[8月12日14:00.天候:不明 宮城県仙台市青葉区新川某所 愛原公一邸(旧宅)地下]
退路を断たれた私達は、地下室の奥に進むことにした。
愛原:「これは……」
通路の奥にはエレベーターがあった。
それも、普通のエレベーターではない。
高橋:「高島屋のエレベーターみたいっスね」
愛原:「そうだな」
日本橋高島屋のエレベーター。
扉が鉄格子の引き戸になっており、エレベーターガールによる半自動運転が行われている。
半自動というのは、扉に関しては自動開閉式になっているのと、行き先階の設定が自動になっている所は、本当の意味で手動式ではないという意味だ。
本当の手動式は扉の開閉も手動、行き先階もボタンではなく、運転手のレバーで操作するのである(レバー操作に関しては、日本橋高島屋もそう)。
愛原:「でも、エレベーターガールは乗ってないぞ?」
高橋:「自分達で操作するしか無いっスね」
ボタンを押すが、そもそも通電していない。
このエレベーターに関しても電源ボックスがあって、それを開けるとヒューズが無くなっていた。
これに関しては、特に心配は無い。
何故なら、先ほどの部屋で汎用ヒューズを入手したからである。
これをはめ込むと、通電してエレベーターが動いた。
手動式の鉄格子の引き戸を開けると、案の定、レバーで操作するタイプのエレベーターだと分かる。
日本アンブレラがここを使っていた頃は、エレベーターガールでも乗っていたのだろうか?
高橋:「先生、レバーが無いです」
愛原:「これ、ここで使うのか?もしかして」
同じ室内でクランクを拾っていた。
クランクだと思ったのだが、どうも見た目は昔の電車のマスコンハンドルに見えてしょうがなかった。
103系とかにあった、回転式のマスコンレバーね。
確かに日本橋高島屋のエレベーターも、操作レバーは電車のマスコンハンドルに似てなくもない。
愛原:「あ、ここで使うの、これ!」
クランクみたいな重要なキーアイテムは、中ボス辺りが持っているイメージだが、ここではすんなり手に入ったので意外だった。
尚、アメリカのオリジナル版リサ・トレヴァーが、隠れ家のインテリアに置いていたという……。
リサ:「上に参りまーす!」
愛原:「え、上行けんの?」
リサ:「だって1階のランプが点いてるよ?」
愛原:「おお!それじゃ、これで地上に脱出できるってことじゃないか!」
そして同時に、B2Fのランプが点灯しているのも気になった。
愛原:「ちょっと先にB2Fを見てから上に上がろうか」
高橋:「そうですね。一応、見てから姉ちゃんに報告しても……」
愛原:「よし」
私はドアを閉めた。
ちゃんと閉めないと安全装置が働いて、エレベーターが動かない。
と、同時に通路の向こうから大きな金属音がして、更に化け物達の雄叫びが聞こえて来た。
どうやら連中、あの鉄格子の扉をブチ破ったらしい。
愛原:「行くぞ!」
通路の向こうにハンターαの姿が見えたと同時に、私はレバーを操作した。
ガクンと案外速いスピードで降下するエレベーター。
で、確かこれ……。
リサ:「地下2階でございまーす」
高橋:「先生、ドア開かないっスよ?」
愛原:「ちょっと待って。微調整する!」
そうなのだ。
カゴと乗り場の位置を合わせないと、安全装置のロックが掛かったままとなり、ドアが開けられないのだ。
愛原:「これでどうだ?」
高橋:「開きました!」
通路は奥に続いており、こちらは停電しているのか、照明が点かなかった。
手持ちのライトを点灯させて進む。
この通路も一本道となっており、突き当りに重厚な鉄扉があった。
そして、こちらもカードキー式になっているが、通電ランプが点いていた。
廊下の照明に関しては、その部分のヒューズが飛んでいるか、断線しているかしているのだろう。
リサのカードキーで、それは解錠できた。
愛原:「何があるかな……」
入ると思った通り、研究室があった……って!
