マーリンの美味しい生活

ストレス解消は観劇と食べ歩き。

この世の春~宮部みゆき

2018年08月04日 | 
分厚い上下巻の2冊をあっという間に読了。

久々の宮部ワールドを堪能。辛い話ではあるのですが面白かった~最後はちょっと意外だったけど。
途中から多紀様はかなめさんに脳内変換。凛として肝の据わった武家の娘、周りの頼りない男どもをぴしゃりと叱りつけるところや心を病んでいる御館様に尽くす真摯な姿。ピッタリだと思いました。

オンナの奥義

2018年07月28日 | 
阿川佐和子さんと大石静さんの対談、面白かった。

女同士の赤裸々なトーク、へぇ~大石さんてこんな人なんだ~とビックリ。だからあんなドラマが書けるのね~と納得。

特に印象に残ったのがこの件。
夢は必ず叶うとかいうけど叶わないのよ。
叶うのは選ばれた特別な人達なんだから。
(夢が叶えば幸せってもんでもないし)
ある世界で突き抜けた方たちというのは、もともと才能がある上に色々なものを捨てて、血を吐くような努力をしてその結果を手にしている。軽々とあの場にいるわけじゃない。
人間には身の程というものがあって能力にも確実に差がある。それぞれの能力を全開にして精一杯生きる事こそ尊いのだということがおざなりにされていると思う。

真ん中にくる人は上手い下手ではなく透明感が必要。
魅力的な俳優さんやトップを張ってる女優さんは皆んな清潔感を超えた独特の透明感を持ってるけど、いい気になったり努力しないでいるとくすんでしまうのよ。

まさに同感。
でもこの言葉は意外でした。

役者って自分の事が一番好きな生き物。
自分以外の誰かを演じるなんて自分の事が本当に好きじゃないとできないのよ。

へぇ〜そうなんだぁ。
どちらかというと私は逆かと思ってたので。生身の自分に自信がなく自分以外の誰かになりたい願望のある人が役者さんになるというケースが多いのかと思ってた。人見知りの人とか結構多いみたいだし。

他にも大石さんの下着の話や不倫?の話、意外にズボラな阿川さんの話など面白かったです。せっかちな阿川さんは美容院に行く時間が勿体無いから自分でハサミで髪をカットしてるんですって。ビックリでした。

たゆたえども沈まず

2018年02月08日 | 
原田マハさんの「たゆたえども沈まず」。面白かった~

ゴッホとゴッホの弟で画商のテオと日本人の画商との交流を描いたフィクションですが、実在の人物も登場するので本当にこういうことがあったのかも・・・と。

因みに「たゆたえども沈まず」とはパリのシテ島のことを指した言葉らしいです。
どんな荒波に翻弄されようとも決して沈むことはない、という意味のようですが、ラストシーンがグッときます。

「強父論」と「十歳までに読んだ本」

2017年11月19日 | 
最近読んで面白かった本。

「強父論」阿川佐和子・・・自分の両親とよく似たところがあり思わずニヤッとしてしまうところもあり大変面白く読みました。
やはり海軍出身者の共通点なのかしらねとか・・・阿川弘之さんと違ってわが父は孫が生まれてからは180度コロッと人間が変わって好々爺になってしまいましたが、最期まで痛いとか苦しいとか弱音を吐かず看護士の方にも感心されるほどの忍耐強さでした。阿川さんもそんな御父上を誇りに思ってるんだなぁということが伝わってきました。


「十歳までに読んだ本」・・・西加奈子さん、益田ミリさん、など有名な作家さんやタレントさんが子供のころ読んで強く記憶にる本のことを語っているエッセイ集ですが、驚いたことにこの中で一番心を惹かれたのが女優の吉岡里帆さん。              その文章力の確かさと母への愛情溢れる眼差しに心がぎゅっとなりました。普通の新進女優さんかと思ってたけどタダ者ではないですね。これからの活躍が楽しみです。
吉岡里穂さんの読んだ本「ラヴ・ユー・フォーエヴァー」ロバート・マンチ作の絵本

