報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「修学旅行後初の登校」

2024-09-26 21:36:04 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月13日07時52分 天候:晴 東京都台東区上野 JR京浜東北線634B電車・1号車内→JR上野駅]

〔次は上野、上野。お出口は、右側です。新幹線、高崎線、宇都宮線、常磐線、京成線、地下鉄銀座線と地下鉄日比谷線はお乗り換えです。電車とホームの間が、広く空いている所がありますので、足元にご注意ください〕

 リサと愛原は、無事に上野駅に着こうとしていた。
 リサは登校の為、上野駅で降りるが、愛原は通院の為に更に先まで乗って行く。

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく上野、上野です。車内にお忘れ物の無いよう、ご注意ください」〕

 リサ「じゃあ、わたしはここで降りるね……」
 愛原「そんな寂しい顔すんなよ。友達と会って、楽しんで来い」
 リサ「先生以上に、会って嬉しい人なんて他にいないんだけどねぇ……」

 リサはそう言って席を立った。
 電車がホームに止まって、車両のドアとホームドアが開く。

〔うえの~、上野~。ご乗車、ありがとうございます。次は、鶯谷に、停車します〕

 上野駅はターミナル駅である。
 こういうターミナル駅では、電車も1分ほど停車することが多い。
 リサは愛原の電車が発車して行くまで、ホームで待っていた。
 愛原からは、気にせずさっさと行けという合図を送られたのだが……。
 しばらくすると、ホームに発車ベルが鳴り響いた。
 上野駅の通勤電車ホームは、発車メロディではなく、ベルが流れる。
 山手線はオクターブの低いベルが鳴るが、京浜東北線は高い音色のベルが流れる。

〔1番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 電車のドアとホームドアが閉まる。
 空いていることもあってか駆け込み乗車も無く、ドアは再開閉することなく、1回で閉まり切った。
 そして、エアーの抜ける音がすると、電車がスーッと動き出す。
 リサが手を振ると、愛原も観念したかのように、右手を軽く挙手した。
 そして、10両編成の電車はリサの横を走り去って行った。
 1番後ろの乗務員室からホームに顔を出している車掌は若い女性だったが、まあ、先頭車に乗っている愛原が、わざわざ最後尾の車掌室まで行くとは思えないので、リサは浮気を疑うのを止めた。
 因みに、運転士は男性だった。

 リサ「どれ……行くか」

 リサは改札口へと向かった。

[同日08時15分 天候:晴 同地区内 東京中央学園上野高校3年3組]

 リサ「おはよう」
 淀橋「おはよう!」
 小島「おはよう」

 リサが教室に入ると、いつもより人は少なかった。
 やはりショックで休んでいる生徒がいるのだろう。
 また、リサのクラスからもケガ人は出ているため。

 リサ「何だか今日は少ないね」
 小島「何か、半分くらいは休むみたいだよ」
 淀橋「だったら学級閉鎖にしちゃえばいいのにね」
 小島「インフルエンザじゃないんだから……」
 淀橋「(『魔王軍』メンバーの)谷口さんと佐藤さん、全治2週間ですって」
 リサ「マジか……。美味そうな血の匂いはしてたけどね……」
 淀橋「あはは……」
 レイチェル「おはよう、リサ」
 リサ「おはよう……って、レイチェル!?」
 レイチェル「どうかしましたか?そんなに驚いて」
 リサ「いつも土曜日休んでなかった?」

 レイチェルは土曜日は、BSAAの訓練場で戦闘訓練を受ける日だということで、土曜日は学校を休んでいた。
 元々休みの日は良いのだが、今日みたいに授業のある日でも休んでいる。
 レイチェルはただの高校生ではなくて、あくまでも高等教育もやっているBSAAの養成学校の訓練生だということが分かる。

 レイチェル「Ah...今日は訓練は休みです。沖縄の事件とかで本部が忙しくて。教官も駆り出されてる状態です。ただの養成員の私は、出番が無いので……。ジムでトレーニングなど、自主訓練はできるのですが、それも限られています。だったら今日は学校があるので、学校に行った方が良いと思いまして」
 リサ「なるほど。BSAAも大変だ」
 レイチェル「はい。学校が終わった後はヒマになりそうです」
 小島「テストも近いんだし、勉強でもしてるしかないねー」
 淀橋「やっぱそうなるか……」

