ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

あおり運転 追い越しと追い抜きが難しい。

2019年08月21日 | 高速道路

あおり運転。ああいう輩はいつの時代にもいて私もやられたことあるし、暴力沙汰を見たこともある。ドラレコとSNSのおかげでそれが露見されるようになり、抑止効果がでて結構なことだと思うが、それにしても連日トップニュースというほどの事件ではないと思うんだけどね。

それはそれとして、あおり運転の原因の一つに追い越し車線を制限速度以下で走り続ける車、というのがある。パッシングしてもどかないのでイライラして煽る。それが一番あるパターンだろう。

そんな車はさっさと左から抜いちゃえばいい。でもそう言うと必ず「それは違反だ」という人が現れる。実際そこには複雑な道交法規制があるのだ。

左車線から追い越すことは違反になる。しかし追い抜くことは違反ではない。
左車線を走行していて右車線の車が遅いため右車線の車を追い抜く、という状況は常時発生する。全く違反ではない。
しかし、右車線を走行していて前の車に追いつき、左に車線変更し追い抜いたらこれは「追い越し」であり、違反になる。追い越した車の前に出た時点で「追い越し」なので、追い越した車の前にはいるか入らないかは関係ない。

ということは、違反とならないようにするためには面倒でも以下のようにしなければならない。

右車線を走行中に遅い車に追いついたら、左車線にはいる。そして暫く走行した後、そのくるまを追い抜く。また暫くしてから必要であれば右車線にはいる。こうすれば追い越しではなくなる。
ここで厄介なのは「暫く」に何秒とか、何メートルという定義がないこと。

現実問題としては、右車線をゆっくり走る車に追いついたら危険がないような車間距離を保って左車線から追い越せばいいのだろうが、現在の道交法はそのへんが非常に曖昧になっているように感じる。


PING 410 に偽物登場

2019年08月01日 | ゴルフ

2020年7月追記
某元プロ野球選手が逮捕されたのもこれでしょうか。
その後実際にローカルのゴルフショップで偽物を見ましたが、これに関しては本物とじっくり見比べないと違いはわかりませんでした。
ネットで流れている見分け方とも合致しない部分がありました。信頼できるお店で買うしかないですね。

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人気のPINGドライバー、2019年モデル410に中国通販で偽物が登場しています。シャフト込みで15000円程度なので間違いなく偽物です。

写真の通り日本仕様のビニール包装、日本語説明書もついているので日本向けの偽物と思われます。
説明書や保証書がついていても安心してはいけません。

確認できている限りでは偽物はすべて410PLUSで、SFTやLFTはありません。
410PLUSしか品ぞろえがないネットショップは十分疑ってみる必要ががあるでしょう。

加えてハイブリッド、フェアウェイウッドも確認しました。FWは「高弾道タイプSTD」のビニール包装です。


ゴルフ人口、減少の一途

2019年07月26日 | ゴルフ

2017年レジャー白書によれば日本のゴルフ人口は550万人。ピーク時から比べると実に1/3になっているという。しかも現在のコア人口は60代~70代なので、この先も減少は避けられないだろう。

ゴルフに限らず、スキー等お金のかかるスポーツの人口は減少している。主たる理由は若い世代の可処分所得減少によるものであることは間違いない。

若い世代がゴルフに参入しないのは、その金銭負担が高い障害になっている。道具だけでも10万円以上、プレイ費、交通代、練習台等を考えたら簡単に始めることができないのは明白だ。

それ以上に障害となっていることにゴルフはすぐに上手くならない、というのがあると思う。
最初のうちはコースを走り回り150も叩いてちっとも面白くない。むしろ苦行だと思う。迷惑がかからない程度まで上達しても、100を切るまでにはまだかなり時間がかかる。
ゴルフはスキーや団体スポーツと違い、個人の成績がスコアで厳然と示される。友人や同行者より10打も悪ければやっぱり面白くない。

ということでやめてしまう人はかなり多い。中古でもお下がりでも自分のクラブをもって始めた人全員を分母にすると、一度でも100を切る人は3割、90を切る人は更にそのうちの3割、とも言われている。

