報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「探偵のクリスマス・イブ」

2018-12-27 11:10:28 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月24日16:21.天候:晴 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅]

〔まもなく1番線に、京王線直通、快速、橋本行きが10両編成で到着します。黄色い線の内側で、お待ちください。……〕

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日はクリスマス・イブだが、外は風が強い。
 そこから逃げるように地下鉄の駅に入ったわけだが、やっぱりここも電車が接近すると風が強い。

〔「1番線、ご注意ください。新宿、笹塚方面、快速、橋本行きが参ります。都営新宿線内並びに笹塚までは各駅に停車致します」〕

 強風を伴って京王電鉄の車両がやってきた。

〔1番線は京王線直通、快速、橋本行きです〕

 菊川駅には最近ホームドアが付いた。
 その分、ドアの開閉にブランクが発生するので、ホームドア無しの時と比べるとややまだるっこしさを感じる。
 まあ、そのうち慣れるだろうが。

〔きくかわ〜、菊川〜〕

 私は高橋とリサを伴って電車に乗り込んだ。

〔1番線、ドアが閉まります〕

 京王電車ならではの甲高いドアチャイムが鳴って、ドアが閉まった。
 外からはホームドアの甲高いドアチャイムが聞こえて来る。
 そのドアが閉まってから発車する為、やっぱりまだるっこしい。

〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕
〔The next station is Morishita.Please change here for the Oedo line.〕
〔“大魔道師の弟子”でお馴染みのワンスターホテルへおいでの方は、次でお降りください〕

 ところで、どうして私達がこの電車に乗っているのかというと、斉藤さんの実家でクリスマスパーティーがあり、私達がお呼ばれしたからである。

 リサ:「サイトー、家で待ってるって」
 愛原:「そうか。俺達も急がなきゃな」
 高橋:「18時からでしょう?このルートで行っても、超余裕ですって」
 愛原:「それもそうだな」

 因みに私達のルートは新宿回り。
 知っている人は遠回りのように思うかもしれないが致し方無い。

 愛原:「外はクソが付くほど寒い」
 高橋:「先生に風邪を引かれたら、俺は責任を取って腹を掻っ捌かなければなりません」
 愛原:「せんでいい!……歳のせいか、ここ最近、風邪を引きやすくなってねぇ……」

 新宿回りなら、岩本町回りと違って駅の外に出なくていいから、寒風に吹き晒されることもないというわけだ。

 高橋:「先生、まだそういう御歳でも……」
 愛原:「ボスからもそう言われて笑われたよ。『キミ、そういうセリフはせめて40歳を過ぎてから言うもんだよ』ってさ」
 高橋:「なるほど……」
 愛原:「ま、とにかくこの仕事は体と頭が資本だ。両方やられる風邪には十分注意しないとな」
 高橋:「メモっておきます!」

 高橋はノートを取り出すと、揺れる電車の中だというのに器用にメモを取り出した。
 てか、わざわざメモするまでもないだろう。
 因みにインフルエンザの予防接種は既に終えている。
 リサに関しては……全身ウィルスなのでその心配は無い。
 いや、ほんとマジで。
 前、善場さんに確認したら、『研究施設での実験結果を取り寄せてみましたが、リサ・トレヴァーにインフルエンザウィルスを投与してみたところ、インフルエンザウィルスの方が死滅したそうです』とのこと。
 リサが持っているウィルスは強過ぎて、感染させた人間を化け物に変えさせるほどであるが、上手いこと調整すれば、どんなウィルスでも死滅させる魔法の特効薬なんかできるかもしれないな。
 もしかしたら、リサの機嫌を取っているのも、それが目的だったりして。
 暴走させて射殺処分なんかしたら、今までの研究がパーになるからな。

 愛原:「クリスマスパーティーは初めてか?」
 リサ:「うん」

 研究所にはリサと似た年恰好の娘、似たような境遇の娘が複数いたようだが、とてもクリスマスパーティーをやるような華やいだ雰囲気ではなかったようだ。

[同日16時21分 天候:晴 新宿駅]

〔「まもなく新宿、新宿です。お出口は、右側です。この電車は京王線に入ります、橋本行きです。笹塚まで各駅に停車した後、快速運転となります。京王線内をご利用のお客様、停車駅にご注意ください。本日も都営地下鉄新宿線をご利用頂きまして、ありがとうございました」〕

 愛原:「どーれ、着いたか……」

 途中で席が空いたので、私はローズピンクのシートに腰掛けていた。

〔「ご乗車ありがとうございました。新宿、新宿です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。……」〕

