[11月14日11:45.天候:晴 JR上野駅]
ワンスターホテルの近くからタクシーに乗った稲生達。
これで上野駅まで移動した。
イリーナ:「勇太君、アタシのカード使って」
稲生:「は、はい」
助手席に座る稲生、リアシートに座っていたイリーナからブラックカードを渡された。
稲生達が乗った大手のタクシー会社ではクレジットカードが使え、もちろんイリーナが渡したカードも使える。
稲生:「じゃあ、すいません、これでお願いします」
運転手:「アメリカン・エキスプレスですね。それではこちらにサインを……」
稲生はイリーナの代わりにサインをした。
因みにイリーナはロシア人であるが、サインは別にロシア語(キリル文字)でなくとも良い。
稲生は英語でサインした。
稲生君:「お待たせしました」
稲生は控えと領収書を手にタクシーから降りた。
イリーナ:「いいのよ」
領収書などはマリアに渡す。
1人前に成り立てで、まだ師匠から独立していない弟子(ロー・マスターまたはミドル・マスター)は師匠が使った金の計算をする役目もある。
人数の多いアナスタシア組は、精力的に経済活動も行うアナスタシアへのサポート業務を各弟子に振り分けることができるが、弟子数の少ない組では活動的な師匠だと少しサポート業務が大変だったりする。
エレーナもそうだったのだが、ポーリンがアルカディア王国の宮廷魔導師(内閣官房長官とか宮内庁長官みたいなもの)になったことで、業務負担はほとんど無くなった。
イリーナは外国ではほとんどクレジットカードだけしか使用しない為、カード会社からの請求書を計算するだけで良かった。
イリーナ:「お腹が空いたわね。王国の晩餐会以降、何も食べてないものね。ここ、ターミナル駅だから色々と食べる所あるでしょう?それから電車で行っても大丈夫だよね?」
稲生:「もちろんです。上野始発の普通列車はこの時間、30分おきに出ていますので、慌てなくても大丈夫です。何がいいですか?」
イリーナ:「晩餐会では食べられなかったもの……」
マリア:「日本料理」
イリーナ:「あっ、いいね!そこ、ある?」
稲生:「じゃあ、寿司にしましょう」
マリア:「師匠、その前に帰りの足を確保した方が……」
イリーナ:「おー、それもそうか」
中央改札口に行く前に、みどりの窓口に寄った。
そこで帰りの特急のキップを購入する。
イリーナ曰く、稲生の献血によってルーシーからは多大な恩賜を頂戴しているとのことで、帰りはグリーン車でも良いとのことである。
恩賜の1つが金時計であるが、これはどちらかというと、王室というよりは共和党幹事長の安倍からの謝意のような感じだ。
稲生:「明日の10時4分発、“あずさ”55号です」
イリーナ:「おー、よく取れたねぇ」
稲生:「まあ、グリーン車ですから」
イリーナ:「それもそうか」
稲生:(付属編成が連結されて無さそうに見えたけど、まあいいか)
これもイリーナのカードで購入する。
稲生:「じゃあ、昼食にでも行きましょうか」
稲生は大宮までのキップを購入した後は、改札内にある飲食店に向かった。
[同日13:03.天候:晴 JR上野駅・低いホーム]
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。13番線に停車中の列車は、12時30分発、普通、宇都宮行きです。発車まで、しばらくお待ちください〕
イリーナ:「あー、美味しかったねぇ」
マリア:「そうですね。魚もたまに食べてみると美味しいものです」
稲生:「良かったです」
かつては“北斗星”や“カシオペア”が発着していたホームに行くと、10両編成の電車が発車を待っていた。
稲生は予め購入したグリーン券を手に、4号車のグリーン車に乗り込んだ。
いつもは乗らないが、今日はイリーナというVIPがいる為。
因みに、大魔道師クラスで電車移動はほとんど無いらしい。
多くが瞬間移動の魔法を使うか、あるいは専用車を持っているからである。
アナスタシア組は日本国内での移動に、わざわざ黒塗りのゼロクラウンを購入したという。