我々昭和サラリーマンは、そんな状況でも会社のコンペとか、接待ゴルフとか、上司との付き合いとか、頑張ってゴルフを続けなければならない環境にあった。だから恥をかかないように練習もしたし、結果たまに100を切れるくらいから面白くなってくる。

今はそうした圧力はないので、仮に経済的な制約がないとしても多くの人は面白くなる前にやめてしまうのではないか。
また、ゴルフのプレイ代はかなりリーズナブルになってきているが、それでも家族をないがしろにして実質休日をほぼ一日費やす、というのも今の時代にはマッチしていない。

どう見ても、この先ゴルフがまた勢いを取り戻すとは考えられないし、ゴルフ場が絶望的に供給過多になるのも間違いない。
しかし、日本のゴルフ場はそもそも会員システムだったので、簡単には廃業できない。独立系ではかなりのゴルフ場が赤字経営となっているはずだ。これからもっと厳しくなる。

個人的には、サービスは簡素化しスループレイで拘束時間を短くし、服装やらなんかやらも難しいことは言わない、カジュアルな方向にしていかないと将来はないと思う。


杞憂に終わりそうなEVの静音(歩行者事故)問題

2019年07月16日 | ITS

私も以前のエントリーでEVの静音による危険性と日本の行政の対応の遅さを批判したことが有る。
結果として2016年に法制化がされ、2018年以降の新型車、2020年以降は継続販売車も「車両接近警報装置」の装着が義務化された。日本初のEV、i-MiEV発売から実に10年近く経過している。

それだけ熟考を重ねた法改正であるが、皮肉なことにどうやら静音であるEVによる歩行者との接触事故はほとんど問題になるレベルでは発生していないようだ。
日本で話題になることもないし、イギリスではDepartment for Transport(運輸省に相当)から以下の報告書が出されている。

Assessing the perceived safety risk from quiet electric and hybrid vehicles to vision-impaired pedestrians
(視覚障害の歩行者に対する静音EV,ハイブリッド車によるリスクの評価)

要点だけをいえば
・EVとエンジン車で歩行者との衝突事故の発生率に差はない。
・EVの総事故に占める歩行者との衝突事故の比率はエンジン車より高いが、主にシティコミューターであるからと推定。
・徐行(7-8km/h)時ではEVはエンジン車より音がしない(マイナス1dB)だが、20km/hを超えるとロードノイズによりEVとエンジン車の差はなくなる。(日本の法規も警報音発生は20kmまで)

つまり、EVが音がしないゆえに歩行者が気が付かない状況というのは徐行時に限られ、徐行なので重大事故に発展しない、ということなのだろう。

さらに報告書の指摘では、最近のエンジン車は静音化が進んでいるため徐行時でもEVと騒音に差がないものもあり、今後さらにエンジン車の騒音が改善されるのであればこの問題はEV特有のものではなくなる、としている。

この報告書はイギリスのものであり、おそらく市街地における人/車、自転車/車の混交は日本より少ないと思われるが、前述の通り日本においても社会問題になるレベルにはなっていない。なので、おそらくEVの静音に起因する歩行者事故というのは当初心配されたレベルではない、ということのようだ。

但し、少なからず問題は有る。EVは加速時でも音がしないため、徐行から加速に移った際にそれに気が付かなかった歩行者をはねる危険性が有る。なので法制化が必要であったことは間違いない。また人車混交でも徐行をしない安全意識の低いドライバーであれば車の種類に限らず危険であり、これはEVがどうこうというより人車分離というインフラの問題だろう。




日本の論調はほとんどトンチンカンなので中国のキャッシュレスと日本のキャッシュレスに関する考察をまとめておく

2019年07月11日 | モバイル・ウエアラブル

もう多くの人はご存知だと思うが、中国ではスマホQRコードによるキャッシュレスがこの数年で急成長しているわけで、ハイテクにからきし弱くやっとスマホを使い始めた日本の50代駐在員のおじさんたちもほとんどキャッシュレスマンになっている。多分日本にいたらコンビニでスイカも使わないような人たちなんだけどね。