 下車客も多い代わりに、乗車客も車内には多い。
 多分、京王本線の客は京王新宿駅から乗るだろうから、京王新線内の乗客か、京王相模原線に向かう乗客達だな。

 愛原:「さあ、高橋。出番だぞー?ちゃんとJR埼京線のホームまで連れて行けよー?」
 高橋:「わっかりました!この俺にお任せ!」

 チョロ男乙www
 あとはこの『歩くナビタイム』に任せれば良い。
 それにしても、改札口を出ると京王線のエリアなのか、そこ関係の店を通ることになる。
 時期が時期だけに仕方が無いのだが、あちこちでクリスマスセールが実施されている。

 愛原:「今年も女っ気の無いクリスマスか……」
 リサ:「私がいるじゃない」(←中学1年生)
 高橋:「先生!クリスマスは所詮性夜ですよ!?そういう考えはやめてください!」

 リサの言葉を上書きするように、高橋がズイッと私の前に出て言った。

 愛原:「いやいや、軽い呟きに重いツッコミするなよ〜」
 高橋:「この21世紀は、『男っ気』がトレンドです。俺は先生の為に脱ぎます」
 愛原:「脱がんでいい!」

 せめて、『一肌』という単語が入っていればまた違ったのだが……。

[同日16:52.天候:晴 JR新宿駅・埼京線ホーム→埼京線1659K電車10号車]

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。3番線に停車中の電車は、16時52分発、各駅停車、大宮行きです。発車まで、しばらくお待ちください〕

 私の希望通り、高橋は迷わずに埼京線ホームに着くことができた。
 1号車から混んでくるこの電車、1番後ろの10号車はガラガラという寸法である。
 モスグリーンの座席に腰掛けると、すぐに発車の時刻になった。
 ホームからはポップアップな発車メロディが聞こえて来る。

〔3番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車をご利用ください〕

 あとはこのまま北与野駅まで乗っていれば良い。
 こちらはちゃんとドアが閉まったのだが、前の車両の方で誰かがドアに挟まれたのか、すぐには発車しなかった。
 駆け込み乗車はやめましょう。
 というわけで、電車がやっと発車する。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は埼京線、各駅停車、大宮行きです。次は、池袋です。……〕

 ところでリサはバッグを持っていて、その中にはプレゼント交換用のプレゼントが入っている。
 一体何が入っているのか気になったのだが、さすがの私にも教えてくれなかった。
 うむ、この辺は女の子らしい。
 もっとも、私は私で手ぶらで行くのも何だから、手土産は持参であるのだが。
 相手は富豪だから、あまり変な物は持って行けないんだよなぁ……。

 高橋:「先生、外はもう真っ暗ですね」
 愛原:「冬至が過ぎたばっかりだからな、もう16時で暗くなるよ」

 昔、仕事で冬の北海道と沖縄に行ったことがある。
 まだ高橋が弟子入りする前の話だ。
 16時で仕事先の北海道は真っ暗なのに、沖縄は17時になってもまだ明るかったのだ。
 私にとっては、日本は国土の広い国だよ。
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“大魔道師の弟子” 「魔道師達のクリスマス 2018」 2

2018-12-25 19:12:08 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月24日19:00.天候:晴 長野県北部山中 マリアの屋敷]

 ダンテ:「ワハハハハ!違った意味で、メリークリスマス」
 アナスタシア:「先生ったら、今年はお茶目ですわねー」
 イリーナ:「あら?先生はいつも面白い御方よ?」
 ダンテ:「聖ニコラウスのマネをしてみたよ」

 大師匠のダンテ・アリギエーリは、直弟子達にプレゼントを配る。
 ダンテの直弟子の中に、イリーナがいるわけである。
 つまり、マリアや稲生などは孫弟子に値するわけである。

 マリア:「師匠達は大師匠様のお相手で忙しいから、私達は気楽に……」
 イリーナ:「マリア!ダンテ先生のシャンパンがもう無いわよ!早く持って来なさい!」
 アナスタシア:「アンナ!早くターキー(七面鳥)お持ちして!」
 マリア:「……できないんだよなぁ……」
 アンナ:「アンタはまだ後輩がいるからいいでしょ!」
 マリア:「勇太はレセプション係で忙しいの。そっちは人数多いからいいじゃない」
 アンナ:「てか、エレーナはどこ行きやがった?」

 上下関係の厳しい魔道師の世界。
 マリアの思惑は思いっ切り外れる。
 尚、料理などに関してはマリアのメイド人形が作るのでそれは世話無い。
 この時ばかりは、マリアのメイド人形もフル稼働させることになる。

 エレーナ:「それではここで余興をお送りしたいと思いまーす!後輩のリリアンヌによるソロライブでーす!」
 リリアンヌ:「ヒャーッハハハハハハハーッ!デビル・クリスマスソング、いっくぜーっ!!」

 リリアンヌの趣味はヘヴィメタル。
 エレキギターを持たせ、メイクを施して衣装に着替えると、まるで別人のようになる。
 普段はおどおどしていて吃音症もヒドいものだが、酒を飲むとこの調子だ。