他にも凄いなぁと思った方が、「ガリバー旅行記」を読んだ原宏一さん。
この物語を読んで、子供心に「物事はすべて相対的なものだ」ということに漠然と気づかされ、視点の置き方ひとつで見え方も価値観も世界観もまるで異なってしまう不思議に目覚めたのだそうです。
普段でも妄想が膨らんでぼんやりと物思いに耽っていて周囲の大人たちに心配されるような子供だったとか。

10歳でそんなことに気づくなんて凄いですよね。
私なんて小人の国に行ったガリバーが小人さんたちに捕らえられて髪の毛や服を杭で地面に磔にされてる場面しか思い出せないというのに・・・

他にもとても共感できた方が多数。
少年探偵シリーズ、怪人二十面相シリーズ、ルパンシリーズを挙げてらした方々。
だるまちゃんシリーズ、モモ、ファーブル昆虫記、フランダースの犬etc.

万城目学さん、柚木麻子さんの「小公女」
宮下奈都さんの「飛ぶ教室」
畠中恵さんの「安寿と厨子王」
原田マハさんの「よだかの星」

自分の好きな作家さんが自分の好きな本を読んで同じような気持ちになっていたということが嬉しい。感性が似ているということ。
だから私はこの人の書くものが好きなんだなぁと実感したのでした。


本谷有希子~自分を好きになる方法

2017年08月06日 | 
以前、大空ゆうひさんがおススメと言っていた本谷有希子さんの「自分を好きになる方法」を読んだんですけど・・・

う~ん、この主人公のリンデさんを全然好きになれなかったな、私。

自己中でいくつになっても人に依存して生きてて、人の気持ちを全然考えない無神経な言葉で人を傷つけながら、被害者意識だけは人一倍強い女・・・これじゃ他人と一緒に生活することは絶対に無理ね!幸せになれっこないわ!と思ってしまった。

63歳の時に行ったお直し屋さんで、「あなた少しは自分の頭で考えたら?!」とお直し屋さんの女主人が言ってくれた時胸がスカッとしました。

ゆうひさんはすごく面白かった!と言ってたけど、この主人公に共感できたんだろうか?

・・・とここまで書いてきて、なんでこんなにあのリンデさんに腹が立つんだろうか?と考えて、ふと思い当たった。自分に似てるとこがあるからなんだろうな、きっと。あ~嫌だ  

蜜蜂と遠雷、読了しました

2017年08月06日 | 
500ページ以上あるのですが、あまりの面白さに読んでてワクワクドキドキして、早く最後まで読みたいような
読み終わりたくないような…ずっとこの世界に身を委ねていたい、と思えるような作品でしたね。

ピアノコンクールに参加しているコンテスタントや審査員達、それぞれのドラマがコンクールの時系列に従って語られていくのですが、それぞれのピアニストが鍵盤を叩く音が聴こえてくるような豊かな音楽表現が素晴らしいです。
皆さん魅力的なのですが、アーちゃんと塵君のその後が気になります。続きが読みたい!

蜜蜂と遠雷

2017年07月22日 | 
直木賞、本屋大賞ダブル受賞で話題になった恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」。

やっと義妹から廻って来ました。

読んだ人が皆口を揃えて「面白かったよ〜!」と言うので読むのがすごく楽しみ^_^

では失礼して📖

山崎育三郎~シラナイヨ~

2017年03月20日 | 
山崎育三郎君のエッセイを読みました。

STARSの誕生秘話とか三人の中で一番年下なのに、育三郎くんが二人(井上芳雄君と浦井健治君)を見守るお母さんのような包容力のある存在の訳がわかりました。

自分の殻を破るってとても難しいことだけど・・・凄いな~

尊敬します

海の見える理髪店~荻原浩

2017年02月21日 | 
昨年の直木賞受賞作。

表題作はこの短篇集の冒頭にあります。面白かった!