これに対する日本のメディアや評論家、有識者の論調は判で押したように以下のポイントに集約されているんだけど、これがまあトンチンカン。

【よくある論調A】 中国でキャッシュレスが急速に発展したが日本では不要な理由

1.中国は偽札が多く、貨幣に対する信頼がないからキャッシュレスが急速に広まった。

2.中国はスリや強盗が多く、現金を持ち歩くのが危険

3.日本のようにコンビニにATMがなく、現金を引き出すのが不便

4.日本では以上のような不便がないからキャッシュレスは必要ない

正直なところ店舗決済に限れば利便性は現金にまさるものはないわけですよ。すべての商店で使えるし、お釣りはお店が計算して渡してくれる。
スマホを忘れても大丈夫だし、電波やバッテリーの心配もない。キャッシュレスは「財布忘れても大丈夫」だけど現金は「スマホ忘れても大丈夫」。どっちもどっちだ。

ではなぜ中国で急速に発展したのか?上記の1~3は、実は在住者の生活感からは全くピンとこないんですね。
確かに偽札は有るけど決して頻繁に遭遇するわけではないし、スリは確かに日本より多いけどそれも理由ではない。スリが怖いのは現金よりパスポートやカードでしょ。
ATMは町中なら銀行が沢山あるからむしろ日本より探しやすいかもね。違う銀行でおろしても手数料取られないし。

急速に発展した理由はまったく違う理由なんです。微信、支付宝という2つのキャッシュレス決済プラットフォームが通販決済、自転車、モバイルバッテリ、マッサージ等のシェア、自動販売機、タクシーの配車から支払い、レストランの予約、注文から支払い、高速道路支払い、駐車場、出前の支払い等、すべての生活の場面で利用できるから。
こればっかりはここで生活してみないとわからないでしょう。

はっきりいって店でのレジ支払いはその生活の中の一部分でしかないんです。おそらく、日本の論調はそれを実感として理解できていないし、XXPAYが乱立するのもそこがわかってないから。
乱立するXXPAYは間違いなくどれも発展せずに終わるし、便利どころか消費者にとっては面倒なものでしかない。ポイントカードと同じ感じだよね。あれ、ビックカメラはポイントカード持ってたっけ?ってなもんで。

【よくある論調B】 日本ではQRコードは普及しない、もしくはフェリカのほうが優れている

1.せっかちな日本人はスマホでソフトを立ち上げる手間を容認しない。まだレジで混乱する。

2.すでに交通カード系フェリカが先行しており、決済スピードやセキュリティはこの方が優れている。

まず、QRコードは手間がかかるというのは実はそうでもない。ホーム画面のショートカットから指紋認証であればあっという間。(実際中国人もかなりせっかちだよ)
レジでも混乱はある程度たてば問題なくなる。実際中国ではすでに確実に現金払いやカード(PINインプットとサイン)のほうが時間がかかる。但し、店によってアプリとその操作が違うんであれば確かにそのとおり。あれ、これはどこ押すんだっけ?ってなっちゃう。だから乱立XXPAYはだめなんです。

交通カード先行は確かに事実だし、決済スピードも速い。でも小売店への機器導入が進んでいないのも事実。交通系カード事業者が腹をくくって読み取りレジをばらまけば間違いなく日本はフェリカのキャッシュレス国になるけど、どうやら交通系の各社さんにはその気がないようで。(これ本気でやったら相当なビジネスチャンスだとおもうんだけどね)
さらに言えば、それをしたところでレジ支払い以外への拡張が期待できない。繰り返すけど、キャッシュレスはレジだけの問題ではないんです。

QRコードならパソコン画面から支払いできるが、フェリカはできない。シェア自転車全部にフェリカリーダーを付けることもできない。読み取り機器投資がある以上は完全な生活に溶け込むエコシステムの構築はできない。

中国のキャッシュレスは生活のすべての局面にシームレスに入り込んでいる、という視点がないとまるでトンチンカンな議論になっちゃう。


高速道路からの道の駅への一時退出「賢い料金」利用状況

2019年07月09日 | ITS

コメント欄で情報いただいたので、国交省が6月28日にリリースした報道発表資料(PFDへのリンク)を貼っておく。

高速道路からの一時退出を可能とする「賢い料金」の実施について

高速道路にはSA,PAの間隔が25キロ以上離れている箇所が約100区間存在し、国交省では過労運転防止や給油の利便性向上の観点から追加料金なしに道の駅への一時退出を可能とする施策を進めている。その試行の検証報告だ。

