ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

【ETC2.0】つけるだけで手に入る凄すぎる3つのメリット【糞サイト】

2019年04月07日 | ITS

皆さんこんにちは。いつもITSを疑うをご覧いただいてありがとうございます。

さて皆さんはETCをご存知ですか?ETCは高速道路の料金所をノンストップで通過できる優れものです、これからのドライブにはうってつけの装備です。もしかしたらあなたの車にもついているかもしれませんね。そしてETCにはその進化系ともいえるETC2.0があります。

ETC2.0はETCに比べて一万円以上高額ですが、もちろんそれに見合う凄いメリットがあるそうです。きょうはそのメリットについてお話ししましょう。

1.高速道路料金割引

ETC2.0装着車は高速道路の料金割引を受けることができます。対象は関東にある圏央道。ETC2.0装着車はETCに比べて2割も安くなるそうです。

例えば対象区間で一番長い入間⇔境古河間(62.1㎞)でなんと!330円も安くなります。たったの20往復程度で一万円の元が取れるというお得な設定。

それどこ?とか言わないでください。私も知りません。でも関東地方以外の方もいつ埼玉や茨城に転勤になるかわかりません。だからETC2.0はつけておいて絶対損のない装備ではないでしょうか?(ちなみに私は東京在住ですが、圏央道は通ったことがありません)

なお、割引対象の道路は今後拡大する予定(と5年前から言われてます)

 

2.広域交通情報

ナビについているVICSの交通情報は現在走行中の都道府県とその周辺だけだということをご存知でしたか?ところがETC2.0なら1000㎞先の道路状況の情報まで把握できます。これは1000㎞ドライブする方にはとっても便利な機能ではないでしょうか?

これまでいつも1000㎞先の交通情報がわからなくて困っていたあなた!これはうってつけの装備です。

また、この情報を受け取るためには対応ナビへの交換が必要です。ナビも最新の高性能機種になるので一石二鳥ではないでしょうか。

 

3.支払いサービス

今話題のキャッシュレス。ETC2.0ならなんと!あなたの車がお財布になります。計画ではガソリンスタンドやドライブスルーでわざわざスマホやカードを渡さなくても、車がお金を支払ってくれるようになるそうです。

これはもうずいぶん昔から計画中ですが、なぜかまだまったく実現していません。しかし将来は給油もドライブスルーも料金所同様に停まらず走りながらサービスを受けることができるようになる可能性もゼロとは言えず、その時にはETC2.0での支払いが絶対便利。今からつけておいても損はないでしょう!

 

このほかにも道の駅への追加料金なしの途中下車というメリットもあります。PA/SAがない区間で便利ですね。日本は広いので全国に32箇所もあり、とってもたすかります。
不便解消ならすべての車を対象にしてもよさそうなものですが、そこは国交省、高いETC2.0を装着されたユーザーのことをきちんと考えてETC2.0にこのサービスは限定されています。

 

いかがだったでしょうか?
ETC2.0のすばらしさが少しでもご理解いただけたら幸いです。わずかプラス一万円、ETCからの交換でも2万円台でこの凄すぎる数々のメリットが手に入るのであれば買わない手はありませんね。

ETC2.0の購入はこちらから → イエローバックスWEBSHOP(うそ)


道の駅の活用について

2019年03月28日 | ITS

レスポンス、会田肇氏の記事。「道の駅」を自動運転やMaaSの中核に…実証実験に見る、その可能性

前半の、道の駅を地域の拠点として過疎/高齢化のモビリティに活用するという部分については異論はない。
もちろん個々の地理的ケースについて検討する必要はあるだろうが、過疎・高齢化集落のモビリティ確保は解決しなければならない問題だ。

しかしその解決策で一足飛びに自動運転やMaaS(モビリティ アズ ア サービス。Wikiリンク)に行くということには若干異論がある。こうしたテクノロジーを活用するまでもなく、退職後まだ元気な6-70代は多く、こうした人とその自家用車をライドシェアに活用し、そのなかで道の駅をステーションにするというような方向からまずは始めたらどうなのか?
過疎地におけるライドシェアの特例認可が行われてることは聞いているが、これをまずは拡大するべきだろう。

