とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

南アルプス 赤石岳・聖岳縦走「2日目」

2009-08-17 22:39:42 | 山登り
前日の夜は、きれいな星空も見えたがこの日は厚い雲が立ち込めていた。それでも雲の切れ間からは日が差しており、しばらくは大丈夫そうな天気だった。週間天気では、雨が降りそうな予想だったので、雨具を着るのも仕方ないと覚悟していた。それでも、早く行動したほうが安心なので、5時の朝食を終えると急いで小屋を出た。

今日目指すのは、標高3120mの赤石岳である。日本百名山としては57番目の山となる。だが目指す赤石岳は雲のなかに隠れ、まったく山の姿が見えてこない。雲の切れ間からは光の帯が差しこみ、まわりの低い山並みはまだ見えていた。

まだしばらくは雨は降りそうになかった。シラビソの林の中を緩やかに登っていった。途中にはパイプと板で組み立てられた木道もあり危険な場所はしっかり整備されていた。


ナナカマドとハイマツの中を進んでいき、振り返ると今朝出発した赤石小屋が遥か下に見えていた。

更に進むと絶好の展望地のはずの富士見平に着いた。晴れていれば富士山をはじめ、赤石岳、荒川三山、聖岳など見えるはずだったが、この日はまったく展望がなかった。

休憩も程々で更に先に進んだ。小さい沢を幾つか通り過ぎ、つづら折に登っていくと次第にたくさんの花に出合うようになってきた。以前登った北岳の登山道に似た雰囲気のある道だった。あたり一面には、たくさんの種類の高山植物が咲き乱れていた。曇っていても花を見ると気分が明るくなる。写真を何枚も撮りながら登っていくと登りの苦しさも忘れてしまう。

(お花畑)

(ウサギの耳のような葉を持つウサギギク)

(高山植物の定番 チングルマ)

(エーデルワイスの仲間のミネウスユキソウ)

(茎に4枚ずつ葉が輪生するヨツバシオガマ)

さらに足場の悪い岩稜帯を上りきると3120mの赤石岳に到着した。南アルプス南部の盟主といわれる赤石岳だが、生憎の天気で展望はまったくない。

とりあえず山頂写真を撮って下山することにした。山頂のすぐ下には赤石避難小屋がある。避難小屋といっても管理人が常駐しており食事、宿泊もできる。

小屋前で少し休憩をして先に進んだ。赤石岳という名前がついているだけあって赤っぽい岩場をぐんぐん下った。荒涼とした岩場は、樹林帯の中とはまったく違う雰囲気だ。森林限界を超えると岩山の世界である。


岩場を抜けると、馬の背というハイマツのなだらかな稜線を下る。途中にはハイマツが枯れて白い骨のようになっている不思議な光景にもでくわした。何かの原因で、ハイマツが枯れてしまったようである。

さらに下りていくと、可愛い鳥(残念ながら名前がわからない)や

ライチョウに出くわした。ライチョウに出会うということは天気が悪くなる前兆だ。1匹だけの単独行動だったのでオスのライチョウのようだった。

案の定、しばらくすると雨がポツポツ降り始め雨具を着ることになった。

ライチョウに出会ってから更に進むと、百間平という2700mの高地にあるなだらかな台地に着く。

北アルプスの雲の平に匹敵する場所といってもいいだろう。広く平らな平原は、晴れていれば最高の楽園であっただろう。湿地帯として、こちらもお花畑が広がっていた。だが、霧の中で視界も利かず雨も降り出していたので先に進んだ。

百間平からさらに急斜面を下り、百間洞の源流部に到着した。この辺りはテント場になっており、更に下に下りていくと今日の宿泊地である、百間洞山の家についた。近くには沢が流れ、水には事欠かないオアシスのような場所にある山小屋である。赤石小屋を出て5時間半ほどで着き、この日の行程は終わりとなった。

百間洞山の家でも、宿泊者は少なくゆったりとくつろぐ事ができた。この山小屋の名物は、夕食時のアツアツのトンカツと蕎麦である。揚げたてのトンカツを食べてもらうため食事は8人ずつ時間差でするようにしているそうだ。こだわって作っているようでトンカツは柔らかく美味しかった。また、特注で「ソーダブレッド」というパンを頼んだ。限定品で、朝食終了時に焼きあがるということで、翌日の行動食用になりそうである。この日も、午後は余裕があったので、ストーブの周りで他の登山者達と山談義で盛り上がった。そして、夕方の天気予報では、明日の天気は晴れだったので安心して眠りについた。

続きは「3日目」に。