さて、これだけ読むと大変結構な話に見える。しかし、何故かこの施策の恩恵にあずかれるのはETC2.0装着車に限定されているのだ。

SA,PAの間隔が25キロ以上離れているのは道路会社の責任であり、それが「良好な運転環境の実現(資料からの抜粋)を阻害」するのであれば、当然すべての車両を対象とするべきではないのか。この報道発表資料には、ETC2.0に限定する理由はどこにも書かれていない。

ETC2.0は通常ETCより1-2万円高額だ。最近はメーカー標準装備が2.0になりつつあることから徐々に増えてはいるが、それでもまだ圧倒的に通常ETC装着車が多い。大型車(トラック)においては、ETC2.0に対して料金優遇(大口割引率関連の優遇)を行ったことから買い替えが進みかなりの装着率になっているが、乗用車ではおそらく10%程度だろう。

資料を見ても、平日の利用は圧倒的に大型車が多い。まあ、多いと言ってももっとも利用が多い道の駅で日当たり38.9台(大型+小型)。時間あたりすれば3台程度でとても活発に利用されているとは思えない。休日は観光の乗用車が多くなるが、一部を除けばそれでも日当たり10台程度。

対象をETC2.0に限定しているから利用が拡大しないのは明らかだろう。とても「賢い料金」となのるようなものではない。

ETC2.0の当初の触れ込みでは、2.0は通行経路が記録されるからこうしたことが実現できるのだ、といっていたが、それは実は嘘。ETC2.0は個人情報保護の観点からエンジンを切るとその前後の位置情報は破棄される。だから道の駅に立ち寄ったという情報は残らない。実際は道の駅にポストを設置し、それで判定している。このポストは通常ETCでも通過情報を判定できるから、単に「わざとETC2.0に限定している」だけなのだ。

なぜ国交省はそんな事をするのか?

ETC2.0は国交省が鳴り物入りで推進してきた「ITS施策」の目玉だが、なかなか普及しない。実際に価格が高いだけで利用者にはほとんどメリットが無いので普及しないのも当然なのだ。しかしETC2.0は走行経路の情報が手に入るため、国交省としては普及させることで交通ビッグデータを収集したい。その中で考え出されたのが、この優遇策なのだ。

報道資料にふくまれるアンケートもこの設問でネガティブな回答になるわけはない。便利だと思って利用したユーザーは便利だと言うに決まってる。典型的な手前味噌アンケートだ。アンケートをとるべきは通常ETC装着ユーザーへの利用意向だろう。

繰り返すが、目的が「良好な運転環境の実現」であるならすべての利用者に開放するべし。


i-dioとエフ・エム東京の闇

2019年06月25日 | モバイル・ウエアラブル

V-Lowメディア「i-dio」といってもほとんどの人が知らないだろう。
テレビがアナログからデジタルに変わった後、総務省はアナログテレビが使っていた電波帯を様々な事業に振り分けた。
既に撤退してしまった携帯でみるテジタルTV「Nottv」もその一つ。

i-dioはエフ・エム東京が主たる事業者として2016年に開始されたデジタルラジオ放送だが、知名度がないどころか専用受信機すらまともに販売されておらず、主要チャンネルの一つだったアマネクチャンネルも4月に撤退したという悲惨な状況になっている。当然損失も相当なものだろう。

そのエフ・エム東京、5月の決算を前に「会計、内部統制上の問題があった」として決算報告を延期、第三者委員会を設置して状況を調査するという。また、会長、社長をふくむ役員6人が一斉に退任してしまった。

会計、内部統制上の問題が何であるかは明らかにされていないが、「過年度決算における連結対象範囲の判断など」と、どうやらこのi-dio事業が関係しているらしい。内部統制の問題+第三者委員会という場合、一般的に会計上の不正があったことを意味する。想像できるのは子会社であるi-dio事業の損失が適切に連結処理されていなかったということではないのだろうか。

i-dioはデジタルTV放送のNOTTVが撤退するという「絶妙」なタイミングでスタート。すでにインターネットラジオのRADIKOもあり、デジタルとはいえいまさら電波をつかった放送に誰もが首をかしげた。しかも専用の受信機が必要というハードル。既存のラジオやスマホで音楽が聴けるのにわざわざ専用チューナーを買ってまで聴きたくなるコンテンツを提供できるとは誰も思わないだろう。