とはいえ、将来自動運転・MaaSが実用化されれば、当然地域のトランスポーテーション基地のようなものが必要となり、特に高齢者を意識すればそこを買い物やデイサービスのようなコミュニティーとすることは有意義だと思う。

しかしこの記事、後段の部分がいただけない。おなじみETC2.0翼賛の内容になっている。
ETC2.0の道の駅立ち寄りサービスについて書かれているが、これを「ETC2.0がドライブの新たな楽しさを提供してくれる」と表現している。

実際は全く違う。ETC2.0はプライバシー保護でエンジンを切るとその前後の走行履歴は消去されるので、道の駅立ち寄りの記録は残らない。なので入り口に設置したDSRCポストで判定をしており、これは当然通常のETCでも使える。

では、なぜETC2.0なのか?それはETC2.0普及のためのインセンティブにほかならない。わざとETC2.0に限定しているのだ。

「ETC2.0がドライブの新たな楽しさを提供してくれる」のではなく、「国交省はドライブの新たな楽しさをわざとETC2.0に限定している」。
いや、これは楽しさだけではない。疲労運転防止のための安全対策でもあり、道の駅の経営にも貢献する。できる限り多くのドライバーに提供してしかるべきだ。
これはもっと周知され、ドライバーは声を上げるべきではないか。


IBAサービス終了のお知らせ

2019年03月06日 | ITS
タイトルはツイッターの煽りみたいだけど本当の話。こことかここ
リンク先にあるように、IBAサービスは2019年3月を持って終了し、現在残っていたターンパイクとジャンボフェリーのサービスも終了となる。まあ、実数の公表はないからわからないけどおそらくIBAサービス会員はせいぜい数千人というところだろうから大きな問題はないのかもしれない。
(余談だけど、今ターンパイクはアネスト岩田ターンパイクという名前なんですね。この会社はコンプレッサ製造等のグローバル企業だそうですが、何を狙って命名権購入したのかな?)

IBAサービスといっても知ってる方はほとんどいないだろう。三菱商事系の「ITS事業企画」として駐車場、ガソリンスタンド、ドライブスルーなどのETC決済を目的に2004年に設立されたが、上記2つのサービスと数カ所の駐車場(これも途中で無くなった)以外には一貫して事業は拡大せず、駐車場のTIMESに事業譲渡された。15年前、このIBAサービスが発足したときこんなサービスは絶対成功しないとこのブログで書いた。
私のような部外者でもそう思うことをなぜ三菱商事のような立派な企業にわからなかったんだろう。

IBAサービスは会員登録が必要で、立ち上がり時には会費もかかり、専用車載器も必要だった。
それが普及のネックだという考え方もあるかもしれない。
現在のETC2.0はそれを考慮した設計になっておりハードルは下がっているし、民間決済利用については研究会等があり推進しようとしているらしい。

しかし私はそれでも普及しないと思う。ETCの利便はノンストップ決済であり、所詮停車するガソリンスタンドやドライブスルーではさほどの意味はない。
駐車場はユーザーニーズはあるもののこれの前のエントリーでも言及したとおり、設備投資と集客効果が見合わないのと施設利用割引方法が確立していないというネックがある。

ETCは高速道路料金支払器だと考えたほうが良い。

駐車場のETC決済はどうなったのかな?

