは愛原だけ。
エレベーターは愛原を降ろすとドアを閉め、3階に上がって行った。
愛原「ただいま」
リサ「お帰り。お兄ちゃん、ダウンしたって?」
愛原「ああ、コロナ陽性だ」
リサ「マジ!?」
愛原「熱も出ている。40度近く」
リサ「40度!?」
愛原「しばらくは安静だろう」
リサ「入院しないんだね」
愛原「第1波、第2波の時ではないからな。まるで、インフルエンザみたいな症状だ。高熱と頭痛と咽頭痛だよ」
リサ「薬はもらったの?」
愛原「ああ。それを飲めば、まあ大丈夫だろう」
リサ「先生は感染していない?」
愛原「俺は陰性だな。あとはパールだが……」
リサ「パールさん、検査キット買って来てたよ」
愛原「マジか。さすがはメイド、用意がいいな」
リサ「私のGウィルスを飲めば、たちどころに治るよ?」
リサは口を開けた。
そこから小さくて薄緑色をしたイソギンチャクのような『胚』が現れる。
薄い緑色はGウィルスとTウィルスを融合したもののシンボルカラーであり、リサの体内からは無くなったはずのTウィルスが、Gウィルスに取り込まれていることが分かる。
あくまでも偽性特異菌は、Gウィルスに取っての噛ませ役であり、生物兵器として使用できるものではない。
愛原「化け物を増やす気か。体の外に出さない!BSAAが出動してくるよ?」
リサ「はーい」
リサは『胚』を体内に戻した。
この『胚』を植え付けられた生物は、Gと呼ばれる化け物に変化する。
リサみたいな鬼の姿になるわけではない。
とにかく、リサは本当に特異中の特異なのだ。
今でもGウィルスが使用されたバイオテロが発生したとなった場合、BSAAの警戒レベルは最高の10に引き上げられ、支部を越えての協力体制が求められるとされている。
愛原「今日の夕食当番は、高橋なんだよな……。また、パールに作らせるのも悪いなぁ……」
リサ「この場合は仕方無いんじゃない?」
愛原「うーむ……」
しばらくして、パールが下りて来た。
愛原「どうだった?」
パール「取りあえず、寝かせています。氷枕と冷却シートを使用しています」
愛原「ああ。熱は大変だからな。ケチらず、ガンガン使ってくれ」
パール「ありがとうございます」
愛原「オマエも感染するとヤバい。高橋が治るまで、別の部屋で寝た方がいいかもな?」
パール「はい。そうさせて頂きます」
リサ「別の部屋に寝るって、どこで寝るの?」
パール「リビングで寝ますよ。カウチソファがありますから、そこで寝ます」
愛原「そ、そうか。何なら、事務所の倉庫に折り畳みベッドがあるから、それを引っ張り出してきて……」
パール「いえいえ。それで結構です。マサの看病もしたいですし」
愛原「あ、ああ、分かった」
パール「先生こそ、マサから感染させられないように、お気をつけくださいね」
愛原「分かってるよ。それと、食事当番だが……」
パール「マサが治るまで、私が務めさせて頂きます」
愛原「そ、そうか」
リサ「わたしも手伝うー」
愛原「そうしてやってくれ」
パール「かしこまりました。それでは先生、食材の買い出しに行って参りますので……」
愛原「ああ。リサも連れて行け。荷物運びに使わせろ」
リサ「鬼の腕力、お任せあれ」
パール「ありがとうございます。それではちょっと、冷蔵庫などを確認してきますので、少々お待ちください。あと、マサ用に何か食べれる物でも作れればと思いますので……」
愛原「高熱が出ていたりしてると、食欲なんて無くなるからなぁ……」
リサ「わたしがお兄ちゃんの分も食べるー」
愛原「おいw」
パールが再び3階に行っている間、リサは愛原と話した。
愛原「オマエは明日、学校に行くんだろ?」
リサ「うん。お昼までだけどね」
愛原「土曜日だからな。じゃあ、俺は1人で行くか」
リサ「どこに?」
すると、愛原は自分の頭を指さした。
愛原「脳の検査だよ。善場係長が、クリニックを紹介してくれたんだ。土曜日もやってるから、ちょっくら行ってくるよ」
リサ「どこにあるの?」
愛原「埼玉だよ。但し、昔、絵恋が住んでいたさいたま市までは行かないけどね」
リサ「やだなぁ……」
愛原「何が?」
リサ「それで先生、『入院です』ってなったらどうしよう……」
愛原「まあ、その可能性は低いと思うけどな。その時は連絡するよ」
リサ「可能性あるんだ……」
愛原「何しろ、脳の事だから、検査してみないと分からんよ。変な脳の病気が見つかるかもしれないし……」
するとリサ、口を開けて、Gウィルスの『胚』を覗かせた。
リサ「これを体に取り込めば、脳の病気ですらも治るよ!」
愛原「だから、いらんっちゅーに!」
危うくBSAA案件になるところであった。
事務所に1本の外線電話が入る。
パール「お電話ありがとうございます。愛原学探偵事務所でございます」
リサがパールのすぐ近くに行って、聞き耳を立てる。
聴力向上の為に、人間形態から鬼形態に戻るのを忘れない。
尖った耳をピクピク動かして、パールの電話に耳を傾ける。
受話器の向こうからは、愛原の声が聞こえた。
愛原「もうすぐ事務所に到着する。ちょっと下に下りて来てくれ」
というもの。
パール「承知しました」
パールが電話を切ると同時に、事務所の前には1台のタクシーが止まった。
パール「ちょっと行ってきます!リサさんはここにいてください!」