 リリアンヌ:「Fuck in Bad Gods!」

 フランス人なのだが、ダンテ門内の公用語は英語となっている為、ここでは英語で歌うのだろう。

 稲生:「お、始まったね?リリィのヘヴィメタ」
 エレーナ:「魔女のクリスマスソングは、神のコキ下ろしだからな。全く。これじゃ、火あぶりにもされるよ」
 稲生:「ははは……」
 エレーナ:「ああ、そうそう。実は最初の歌詞、『Fuck in Buddha and God』だったんだけど、稲生氏が仏教徒だから変えさせといたよ」
 稲生:「お気遣いありがとう。てか、仏様もディスる気か」
 エレーナ:「まあ……。魔女にとっては神も仏も頼りにならない存在だから。契約通りにキッチリ動いてくれる悪魔の方がよっぽど信用できるってわけ」
 稲生:「なるほど」

 リリアンヌ:「メルシー!」

 最後だけフランス語だったりする。

 マリア:「コラ、エレーナ!手が空いてるなら手伝え!」
 エレーナ:「残念。ポーリン先生から、余興を頼まれてるの。じゃ、そゆことで」

 逃げるエレーナ。

 稲生:「はは……。逃げ足だけは速い」
 マリア:「笑い事じゃない!」
 ダンテ:「まあ、いいから。キミ達はキミ達で楽しみなさい」
 マリア:「は、はい!」

 いつの間にか背後に来ていたダンテにびっくりするマリア。

 ダンテ:「少し背が伸びたか?ふむ。体付きも成長したようだ」
 マリア:「け、契約悪魔が、勇太とバランスが取れるようにって、調整したみたいです……」
 ダンテ:「そうかそうか。よーし!成長のお祝いに、何か買ってあげよう!」

 ダンテはヒョイとマリアを持ち上げた。

 マリア:「きゃあ!?」

 そして、自分の左肩と腕に乗せる。

 ダンテ:「キミ、近くにトイザらスは無いかね?」
 稲生:「と、トイザらスですか!?」
 イリーナ:「センセ、『孫娘にクリスマスプレゼント買いに行くお祖父ちゃん』じゃないんですからぁ〜w」
 ダンテ:「何の何の!私にとってお前達は娘、このコ達は孫だ!」
 イリーナ:「やーだ、先生ったらぁ〜!ワタシ、まだそんな歳じゃないですよぉ〜w」
 マリア:(御先祖様くらい歳離れてます……)
 アナスタシア:「先生、そろそろ降ろしてあげてくださいな?スカートが捲れて、パンツが見えちゃってます」
 マルファ:「あれれ〜?黒パンだ〜!なになに?勝負下着!?誰に勝負すんの!?」
 マリア:(弟子を公開処刑にする師匠達……)

 やっと解放されたマリア。

 稲生:「ぼ、僕は見てません!マリアさんのパンツ見てません!」
 マリア:「姉弟子のピンチ!見てもいいから助けろ!」
 稲生:「ええっ!?」

 リリアンヌ:「ドーモアリガトー!」

 一曲歌い終わる毎に、御礼の言葉を変えているようだ。
 最後は片言の日本語で叫んだ。

 リリアンヌ:「……ヒック!」

 ソロライブの会場たる大食堂からエントランスホールに出たリリアンヌ。

 ダンテ:「キミぃ、よく頑張ったじゃないか!ん?」
 リリアンヌ:「大師匠様?!光栄だぜ……です!」
 ダンテ:「いやあ、我が門も世代が変わると面白いねぇ!」
 リリアンヌ:「メルシー!」
 ダンテ:「だが、酒の飲み過ぎはイカンなー」
 リリアンヌ:「フヒ!?」

 ダンテ、今度はリリアンヌをヒョイと持ち上げる。

 リリアンヌ:「フヒーッ!?」
 ダンテ:「飲み過ぎるコにはお仕置きだ!お尻ペンペンだ!」
 リリアンヌ:「ヒャアー!?」
 イリーナ:「先生も飲み過ぎですよ〜。じゃあ、私も先生にお尻ペンペン
 ダンテ:「おおっと!これは一本取られたな〜!いやあ、キミ、すまなかった。よし、頑張った褒美にプレゼントをしよう。今使っているギターを新調するかい?」
 リリアンヌ:「……ヒック!ほ、ほほ、本当ですか……ィック!」
 ダンテ:「思えば、孫達にはサンタクロースを寄越していなかったな。何しろ、娘達が強欲だからなぁ〜?」
 稲生:「欧米の無礼講って、ガチなんだな……」