にも関わらずイリーナが電車移動をしているのは、それが好きな弟子の稲生に付き合っているからなのか、はたまた単なる気紛れなのか分からない。
稲生:「先生、ここが空いています」
イリーナ:「ありがとう。あとは2人で仲良く適当に座ってていいよ。着いたら起こしてね」
稲生:「分かりました。……あの、先生」
イリーナ:「ん?」
稲生:「先生は僕の趣味に付き合って下さってるだけなんですか?」
イリーナ:「んー?どうしてそう思うの?」
稲生:「他の大魔道師の先生方は、滅多に電車移動されないそうです。それなのに先生はどうして……なんですか?」
イリーナ:「マリアが瞬間移動の魔法を早くマスターしてくれたら、アタシも楽できるんだけどねぇ……。ま、お金はあるし、無駄な魔力を使わずに済むからかな」
稲生:「本当ですか?」
イリーナ:「日本の電車は安心して寝れるしね。じゃ、そういうことで」
イリーナは開いている席に座るとブラインドを下ろし、座席をリクライニングした上、ローブのフードを深く被った。
稲生達はその後ろに座る。
稲生:「マリアさん……」
マリア:「まあ、師匠の言ってることの半分は本当だと思うよ」
稲生:「もう半分は?」
マリア:「できることなら、瞬間移動の魔法を使うのがベストだってことは事実。だけど自分は使いたくないから、私や勇太のどっちか……もしくは両方使えるようになれたら、それに便乗するつもりらしいね」
稲生:「ルーラは高度な魔法ですからねぇ……」
ミドル・マスターになってから、ようやく使えるようになるらしい。
但し、それでも移動できる範囲は近場のみ。
外国へ移動できるようになるには、ハイ・マスターになってからだという。
〔この電車は宇都宮線、普通、宇都宮行きです。グリーン車は4号車と5号車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください〕
平日昼間の空いている時間帯。
3人の魔道師はゆったりした様子で座席に腰掛け、発車の時間を待った。
ワンスターホテルの近くからタクシーに乗った稲生達。
これで上野駅まで移動した。
イリーナ:「勇太君、アタシのカード使って」
稲生:「は、はい」
助手席に座る稲生、リアシートに座っていたイリーナからブラックカードを渡された。
稲生達が乗った大手のタクシー会社ではクレジットカードが使え、もちろんイリーナが渡したカードも使える。
稲生:「じゃあ、すいません、これでお願いします」
運転手:「アメリカン・エキスプレスですね。それではこちらにサインを……」
稲生はイリーナの代わりにサインをした。
因みにイリーナはロシア人であるが、サインは別にロシア語(キリル文字)でなくとも良い。
稲生は英語でサインした。
稲生君:「お待たせしました」
稲生は控えと領収書を手にタクシーから降りた。
イリーナ:「いいのよ」
領収書などはマリアに渡す。
1人前に成り立てで、まだ師匠から独立していない弟子(ロー・マスターまたはミドル・マスター)は師匠が使った金の計算をする役目もある。
人数の多いアナスタシア組は、精力的に経済活動も行うアナスタシアへのサポート業務を各弟子に振り分けることができるが、弟子数の少ない組では活動的な師匠だと少しサポート業務が大変だったりする。
エレーナもそうだったのだが、ポーリンがアルカディア王国の宮廷魔導師(内閣官房長官とか宮内庁長官みたいなもの)になったことで、業務負担はほとんど無くなった。
イリーナは外国ではほとんどクレジットカードだけしか使用しない為、カード会社からの請求書を計算するだけで良かった。
イリーナ:「お腹が空いたわね。王国の晩餐会以降、何も食べてないものね。ここ、ターミナル駅だから色々と食べる所あるでしょう?それから電車で行っても大丈夫だよね?」
稲生:「もちろんです。上野始発の普通列車はこの時間、30分おきに出ていますので、慌てなくても大丈夫です。何がいいですか?」
イリーナ:「晩餐会では食べられなかったもの……」
マリア:「日本料理」