2019年03月05日 | ITS
いまから一年くらい前、駐車場の料金をETCでノンストップ決済する実験が行われていて、ある程度メディアにも掲載された。このブログでも何本か記事を上げている。(もちろん、否定的なやつね)。
その後どうなったか。少なくともネットで検索する限りではETC決済の駐車場は以前からやってるTIMESの2箇所を除いては存在しないようだ。

なんでだめかはさんざん書いたけど、簡単に言えば導入コストと集客効果が見合わないことと、施設利用割引の方法が確立してないこと。

一方で、私の暮らす中国ではものすごい勢いで駐車場のスマホ決済によるノンストップ利用が普及している。大型商業施設にとどまらず、通常の駐車場でもチケット発券→出口で精算というのはほぼなくなった。

そのシステムは以下の通り。

入り口はナンバー読み取り。
精算はスマホで駐車場内に表示されてるQRコードを読み取り、出てくる画面にナンバーを入力(二回目以降は自動表示)し、支払いボタンをおしてWeChat PayやAliPayで支払う。施設利用の場合は会計時に示されるQRコード読み取りで割引。
出口はノンストップ。スマホ決済できない/したくない場合は専用窓口で精算。

これの優れている点は導入の容易さだろう。通信インフラはすべてスマホ、料金収受プラットフォームはサードパーティ、ナンバープレート画像認識のカメラとソフトも相当出回っているのでコストはやすく駐車場の設備投資はさほどかからない。

日本では、中国のQRコードスマホ決済に対して「Felicaのほうが優れている」「所詮偽札対策」「セキュリティが甘い」などとDISる声をよく聞くが、ポイントはそこではない。
特に「Felicaのほうが(読み取り速度、精度、セキュリティで)優れている」というのは本当に意味のない議論だ。そこに陥って使い勝手やコストの問題で日本がグローバル標準を取れなかった技術はたくさんある。このブロクの本題である日本式ETC(DSRC)もその一つ。もう世界中にETCは普及しているが日本仕様はベトナム他数カ所にしか採用されていない。
この駐車場QRコード方式にしても「スマホで読み取り支払う手間がかかる」と批判する人がいるだろうが、論点はそこじゃない。

Felicaの最大の弱点は読み取り機と対応レジがないと使えないというところにある。一方QRコード決済はQRコードが表示できればどこでも使える。プリントした紙でもいいし、液晶画面上でもいい。液晶画面にQRコードを表示することでPCやスマートTVからのキャッシュレス決済もスムースに行える。

この、いたるところで使えるというメリットから中国のスマホQRコード決済は単なる小売店、レストランのレジで使うだけのものではなくなっている。
シェア自転車、カーシェア、駐車場、自動販売機などそのアプリケーションはとどまることを知らない。さらに料金収受プラットフォームであるWeChat PayとAliPayはQRコード以外でもありとあらゆる決済、例えば通販、出前、公共料金、携帯チャージ、交通違反罰金支払いに使うことができる。完全にスマホと同化し生活の一部となり、さらにそれによる広告、販促などと連携し、また商店の省人化を助けることでエコシステムが成立している。だからこそキャッシュレスが進んだのだ。
商店の支払いでしか使えないのであればこんなに普及はない。

しかし今日本がしようとしているキャッシュレスは基本コンビニ等の支払いだけ。
そこに対して「FelicaはQRコードより早くて安全」とか言ってるわけで、全く次元の違う話をしていることを認識するべきだ。

アップルCarPlayやGoogle Android Autoはなぜ普及しないのか

2019年02月14日 | ITS
スマホを車に接続するシステムとして、アップルからCarPlay, GoogleからAndroid Autoがリリースされて3年が経つ。
発表当時はあたかも画期的なものであるかのように受け止められ、一部のITライターによる「車のシステムがアップルやGoogleに乗っ取られる」というトンチンカンな記事も見受けられた。これについては当ブログでも全くそのようなものではないという趣旨のエントリーをしている。

そもそもCarPlayやAndroid Autoがつながるのは「車のシステム」ではなく単に「車のAVシステム」であり、車が乗っ取られることなどありえない。
さらに実は、CarPlayもAndroid Autoも「何かが出来るようになる」システムではなく、「何かを出来なくする」システムなのだ。

どういうことか?
スマホをそのままホルダーにさしてナビにすることは誰でもやっている。また、車両のオーディオとブルートゥースで接続してスマホの音楽を聞くことも多くなっている。
しかし、大画面化したとはいえスマホの画面を走行中にいじるのは運転の妨害になる。
そこで運転の妨害にならないようにアプリを改修した上で車両のディスプレイに表示するようにしたのがCarPlayやAndroid Autoなのだ。
運転の妨害になるようなコンテンツや操作は排除される。したがってメールやSNSの内容も文字では表示されず、音読のみとなるような工夫がされている。

