[6月10日19時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]
愛原「ご馳走様。俺は腹一杯だが、リサはどうだ?」
リサ「腹八分目って言うからね」
愛原「やっぱりそうか……」
リサ「あっ、洗い物はわたしがやるー」
パール「そうですか。それでは、私は先生に食後のコーヒーを……」
愛原「悪いな」
もちろん、自分の食器くらいはキッチンに持って行く。
パール「ところで先生、思ったより長い時間、事務所にいらっしゃったようですが……」
愛原「ああ。顧客の1人から、不動産関係の調査の話があってね。今は高橋がいなくて人手不足状態だから、あんまりすぐには受けられない感じだとは話したんだけど……」
パール「もしアルバイトが必要なら、私の知り合いを紹介しますよ?マサほどの人脈はありませんが、何人かくらいなら頼めます」
愛原「ありがとう」
リサ「わたしも『魔王軍』手配するー!」
愛原「高校生のバイトじゃ、色々と制約があるからなぁ……」
コーヒーメーカーで作ったコーヒーができたので、パールはそれを入れてくれた。
事務所の方では顧客にすぐに出せるよう、ネスカフェバリスタを設置しているが、家用はコーヒーメーカー。
愛原「ありがとう」
パール「実は先生、私、金曜日にマサの所に面会に行きました」
愛原「ああ、何か言ってたね、LINEで。どうだった?」
パール「マサは相変わらずでしたが、手紙を出したそうです、こちらに」
愛原「金曜日に出したから、月曜日に届くのか?」
パール「はい。それを読んで頂きたいとのことです」
愛原「拘置所は手紙の検閲をするから、あんまり変な事を書いていると差し止めされるぞ」
パール「そこはギリギリのチキンレースでしょう」
愛原「面会の時、何か言ってなかったか?“コネクション”の事とか?」
パール「そこは何も……。私もそれとなく、『先生方がその辺りを気にしてる』と言ったのですが、マサのヤツ、目を泳がせるだけで、何も言いませんでした」
真相を話すと、例え拘置所でも消されるってか。
パール「あと、『アネゴに“青いアンブレラ”に来ないかって勧誘されたことがある。先生にバレると思って断ったけど、むしろ受けてた方が良かったのかもな』と言ってました」
実は私、高野君が“青いアンブレラ”のメンバーだと分かった時、もしかして高橋も……?と、疑ったことがある。
だが、そんな証拠は全く見つからなかったし、面と向かって高野君に聞いたが、堂々と否定されたので信じていた。
ただ、あの時の高野君、含みのある表情をしていたが、そういうことだったのか。
『高橋は“青いアンブレラ”のメンバーではない。けども、誘ったことはある』と。
“青いアンブレラ”は表向き、“赤いアンブレラ”が世界中に蒔いてしまったバイオテロの種を回収し、発芽していたらそれを引き抜き、草木になっていたらそれを伐採するという活動内容である。
つまり、バイオテロが発生したら、それを鎮圧しに行ったり、それを起こそうとするテロ組織があったら、それを潰しに行ったりするのが目的だ。
そう、BSAAと活動内容が被るのである。
BSAAは今や国連軍の一派となっているが、“青いアンブレラ”は世界的な民間軍事会社に過ぎない。
そして当然ながら日本では、民間軍事会社の存在は認められないので非合法である。
現時における世界的なバイオテロ組織である“コネクション”とは、敵対関係になるはずだ。
噂では、“コネクション”の総帥も元“赤いアンブレラ”らしい。
もし高橋が“コネクション”のメンバーだったとしたら、“青いアンブレラ”に移るということは……あー、裏切り行為で殺処分か。
愛原「まあ、“コネクション”も裏切り者には厳しいだろうからな、それは仕方が無い」
仮に例え闇バイトだったとしても……ん?
闇バイトってさ、基本的に単発、短期のバイトじゃないか?
私が高野君に聞いたのは、だいぶ前の話だぞ?
その時から既に高橋が“コネクション”の関係だったとしら……闇バイトどころじゃないかもなぁ……。
愛原「あいつは暫く、拘置所に入っていた方が安全かもしれん」
パール「先生?」
愛原「どうせ日本の裁判ってのは遅いんだ。もちろん執行猶予が付くように努力はするが、安全の為にもな……」
私はコーヒーを口に運んだ。
それにしても高橋のヤツ、どんな手紙を送って寄こすのだろう?
