ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

現代自日本再参入で思うこと

2022年01月27日 | 雑記

現代自がその呼称もヒュンダイからヒョンデとし、改めて日本に再参入するという。
ヒョンって響きはなんだかなので呼称はゲンダイでいいのでは、と個人的には思うがそれはさておき。

業界に端くれにいる者として先に言っておきたいことは、現代の車は決して悪くない。
日本では対韓国イメージが悪く、特に嫌韓な人たちがSNSでボロカスにいうのでいまだに品質の悪い3流メーカーであると思っている人も多いかもしれないが
性能、品質、安全性に関しては日欧車と変わらない。デザインは好みもあるが系列のKIAも含め場合によっては日本車よりいいものもある。
私もKIAのK6はかなりいいと思う。

現代は欧米でもかなり売れている。しかし日本では全く売れず、最近では中国で大幅に落ち込んでいる。
そこには明確な理由がある。

まず、そもそも現代もKIAもブランド価値は確立していない。一方で日本車はどうかといえば、やはり欧米ではレクサスやホンダ等を除いては明確なブランド価値は確立されていない。したがって欧米人からすれば日本車も韓国車もおおむね同じようなセグメントの商品ということで、トヨタに乗っていても現代に乗っていても特に「所有価値」としての差はない。

なので、価格が安いとかデザインが気に入るということで韓国車が選ばれる。

一方でアジア諸国では日本車ブランドはそれなりにブランド価値を維持している。
反日感情も残る中国でも、日本車と韓国車では明確なブランド価値の差異がある。それでも中国では中国ローカルメーカー車より品質性能面ですぐれ日本車より安いということから現代が売れていたが、中国ローカルブランドの品質性能が向上してきたことで韓国ブランドのポジションがなくなってしまった。

さて日本だが、結論から言えば全く売れないだろう。

当たり前のことだが、品質性能面で日本車と肩を並べる商品になっただけでは日本車に勝てない。何かが大きく日本車を凌駕しない限りはわざわざ買う理由はないが、今のところそれはない。
周知のことだけど韓国ブランドにマイナスのブランド価値がついてしまっている日本において韓国ブランド消費財の販売は難しい。唯一それなりに販売されてるのはサムソンのギャラクシーだけだが、これは日系スマホメーカーの凋落によりそれ以外の選択肢がないからに過ぎない。

車の販売は全く見込めないだろう。

 


はたしてSONYは車を作れるのか

2022年01月09日 | 自動運転

本年のラスベガスCESショー2022でソニーは2022年春に「ソニーモビリティ株式会社」を設立し本格的にEVの市場参入を検討すると発表した。
果たしてどこまで実現性のある話なのだろうか?

1月9日つけのCarview記事

リンク先記事では、家電メーカーの自動車参入はハードルが高いと指摘している。
一方で、「ソニーがカメラに参入するときや、ホンダがプライベートジェットに参入するときにも無理だという人がいたが結果をみてみろ」、という反論がある。

筆者の見解は前者に近い。それについて説明しよう。

自動車メーカーはどこもいまだに毎年大規模なリコールを出している。リコールするのは人命にかかわる重大な問題であり、またそこまで至らない自主改善などの不具合がその数倍発生している。これは自動車メーカーの怠慢ではなく、主に設計時点では想定外の使われ方や消耗、経年で露呈した部材の不適合などによるもので、市場からのフィードバックにより発見され改善されていくものだ。
引き合いに出されたカメラの不具合と車の不具合ではその構造やスケールが全く違うし、そもそもカメラで人命にかかわる問題は起きない。

自動車メーカーはこうした過去の失敗の蓄積を50年以上にわたり蓄積して設計に反映している。新規参入者には絶対に手に入れることができない財産なのだ。
問題があれば即人命にかかわるジェット機にホンダは参入したが、発売までに30年かかっている。
いやいやテスラはいきなりEVに参入したではないか、という人もいるかもしれないが、テスラのトラブルの多さは誰もが知るところ。大雑把な言い方をすれば、イーロンマスク氏の個人的なカリスマ性だけで支えられているようなメーカーだ。

そのテスラは莫大な先行投資で生産ラインを作り、利益が出るまでには相当な年月がかかってる。(現在は黒字化しているが、多くはco2排出権の販売によるもの)
これもイーロンマスクの個人企業だからできることで、ソニーにその胆力があるだろうか?