 日本の場合は『無礼講という名の気遣い』なのだが。

 マリア:「だいたい、『朝まで泥酔派』って師匠達のことだから、私達はもう先に寝ちゃっていいことになってるからね」
 稲生:「なるほど……」
 エレーナ:「その前にリリィが酔い潰れたから、寝かしてくるからな。部屋借りるぞー」
 マリア:「西側ね!西側!東側は勇太の部屋があるから!」
 エレーナ:「じゃあ、東側に寝かしとく。稲生氏は昨年の借りがあるから、稲生氏だけはリリィを襲う権利がある」
 稲生:「そんな権利いらないよ!」
 マリア:「またしれっと人をデストラップに掛けようとする!」

 魔道師達のクリスマスは今年も盛り上がったようである。
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“大魔道師の弟子” 「魔道師達のクリスマス 2018」

2018-12-24 20:12:17 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月24日16:00.天候:晴 長野県北部山中 マリアの屋敷]

 稲生:「お疲れさまです。こちらで受付お願い致します」

 今回もまたエントランスホールで受付係をやる稲生。
 この屋敷が年に1度だけ賑わう日がある。
 それがこのクリスマス・イブとクリスマスである。
 24日の夜にパーティーが始まり、25日の朝方まで行う。
 もっとも、通しで参加するメンバーは限られているが。
 魔道師がクリスマスパーティーなどと、とても信じられぬと思うだろう。
 もちろん、別にイエス・キリストの生誕を祝うつもりは毛頭無い。
 イエスの名を使って、『魔女狩り』を行う一部悪質教団から逃れる為であるのだ。
 最近の悪質教団はイスラム過激派並みに武装しており、それで魔道師の体をバラバラにしたり、蜂の巣にしたりして、『現代における火あぶり』とするそうである。
 それを取り締まる異端審問官や救世軍も存在するが、かのようなカルト教団は世界各地に散在している為、とても手が回るものではない。
 そもそも、中世ヨーロッパではそんな異端審問官もまた魔女狩りを行う側……ゲフンゲフン。
 イスラム教も似たようなことをするので、比較的魔女狩り上等教団が少なく、且つムスリムの数も少ない日本国内は安全地帯とされた。
 しかも都合の良いことに、大きな屋敷をイリーナ組は抱えている。
 少なくともクリスチャン達がイキるクリスマス期間中、一時避難所としての機能を発揮するというわけだ。

 エレーナ:「ちわーっ!」
 リリアンヌ:「フヒヒ……。こんばんは……」
 稲生:「おっ、エレーナとリリィ。ここに名前を書いて」
 エレーナ:「了解。ポーリン先生は後から来られる」
 稲生:「分かったよ」

 エレーナはここぞとばかりに日本語で自分の名前を書いた。
 他の魔道師達の殆どが英語やロシア語で書いているにも関わらずだ。

 稲生:「『私だけ素で日本語喋れます』アピールしてるねぇ……」

 因みにリリアンヌはアルファベットで書いた。
 フランス人なのでフランス語で書いたのかもしれないが、そもそも名前が固有名詞で、しかもロシアのキリル文字とは違い、英語もフランス語も基本的にアルファベットは同じである為、稲生にはどちらで書いたのかは分からなかった。

 エレーナ:「そもそも参加するメンバーも決まってるからね。キャシーも日本語喋るし、日本語も書けるけど、ここには来れない」
 稲生:「そうだね。それはどうして?」
 エレーナ:「レストランでクリスマスパーティーの予約が入るから」
 稲生:「ああ!」

 エレーナの先輩であるキャサリンは、エレーナのホテルに隣接しているレストランを切り盛りしている。
 表向きは創作料理であるが、魔法使いならではの材料を使ったりしている。
 魔法薬の余りなどを使用しているのだが、口コミでは『洋風薬膳』とか『薬膳洋食』とか呼ばれて、それなりに有名である。

 稲生:「大丈夫かな?魔女狩り集団に見つからないかな?」
 エレーナ:「さしものバカ共も、まさかレストランでクリスマスパーティーの主催をしているとは思っていないから、見事に誤魔化せているみたいだよ?」
 稲生:「なるほどね」

 ウラジオストクに住んでいるナディアは稲生の従兄の稲生悟郎と結婚している。
 そこも安全なのか不明だが、こちらのパーティーに参加することはない。

 エレーナ:「稲生氏も見習とはいえ、もう魔道師なんだから気をつけろよ」
 稲生:「いざとなったら、正証寺か大石寺に逃げ込むよ。てか、法華講員の僕はそんなクリスチャン達を破折する側なんだけど……」
 エレーナ:「あ、その手があったか。さすがに寺の中までは入って行けないもんねぇ……」
 稲生:「ぶっちゃけ、この屋敷より安全かもよ?」
 エレーナ:「言えてる。じゃ、今度は正証寺を避難先にさせてもらおうかな?」
 稲生:「ちょうど良かった。正証寺の誓願、残り2名なんだって。エレーナとリリィの2名が御受誡で、これで誓願達成だ」
 エレーナ:「勝手に入信さすな!」
 リリアンヌ:「フヒッ!?」
 稲生:「ダメだよ。タダで避難させないよー?」
 エレーナ:「タダより高いモノは無いって本当だな。行こ行こ。触らぬ仏に祟りなしだ」
 リリアンヌ:「はい」
 稲生:「触らぬ神、だろ?全く……」
 アンナ:「それじゃ、この雪山で起きた男女の凄惨な事件の話をしてあげましょうか……」
 稲生:「うわっ、アンナ?!」