ありがちなテーマだけど「そう来たか!」と思わせる話の運び方が上手いな~と。

ドラマを見ているようにありありとその情景が浮かびます。

芝居だとすると二人芝居・・・というか、喋ってるのは殆ど店主一人なんだけど。

ラストの一言がね~ここでポロリと


ファミレス~重松清

2017年02月14日 | 
「恋妻家宮本」の原作の「ファミレス」を読みました。

映画版がどんなものか全然知らないで読んだので、私のイメージでは(手抜き?)料理研究家のエリカさんが天海祐希さんだった。かなりぶっ飛んでて自己中なんだけど憎めないというか、その勢いに巻き込まれちゃうというか。

こないだまで見てた三つ星シェフのドラマの影響が大きいかもしれないけどね。

小説では、宮本夫妻よりも出版社の編集長一博と別居中の奥さんの桜子さんやバツイチで仲良くお惣菜屋さんを切り盛りしている康文とマリちゃん夫婦の方が魅力的だったし面白かった。

宮本の奥さん美代子はなんか印象が薄くて自分勝手な人だなあと思ってたので、映画では大幅に変わってるんだろうな。

そうじゃないと遊川和彦さんが天海さんをキャスティングした意味が無いもんね。


「朝が来る」辻村深月

2016年09月27日 | 
先日まで見ていたドラマ「はじめまして 愛しています」とダブルところもあり、読みながら自然と涙が出てきました。

血の繋がりとか家族のあり方というものを改めて考えさせられました。


コンビニ人間

2016年09月03日 | 
村田沙耶香さんの芥川賞受賞作「コンビニ人間」を読みました。

平易な文章、身近な題材なので、あっという間に読めちゃった。

村田さんの小説には、変わった人とかちょっと世間とズレてて上手く社会に適応できない人がよく出てくるけど、改めて普通ってなんだろう?と考えてしまいました。

この世の中には色んな人がいるわけで、普通に見えても変な人はイッパイいるよね。自分も含めて。

皆んな、社会に適応しているフリをしてるだけじゃないのかな?なんて考えちゃった。

他人に変な人とかアブない人とか思われたくないから、本当の自分を隠して周りに合わせてる事って結構あると思う。

主人公は、人に何と思われようと自分が一番自分らしくいられる場所(=コンビニ)を見つけられて幸せだからいいじゃないか、と最後には思ったのでした。

読み終えるのがもったいない「ツバキ文具店」

2016年08月15日 | 
小川糸さんの「ツバキ文具店」を読んでいます。

もうすぐ読み終わりそうなんだけど・・・読み終わるのが寂しくて、濃厚な味の美味しいお菓子を戴くようにちょっとずつちょっとずつ読んでいます。

舞台は鎌倉、文具店の店主はうら若き女性。主な仕事は代筆(代書)業。

そんな店主のもとに、色々な事情を抱えて自分では手紙が書けない人々が仕事の依頼にやってきて・・・繰り広げられる人間模様。

鎌倉の寺社だけでなくジモティーに愛されるお店も登場するのも興味深い。

男爵にご馳走になる鰻の老舗「つるや」さん、今年の初めに行ったばかりだったので懐かしかった。今度行ったら是非「二世帯住宅」に挑戦してみよう。その近くの元銀行だったというレトロ建築のバーにも行ってみたい。

祖母との確執や元ヤンだった過去などで人と距離を置いていた彼女が、個性豊かな鎌倉の住人との交わりの中で成長していく姿が淡々と日常的に描かれているのだが。

登場する人々がなんとも愛おしく思えて、読んでるだけで心が洗われるよう。

小川糸さんの本は、たとえ内容がドロドロしてても全然そう感じさせない爽やかさが凄いと思う。