この、アナログテレビの跡地の活用は総務省の管轄。当時関わっていたのは櫻井パパ。テレビに続いてラジオもデジタル化、というのは世界的にはそうなんだけど、すでにネットの普及でそれは意味をなさなくなっている。2016年の段階で無理だという判断ができなかったとしたら相当問題だ。

実際にはエフ・エム東京内部では反対論が大きかったようだ。(考えすぎかもしれないが、末尾にtをつけるだけで「愚か者」になってしまうi-dioというネーミング自体、無理だと思ってた担当者の抵抗なのかもしれない)
しかし、総務省の意向をうけてラジオのデジタル化を信じて突き進んだ経営陣がいたということらしい。
今回その経営陣が退陣するわけで、これはある意味撤退への布石かもしれない。

ただし、i-dioは地域別に異なった情報を流せるという特徴から自治体の防災ラジオとして採用されており、それが足かせになってしまう恐れもあり前途は多難だ。


上海高島屋、やっと撤退

2019年06月25日 | 中国生活

このブログで何回も「一刻も早く撤退するべきだ」と書いてきた上海高島屋がやっと撤退する。
日経新聞記事リンク

記事は会員登録ないと読めないが
「開業(2013年)直前に中国全土で大規模な反日デモが起きるなど、想定通りの売り上げを確保できなかった」というのは単なる言い訳。
過去記事でも繰り返し指摘しているように立地選定を誤ったのが最大の原因だろう。誇張なしに「お客より店員のほうが多いデパート」だった。

ただ、上海の百貨店事業は完全に飽和状態にあり、もし最高の立地で始めてたとしても「日本ブランドでござい」だけでは成立していなかったと思う。

撤退は正しい判断だと思うが、なぜその決断にこんなに時間(7年)をかけてしまったのか?オープン1年くらいで無理だと判断できなかったのか?少なくとも傍観者である在留邦人は全員そう見ていた。

こうした判断は中国企業は速い。だめだと思うとすぐ撤退する。高島屋は無駄な出血を続けてしまったということになる。


中国のゴルフ事情

2019年06月19日 | ゴルフ

中国のゴルフ事情について書いてみます。
中国にわざわざゴルフをしに来る人は多くないと思うのでさほど需要はないと思いますが。
ゴルフの中国語については過去記事をご覧ください。

ゴルフ場
公式に認められているゴルフ場は少なく、「リゾートに付属したスポーツ施設」というような扱いになっています。最近も贅沢禁止令で結構な数のゴルフ場が閉鎖されました。とはいえ、まだまだ沢山あります。
ゴルフ場はそうした事情のせいか、ほとんど公式HPをもっておらずネットで直接予約はできません。予約サイト(日本語対応業者あり)でならほとんどのコースでプレイ可能。予約サイトのマージンが100元程度上乗せされます。
コースは結構トリッキーなものが多く、一般的に日本のゴルフ場より難しいです。18ホールスループレイ。

チェックインからスタート
一般にバックを預けた時点で引き換えカードをもらうことが多いです。チェックインは日本と同じ。スタート時間になると呼んでもらうような仕組みになってることは少なく、ロッカーキーをキャディマスター室に持っていって全員揃ったら適当にスタートになるような感じ。

キャディさん
一人に一人、もしくは二人に一人。カートの後ろに立ち乗りします。
ゴルフをほとんど知らない若い子も多い。林に打ち込んで横に脱出しかないような場面でも「残り200ヤード」とかいってウッド持ってきたりします。
グリーン上ではラインを読んでボールを置いてくれますが、経験が浅いキャディさんの場合はかえって迷惑。
始まって数ホールで見極めが必要です。