愛原「リサ、後で『足ツボ』マッサージよろしく」
リサ「りょーかい!」
リサが唯一、人間の血肉を摂取することを黙認されている行為。
指先を変化させて、血中老廃物と血液を摂取するのである。
こちらとしては、多少血液を吸われても何がどうなるというわけでもなく、結果的には老廃物は吸い出されて、血液はサラサラになっているという寸法だ。
但し、酔っ払っている場合は別。
血中アルコールをリサも吸い取ることになる為、リサ自身も酔っ払う。
そして、“鬼ころし”以外の酒を摂取すると悪酔いして、想定外の変化を起こしてしまう為、禁止されている。
[同日22時00分 天候:晴 愛原家3階リビング]
(画像はBluesky“こんいろ保存会”様より)
リサ「お風呂出たよー」
愛原「おーう」
バスルームからリサが出て来た。
体操服とブルマは換えたのだろうか?
見た目は同じ色合いだが……。
愛原「入浴剤、どうだった?」
私は足柄サービスエリアで、お土産用の入浴剤を買っていた。
箱根湯本温泉のそれをモチーフにしたものらしい。
リサ「うん、本物の温泉に行きたくなった」
愛原「そうか。まあ、本物の温泉自体は先日、既に入ってるんだがな」
リサ「ああ、あれ。まあ、そうだねぇ……」
富士宮市内で一泊したスーパーホテルには大浴場があり、しかも天然温泉とのことなのだが、リサ的には拘束されていた場所から出たばかりということもあり、疲労の方が強くて、あまりゆっくり入れなかったようだ。
愛原「高橋に執行猶予が付いて、無事に出て来られたら、お祝いに皆で温泉旅行にでも行くか」
リサ「いいねぇ!」
愛原「というわけで、次は俺が入ることになるな」
パール「どうぞ、ごゆっくり」
リサ「わたしの残り湯、楽しんでねw」
愛原「何だそりゃ……」
私は呆れながらバスルームに向かった。
リサ「あ、でも、わたしは先生の残り湯に浸かりたかったなー」
という言葉を背にしながら。
愛原「ご馳走様。俺は腹一杯だが、リサはどうだ?」
リサ「腹八分目って言うからね」
愛原「やっぱりそうか……」
リサ「あっ、洗い物はわたしがやるー」
パール「そうですか。それでは、私は先生に食後のコーヒーを……」
愛原「悪いな」
もちろん、自分の食器くらいはキッチンに持って行く。
パール「ところで先生、思ったより長い時間、事務所にいらっしゃったようですが……」
愛原「ああ。顧客の1人から、不動産関係の調査の話があってね。今は高橋がいなくて人手不足状態だから、あんまりすぐには受けられない感じだとは話したんだけど……」
パール「もしアルバイトが必要なら、私の知り合いを紹介しますよ?マサほどの人脈はありませんが、何人かくらいなら頼めます」
愛原「ありがとう」
リサ「わたしも『魔王軍』手配するー!」
愛原「高校生のバイトじゃ、色々と制約があるからなぁ……」
コーヒーメーカーで作ったコーヒーができたので、パールはそれを入れてくれた。
事務所の方では顧客にすぐに出せるよう、ネスカフェバリスタを設置しているが、家用はコーヒーメーカー。
愛原「ありがとう」
パール「実は先生、私、金曜日にマサの所に面会に行きました」
愛原「ああ、何か言ってたね、LINEで。どうだった?」
パール「マサは相変わらずでしたが、手紙を出したそうです、こちらに」
愛原「金曜日に出したから、月曜日に届くのか?」
パール「はい。それを読んで頂きたいとのことです」
愛原「拘置所は手紙の検閲をするから、あんまり変な事を書いていると差し止めされるぞ」
パール「そこはギリギリのチキンレースでしょう」
愛原「面会の時、何か言ってなかったか?“コネクション”の事とか?」
パール「そこは何も……。私もそれとなく、『先生方がその辺りを気にしてる』と言ったのですが、マサのヤツ、目を泳がせるだけで、何も言いませんでした」
真相を話すと、例え拘置所でも消されるってか。
パール「あと、『アネゴに“青いアンブレラ”に来ないかって勧誘されたことがある。先生にバレると思って断ったけど、むしろ受けてた方が良かったのかもな』と言ってました」