 呪いの魔女、アンナがやってきた。
 マリアは呪術がイリーナより禁止されているが、色々な魔法に挑戦しているアナスタシア組のアンナは呪術の研究に勤しんでいる。
 稲生を気に入って以来、マリアが油断ならぬ相手に認定するほどになった。
 ストレートの黒髪ロングが特徴である。
 瞳の色も茶色と、どこか日本人的な感じがしないでもないが、やはり目鼻立ちははっきりしており、ヨーロッパ人であることを物語っている。
 人種差別には色々なものがあるが、白人同士でも差別があり、赤毛が下に見られるという。
 日本人から見れば、それなら金髪碧眼が最上とされるのだろうと思いきや、ここ最近のトレンドは黒髪黒目らしい。
 アナスタシアもまた黒髪のショートボブである。
 但し、こちらは緑眼であるが。

 アンナ:「私も参加させてもらうね?」
 稲生:「どうぞどうぞ。こちらに名前を……」

 アンナの呪術は、呪いを直接掛けるタイプである。
 呪いを掛けたい相手に男女間で起きた凄惨な事件の話をする。
 聞き手は単なる又聞きで、話の内容を追体験するだけのはずなのだが、段々と話が侵食してくるのである。
 そして、男だったら話の主人公の男が死ぬシーンに差し掛かると、それと同じ死に方を聞き手もしてしまうというものだ。

 稲生:「あ……」

 大食堂の方からピアノの音が聞こえて来た。
 恐らくメイド人形のクラリス辺りが弾いているのだろう。
 曲名はショパン作『幻想即興曲』。

 アンナ:「アリッサー!」
 マリア:「誰がアリッサだ、この野郎!」
 アンナ:「ハンマー男に狙われた魔女見習いの話をしてあげましょうか?」
 マリア:「勇太から既に結末は聞いている!」
 稲生:「舞台はイギリスで、主人公はイギリス人。しかも金髪ショートボブで、カチューシャ付き。確かに、マリアさんと似てますよ」
 マリア:「てか、リアルなアリッサは?まだ来てないのか?」
 アンナ:「アナスタシア組の中で、私が1番乗り」

 アンナは稲生にウインクした。

 稲生:「ど、どうも……」
 マリア:「どうもじゃない!」
 稲生:「アリッサさんはまだ来てないねぇ……。あれ?アリッサさんって、前、殺されなかったっけ?」
 マリア:「ああ、それとは別のアリッサね。うちの門内、名前被りが多いから」
 稲生:「そうなんですか」
 マリア:「マリアという名前だけであと2人来るから」
 稲生:「マジですか!」
 マリア:「今日だけは私を『マリアンナ』と呼んだ方がいいかもね」

 尚、稲生は日本人的な感覚でマリアンナを『マリア』と呼んでいるが、英語圏的にはハズレ。
 実はマリアは『マリアンナ』の短縮形ではない。
 全く別の呼び方である。
 だから稲生の呼び方は、本来他人を呼ぶ呼び方なのである。
 それが何故、こういう呼び方で浸透したのかは【字数制限によりカット致します】。
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“魔女エレーナの日常” 「エレーナと鈴木」

2018-12-23 19:53:43 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月23日18:00.天候:曇 東京都江東区森下 某居酒屋]