[同日09時30分 天候:晴 同学園同教室]

 1時間目の授業が終わった後、リサは自分のスマホを取り出した。
 そして、愛原にLINEを送った。
 検査の結果を聞く為である。
 そしたら、返って来た内容は意外なものだった。

 愛原「悪い。まだ、待合室のロビーなんだ。受付は終わったんだが、今日は少し混んでて時間が掛かるらしい」

 とのこと。
 何でも、確かにMRIとかだけだと予約無しでもやってくれるものの、実は予約も受け付けていたらしく、当然ながら予約した患者の方が優先される為、愛原は後回しにされているとのこと。
 特に、急患というわけでもないので、尚更である。

 愛原「もしかしたら、昼頃になるかもしれんな」

 ということだった。

 リサ「そんなに混んでるんだ……」

 リサはその時、ふとあることを思いついた。

 リサ「また後でLINEするね」

 とだけ愛原に送ると、席を立った。

 淀橋「魔王様、トイレに行くー?」
 リサ「行く行くー」

 リサは『魔王軍』のメンバーについて行った。

 淀橋「お昼はどうする?土曜日は学食空いてないしねー」
 リサ「ちょっと帰り際、愛原先生にLINEしてみる。それから」
 小島「魔王様は愛原先生一筋だねー」
 リサ「もち!」
 レイチェル「逆を言えば、愛原センセイの存在が、リサの暴走のストッパーになっているということですね」
 リサ「そういうこと!」
 レイチェル「精神的な作用もあると、BSAAに報告します」
 リサ「どうぞご勝手に。……ねぇ、レイチェル」
 レイチェル「何ですか?」
 リサ「午後、ヒマだって言ってたよね?」
 レイチェル「言いましたけど?」
 リサ「わたしは単独行動が認められてない。でも、BSAAの『監視付き』ならOKだよね?」
 レイチェル「私にそれをしろと?どこか行きたい所があるのですか?」
 リサ「むふー……」
 レイチェル「???」
コメント (5)
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“私立探偵 愛原学” 「愛原の脳検査」

2024-09-26 16:18:28 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月13日07時15分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は予てより、最大口顧客であるNPO法人デイライト東京事務所の善場優菜係長より紹介された脳神経クリニックに向かうところだ。
 何しろ、ここ最近の私には記憶障害とフラッシュバック、それに伴う激しい頭痛の症状が頻発するようになり、それを心配してくれた善場係長がクリニックを紹介して下さったというわけだ。
 そのクリニックは土曜日も診療しており、また、MRIやMRAだけの検査なら予約無しでできるということもあり、手が空いた今日、行くことにした。
 本当なら高橋に車で送ってもらおうかと思っていただが、昨日のタイミングで高橋が新型コロナという名の武漢ウィルスに感染。
 高熱と頭痛、咽頭痛で倒れており、部屋で養生している。
 また、パールはパールで、高橋の看病をするという重大な任務がある。
 仕方が無いので、私は1人で電車とバスで向かうことにした。
 クリニックは埼玉県にあるものの、けして交通不便な場所にあるわけではないからだ。
 近くまでは京浜東北線または埼玉高速鉄道で行けて、クリニックの近くまで行くバスの本数も比較的多い。
 今日はリサも登校日なので、上野までは一緒に行くことにした。
 ……のだが!

 愛原「それじゃ行ってくるから、高橋のこと、宜しく頼むな?」
 パール「はい。お気をつけて行ってらっしゃいませ」
 リサ「行ってきまーす」

 リサは東京中央学園の制服に身を包んでいる。
 5月からは夏服となる為、ブレザーは着ていない。
 また、スカートも夏用のグリーンのプリーツスカートで、ブラウスも薄緑色の半袖だった。
 グリーンは東北新幹線のラインカラー、若竹色に酷似している。
 ブラウスの色は、山手線のウグイス色に似ていた。
 私はというと、ベージュのチノパンに水色のシャツ、黒のジャケットを羽織っている。
 2階から1階へ下りる階段のドアを開けようとした時だった。

