報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「愛原学探偵事務所の昼」

2022-03-20 11:20:23 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月27日12:30.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 お昼を過ぎたところで、事務所の掃除が終わった。

 愛原:「おー、ピカピカ。皆、ありがとう」
 高橋:「弟子として当然っス!」
 栗原蓮華:「これくらい、毎日道場でやってますから」
 リサ:「お嫁さんとして当然です」
 高橋:「あ!?」
 蓮華:「え?」
 リサ:「ん?」
 愛原:「リサ……」

 私は手伝ってくれたJK2人に報酬を渡した。

 愛原:「じゃあ、これ。今日のバイト代」
 リサ:「おー!」
 蓮華:「こんなにくれるんですか。ありがとうございます」
 愛原:「あとは、これでマックでも買ってきて」

 私はマックカードを2人に渡した。
 何故か持っていたのだ。
 気にしないでくれ。

 蓮華:「それじゃ、私が先生達の分も買って来ますよ」
 リサ:「わ、わたしも行く!」
 高橋:「おいおい!バカ言ってんじゃねぇ!先生の食事を用意するのは、弟子の俺の役目だ!」
 愛原:「高橋は、ここに残ってろ。電話掛かってきたら、応対よろしく」
 高橋:「は、はい」
 蓮華:「正社員さんはどっしり構えててください。使い走りは、バイトが行きます。リサ、行くよ」
 リサ:「う、ウム」
 高橋:「お、俺が正社員!?」

 何故かジワる高橋。
 その余韻に浸っているうち、私は彼女らに買って来て欲しいものを伝えた。

 高橋:「正社員……正社員……正社員……!ムショ上がりの俺が、正社員……!」
 愛原:「ダブルチーズバーガーのセットで、サイドメニューはポテト、ドリンクはコーラ。全部Mサイズでよろしく」
 リサ:「了解!」(`・ω・´)ゞ
 蓮華:「そこの、一瞬あっちの世界へ旅立っておられる御弟子さんは?」
 愛原:「あー……俺と同じでいいや」
 蓮華:「分かりました」

 蓮華さんは再び制服に着替えた。
 その後で事務所を出て行くJK2人。

 蓮華:「エレベーターの中で、私を襲うなよ?」
 リサ:「エレベーターの中で、首を斬りに来ないでね」

 あの2人、仲がいい……のか?

 それから30分くらいして、昼食にありつく私達。
 リサはビッグマックをバグバグ食べていた。

 愛原:「ほー、それで蓮華さんは、大学に?」
 蓮華:「一応、それを考えています。東京中央学園と業務提携?と言いますか、大学への受け入れ先に名乗りを上げている学校法人がいくつかあって、そこの1つに行こうかと」

 リサは来年度から2年生になるが、蓮華さんは3年生になるわけである。
 つまり、卒業後の進路を考えなくてはならない。
 東京中央学園は高等部と中等部があるが、大学は無い。
 短期大学部を創ろうという話はあったが、どうやら立ち消えになったようだ。
 そこで、学校法人東京中央学園は、そこと懇意にしていて、尚且つ大学や短大そして専門学校を運営している他の学校法人への紹介をするようになった。

 蓮華:「その中の1つに、スポーツが強い所があるので、そこにしようかと」
 愛原:「なるほど」

 もちろん、国公立大を狙う生徒も多々いる。
 言い方は悪いが、その滑り止めとしての私大受験の受け入れ先、或いは元々何らかの理由があって、そこを第一志望にする生徒の受け入れ先ということだな。
 蓮華さんは後者のようである。

 蓮華:「リサはどうなの?大学に行くの?」
 リサ:「わたしは……どうなんだろう?わたしはむしろ、高校を卒業したら先生と結婚……」
 愛原:「その前に人間に戻ることを考えなよ!?」
 蓮華:「そうだねぇ……。うちの一族には、話を聞かない頭ガッチガチの人もいるから、リサが鬼というだけで首を斬りに来るよ?逆を言えば、人間であれば何もしないってこと」
 愛原:「あのお祖父さんじゃないよね?」
 蓮華:「祖父もその1人ですけど、祖父は元々国家公務員をやっていたこともあり、リサに関しては、その省庁からの命令だと聞けば、素直に従います」
 愛原:「何だ、そうか」

 尚、蓮華さんの母方の祖父は霧生市にてバイオハザードに巻き込まれ、ゾンビ化してしまっている。

 愛原:「何の仕事をしていたの?警察官か何か?」
 高橋:「チッ、サツかよ……」
 蓮華:「警察じゃなくて、刑務官です」
 高橋:「刑務官!?……先生、ちょっくら御礼参りに……」
 愛原:「やめなさい!逆にボコられるだけだから!」
 蓮華:「剣道七段、合気道五段の猛者ですが?」
 高橋:「で、でも、ジジィだし……。い、いざとなったら、これで……」

 高橋はマグナムを取り出した。

 愛原:「その前に善場主任に逮捕されるからやめなさい」

 私達が銃を持っているのは、もちろん正式な許可を得ているからだ。
 そして、ある条件の時のみ発砲も許されている。
 それは、あくまでバイオテロの時の護身用。
 そして、発砲対象はゾンビやクリーチャーのみ。
 ややもすれば、ここにいるリサも対象だ。
 リサの監視を委託されている我々は、その護身用として、銃の所持・条件付き発砲を許可されているだけに過ぎない。
 つまり、今の高橋の発言は緊急逮捕案件なのである。

 愛原:「それだけの猛者なら、さぞかし死刑執行とかもしたんだろうね?」
 蓮華:「でしょうね。房から連れ出す時に暴れる受刑者もいますから、祖父のような猛者は、それを取り押さえる役に打ってつけだったそうです」
 愛原:「やっぱりなぁ……。聞いたか、高橋?さすがに死刑だけはコンプするなよ?」
 高橋:「当然です!」
 愛原:「どこかの所長さんとかまでやったの?」
 蓮華:「いえ、祖父はノンキャリアだったので。せいぜい、看守長くらいまでだったかと」

 それでも、看守長から上の階級になると、全国転勤があるという。

 愛原:「高橋、良かったな?もしも車でぶつけた相手が白井じゃなかったら、今頃はまだ警察署の中だで?」
 高橋:「そ、そうですね」
 蓮華:「結果的には家族の仇を討ってくれたわけです。本当に、ありがとうございました」
 高橋:「はっはっはー!もっと褒めちぎろ!」
 愛原:「調子に乗るな」

 私は高橋を窘めた。

 高橋:「それにしても、呆気ない幕切れだったっスねぇ!現実なんて、あんなもんなんスかね」
 愛原:「まあ、『事実は小説より奇なり』というしな」

 そうなんだよなぁ……。
 本当に呆気ないんだよなぁ……。
 うーむ……。

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