キャディさんは自分専用なので、人のキャディさんはあまり助けてくれません。ボールさがしも基本的には自分のキャディさんしかやってくれません。その代わり自分のキャディさんは家来です。中国の人はティーアップさせたり打つ間煙草や葉巻を持たせる、なんて光景を目にすることもあり。バンカー自分でならしたりすると「オーライオーライ」(本当は「我来=私がやる」といってるのですが、オーライに聞こえる)といって飛んできます。
チップは100元。二人に一人ついた場合は50元x2か、各々100元づつか地域で違うようです。多くあげて嫌がられることはないので200元あげましょう。18ホール終わりカートを降りたところで渡します。
ゴルフをする中国人はお金持ちなのでもっと渡してる人もいます。また彼らは高額の賭けゴルフをしているので、ラインの読みが良かった場合は沢山あげたりします。だからキャディさんも結構真剣にライン読みをします。

ティー
白ティーでやってたら日本人です。中国人は技量に関係なく青ティーです。中国人はなんでも大きい、長い、多いものが好きです。
華南地区は日本人でも青ティーのようです。青ティー使用のハンデ制限等は特にありません。

中国人のゴルフ
最後の一人となってパットを打つ。よし、入った!ガッツポーズして周りをみると、後の3人はもうカートに乗ってます。

お風呂
シャワーです。脱衣所はなく、ロッカーで全部脱いでスリッパはいてシャワーに行くのが基本。


経皮毒の闇

2019年05月30日 | インチキ・疑似科学

もうずいぶん前のことだが、前職時代の一つ先輩が突然退職した。どちらかと言うと将来嘱望されてた人なので驚いたが、しばらくして呼び出された。
結局話しは米国系のMLM(アムウェイのような奴)の勧誘。実名出すのも何なので「新皮」としておこう。(これで分かる人はわかるでしょう)。どうやら奥様が結構成功したので夫婦で法人化して本格的にやろうということのようだった。

そこで色々説明を受けたんだけど、なぜあんなに優秀だった人がこんな事言うのか?と驚かされた。曰く、「今後電力、ガス等が自由化される。新皮もこのビジネスに参入する。上流メンバーになっておけばものすごい利益が手に入る」「これからはインターネット時代。新皮もネット販売を始める。下部会員がネット注文したものも上部会員にマージンが落ちるようになる」

私は、インターネット販売が主流になるということBtoCの方向なんだから中間マージンなんか取れなくなる方向なんじゃない?と言ったが、うやむやな答えしか返ってこなかった。

ちなみに現在の彼の動向は昔の同僚たちに聞いてもさっぱりわからない。

さて、その時の話ででてきたのは例の「羊水から石鹸の匂いがする」というやつ。これはMLM系の洗剤化粧品等を扱う人たちの常套句であり、それも知っていたので聞き流した。
この話は典型的な都市伝説で、実際の産婦人科医の証言は存在しない。(知り合いの親戚の産婦人科医が言ってた、という例のパターン)
要するに、洗髪したり体を洗ったりすると皮膚から化学成分が体内に浸透し、内臓などに貯まるいわゆる「経皮毒」という話。

経皮毒で検索するとたくさん闇が見つかる。実際Googleで「経皮毒」を検索すると真っ先に「日用洗剤に含まれる有害物質でがんなどの原因になる」と断言するコマーシャルサイトがでてくる。このような不安をあおって商売するサイトがメインだが、無邪気に信じてしまっている人たちは驚くほど多い。

皮膚を通過して体内に化学物質が浸透するということはほどんどない。化学物質を扱う時に手袋をするのは皮膚が荒れることを防ぐため。
また市販されている化粧品やトイレタリー製品にそんな危険があるわけがない。国の安全基準は相当に厳しい。

しかし、不安を煽る(商売にしてる)人たちの言うことはとても上手だ。

・成分を見てください。聞いたことがないような化学物質がたくさん書いてあります。(当然検証済みでむしろ体に良いものが入っている)
・人間が化学物質が入った石鹸を使い始めてからまだ数十年。いつ重大な病気が発症するかわかりません。(そんなこと言ったらなんでも危険)

一番狙われるのは小さいお子さんがいる女性。確かにそういう事を言われれば不安になるからこれはとても簡単な商売なのだ。
その販売促進は自然と不安を過激に煽ることになり、非常に闇が深いビジネス。「XXはがんに効く」というと薬事法違反だが「XXはがんになる」といっても違法ではない。

いずれにしても「経皮毒」は医学用語として存在しない。この言葉がでてきたら100%商売と思って間違いない。