 鈴木:「よしよし。それじゃ、乾杯しよう」
 エレーナ:「お疲れー」

 鈴木は明け番のエレーナを誘い、同じ地区内にある居酒屋に入っていた。

 エレーナ:「タダ酒にタダ飯だって?」
 鈴木:「いいよいいよ。コミケ売り子のバイト代、後払いにすると、また後で怖いことになりそうだから、まずは現物で前払い」
 エレーナ:「いや、ダメだよ。ちゃんと円で払えよ、円で」
 鈴木:「ロシアのルーブルは?」
 エレーナ:「ロシア行かないから!ウクライナ人ナメんな!」
 鈴木:「ゴメンゴメン。エレーナ、日本語上手いね」
 エレーナ:「この体の持ち主がマルチリンガルで助かった。おかげで日本にいる間は、自動通訳魔法使わずに済んでる」
 鈴木:「便利な魔法があるもんだ」
 エレーナ:「今は科学がすぐに魔法を追い越す時代だからね。そのスマホも、世が世なら魔法具扱いだよ」
 鈴木:「それもそうだな」
 エレーナ:「魔道師の魔法も、いずれ科学に負ける時代が来る。それに備えて、アタシは金を稼いでいるんだ。いつの時代でも、カネさえあれば何とでもなるからな」
 鈴木:「確かに……。いや、“北斗の拳”みたいになったらカネがあっても意味無いよ?」
 エレーナ:「その時は魔法がモノを言う。てか、先生達の目の黒いうちは核兵器なんか使わせないよ?」
 鈴木:「へえ。1度会ってみたいものだな」
 エレーナ:「おあいにくさまね。せいぜい、私程度に会えるのが関の山だよ」
 鈴木:「ワンスターホテルに行けば、気軽に魔女に会えるってか。地下アイドルみたいだな」
 エレーナ:「そういうこと」
 鈴木:「せっかく向こうにレストランがあるから、そこで魔法のショーアップでもやったら?」
 エレーナ:「でもあまり目立つと、後で面倒なことになるからやらないわけよ」
 鈴木:「何だか難しいな。すいませーん、ビールお代わり」
 エレーナ:「あ、アタシはハイボール」
 店員:「はい、喜んでー!」

 鈴木とエレーナは座敷に上がり、テーブルに向かい合って座っている。

 鈴木:「とにかく、報酬は当日前払いにするよ」
 エレーナ:「それが正しい。後で契約書を作っておくから、サインしに来て」
 鈴木:「契約書!?軽い依頼なのに、随分重いんだな」
 エレーナ:「魔道師ナメちゃダメだよ?私らの世界は、何でもかんでも契約社会だからね。私は良心的だけど、一応契約書はちゃんと一字一句読み通すんだよ?」
 鈴木:「分かったよ。……日本語でぉk?」
 エレーナ:「分かってるって」
 鈴木:「悪いな。外国語はさっぱりダメなんだ」
 エレーナ:「日本人は中学、高校と英語を6年間も習うのにねぇ……」
 鈴木:「そうだよ。今の日本の教育システムは腐っている!俺はその腐敗堕落した宗門!……もとい、日本の教育システムの被害者なんだ!」
 エレーナ:「大丈夫?まだジョッキ一杯目だよ?もう酔い回って来た?」
 鈴木:「大丈夫大丈夫」
 店員:「失礼します!ビール中ジョッキとハイボールお待たせしましたー!あと、こちらが厚揚げと山盛りポテト、それとお刺身3種盛り合わせです!」
 鈴木:「うぃっス!」
 エレーナ:「あざっす!」
 鈴木:「日本語の使い方が、既に日本人並みだよ」
 エレーナ:「もう何年も日本語喋ってるからねぇ……」
 鈴木:「エレーナは……どうして魔道師になったの?」
 エレーナ:「お?何だ、急に重くなって?やっぱビール一杯だけでいっぱいいっぱい?無理しなくていいよ」
 鈴木:「稲生先輩よりは強いつもりだ……。まま、刺身でも食いなよ」
 エレーナ:「お刺身かぁ!久しぶりに食べるね!」
 鈴木:「そうか。エレーナ、和食が好きか」
 エレーナ:「なかなか食べる機会が無いのよ」
 鈴木:「分かった。今度のコミケの打ち上げは、またこういう店にしよう」
 エレーナ:「おお〜!」
 鈴木:「で、どうして魔道師になったの?」
 エレーナ:「どうしても聞きたいんだ。別に、志願したわけじゃないよ」
 鈴木:「え?」
 エレーナ:「アタシはウクライナでストリートチルドレンだったんだ。隣国のハンガリー動乱で家族全部亡くしてね……」
 鈴木:「え?え?え?ウクライナなのにハンガリー?」
 エレーナ:「私は元々ハンガリーの生まれなんだ。マリアンナとそこは同郷だな。だけど、動乱で家族を全部亡くしてウクライナに逃げ込んだ。そこでも地獄のような生活をしててさ、そしたらある日、ポーリン先生が私を見つけてくれたんだ」
 鈴木:「エレーナのお師匠さんだね?」
 エレーナ:「そう。何か、弟子候補を探していたみたいで、私の頭に魔法の杖の頭をコンと乗せて、こう仰ったんだ。『お前には素質がある。この生活を続けたいか?辞めたいのなら、私に付いて来なさい』ってね」
 鈴木:「付いて行ったんだ?」
 エレーナ:「好きでストリートチルドレンやってるヤツなんていないさ。新手の人身売買組織の勧誘かとは思ったんだけど、あんな汚い所に暮らすくらいなら、少しでもマシな所にって思って付いて行ったんだ。……ってか、こんな話聞きたいのか?」
 鈴木:「聞きたい!」
 エレーナ:「……つくづく日本人ってな平和ボケだねぇ。アタシは先生に逢えなかったら、今頃とっくにキエフの街角の隅っこで麻薬の密売でもやりながら、あの世に行ってたはずなんだ。だから時々、今でも夢じゃないかと思う」

