報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「斉藤秀樹の帰国?」

2025-01-16 16:34:44 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月21日18時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 今は無き日本アンブレラの元社長、五十嵐皓貴は今年に出所したばかりで、今は群馬県東吾妻町でペンションを営んでいるという。
 尚、元副社長の息子はまだ服役中。
 研究開発部門の統括担当であったということもあり、尚一層の責任を追及された結果であるという。
 予約は完了し、今度はそこまでの電車のキップを買いに行こうとした矢先、善場係長から電話が掛かってきて、それができなくなってしまった。
 ペンションの予約は良いのだが、これから大きな動きがあるので、今日はあまり出歩かないで欲しいと言われたからだ。
 一体、何があのるだろう?
 昼のニュースでは、『ウラジオストク国際空港から、プライベートジェットがモスクワの方に離陸して行った。それに斉藤容疑者が乗っているのではないか?』という物が流れた。
 わざわざ1週間掛けて、シベリア鉄道でモスクワからウラジオストクまで移動したのに、どうして戻るのだろうと首を傾げていたが……。

 愛原「今日の夕食は中華か」
 パール「豚肉が安かったので、それが多く使える料理にしてみました」
 愛原「素晴らしい!」

 

 

 学校から帰って来たリサも交えて夕食を取ろうとした時だった。
 テレビから、速報が流れて来た。

〔「ここで速報が入って来ました。元・大日本製薬代表取締役社長で、日本アンブレラ製薬に対し、違法に情報や資金を提供していた疑いで指名手配中の斉藤秀樹容疑者が、日本国内に帰国している疑いが濃厚となりました」〕

 愛原「んっ!?」
 パール「御主人様が!?」

〔「こちら、斉藤容疑者が帰国の際に利用したと思われる新潟空港です。現在、警察や公安関係者によって、当該空港は全面閉鎖となっており、全ての航空機の離着陸が制限されております!!」〕

 愛原「ブッ!そこまでするの!?」

〔「日本アンブレラとの関係があったということで、容疑者は今でも生物兵器を所持している疑いがあると見られ、その為の緊急措置と見られます」〕

 愛原「で、御本人は逮捕されたの?」

 どうしてこのタイミングで???
 ロシアにいりゃいいのに……。

〔「尚、機内には既に容疑者の姿は無く、楽器ケースに紛れて、そのまま荷物として搬出されたと見られ……」〕

 愛原「逆カルロス・ゴーンか!!w 何やってんだ、ケーサツ!」

〔「機内には開封はされていないものの、かつて国内では○×県霧生市で蔓延したTウィルスのサンプルが入った瓶が多数発見された為、新潟空港は全面封鎖と……」〕

 Tウィルスのサンプルまだ持ってるという話は本当だったのか!
 漏れていない以上、新潟空港がゾンビパラダイスになることはないだろうが、一応念の為ということか。
 斉藤元社長はそんなことする人ではないが、そうやって治安機関を足止めさせる為、わざとそういうのを置いておくようなことはするだろうな。

〔「警察及び公安庁では、容疑者の行方を全力で追っております」〕

 愛原「マジか……」

 こういう動きを察知したので、善場係長も私に警告してきたのだろう。
 ややもすると、逃走中の斉藤元社長が私の所に接触してくる可能性もあると。

 パール「よく逃走できましたね……」
 愛原「当然、多くの支援者が国内にいたんだろうな。あの方を支援する人達というと……」

 恐らく、『コネクション』ではないな。
 公安辺りは疑ってるみたいだが。
 私は“青いアンブレラ”ではないと見ている。
 斉藤元社長のことだ。
 今でも“青いアンブレラ”と繫がりを持つことは、十分に考えられる。
 因みにどちらも、元アンブレラの関係者が設立したとはいえ、“青いアンブレラ”と“コネクション”は敵対関係である。
 前者はそれまでのアンブレラの悪事を清算する為に設立された贖罪団体、後者はアンブレラの再興を願うバイオテロ組織。
 そこへ、私のスマホに電話が掛かって来た。
 やはり、善場係長からだ。

 愛原「はい、もしもし?愛原です」
 善場「愛原所長、お疲れ様です。営業時間外に申し訳ございません」
 愛原「いえ、大丈夫です」
 善場「テレビの方は、御覧になってますか?」
 愛原「はい。斉藤元社長が、日本に戻って来たみたいですね」
 善場「そのようです」
 愛原「しかも新潟空港に到着した後、そのまま消えてしまったとか……」
 善場「そうなのです……!」

 どうやらモスクワまで飛んで行ったプライベートジェットというのはダミーで、すぐに引き返して来たらしい。
 そして、羽田空港に向かうはずが、何故か新潟空港に着陸……と。

 善場「機内に残っていた関係者は、“青いアンブレラ”と思われます」
 愛原「あの……高野芽衣子クンとかいました?」
 善場「その機内にはいなかったようですね。ただ、私が御連絡差し上げたのは、所長方にも注意して頂きたいからです」
 愛原「それまで斉藤元社長と接触のあった私ですし、“青いアンブレラ”の関係者とも知り合いの私ですから、彼らが接触してくる可能性がある。その時はすぐに通報せよと、そういうことですね?」
 善場「それもありますが、まだあります」
 愛原「まだ?」
 善場「私共は所長方のことは信じていますが、警察は信じていないでしょう」
 愛原「あー、そうか。公安だけじゃなく、警察も動いてますもんね」
 善場「警察がそちらに捜査に来る可能性があります。その時は、できる限りの協力はしてあげてください」
 愛原「はい」
 善場「もしも一線を越えてくるような事があれば、こちらで対応しますので、御連絡をお願いします」
 愛原「分かりました」
 善場「例の五十嵐元社長の所へは、宿泊予約はされましたか?」
 愛原「あ、はい。しました。あとは、そこまでの電車のキップを買うだけです。明日の朝、買いに行こうと思いますが、宜しいでしょうか?」
 善場「結構です。何でしたらその足で、こちらの事務所に来られませんか?今後の事について、話をしたいと思います」
 愛原「分かりました」

 急に事が動いたな。
 五十嵐元社長が再び出て来たのが、まるでそのきっかけになったかのようだ。

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