愛原:「こ、これは……!」
大きなカプセルと培養液に入った、全裸の少女達がいた。
1人1つのカプセルに入っている。
少女達は小学生~中学生くらいに見えた。
リサ:「あ……ああ……!」
その時、リサが頭を抱えてフラついた。
愛原:「おい、リサ!大丈夫か!?」
この時、リサの脳裏にフラッシュバックが起きたという。
人間だった頃の記憶は殆ど無いが、それが急に断片的に蘇った感じ。
リサ:「わ、わたしも……この中に……いた……」
日本版リサ・トレヴァーとして生まれ変わり、研究所内で数々の実験を受けさせられた記憶はあるものの、それ以前の記憶に関しては殆ど無いリサ。
カプセルの中に入れられ、他にも浚われた少女達と共に人体改造を……。
リサ:「げぇェッ……!!」
そして、その場に嘔吐した。
ビチャビチャと吐き出された胃液の中に混じって、リサの体内に生息している寄生虫がのたうち回っている。
高橋:「ど、どうします、先生!?」
愛原:「俺達にはどうすることもできんよ。とにかく、ここの写真を撮って、地上に脱出だ。あとはもう、デイライトやBSAAの出番だ」
座り込んだリサが立ち上がろうと、近くの机の縁を掴む。
だが、バランスを崩し、机の上の雑多な書類と共にまた倒れた。
愛原:「リサ、無理するな!」
リサに手を貸そうとした私の目に、とある書類が目に飛び込んで来た。
愛原:「これは……!」
『日本版リサ・トレヴァー②について。……本日、転生の儀に成功した②にあっては、○×県霧生市の開発センターにて観察を行うものとする。②番は東京都○○市において、裏切り者の上野達夫家の長女として誕生したが、今回報復措置として粛清並びに娘達を実験材料に使うものと決定(尚、長男・次男にあっては、男児は実験材料に向かない為、粛清対象とする)。当然この事は一家殺人事件となり、警察の捜査対象となるが……』
愛原:「リサのことだ!」
リサの出自が書かれている!
高橋:「先生、これを!」
高橋が別の書類を見つけた。
それは、日本アンブレラがリサの家族を虐殺したことで、警視庁で捜査本部が立ち上げられたわけだが、その捜査本部に所属している刑事達のリストだった。
その中に、あの高木巡査部長がいた。
そう。
バイオハザードの最中、霧生市で会った警視庁の刑事である。
確か彼は、都内で起きた一家殺人事件の捜査の一環として、霧生市に来たと言っていた。
愛原:「ここで繋がってたのかよ……」
リサの出自が栃木にあると思っていた私は、この事件は全く無関係だと思っていたのだが……。
高橋:「あと、これもです」
それは上野家の家系図だった。
この中に、『暢子』とあるのが、人間だった頃のリサの本名である。
そして、家系図の中には利恵の名前もあった。
だが、この家系図が正しいとすると、この2人の関係は姉妹ではなく、従姉妹ということになる。
どうも違和感があったのだが、やはりリサと利恵は本当の姉妹ではなかった。
しかし、親戚関係だったということもあり、本当の無関係というわけでもない。
愛原:「リサの実年齢は確かに俺より年上なんだろうが……それにしては、時系列がおかしくないか?」
高橋:「そうですね……」
リサが人間のまま歳を取っていたら、私より10歳くらい年上なのだ。
しかし、人間だった頃のリサが事件に巻き込まれたのは、10歳くらいということになり、今から40年くらい前ということになる。
そんな事件を、あの高木刑事が今更追って来るのもおかしい。
だが、ここではそれ以上のことは分からなかった。
愛原:「取りあえず、リサに関する資料だけ持ってここを出よう。あとはデイライトやBSAAに任す!」
高橋:「そうしましょう!……リサ、早く来い!」
リサ:「うぅう……ひっく……!」
リサは泣いていたが、今は脱出に専念しないといけない。
地下1階まで下りて来た化け物達が、ここに来ないとも限らないのだ。
愛原:「リサ、悪いが、早く!」
高橋:「泣くのは脱出してからだ!」
私と高橋でリサを立たせ、研究室を出る。