また、自動車販売には販売ネットワークが必要だ。ネット販売になり実店舗ディーラーなどいらないのだ、という意見もあるが、車には定期的なアフターサービスがあり日本中をカバーする物理的なネットワーク拠点はどうしても必要となる。

ということで、革新的技術力やスピリットだけではどうにもならないハードルがある。
それを乗り越えるためにはすべてを一手に引き受けるカリスマ経営者がいないと無理だが、残念ながらSONYはそういう体制にはなっていない。

生産に関しては、おそらくすでに稼働しているEV工場(多分中国)にオリジナルのOEMを生産させるという方法以外ないと思う。中国の自動車メーカーも大手であればそこそこ経験の蓄積が進み品質は上がってきている。そこでどこまでSONYブランドを発揮できるか、がカギだろう。

販売ネットワークに関しては、自前でやるのはまだハードルが高い。既存の家電のネットワークは物理的な修理工場スペースがないので新規構築が必要になる。

巷でよく言われる、EVがエンジンがないので家電が参入できるのだ、というような簡単な話ではない。


自動運転タクシーへの過剰な期待

2022年01月02日 | 自動運転

将来自動運転が相当レベルに普及し、それにより自動運転タクシーがモビリティの主役となり自家用車やその他公共交通機関は衰退していく、というのは実現までの時間軸の議論はあるにせよ既定路線であることは間違いない。

時間軸に関しては、人車の完全分離インフラがいつ実現されるかにかかっている。どんなに優れた自動運転制御も突然の飛び出しには対応できない。しかしこれも段階的に進んでいくことになると思う。

自動運転の拡大については全く異論がないのだが、自動運転及び自動運転タクシーに関してはそのビジネスモデルに対して楽観的な言説が多い。

たとえば自動運転タクシーは無料もありうるというこの記事

タクシーのコストの過半をドライバーの人件費が占めること、またビッグデータ処理により適正配車をすることで実車時間が大幅に向上することなどから、自動運転タクシーは車両のコスト高という初期投資を十分にカバーできるほどコストが下がることは間違いない。

しかし、広告収入に過大な期待をもつのは非常に危険だと思う。
タクシーに限らず、自動運転化により運転が不要となるため車内でのEC需要が発生するという見方は以前からされており、アップルやGoogleが自動運転に乗り出す真の理由はそれだ、という人もいる。

本当だろうか?

私には、しょせん交通広告の一種であるとしか思えない。
じっさいタクシーにはすでに液晶モニターが設置されている。これは自動運転とは直接関係ない。しかし、このタクシーに設置されているデジタル広告が大成功しているという話はあまり聞かない。事実上海で2013年ころからこの事業を展開した中国企業は撤退した。

それはそうだろう。ほぼ100%の人のポケットにはスマホという自分に最適化された液晶モニターが入っている。わざわざタクシーの画面を見る必要はあまりない。
自動運転車のモニターやデジタルサイネージは電車の中吊広告とたいして違いのない交通広告なのだ。
いや、属性や目的地に応じた広告を出せるのだ、という反論もあるかもしれない。確かにその通りだが中吊広告よりはまし、という程度のことなのではないか。

どう考えてもタクシー料金を相殺できるような広告費を広告主からとれるとは思えない。

さらにリンク先の記事は道路状況や交通状況データの販売に関するオポチュニティがあるとしているが、誰に販売したところでそのデータを買って使うのは当の自動運転車じゃないのか?というか、それ以外に誰が使うのか、ということになる。

自動運転車はドライバーが不要、事故を起こさないからおそらく保険料もやすくなり、また適正配車による生産性もアップするだろうから相当に料金は安くなるだろうが、無料化にできるビジネスモデルが構築できるとは到底考えられない。