 出国した覚えは無いから、恐らくそこはまだウクライナのキエフのどこかだったのだろう。
 それなりに立派な家の中に通されたエレーナは、まずは体をきれいにする為にシャワーを使わされた。
 久しぶりのベッドで寝ている間に、とても苦い薬を飲まされたという。

 エレーナ:「あれは多分、毒」
 鈴木:「毒!?」
 エレーナ:「そう。マリアンナの場合は『飛び降り自殺を図って地面に激突する寸前、瞬間移動魔法を使われる』ことで人間としての生を終える儀式をしたけれども、あれが多分私の『人間としての生を終える儀式』だったんだろうな。表向きには、私の体の中に入っていた麻薬を抜く為ということになっていたけど……」
 鈴木:「へえ……」
 エレーナ:「まあ、その後が色々と大変だったな。もちろん、ホウキで空を飛ぶなんて信じられなかったしな。それが今やフツーに飛んでるんだから、本当に人生って分かんないよ」

 さすがに師匠同士のケンカに巻き込まれたことについては、端折ったエレーナだった。
 自分が悪役だったことは、さすがに鈴木にも話しにくかった。

 エレーナ:「先生からは魔界に戻って来たらと言われてるんだけど、こっちの生活も面白いから、もうしばらくいるつもり」
 鈴木:「エレーナのお師匠さん、何をされてるの?」
 エレーナ:「魔王城の宮廷魔導師」
 鈴木:「えーと……それは日本で言う所の内閣官房長官的な?」
 エレーナ:「そうとも言うかな。宮内庁長官かもね」
 鈴木:「政府高官かぁ……凄いね」

 要は後輩のイリーナが先にその座に就いてしまったことで軋轢が発生し、『女のケンカ』に発展したわけである。
 イリーナ的には、『電車に乗ったら、たまたま空いている席があったのでそこに座っただけ』という反論をしていたらしい。
 ポーリン的には、『せっかく私が事前予約したグランクラスシートに、「たまたま空いてたから」と座るんじゃねー、ボケ!』ということなのだろう。

 鈴木:「俺は魔道師になれない?」
 エレーナ:「素質が無いからダメだね。あったら、先生達の誰かが声を掛けに行くはずだよ。私や稲生氏、そしてマリアンナみたいに」

 エレーナの言葉に、鈴木はショボーンとなったのである。
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“魔女エレーナの日常” 「鈴木の日常」

2018-12-22 10:15:41 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月21日10:00.天候:曇 東京都江東区森下 ワンスターホテル1Fロビー]

 鈴木:「……というわけで、俺の活躍でエレーナは無事だったんですよー」

 鈴木はホテルのロビーで、得意げに稲生に電話で話していた。
 ロビーと言っても、こぢんまりとしたビジネスホテル。
 3人掛けのソファーが┐型に並んでいるだけに過ぎない。
 そこに座って武勇伝を語っている。

 稲生:「へえ。キミにしてはいい活躍をしたじゃないか」
 鈴木:「俺の消火器バスターがヒットしていなかったら、エレーナの後輩も危ないところでしたよー。危うく処女喪失するところでしたね」(←本当はほとんど当たっていない)
 稲生:「そ、そうだね」
 鈴木:「これってアレですか?先輩の団体から、何か表彰案件になるって話ですか?」
 稲生:「エレーナがどういう報告をしているかだね。少なくともキミがこうやって僕に連絡しているわけだから、この時点でイリーナ組にも事件が伝わったってわけだ。金一封もらえるんじゃない?」
 鈴木:「金一封ですか。そんなものより、俺はエレーナとの婚姻届が……」

 ゴッ!(鈴木の頭が殴られた)

 鈴木:「ぎゃん!」(@_@;)〜☆

 エレーナがホウキで殴った。
 そして、パッと鈴木からスマホを引っ手繰る。

 エレーナ:「オ掛ケニナッタ電話番号ハ、電波ガ届カナクナッタノデ、切リマス」

 そんなことを言って電話を切る。

 エレーナ:「全く。毎度毎度、調子のいいこと言ってるんじゃないよ!」
 鈴木:「痛ってーな。どうせ叩くなら、直接叩いてくれよ」
 エレーナ:「アホか!チェックアウトの時間なんだから、さっさと鍵返して」
 鈴木:「はいはい」