実は私、高野君が“青いアンブレラ”のメンバーだと分かった時、もしかして高橋も……?と、疑ったことがある。
だが、そんな証拠は全く見つからなかったし、面と向かって高野君に聞いたが、堂々と否定されたので信じていた。
ただ、あの時の高野君、含みのある表情をしていたが、そういうことだったのか。
『高橋は“青いアンブレラ”のメンバーではない。けども、誘ったことはある』と。
“青いアンブレラ”は表向き、“赤いアンブレラ”が世界中に蒔いてしまったバイオテロの種を回収し、発芽していたらそれを引き抜き、草木になっていたらそれを伐採するという活動内容である。
つまり、バイオテロが発生したら、それを鎮圧しに行ったり、それを起こそうとするテロ組織があったら、それを潰しに行ったりするのが目的だ。
そう、BSAAと活動内容が被るのである。
BSAAは今や国連軍の一派となっているが、“青いアンブレラ”は世界的な民間軍事会社に過ぎない。
そして当然ながら日本では、民間軍事会社の存在は認められないので非合法である。
現時における世界的なバイオテロ組織である“コネクション”とは、敵対関係になるはずだ。
噂では、“コネクション”の総帥も元“赤いアンブレラ”らしい。
もし高橋が“コネクション”のメンバーだったとしたら、“青いアンブレラ”に移るということは……あー、裏切り行為で殺処分か。
愛原「まあ、“コネクション”も裏切り者には厳しいだろうからな、それは仕方が無い」
仮に例え闇バイトだったとしても……ん?
闇バイトってさ、基本的に単発、短期のバイトじゃないか?
私が高野君に聞いたのは、だいぶ前の話だぞ?
その時から既に高橋が“コネクション”の関係だったとしら……闇バイトどころじゃないかもなぁ……。
愛原「あいつは暫く、拘置所に入っていた方が安全かもしれん」
パール「先生?」
愛原「どうせ日本の裁判ってのは遅いんだ。もちろん執行猶予が付くように努力はするが、安全の為にもな……」
私はコーヒーを口に運んだ。
それにしても高橋のヤツ、どんな手紙を送って寄こすのだろう?
愛原「リサ、後で『足ツボ』マッサージよろしく」
リサ「りょーかい!」
リサが唯一、人間の血肉を摂取することを黙認されている行為。
指先を変化させて、血中老廃物と血液を摂取するのである。
こちらとしては、多少血液を吸われても何がどうなるというわけでもなく、結果的には老廃物は吸い出されて、血液はサラサラになっているという寸法だ。
但し、酔っ払っている場合は別。
血中アルコールをリサも吸い取ることになる為、リサ自身も酔っ払う。
そして、“鬼ころし”以外の酒を摂取すると悪酔いして、想定外の変化を起こしてしまう為、禁止されている。
[同日22時00分 天候:晴 愛原家3階リビング]
(画像はBluesky“こんいろ保存会”様より)
リサ「お風呂出たよー」
愛原「おーう」
バスルームからリサが出て来た。
体操服とブルマは換えたのだろうか?
見た目は同じ色合いだが……。
愛原「入浴剤、どうだった?」
私は足柄サービスエリアで、お土産用の入浴剤を買っていた。
箱根湯本温泉のそれをモチーフにしたものらしい。
リサ「うん、本物の温泉に行きたくなった」
愛原「そうか。まあ、本物の温泉自体は先日、既に入ってるんだがな」
リサ「ああ、あれ。まあ、そうだねぇ……」
富士宮市内で一泊したスーパーホテルには大浴場があり、しかも天然温泉とのことなのだが、リサ的には拘束されていた場所から出たばかりということもあり、疲労の方が強くて、あまりゆっくり入れなかったようだ。
愛原「高橋に執行猶予が付いて、無事に出て来られたら、お祝いに皆で温泉旅行にでも行くか」
リサ「いいねぇ!」
愛原「というわけで、次は俺が入ることになるな」
パール「どうぞ、ごゆっくり」
リサ「わたしの残り湯、楽しんでねw」
愛原「何だそりゃ……」
私は呆れながらバスルームに向かった。
リサ「あ、でも、わたしは先生の残り湯に浸かりたかったなー」
という言葉を背にしながら。
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