ETC関連WEBサービスのなんだかなぁ

2021年11月28日 | 高速道路

そもそも役所のWEBページはおよそUI(ユーザーインターフェース)がどうしようもないんだけど、ETC関連も旧公団ということでやはりどうしようもない。

先ず最初に言いたいことは、ETC利用履歴照会サービスとETCマイレージサービスが全く連動していないということ。
これはスタート時期が違い、おそらくはシステム設計業者も違うからログイン情報を一元化できなかったんだろうけど、別々のIDパスワードは煩雑だよね。
間違える人が多いからか、ご丁寧に「ETCマイレージのIDではログインできません」って書いてあるけど、そもそもこの二つのサイトはどちらもリンクすら貼っていない。
ETC利用照会からマイレージに飛ぶ、またその逆のリンクがない。よほど仲が悪いのか。

まあそんなことはどうでもいい。

ETC利用照会だけど、会社の旅費精算の関係で久しぶりにログインしようとしたところパスワードが違うといってはねられた。
パスワードデータベースソフト使ってるから間違えるわけがないだけど、違うというからいろいろ試したけどだめ。

しかたなく再登録に進んだら、秘密の質問の答えを要求された。
しかし、これがなんと10個ある秘密の質問の中からかつて自分が選んだ質問を選択して、それに答えろというもの。そんなの覚えてないでしょ普通。

答えだって、漢字片仮名ひらがな、スペース入れる入れない、出身地は都道府県か市か区かなど、何パターンかあるから結局20個くらい試して全滅。
諦めてサポートに電話したところ、なんとこのカードは登録されていないという回答。いや、間違いなく登録してるといったら、ある程度の期間利用がないと自動的に解約されると。

わたしは中国にいた間はETC使っていないので、それで解約されてたらしい。
それはそれでいいんだけど、なんでログインのエラー画面で「このカードは登録されていない」もしくは「このカードは再登録が必要」と出さないのだろう。

ということで再登録なんだけど、案の定ETC車載器の車載器番号入力が必要となるので車まで確認しに行かなきゃならない。
これは確かマイレージも同じだけど、その車載器以外の利用でも利用履歴やマイレージはつくのにわざわざETC車載器の車載器番号を入力させるのかまったく理解できない。

過剰セキュリティで面倒なことを要求し、一方ユーザーにとって便利なことは一切提供しないのが役所のITなんだけど、ここでもその典型を見させてもらいました。


バルミューダスマホ失敗に見るマーケティングの勘違い

2021年11月20日 | モバイル・ウエアラブル

一昨昨日発表されたバルミューダのスマート、まだ発売直後だけど大失敗であることは確定といっていいでしょう。

バルミューダは空調やトースター等、従来製品と差別化を図ったランクアップ家電品を企画販売するファブレスメーカーであり、スマホに参入ということで期待されていたが見事にがっかりな商品となってしまった。一体なんでこんなものを市場に出してしまったのかを考えてみよう。

まず、同社はデザインオリエンテッドだということとで、デザイン先行で企画が始まっていると思う。で、そのデザイナーがおそらくスマホという商品を十分に理解していなかったということがあげられるだろう。
このデザイン、誰がどう見たって「らくらくスマホ」か10年前の中華スマホにしか見えない。
デザイナーに与えられた命題は、今あるものから差別化せよ、ということだったんだろう。そこでまず思いついたのが直線を排するということと、ヒット商品のトースターのイメージ何だったんだと思う。
これは発表会でも「どこにも直線がない」と謳い文句にしていたが、はたしてスマホが直線であることが嫌だと思ってる人がどのくらいいるのだろうか?
さらには「河原に落ちている小石」のイメージだそうだが、これは水流で磨かれた曲面といいたいのだろうか、なんで落ちてる小石なんだ、としか言いようがない。

背面がカーブしているのが他社にない特徴ということだが、デザイナーは初代i-Phoneを見たことがないのだろうか?
i-Phoneがその次の世代で背面を平らにしたのは、机に置いた時にくるくる回って使いずらいからだろう。

