2日目は4時半頃起床する。昨夜は午後8時には寝ていたので、睡眠時間は十分である。5時半に朝食を済ませ、6時に平標山の家を出発する。雲は多いものの、雨は大丈夫そうだ。
整備された木道を登りだす。大きな樹はなく、見晴らしの良い草原が続いている。
真ん中に見える尖った山は、「エビス大黒ノ頭」だ。5月に「えびすだいこくマラソン」に参加したので、同じ名前なので何だか行ってみたくなった。
前方に見えるのが、平標山だ。なだらかで女性的な山容である。
登山道の途中ではこんな花を見つけた。

アズマシャクナゲ ワタスゲ
もう時期が過ぎているはずだが、まだ残っていた。 花が終わり、白い綿毛を付けている。
この綿毛は、種子の集まりだ。
休憩ベンチで、後方の山々を振り返る。尖った山は上州武尊岳だろうか?
下から登ってくる登山者の後ろには、平標山の家が見える。そしてその後方には、大源太山、三国山が見える。さらに奥には見えるのは皇海山だろうか?
コバイケイソウ(小梅草)の群落もあちらこちらで見られる。年によっては、全然咲かない時もあり、今年はまずまずのようである。名前の由来は、花が梅に似ており、葉が蘭に似ているためだ。
西の方に目を転じると、なだらかな台地状の山が見える。日本百名山の苗場山だ。
歩き出して1時間ほどで、平標山(1984m)に到着する。平標山は三国山脈の一峰で、上信越高原国立公園の谷川連峰の最西端になる。山頂部分がなだらかで平坦、県境の目印にもなることが山名の由来だ。また、展望と高山植物に恵まれた山として知られ、「花の百名山」の一座にも選ばれている名山である。
平標山周辺には、こんな花々が咲いていた。

ダイモンジソウ チングルマ
花が「大」の字に似ている。 花弁は5枚で、多数の黄色い雌しべと雄しべがある。

ハクサンコザクラ ヨツバシオガマ
花はピンクの5弁花だがハート型に深く切れ込んで 名前の由来のとおり、シダのような葉が茎の節ごとに4つ
いるので10弁花のように見える。 ずつ輪生する

チングルマ ウラジロヨウラク
花が終わり実になったところ。 花の様子が仏像が身につけている
この実の形が子供の風車(かざぐるま)に 装身具(瓔珞・ようらく)に似ていることと、
見えたことから稚児車(ちごくるま)から 葉の裏が白いことから名前が付けられた。
名前が転じて付けられた。

カラマツソウ ニッコウキスゲ
花がカラマツの葉の付き方に似ているので 日光の霧降高原の群落などが有名。
この名前が付いた。 花が黄色で葉がカサスゲ(笠萓)に似ているため、
地名を付けて呼ばれだした。
朝方に開花すると夕方にはしぼんでしまう一日花。

ハクサンフウロ オオバキボウシ
25mm程度のピンクの花が風に揺れるさまは美しい。 蕾が和橋の欄干の擬宝珠に似ているので大葉擬宝珠という。
平標山から仙ノ倉山までの登山道には、ニッコウキスゲの群落があり、所々で花が咲きだしていた。もう少しすれば、斜面全体が黄色いニッコウキスゲのお花畑に埋め尽くされるだろう。
平標山からさらに1時間ほどで仙ノ倉山(2026m)に到着する。仙ノ倉山は、三国山脈、谷川連峰中の最高峰となる。「仙ノ倉」の「セン」は滝の流れる様子をあらわし、「クラ」は「」で岩や断崖の意。谷川岳へ続く稜線は痩せていて険しく岩壁が露出し、また周辺には滝の多いことから名づけられた山名といわれる。平標山との間は3つの鞍部をもつなだらかな山容で、こちらも多くの高山植物が見られ日本二百名山に選定されている。
仙ノ倉山からさらに進むと、エビス大黒ノ頭だが、往復2時間はかかるので、帰りのことを考えると、かなり遅くなってしまうので、そのまま平標山に戻ることにした。そのまま進めば、谷川岳にも行ける縦走路だ。
平標山がいつの間にか、真っ白いガスに覆われてしまった。
しかし、山の天気はめまぐるしく変わる。一瞬ガスが途切れると、山がくっきりと現れた。
このチャンスを逃すなと、平標山をバックに記念写真を撮る。
目の前が、雲の切れ間である。この境目で、全く景色が変わってしまうのだ。
こちらは、平標新道。池塘がいくつか見られる。
平標山でデポした荷物を背負い、松手山方向に向かう。しばらくは気持ちのいい尾根道が続く。
巨大な送電線鉄塔の先には、苗場スキー場のゲレンデも見える。
平標山から1時間ほどで松手山(1614m)に到着する。
これから先は、かなり急こう配の下り坂だ。
松手山から1時間15分ほどで、やっと登山口に到着する。きつい下り坂で、みんな足腰に相当疲れがたまってきていたようだ。登山口に着いた時は、やっと終わったという気分だった。
下山時刻は、まだ12時前だ。ほぼ予定通りで、すぐさま3キロ先の湯沢温泉「宿場の湯」に向かう。温泉と食事をして、帰路に着いた。湯沢から浜松までは420キロという長丁場だったが、時間が早かったせいか渋滞にも巻き込まれず、順調に帰ることができた。終わってみれば、まずまずの天気だったし、花もたくさん見られて温泉三昧のいい山旅だった。
参考:2日目のコース平面図