イリーナ:「あっ、いいね!そこ、ある?」
稲生:「じゃあ、寿司にしましょう」
マリア:「師匠、その前に帰りの足を確保した方が……」
イリーナ:「おー、それもそうか」
中央改札口に行く前に、みどりの窓口に寄った。
そこで帰りの特急のキップを購入する。
イリーナ曰く、稲生の献血によってルーシーからは多大な恩賜を頂戴しているとのことで、帰りはグリーン車でも良いとのことである。
恩賜の1つが金時計であるが、これはどちらかというと、王室というよりは共和党幹事長の安倍からの謝意のような感じだ。
稲生:「明日の10時4分発、“あずさ”55号です」
イリーナ:「おー、よく取れたねぇ」
稲生:「まあ、グリーン車ですから」
イリーナ:「それもそうか」
稲生:(付属編成が連結されて無さそうに見えたけど、まあいいか)
これもイリーナのカードで購入する。
稲生:「じゃあ、昼食にでも行きましょうか」
稲生は大宮までのキップを購入した後は、改札内にある飲食店に向かった。
[同日13:03.天候:晴 JR上野駅・低いホーム]
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。13番線に停車中の列車は、12時30分発、普通、宇都宮行きです。発車まで、しばらくお待ちください〕
イリーナ:「あー、美味しかったねぇ」
マリア:「そうですね。魚もたまに食べてみると美味しいものです」
稲生:「良かったです」
かつては“北斗星”や“カシオペア”が発着していたホームに行くと、10両編成の電車が発車を待っていた。
稲生は予め購入したグリーン券を手に、4号車のグリーン車に乗り込んだ。
いつもは乗らないが、今日はイリーナというVIPがいる為。
因みに、大魔道師クラスで電車移動はほとんど無いらしい。
多くが瞬間移動の魔法を使うか、あるいは専用車を持っているからである。
アナスタシア組は日本国内での移動に、わざわざ黒塗りのゼロクラウンを購入したという。
にも関わらずイリーナが電車移動をしているのは、それが好きな弟子の稲生に付き合っているからなのか、はたまた単なる気紛れなのか分からない。
稲生:「先生、ここが空いています」
イリーナ:「ありがとう。あとは2人で仲良く適当に座ってていいよ。着いたら起こしてね」
稲生:「分かりました。……あの、先生」
イリーナ:「ん?」
稲生:「先生は僕の趣味に付き合って下さってるだけなんですか?」
イリーナ:「んー?どうしてそう思うの?」
稲生:「他の大魔道師の先生方は、滅多に電車移動されないそうです。それなのに先生はどうして……なんですか?」
イリーナ:「マリアが瞬間移動の魔法を早くマスターしてくれたら、アタシも楽できるんだけどねぇ……。ま、お金はあるし、無駄な魔力を使わずに済むからかな」
稲生:「本当ですか?」
イリーナ:「日本の電車は安心して寝れるしね。じゃ、そういうことで」
イリーナは開いている席に座るとブラインドを下ろし、座席をリクライニングした上、ローブのフードを深く被った。
稲生達はその後ろに座る。
稲生:「マリアさん……」
マリア:「まあ、師匠の言ってることの半分は本当だと思うよ」
稲生:「もう半分は?」
マリア:「できることなら、瞬間移動の魔法を使うのがベストだってことは事実。だけど自分は使いたくないから、私や勇太のどっちか……もしくは両方使えるようになれたら、それに便乗するつもりらしいね」
稲生:「ルーラは高度な魔法ですからねぇ……」
ミドル・マスターになってから、ようやく使えるようになるらしい。
但し、それでも移動できる範囲は近場のみ。
外国へ移動できるようになるには、ハイ・マスターになってからだという。
〔この電車は宇都宮線、普通、宇都宮行きです。グリーン車は4号車と5号車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください〕
平日昼間の空いている時間帯。
3人の魔道師はゆったりした様子で座席に腰掛け、発車の時間を待った。