さらに輪郭を曲線にすることでベゼルが太くなる。これはどう見たって古臭い。

あと、背面のインジェクション成型のプラスチックに打たれている皮シボ。これが高級感出しているというけど、私には安い大衆車のダッシュボードのイメージしかない。

スマホが普及し始めて10年、その間のマーケティングの結論が今のサイズだし縦横比だし形状なわけで、それを否定し商品性を出すには相当なブレイクスルーが必要なんだけど、どうしても差別化しろといわれてむりやり丸くしたとしか思えない。

ネットではスペックに対する価格がありえないといっている。これもそのとおりでスナドラ765、4.9インチ液晶、バッテリ2500mA、カメラに超広角、望遠なしで10万円はありえない。丸くすることで設計的に無理があったのと、販売想定数量が多くないので開発費などの償却がおおきくのっかってるんだろう。
これで本当にデザインがよければ、スペックは別にしても一種のアイコンとしての価値で高価格でも売れるかもしれないけど、バルミューダファンの人にとってもこのデザインはらくらくスマホにしかみえないだろう。

後発でニッチをねらうならバルミューダというブランドならではのUX(ユーザー体験)を提供しなければならないが、専用ソフトを見てもそれができているとは思えないし、それができる体制にはなっていないとおもう。

 

ではなんでこれが世に出てしまったのだろうか?

まず、市場調査結果の読み間違いというのがありそうだ。
今のスマホに対する不満点として、持ちにくいというのがでてきただろう。でも、では画面が小さくなっても持ちやすい方が良いですか?という聞き方をしてるだろうか?
また、おそらくスマホのデザインが画一的だ、という意見もかなりあるだろう。でも、だからといって10年前のスマホのようなデザインが良いという人はいない。

次に、よくある事例は途中で無理筋だと思っても投資をしてしまった以上撤退できない、というケース。いままでいくら投資をしたかと将来の成功には何の関係もないのだから、だめなものはあきらめなくてはいけない。サンクコストとか、コンコルド効果で検索するといろいろでてくる。

あとは、結局の決断は経営者にある。バルミューダの場合、寺尾社長がジーンズ、Tシャツの上にジャケットという「非常にわかりやすい」スタイルで新商品プレゼンをしているくらいだから、社長ご本人はこのデザインをスケッチ提案やモックアップの時点で承認し十分納得してこのデザインで進めたのだろう。
もしかしたらTOPに問題があったのかもしれない。はっきり言ってしまえば、トースターがまぐれあたりだったんじゃね?

後日追記 このデザインと商品コンセプトは100%寺尾社長ご自身の手によるものだそうです。TOPの問題ですね。

結局、スマホへの進出は無理だった、ということじゃないでしょうか。


ハンドファーストと振り遅れは何が違うのか

2021年10月31日 | ゴルフ

(ゴルフの話はほぼ独り言です)

ハンドファーストと振り遅れ。ゴルフ雑誌やWEBでよくインパクト再現の写真が載ってることが多いけど、大体同じですね。写真に×がついてたら振り遅れ、〇がついてたらハンドファースト、って感じ。

で、この二つは何が違うのかといろいろ検索しても明確な答えがでてこない。シャフトのしなりを使えてるか否かとか、体を回しすぎてるとか、上半身と下半身のタイミングとかいろいろな意見があるけどどうもピンと来ない。

そもそも、どんなにハンドファーストにしようと思ってもインパクト時にはそこそこヘッドは前に出てきてます。プロの写真でもグリップ位置が若干飛球線方向に出てる、という感じでしょう。ヘッドは絶対走るからゴルフ雑誌の振り遅れの×印のようなインパクトはやろうと思ってもできません。素振りしてみればわかるけど、よほどゆっくりしたスイングでなければ再現できないです。