結局のところ、車内で使えるスマホアプリはナビと音楽関係、ということになる。まあ実際運転中に使うのはその2つだけだろう。
実際、すでに3年が経つがそれら以外にキラーとなるようなコンテンツは出現していない。そういうコンテンツなんて物はないのか、マーケット的に旨味がないからアプリ制作側が動かないのか、おそらくはその両方だろう。

ナビと音楽であれば、前述のとおりスマホをホルダーに挿せば事足りる。BTで繋げば車のスピーカーから音が出る。SiriやGoogleアシスタントを使うことで音声操作も出来る。
逆にCarPlayやAndroid Autoをつかうと使用出来るアプリが制限されてしまう。CarPlayでは日本では評判の悪いアップルの地図しか使えない。また音楽ソフトはアップル、Google標準ソフト以外はSpotifyなどいくつかしか使えない。

CarPlayもAndroid Autoが開発された当初はスマホの画面は4インチ程度だったが、今は5-6インチとなっており車載液晶パネルとの差も縮まっている。
通常のユーザーはわざわざ車のAVシステムに接続する必要を感じないのではないか。

実際に私もAndroid Auto対応の車に買い替えたので試してみたが、やはり車載のナビ、オーディオに比べると使い勝手が良くないので結局は使わないと思うし、これ以上の進展も望めないのではないかと思う。

ETC2.0 従来型は使えなくなる、の嘘

2019年02月03日 | ITS
自動車関連WEBサイトの記事に、「ETC2.0はつけるべきか?将来従来型は使えなくなる」という趣旨のタイトルの記事をよく見かけるが、だまさせてはいけない。
典型的な例はこれなど。

これらの記事をみれば、かなり専門的な知識がない限り
「いずれ普通のETCが使えなくなるのであればETC2.0を買っておこう」と思ってしまうだろうが、それは事実ではない。
今販売されている普通(2.0ではない)のETCが将来使えなくなるということはないのだ。
少なくとも使えなくなるという理由では一万円以上高額なETC2.0を買う必要はない。

使えなくなるETCについては二つの違う話がある。
まずは、スプリアス問題。スプリアスとは設計上意図されていないが発生する電波で、2005年にそれの規制規格ができた。2007年以降すべてのETCはその規格を満足している。きわめて初期の一部メーカー製に非対応機が存在するが、ほとんどの人に関して関係ない。もちろん現在販売されているものには問題はない。これは2022年までに使えなくなるとアナウンスされている。

もう一つは新規に導入されたセキュリティ強化。
現在のETCにどんなセキュリティの問題があるのか具体的には情報を見つけることができなかったが、国交省は2017年にセキュリティのグレードアップを実施した。
現在販売されているETCは普通のETCも2.0もどちらもこの新規格に対応している。
これはETC2.0とは全く別の話なのだが、それを誤解する人は多いだろう。(国交省は意図的に誤解しやすい記事をライターに書かせているのでは、といったら邪推が過ぎるか?)

旧規格のETC,ETC2.0は2030年をめどに使えなくなるとアナウンスされている。まだ10年以上先の話なので、いまついているETCに関して慌てて何かをする必要はまったくない。

以下やや蛇足となるが。
スプリアス規制未対応品は2022年、新セキュリティ未対応品は2030年以降使えなくなるというが、これら旧規格のETCが本当に使えなくなるかは大いに怪しいと思っている。

未対応品であるか否かは製造番号やメーカーのWEBサイトを見ないとわからない。全く知らずにゲートを通ろうとする車両は決して少なくないだろう。今まで通れていたゲートがある日突然あかない、パニック、急ブレーキ。それが原因で追突事故などが発生する可能性は非常に高い。
未対応品であっても料金収受は可能であり、国交省や道路会社は事故発生とその責任のリスクを冒してまで使用できなくするだろうか?

