とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

一隅を照らす人を訪ねて30年

2009-08-08 20:51:37 | 社会人大学
6回目の社会人大学は、元福岡県立香椎高(福岡市)の校長で、現在は福岡和白リハビリテーション学院学院長である長瀬泰信さんが講師だった。

長瀬さんは、各界の第一線で活躍したり、一隅を照らす活動にいそしむ人々を、自費で訪ね、その誠実な生き方を生徒に伝えてきたという。30年間、これぞと思う人を全国に訪ね、その「魂の言葉」を生徒に伝えることを、何よりの生きがいとしてきた。その移動距離は地球3周分(約12万km)にもなる。

なぜ、そのようなことを始めたのかというと、生徒指導に悩んでいた1981年1月、ツッパリの生徒たちに勇気を教えて全国高校ラグビー大会優勝に導いた山口良治・伏見工監督(京都)の号泣する姿に震え、講演依頼に行ったのがきっかけだったそうだ。「自分だけが苦しいのではない。やれば出来るよ」。講演で、監督の熱い言葉に荒れていた生徒たちが心を揺さぶられているのを目の当たりにし、「今を生きる人の言葉こそが心に響く」と悟り、行脚を始めたそうだ。

長瀬さんの訪ねた人は130人以上にものぼり、とても全てを聞くことはできなかったが、講演で話が出た人のことを、幾つか揚げてみよう。

・イチロー選手のバットを作る久保田五十一さんは、次の三つの事を守っているそうだ。「嘘をつくな」「約束を守れ」「汚いことをするな」
・松本サリン事件で一時容疑者扱いされた河野義行さんの言葉。「人を憎むより家内の看病にエネルギーを注ぐ」「お金や暇は無駄使いしてもいいが、心の無駄使いはしない」
・チャップリンの言葉。「自分が最も好きな映画は“次に出る映画だ”」
・ゲーテの母の言葉。「嫌な事は楽しく先に片付けなさい」
・男はつらいよの寅さんの言葉(39作より)。甥の満男から「人間は何のために生きているのか?」と聞かれて寅さんは「あー生まれてきてよかったな。って、思うことが、何べんかあるじゃねぇ。そのために、人間、生きてんじゃねぇのか?」

他にも幾つかあり、誰の言葉か忘れてしまったが、こんな言葉もメモしておいた。
・信頼する人が独りでもいれば、苦難は乗り越えられる。
・自分のことを一杯話す人は多いが、人の話を聞いてあげることのできる人は少ない。
・面倒くさいと逃げると人の成長は止まる。面倒くさいならがんばろう。
・相手の立場になって考える。身分や国籍が違うと自分の常識で測れないことが一杯あるが相手にも事情があって、自分の思うとおりにしてくれないこともあるのだ。

長瀬さんが訪ねた人は、まだまだ一杯あって、以前社会人大学の講師に来たことのある、マッキンリーに冬季単独登頂し生還した栗秋正寿さん(福岡県)、ホテル業界で「伝説のドアマン」と呼ばれる名田正敏さん(兵庫県)などもいるそうである。これらの人たちの話を聞くと、今後の生き方に大きな勇気をもらえる事はたしかだ。