愛原:「あのエレベーター、確かに地上に出られるんだな?」
高橋:「『1F』と書かれたランプが点いてましたから、多分……」
エレベーターに乗り、扉を閉めると、私はレバーを操作して、エレベーターを上昇させた。
退路を断たれた私達は、地下室の奥に進むことにした。
愛原:「これは……」
通路の奥にはエレベーターがあった。
それも、普通のエレベーターではない。
高橋:「高島屋のエレベーターみたいっスね」
愛原:「そうだな」
日本橋高島屋のエレベーター。
扉が鉄格子の引き戸になっており、エレベーターガールによる半自動運転が行われている。
半自動というのは、扉に関しては自動開閉式になっているのと、行き先階の設定が自動になっている所は、本当の意味で手動式ではないという意味だ。
本当の手動式は扉の開閉も手動、行き先階もボタンではなく、運転手のレバーで操作するのである(レバー操作に関しては、日本橋高島屋もそう)。
愛原:「でも、エレベーターガールは乗ってないぞ?」
高橋:「自分達で操作するしか無いっスね」
ボタンを押すが、そもそも通電していない。
このエレベーターに関しても電源ボックスがあって、それを開けるとヒューズが無くなっていた。
これに関しては、特に心配は無い。
何故なら、先ほどの部屋で汎用ヒューズを入手したからである。
これをはめ込むと、通電してエレベーターが動いた。
手動式の鉄格子の引き戸を開けると、案の定、レバーで操作するタイプのエレベーターだと分かる。
日本アンブレラがここを使っていた頃は、エレベーターガールでも乗っていたのだろうか?
高橋:「先生、レバーが無いです」
愛原:「これ、ここで使うのか?もしかして」
同じ室内でクランクを拾っていた。
クランクだと思ったのだが、どうも見た目は昔の電車のマスコンハンドルに見えてしょうがなかった。
103系とかにあった、回転式のマスコンレバーね。
確かに日本橋高島屋のエレベーターも、操作レバーは電車のマスコンハンドルに似てなくもない。
愛原:「あ、ここで使うの、これ!」
クランクみたいな重要なキーアイテムは、中ボス辺りが持っているイメージだが、ここではすんなり手に入ったので意外だった。
尚、アメリカのオリジナル版リサ・トレヴァーが、隠れ家のインテリアに置いていたという……。
リサ:「上に参りまーす!」
愛原:「え、上行けんの?」
リサ:「だって1階のランプが点いてるよ?」
愛原:「おお!それじゃ、これで地上に脱出できるってことじゃないか!」
そして同時に、B2Fのランプが点灯しているのも気になった。
愛原:「ちょっと先にB2Fを見てから上に上がろうか」
高橋:「そうですね。一応、見てから姉ちゃんに報告しても……」
愛原:「よし」
私はドアを閉めた。
ちゃんと閉めないと安全装置が働いて、エレベーターが動かない。
と、同時に通路の向こうから大きな金属音がして、更に化け物達の雄叫びが聞こえて来た。
どうやら連中、あの鉄格子の扉をブチ破ったらしい。
愛原:「行くぞ!」
通路の向こうにハンターαの姿が見えたと同時に、私はレバーを操作した。
ガクンと案外速いスピードで降下するエレベーター。
で、確かこれ……。
リサ:「地下2階でございまーす」
高橋:「先生、ドア開かないっスよ?」
愛原:「ちょっと待って。微調整する!」
そうなのだ。
カゴと乗り場の位置を合わせないと、安全装置のロックが掛かったままとなり、ドアが開けられないのだ。
愛原:「これでどうだ?」
高橋:「開きました!」
通路は奥に続いており、こちらは停電しているのか、照明が点かなかった。
手持ちのライトを点灯させて進む。
この通路も一本道となっており、突き当りに重厚な鉄扉があった。
そして、こちらもカードキー式になっているが、通電ランプが点いていた。
廊下の照明に関しては、その部分のヒューズが飛んでいるか、断線しているかしているのだろう。
リサのカードキーで、それは解錠できた。
愛原:「何があるかな……」
入ると思った通り、研究室があった……って!