リサ「あっ……!」
パールはリサが呼んでいたエレベーターに乗り込んで行ってしまった。
リサ「先を越された……。まあ、いいか」
リサは事務所内にある監視カメラのモニタを見た。
モニタには、1階のガレージが映し出されている。
タクシーから降りてきたのは、愛原と高橋。
高橋はフラつきながら、タクシーを降りていた。
そこへパールが合流し、高橋の手を取りながら、ガレージの中に入る。
そして、3人がエレベーターに乗り込んだ。
リサはエレベーターの方に近づく。
案の定、エレベーターは2階に止まった。
そこから降りて来たのは愛原だけ。
エレベーターは愛原を降ろすとドアを閉め、3階に上がって行った。
愛原「ただいま」
リサ「お帰り。お兄ちゃん、ダウンしたって?」
愛原「ああ、コロナ陽性だ」
リサ「マジ!?」
愛原「熱も出ている。40度近く」
リサ「40度!?」
愛原「しばらくは安静だろう」
リサ「入院しないんだね」
愛原「第1波、第2波の時ではないからな。まるで、インフルエンザみたいな症状だ。高熱と頭痛と咽頭痛だよ」
リサ「薬はもらったの?」
愛原「ああ。それを飲めば、まあ大丈夫だろう」
リサ「先生は感染していない?」
愛原「俺は陰性だな。あとはパールだが……」
リサ「パールさん、検査キット買って来てたよ」
愛原「マジか。さすがはメイド、用意がいいな」
リサ「私のGウィルスを飲めば、たちどころに治るよ?」
リサは口を開けた。
そこから小さくて薄緑色をしたイソギンチャクのような『胚』が現れる。
薄い緑色はGウィルスとTウィルスを融合したもののシンボルカラーであり、リサの体内からは無くなったはずのTウィルスが、Gウィルスに取り込まれていることが分かる。
あくまでも偽性特異菌は、Gウィルスに取っての噛ませ役であり、生物兵器として使用できるものではない。
愛原「化け物を増やす気か。体の外に出さない!BSAAが出動してくるよ?」
リサ「はーい」
リサは『胚』を体内に戻した。
この『胚』を植え付けられた生物は、Gと呼ばれる化け物に変化する。
リサみたいな鬼の姿になるわけではない。
とにかく、リサは本当に特異中の特異なのだ。
今でもGウィルスが使用されたバイオテロが発生したとなった場合、BSAAの警戒レベルは最高の10に引き上げられ、支部を越えての協力体制が求められるとされている。
愛原「今日の夕食当番は、高橋なんだよな……。また、パールに作らせるのも悪いなぁ……」
リサ「この場合は仕方無いんじゃない?」
愛原「うーむ……」
しばらくして、パールが下りて来た。
愛原「どうだった?」
パール「取りあえず、寝かせています。氷枕と冷却シートを使用しています」
愛原「ああ。熱は大変だからな。ケチらず、ガンガン使ってくれ」
パール「ありがとうございます」
愛原「オマエも感染するとヤバい。高橋が治るまで、別の部屋で寝た方がいいかもな?」
パール「はい。そうさせて頂きます」
リサ「別の部屋に寝るって、どこで寝るの?」
パール「リビングで寝ますよ。カウチソファがありますから、そこで寝ます」
愛原「そ、そうか。何なら、事務所の倉庫に折り畳みベッドがあるから、それを引っ張り出してきて……」
パール「いえいえ。それで結構です。マサの看病もしたいですし」
愛原「あ、ああ、分かった」
パール「先生こそ、マサから感染させられないように、お気をつけくださいね」
愛原「分かってるよ。それと、食事当番だが……」
パール「マサが治るまで、私が務めさせて頂きます」
愛原「そ、そうか」
リサ「わたしも手伝うー」
愛原「そうしてやってくれ」
パール「かしこまりました。それでは先生、食材の買い出しに行って参りますので……」
愛原「ああ。リサも連れて行け。荷物運びに使わせろ」
リサ「鬼の腕力、お任せあれ」
パール「ありがとうございます。それではちょっと、冷蔵庫などを確認してきますので、少々お待ちください。あと、マサ用に何か食べれる物でも作れればと思いますので……」
愛原「高熱が出ていたりしてると、食欲なんて無くなるからなぁ……」
リサ「わたしがお兄ちゃんの分も食べるー」
愛原「おいw」
パールが再び3階に行っている間、リサは愛原と話した。
愛原「オマエは明日、学校に行くんだろ?」
リサ「うん。お昼までだけどね」
愛原「土曜日だからな。じゃあ、俺は1人で行くか」
リサ「どこに?」
すると、愛原は自分の頭を指さした。
愛原「脳の検査だよ。善場係長が、クリニックを紹介してくれたんだ。土曜日もやってるから、ちょっくら行ってくるよ」
リサ「どこにあるの?」
愛原「埼玉だよ。但し、昔、絵恋が住んでいたさいたま市までは行かないけどね」
リサ「やだなぁ……」
愛原「何が?」
リサ「それで先生、『入院です』ってなったらどうしよう……」
愛原「まあ、その可能性は低いと思うけどな。その時は連絡するよ」
リサ「可能性あるんだ……」
愛原「何しろ、脳の事だから、検査してみないと分からんよ。変な脳の病気が見つかるかもしれないし……」
するとリサ、口を開けて、Gウィルスの『胚』を覗かせた。
リサ「これを体に取り込めば、脳の病気ですらも治るよ!」
愛原「だから、いらんっちゅーに!」
危うくBSAA案件になるところであった。