結局、違いはグリップなんだと思います。もっとピンポイントに言えば、左手の掌屈。

アドレスでスクエアに構えた状態から、ハンドファーストにすると必ずフェースは開きます。この状態でインパクトするのが振り遅れ。
その状態で左手を半時計周りに回しながら手のひら側に折るとスクエアになり、この形でインパクトすればハンドファースト。

「左手を半時計周りに回しながら手のひら側に折る」ようにすると自然と薬指と小指に力が入ります。よく言われる薬指と小指でしっかりグリップってのはこのことなんじゃないかと。


トヨタ車DA標準装備の現状

2021年09月05日 | ITS

トヨタは2019年以降、DA(ディスプレイオーディオ)の標準装備化を進めている。
DAとは定義としては液晶画面が付いたカーオーディオをさすが、一般的にはスマホ連動機能をもち、CD.DVDプレーヤーが付属せず自身の音源はラジオだけ、というものが多い。

トヨタが標準装備しているDAはそれに加えてDCMが標準でついている。DCMは車載の通信機器で、トヨタのサービスに特化して通信が可能。

DAとスマホの連携にはアップルのCarplayやアンドロイドスマホのAndroid Autoが必要となるが、そのサービスを受けるためには別途33000円が必要だった。さすがにこれは評判が悪く、現在は標準装備となっている。

このトヨタのDA標準装備化は極めて評判が悪かったようだ。
中高年にはスマホ連動のハードルが高いし、スマホを使いこなしている人にとってもいちいちスマホを接続する面倒がある。スマホナビの地図案内には問題も多い。Googleはすれ違い出来ない対面通行路を平気で指定する。さらに車速連動しない等、やはり車載ナビよりは劣る。
筆者もandroid Auto対応の車にのっているので使ったことがあるが、やはり使い勝手はよくないとおもう。
さらにいえば、AndroidoAutoもCarPlayも、スマホと車で何か特別なことができる仕組みではなく、逆に安全のために車内でスマホを使えなくようにするデバイスであり、使えるアプリはほんの一握りだ。

しかしトヨタはこのDA標準装備を強気で進め、従来あった「オーディオレス」仕様をなくしてしまった。オーディオレス仕様とは、市販のナビを装着するユーザー向けのものだが、オーディオレスがないことに加え、このDAは外して市販ナビに交換することもできない。

市販ナビは実はディーラーにとっても大事な収益源であったことから、ディーラーからもかなり反発があったようだ。

車載ナビを求める人用に純正ナビユニットが別売されていて、どうやらこのDAには純正ナビユニットを付けたほうが良いらしい。まあ、液晶画面が最初からついている車だ、と思えばそれはそれで納得できる話かもしれない。

さて、トヨタはなぜDAの標準装備を強行したのだろうか?

 

一つには、純正のアドオンナビしかつかない=利益が社外に流出しない、という囲い込み。

そしてもう一つは冒頭にかいたDCMにある。DCM付き車=コネクテッドカー、といってもいいだろう。世の中では今後車はすべてコネクテッドになる、といわれている。
DCMがついているとトヨタは車両情報を受け取ることができる。車両の状況をメーカーが把握し、必要なサービスをご案内する、といえば聞こえはいいけどこれは完全なアフターセールス囲い込み策。結局のところ狙いはそこなのだ。

ではDCM付き車両、いわゆるコネクテッドカーのユーザーにとってのメリットとは何なのだろうか?
実はここがコネクテッドカーの弱点なのだ。リモートでドアロック解除とか、盗難時の追跡、事故発生時の自動通報等のメリットがあげられるが、正直どれもないと困るようなキラーコンテンツではない。なぜなら、どれ一つとっても日常使う機能ではないからだ。万が一に対する出費は相当な説得力がないとなかなかむずかしい。

要するに、ユーザーに対価を払ってもらうのは厳しいのならば標準でつけてしまえ、ということなのだ。コネクテッドに関するサービスは3年間無料、それ以降は年間使用料がかかる。

 


SNSと陰謀論

2021年09月05日 | インチキ・疑似科学

陰謀論ってのははしかみたいなもんで、大体中学生のころにかかり大人になると治る。
この図式が過去から連綿と続いていることはムーという雑誌が時代を超えて生き残っていることからもよくわかる。