 鈴木はフロントに行った。

 オーナー:「ありがとうございます。御連泊はよろしいですか?」
 鈴木:「自分としては是非とも連泊したいところですが、背後の怖い魔女さんに別の意味で連泊させられそうなので、この辺にしておきます」

 鈴木の背中を睨みつけるエレーナがいた。

 オーナー:「かしこまりました。年末はどうなさいますか?」
 鈴木:「ああ。サークルの仲間で地方出身のヤツが何人かいるんで、確保しておいてもらえますか?和室1部屋でいいんで」
 オーナー:「和室1部屋ですね。鈴木様は?」
 鈴木:「自分はいつものデラックスシングルでいいです」
 エレーナ:「自分のマンションに帰れよ。ご利用ありがとうございます」
 クロ:「前者は女としての声、後者はホテルスタッフとしての声だニャ」
 オーナー:「それでは御予約ができましたので、ご利用お待ちしております」
 鈴木:「よろしくです」
 エレーナ:「また冬のコミケ?私は手伝えないよ。冬は魔道師も忙しいからね」
 鈴木:「前回は売り子役が熱中症で倒れたからだよ。今度は大丈夫。特盛達は、また来るしね」
 エレーナ:「ああ、あの『美女と野獣』コンビ……」
 鈴木:「まあ、そうだな」

 特盛は太った眼鏡のヲタク、鈴木は痩せた眼鏡のヲタクという風貌である。

 鈴木:「奴が弁当屋で良かったよ。チェーン店は年末年始休みだからな。そのヒマをコミケに使える」
 エレーナ:(夏は無理やり駆り出したんだろうなぁ……)
 オーナー:「一応は赤字も黒字も出さないことにはなっているのでしょうが、実際は違うのでしょうね?」
 鈴木:「大きな声では言えないんですが、実際はそうなんですよ。大手サークルになると、そりゃもう結構な売り上げで……」
 エレーナ:「それだけの売り上げを上げている側なんだから、アンタもそういう所で働いたら?魔道師ですら、こうやって働いてるんだよ?」
 鈴木:「う、うん……まあ……。夏コミの売り上げもあるし、特盛達にはいいバイト代を払えそうだ」
 エレーナ:「バイト代!?」
 鈴木:「ん?なに?どうした?」
 エレーナ:「ま、まあ……いつもいつも忙しいってわけじゃないし、もしヒマだったら手伝ってやってもいいかなーっと……」
 鈴木:「それはありがたい。ではオーナー、俺と同室でエレーナも予約しておいてください」
 オーナー:「かしこまりました」
 エレーナ:「コラ!アタシはここで住み込みで働いてんの!てか、オーナーもマジレスしないでください!」
 オーナー:「おー、これは申し訳無い。つい、鈴木君の魔法に引っ掛かるところだった」
 鈴木:「別の意味で、『魔法使い』」
 エレーナ:「やかましいわ!」
 オーナー:「今度はどういうジャンルで行くんですか?」
 鈴木:「魔法使いをプレイヤーキャラにしたシューティングゲームですね。魔法使いのモデルはエレーナで」
 エレーナ:「お、言ったな。私は何も聞いてないぞ。勝手に私をモデルにした罪、金で払ってもらおうか?」
 鈴木:「モデル代はコミケでどれだけ売れるか、その売り上げに応じてマージンを払うということでどうかな?もちろん、売れれば売れるほどマージンは上がる。モデル本人が来てくれれば、更に盛り上がるだろうなぁ……」
 エレーナ:「よっし!そういうことなら行ってやる!しっかり売れよ!」
 鈴木:「よろしくね」( ̄ー ̄)
 オーナー:(鈴木さんはエレーナの心が分かっていらっしゃる。で、エレーナは金で男に騙されるタイプだったか……)

[12月22日10:00.天候:曇 東京都豊島区 日蓮正宗・正証寺]

 鈴木:「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。(……よっし。1時間唱題終わり)」
 藤谷:「唱題終わったかい?」
 鈴木:「班長。顕正会じゃ、そこまでやりませんでしたね」
 藤谷:「そりゃ、あそこは『唱題しているヒマがあったら、1人でも多く勧誘しろ』って所だろ。うちは違うからな」
 鈴木:「はい。コミケにも行かせてもらえて、顕正会より素晴らしいです」
 藤谷:「俺も明日は有馬記念があるからな、ザギンのいつもの場所に行ってるから、講頭とかには『藤谷班長は銀座に街頭折伏に行っております』と言っておけよ?」
 鈴木:「分かりました。自分も年末は『有明に街頭折伏に行っている』ということでお願いしますよ?」
 藤谷:「分かってるって」

 藤谷は競馬ファン、鈴木はコミケ戦士という個性豊かな信徒の集まる正証寺から中継でお送りしました。
コメント (2)
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