愛原:「こ、これは……!」
大きなカプセルと培養液に入った、全裸の少女達がいた。
1人1つのカプセルに入っている。
少女達は小学生~中学生くらいに見えた。
リサ:「あ……ああ……!」
その時、リサが頭を抱えてフラついた。
愛原:「おい、リサ!大丈夫か!?」
この時、リサの脳裏にフラッシュバックが起きたという。
人間だった頃の記憶は殆ど無いが、それが急に断片的に蘇った感じ。
リサ:「わ、わたしも……この中に……いた……」
日本版リサ・トレヴァーとして生まれ変わり、研究所内で数々の実験を受けさせられた記憶はあるものの、それ以前の記憶に関しては殆ど無いリサ。
カプセルの中に入れられ、他にも浚われた少女達と共に人体改造を……。
リサ:「げぇェッ……!!」
そして、その場に嘔吐した。
ビチャビチャと吐き出された胃液の中に混じって、リサの体内に生息している寄生虫がのたうち回っている。
高橋:「ど、どうします、先生!?」
愛原:「俺達にはどうすることもできんよ。とにかく、ここの写真を撮って、地上に脱出だ。あとはもう、デイライトやBSAAの出番だ」
座り込んだリサが立ち上がろうと、近くの机の縁を掴む。
だが、バランスを崩し、机の上の雑多な書類と共にまた倒れた。
愛原:「リサ、無理するな!」
リサに手を貸そうとした私の目に、とある書類が目に飛び込んで来た。
愛原:「これは……!」
『日本版リサ・トレヴァー②について。……本日、転生の儀に成功した②にあっては、○×県霧生市の開発センターにて観察を行うものとする。②番は東京都○○市において、裏切り者の上野達夫家の長女として誕生したが、今回報復措置として粛清並びに娘達を実験材料に使うものと決定(尚、長男・次男にあっては、男児は実験材料に向かない為、粛清対象とする)。当然この事は一家殺人事件となり、警察の捜査対象となるが……』
愛原:「リサのことだ!」
リサの出自が書かれている!
高橋:「先生、これを!」
高橋が別の書類を見つけた。
それは、日本アンブレラがリサの家族を虐殺したことで、警視庁で捜査本部が立ち上げられたわけだが、その捜査本部に所属している刑事達のリストだった。
その中に、あの高木巡査部長がいた。
そう。
バイオハザードの最中、霧生市で会った警視庁の刑事である。
確か彼は、都内で起きた一家殺人事件の捜査の一環として、霧生市に来たと言っていた。
愛原:「ここで繋がってたのかよ……」
リサの出自が栃木にあると思っていた私は、この事件は全く無関係だと思っていたのだが……。
高橋:「あと、これもです」
それは上野家の家系図だった。
この中に、『暢子』とあるのが、人間だった頃のリサの本名である。
そして、家系図の中には利恵の名前もあった。
だが、この家系図が正しいとすると、この2人の関係は姉妹ではなく、従姉妹ということになる。
どうも違和感があったのだが、やはりリサと利恵は本当の姉妹ではなかった。
しかし、親戚関係だったということもあり、本当の無関係というわけでもない。
愛原:「リサの実年齢は確かに俺より年上なんだろうが……それにしては、時系列がおかしくないか?」
高橋:「そうですね……」
リサが人間のまま歳を取っていたら、私より10歳くらい年上なのだ。
しかし、人間だった頃のリサが事件に巻き込まれたのは、10歳くらいということになり、今から40年くらい前ということになる。
そんな事件を、あの高木刑事が今更追って来るのもおかしい。
だが、ここではそれ以上のことは分からなかった。
愛原:「取りあえず、リサに関する資料だけ持ってここを出よう。あとはデイライトやBSAAに任す!」
高橋:「そうしましょう!……リサ、早く来い!」
リサ:「うぅう……ひっく……!」
リサは泣いていたが、今は脱出に専念しないといけない。
地下1階まで下りて来た化け物達が、ここに来ないとも限らないのだ。
愛原:「リサ、悪いが、早く!」
高橋:「泣くのは脱出してからだ!」
私と高橋でリサを立たせ、研究室を出る。
愛原:「あのエレベーター、確かに地上に出られるんだな?」
高橋:「『1F』と書かれたランプが点いてましたから、多分……」
エレベーターに乗り、扉を閉めると、私はレバーを操作して、エレベーターを上昇させた。