 高橋「せ……先生……待って……くだせぇ……ゲホッ!ゲホッ!」

 高橋が部屋から這いずり出て来た。

 愛原「おい、高橋!見送なんかしなくていいぞ!寝てろよ!」

 高橋の熱は、まだ39度ほどある。
 昨日、薬を飲む前の40度よりはマシになったが、まだまだ寝てなきゃいけないレベルだ。

 高橋「い……行っては……なりませ……ゲホッ!ゴホッ!ガハッ!!」
 愛原「は!?何だよ!?」
 高橋「い……行かない……で……ください……」
 愛原「な、何で!?」
 リサ「きっとお兄ちゃん、熱で頭がやられたんだよ。それか、変な夢でも見たか……」
 高橋「せんせ……ぇ……危険……です……ゲホッ!ゲホゲホッ!!」

 まるで這いずりゾンビのように這いずりながら、私の元へ縋りつくように……。

 リサ「はいはい!病人は寝ててね!」
 パール「マサ!先生のお邪魔をしちゃダメって、自分で言ってたでしょ!」
 高橋「あ~……れ~……」

 事務所の女性陣2人に、寝室に連れ戻される高橋であった。
 寝室にいても、高橋の激しい咳や痰の絡む音が響いてくる。
 新型コロナは呼吸器をやられるとは聞いていたが、高橋の場合、喫煙者でもあるから尚更だろう。
 同じく初期症状に激しい咳があるCウィルスと似ているかもしれない。
 新型コロナの特効薬にリサのGウィルスが使えるのではとされていた時期があったが、それはCウィルスもまた、材料としてGウィルスが使われていたからというのもある。

 リサ「寝かせて来た」
 愛原「ご、ご苦労さん!」
 リサ「わたしのGウィルスの『胚』とか、『寄生虫』とかがあれば、それで大人しくさせられるのにねぇ……」
 愛原「危険だからやめなさい。で、今はどうしてるんだ?」
 リサ「パールさんがスタンガンで気絶させたw」
 愛原「……今のは、聞かなかったことにしておこう」

 私とリサは家を出た。

[同日07時25分 天候:晴 同地区内 都営地下鉄菊川駅→都営新宿線703T電車・先頭車内]

〔まもなく、1番線に、各駅停車、笹塚行きが、10両編成で、到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 土曜日ということもあり、平日の同じ時間と比べれば空いている。
 やってきたのは、東京都交通局の車両。

〔1番線の電車は、各駅停車、笹塚行きです。きくかわ~、菊川~〕

 ホームドアと車両のドアが開く。
 平日よりは空いているとはいえ、空席があるほどガラガラというわけではない。
 私とリサは先頭車に乗り込むと、運転室のすぐ後ろに立った。
 すぐに短い発車メロディが鳴る。

〔1番線、ドアが閉まります〕

 電車のドアとホームドアが閉まる。
 駆け込み乗車は無かったか、再開閉は無かった。
 ドアが閉まり切ると、運転室内から発車合図のブザーが聞こえて来る。
 それから、ハンドルをガチャッと操作する音が聞こえ、エアーが抜ける音がして、電車が動き出した。
 私は手すりに掴まっているが、リサは私の腕を掴んでいるだけ。

〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕

 愛原「それにしても高橋、あそこまで錯乱するとはな……」
 リサ「きっと、悪い夢でも見たんだよ。先生が途中で事故に遭う夢とか……」
 愛原「おいおい。縁起でも無いこと言うなよ……」
 リサ「大丈夫。……だったら、病院までわたしが一緒に行こうか?先生の護衛なら任せて」
 愛原「ちゃんと学校には行こうな」
 リサ「今は頭痛、大丈夫なの?」
 愛原「今のところは……」

 かつての豪華客船“顕正号”のことについて思い出そうとすると、激しい頭痛とフラッシュバックが起きる。
 そこで何か私は、トラウマを抱えるような事件に巻き込まれたのだろう。
 しかし、詳細は高橋はもちろん、高野君も教えてくれない。
 それを明らかにする為にも、やはり脳検査は必要だろう。

 リサ「ところで、お兄ちゃんには、クリニックの場所は教えてあるの?」
 愛原「いや、埼玉としか教えてないな。詳しい話をしようとした時に、ダウンしたから」

 もしかしたら、更に川口市とまでは伝えていたかもしれない。
 しかし、住所やアクセス法については一切話していない。

 愛原「それがどうした?」
 リサ「うーん……何でもない」
 愛原「ん?」

 リサはリサで、思い当たる節でもあるのだろうか?
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