また出たETC2.0翼賛記事

2018年12月28日 | ITS
カービュー12月26日記事
じつは自動料金収受システムだけではないETC2.0
自動車評論家諸星陽一氏の署名記事だが、この時期になぜ「ETC2.0は高速道路料金収受だけではない」という記事を書く必要があるのだろうか?

記事の内容をサマリーすると
1.ETC2.0はETCと言う名がついていて紛らわしいが、料金収受だけの機械ではなく、交通情報をクルマに知らせてくれる。
2.更に圏央道迂回ルートで割引があり、一部道の駅に退出する場合追加料金なしなどの優遇がある。これは将来拡大することも検討中。
3.なので、「これからETC車載器を付けようという人は間違いなくETC2.0を選ぶといいでしょう。」と言い切っている。
4.しかし、その後で「ただ現在の状況だと通行料金ベースで考えると圏央道を使うユーザーでないとその優位性は享受できない」と微妙な発言。
このニュアンスから、諸星氏は圏央道割引以外は大したメリットがない、ということはわかって書いてらっしゃるように感じる。ではなぜ「2.0を買え」と言い切っているのかは「この記事の発注元が存在する」と考えるのが自然だろう。

さらに面白いことは、この記事の下にあるコメント欄。
「付けても恩恵なかった」「割引されたから2.0にしたけど価格差の価値はないのでそうでなければ付けなかった」「付けたけど意味はなかった」「どうでもいい情報が多い」というコメントばかり。
「2.0を付ける意味は全くありませんし、高いだけです。後悔しています。こんな記事に騙されないよう気を付けてください。」というコメントに「そう思う」58件、「そう思うわない」4件。これは正直なユーザーの声だろう。

ETCに対して2万円近く高価な出費を強いるETC2.0。本当にユーザーの事を考えたらこのような記事はかけないはずだと思うのだが。

またETC2.0モニターキャンペーン。もういい加減にしたら

2018年12月17日 | ITS
コメントでも情報頂いたが、またETC2.0の補助金対策が始まった。VICSセンターWEBページリンク
5000名に10000円、計5000万円。
まず間違いないことは、すでに300万台近く普及しておりモニターを募集する必要なんてまったくないということ。実際は補助金であり、モニターやらアンケートやらは100%茶番だ。

なんで今さらまた5000万円も補助金をつけなくてはならないのかさっぱりわからない。メーカー在庫消化の手助け?
この予算も出どころは通行料か税金か、いずれにしても国民が負担しているのだ。

ETC2.0データを活用した民間サービス(案)

2018年12月04日 | ITS
国交省は8月から9月にかけて生産性革命プロジェクトの一環として公募していたETC2.0のデータの民間活用案に関し、19のサービス提案を選定したと公表した。
国交省プレスリリースPDF

19件の内容を見ると、残念ながら特段目新しいものはない。
ETC2.0でなくともGPSと通信機能があれば実現できるものばかりだ。というか、すでに民間のプローブで実現されているものもある。むしろ民間のプローブがそれを実施していないのはマーケット性がないからなのではないか、とすら思う。
「周辺エリアのヒヤリハット情報を飲料購購入者に自販機の情報ディスプレイや発話機能を通じて提供」などは、なぜ飲料自販機に交通情報???という感想しかない。

ETC2.0は通信をつかうプロープと異なり、リアルタイムの情報は取れない。あくまでポスト通過時にそれまでの情報をアップリンクするので、その情報には時差がある。統計的な予測には使えるが今どこがどのくらい混んでいるかはわからない。
例えばこれをバスロケに使うという案が提示されているが、通信型に比べ使い勝手が良いとも思えない。

現在ETC2.0のセットアップ件数は300万件を超え、それなりに普及している。
300万というと多いように感じるがすべてのETCに対する割合で言えば数%にすぎない。とはいえ300万台の車に装着されていれば走行データ収集という意味では十分機能する。
しかし、ホンダのインターナビ等カーメーカーやパイオニアなどがすでに通信をつかったプローブでこのレベルに匹敵する情報を持っている。
繰り返すが、それで新サービスのビジネスがあるならもうすでに彼らによって行われている筈だ