でも、SNSの登場でちょっと様相が変わってきているように思う。

一つには、はしかが治りにくくなっているということ。
ムーを欠かさず購入していた人でも、愛好者の集会に参加するまではなかなかいかなかっただろう。
でもSNSでは簡単に仲間と繋がることができる。極端論を展開するとフォロアーが千単位で集まる。
いったんそのレベルのフォロアーがついてしまうと、仮に目が覚めても「はしかだったね」と表明することはとても難しい。
フォロワーが減ってしまう、フォロワーを裏切る、ということもあるし、仲間から罵詈雑言を浴びる可能性も高い。

最近よく見るのは、反ワクチン、反自粛勢力の人がコロナ感染してしまったケースに対する反応。
ワクチンを打たなかった千葉真一氏や、反自粛反ワクチンを明言されていた落語家の三遊亭多歌介氏のコロナ死に対する反ワクチン勢力の発言がきわめて微妙であることからも見て取れる。
何も言わずにそっと去っていったひとも多いとは思うが(そうであってほしい)。

ある方は感染して味覚障害が残ったが、本垢では「辛い物が食べられるようになった」「やっぱりただの風邪」と書いているが、わざわざ裏垢を作って正直な気持ちを書いている。

コロナは自分や近親者が感染することで目覚めることができるが、厄介なのは極右、極左的陰謀論にはまってしまった場合だ。
自分や近親者の感染という絶対的に揺るがない事実がなく、都合が悪い事柄に対しては「隠ぺい」「マスコミ操作」的な反証がいくらでもできる。
絶対的な事実である三遊亭多歌介氏に関してすら、死因に関する陰謀論がでている。

 

もう一つは、中年になってはしかにかかってしまうケースが増えていること。
とくにネットに触れていなかった人が急に始めると、リンクをたどると「真実」が次々に出てきて「目が覚めて」しまう。
いうまでもなくそうしたサイトやSNS投稿のリンクはそうした陰謀論にしかつながっていないから当たり前のことなのだが。
SNSのなかった時代にも口コミでの伝播はあったが、その情報量やスピードはけた違いだ。

およそ陰謀論は「大企業や特権階級が自らの利益のためマスコミや政治家を囲い込み、庶民(特に子供)の命を犠牲にして儲けている」というストーリーが骨子になっている。
そして、その「教祖」的な人は間違いなくたくさん本を書いていて、有料メルマガとか有料セミナーとか会員制サロンを主催している。

彼らこそ、自らの利益のためにやっているということが「真実」に「目覚めてしまった」人たちにはみえないようだ。


また出てきた燃費グッズ

2021年08月19日 | インチキ・疑似科学

燃費グッズというのは周期的に現れては消えするもののようです。
科学的に効果がない、という話が一段落するとまた忘れたころに出てくるでしょうね。

大昔の話ではAPOジャパン。これはマルチ商法で多くの被害者を出しました。
最近では平成20年に公取委が19社の商品について排除命令を出しています。

この平成20年の大規模な排除命令、あの有名な貼るだけグッズ「SEV」が入っていませんが、SEVさんの広告にはすべて「体感アップ」という言葉が使われており、馬力や燃費がアップする
とは決しておっしゃってません。

さて、もう10年以上経過してほとぼりが冷めたからなのか、最近またいろいろでてきました。
具体名あげて面倒なことになると嫌なので言いませんが、燃費グッズで検索してみてください。
特にいま評判となっているのが、英語から日本語にすると「広告の力」になる商品。
自ら「広告で売ってるよ」、と宣言してるのでしょうか?
この商品は銅板とおもわれる金属板の上におなじみゲルマニウム系の被膜がついてて、それをエアクリーナーボックス内にはりつけると静電気がきえて空気がスムーズに入る、という事のようです。
相当具体的な燃費改善効果を記載してるので、かなり自信があるのでしょう。

こうした燃費グッズはオカルト商品と呼ばれていますが、いやいや実際燃費がよくなるんです。

その仕組みを説明しましょう。
まず、この商品もそうですが、装着時にはタイヤの空気圧を調整するよう指示があります。これは必ず燃費がよくなります。
次に、たいていの燃費グッズは装着によってトルクが増大するのでアクセルの踏みすぎに注意、的なことを言います。
そういわれると、ほんのちょっとアクセルを踏んだ状態での加速が今まで以上の加速に感じるものです。皆さんもぜひ試してください。僅かなアクセル操作でも車は加速するものなのです。

で結果としてアクセル開度が小さくなるので燃費が向上する。

つまり、エンジン出力が上がったという暗示によってエコランをしてしまうのです。
エコラン=余計なアクセルを踏まない運転 の燃費向上効果は極めて高い。

世界中のカーメーカーが燃費向上でしのぎを削っています。多くのエンジン技術者と設備、莫大な予算を投入して燃費向上を日夜研究しています。
世にある燃費グッズの仕掛けはとうに研究済みか、あるいは科学的に実証する意味のない物だから研究すらされていないだけで、もし実際にそれで燃費がよくなるならとっくに車に採用されているということですね。


ETC2.0に乗り換えたほうが良いのか?

2021年08月19日 | 中国生活

久しぶりにETC2.0関連の自動車雑誌記事がネットに上がっている。

ベストカーWEB「ETCはあるけど、そろそろETC2.0に乗り換えたほうが良いのか
正直何が言いたいのかよくわからない記事。ライターさんもその辺わかっててはっきりとはかけない大人の事情なのかもしれない。

先に結論を言っておけば、2.0に乗り換える必要は全くないし、何らかの事情で買い替えるとしても割高の2.0を買う必要はない。(のぞく圏央道常用者)
いまでもETC1.0車載器は販売されている。

では、記事を見てみよう。
まず、ETCの規格変更による問題に言及している。
これは2つの話があってとても分かりにくいのだが、簡単に要点だけを説明しよう。
先に承知しておいてほしいことは、この2つともETC1.0、2.0の規格とは別の問題だということ。

1.スプリアス問題
  電波法を国際規格へ合わせるため、基準に合致してない無線機器の使用を禁止するというもの。
  ETCとしての機能上は全く問題ないので物理的には使えるが違法状態になる、ということ。
  非適合のETCはごくごく初期の一部しかなく、なおかつ法規制は当面延期になっているので忘れていい。

2.セキュリティ対策
  現在ETCにセキュリティ問題が発生しているわけではないが、どうやらセキュリティホールがあったようで数年前からその対策がされている。
  これは不正利用防止関連だろう。
  で、今販売されているもの(古い在庫品はわかりませんが)はETC1.0でもETC2.0でも対策済。
  2030年以降セキュリティ未対応ETCは使えなくなる、とアナウンスされているが2030年時点では相当数の未対応ETCがあるはずで、
  ゲートが開かないことによる事故発生を考えれば絶対に実施できない。とくにその理由であるセキュリティの問題が発生していないのであればなおさら。
  いずれにしても今買い替える必要なまったくない。

ということで、規格の話は忘れていい

では、ETC2.0にはそのほかの利点があるのか?ということだけど、それはこの記事の後半部分の歯切れの悪さを見ればよく分かる。
高速道路の電波ビーコンが来年廃止され、ETC2.0に一本化されるのは事実。電波ビーコンの情報がとても貴重だと思ってる人はETC2.0にすればいいけど、
実際それほどのものではないでしょ。おおむね道路にある掲示板と同じ情報しかでないから。というか、あの高速略図を運転中に見るのは無理。

商業施設での決済利用について最後に言及されているが、この20年間実証実験ばかり。本当にニーズがあるならとっくに実用化されてるはず。
最後の一言が示唆に富んでいる。「正直、昨今はスマホがあれば何でもできてしまう」。そうなんです。

ETC2.0は圏央道での割引があり、常用する人は高い分の元が取れるけど、それ以外の人にとっては高いだけでまったく意味がない。