唯一ETC2.0に有利な点としてはトラック。現在の300万台のうち1/5はトラックなのだ。トラックは大口割引適用や圏央道通行等の極めて現実的な経済的理由から装着率が高い。(とはいえ、これは国交省による普及のための優遇であり、トラック業界はいやいや装着をしたのだが)
一方、民間のプローブ情報は乗用車中心。提案にもそれを考慮したものが何件かある。
それらはそれで活用すればいいと思うが、一般消費者が便利になるようなサービスがETC2.0で新たに始まるとは到底思えない。

4KテレビとETC2.0

2018年11月30日 | ITS
明日、12月1日からNHKと民放キー局のBS4局などで新4K,8K衛星放送が始まるが、肝心のチューナー内蔵テレビがあまり売れていないという。
4K対応テレビはそこそこ(とはいっても思惑よりもかなり低い)売れているが、対応というだけであってチューナーがなければ4Kコンテンツは受信できない。

それはそうだろう。5年半前の当ブログ記事でも書いたが、消費者が観たいのは面白い番組であって、より細かな画面じゃないんだから。
そうはいっても地デジ移行期にたくさん売れた32インチ程度の液晶テレビが50インチ前後への買い替えタイミングになり、売り場で「大画面なら4Kテレビのほうがきれいですよ」と言われれば多少高くてもそれを買う人は多いだろう。それもあって今年一年間で4K対応テレビは100万台程度の出荷になりそうだ。本当に4K対応が必要なのかどうかは別問題だけど。

これはETC2.0に似ている。ETC2.0のほうがいろいろなサービスがあるから良いですよといわれれば、1万円程度高くてもそちらにする。車を買うときは2-300万円の出費なのでプラス1万円は気にならない。

さらに、メーカーもETC2.0に主軸を移してきているので、近い内にETC2.0が当たり前ということになるだろう。

これに関してはブルーレイに似ている。いまディスクプレーヤーといえば普通ブルーレイプレーヤーだけど、本当に消費者はDVDの画質に満足せずブルーレイを求めていたのか? ハード、ソフトともにメーカー側がブルーレイにしたからそれを買ってるだけのように思える。
ネット配信が主流になっていまさら物理ディスクについて云々しても仕方がないけど、レンタルビデオがさっぱりブルーレイにならなかったというあたりからも消費者がブルーレイの画質にこだわっていたようには思えない。前述のとおり、観たいのはコンテンツであって画質ではない。

それと同じようにETCも消費者の意向とは別のところで2.0に変わっていくように感じる。
しかし、DVD→BDはそれが本当に消費者にとって必要だったか別にしても画質の向上という明らかなメリットが有ったが、ETC→ETC2.0は「圏央道をよく使う人」以外にはほとんどメリットがない。

4KテレビとETC2.0がもう一つ似ているところは政府によるプッシュだ。4Kはなんだかんだいってもいずれ世界がそちらに動くのは明らかだし、それに対して日本の家電メーカーが中韓メーカーに対抗してやっていくためには足元の国内需要が必要、という事情だったのだろう。結果をいえばそれでも日本の家電はテレビから撤退の方向だけどね。

我が家(東京留守宅)は55インチのハイビジョンだけど画質に全く不満がない。それでも、より高画質が欲しいと思う人は4Kを買えばいいし、相応の満足は得られるだろう。
だけどETC2.0に関しては自信をもって言い切れる。圏央道を使わないなら絶対に買う必要はない。

駐車場シェアリングとETC2.0

2018年11月17日 | ITS
日本を離れて6年以上経つので日本の事情に疎くなっているのかもしれない。
日本でのシャアリングビジネスで最も成長しているのは駐車場シャアリングだというのを最近知った。

たしかに日本は基本的に路上駐車ができず、また都市部ではコインパーキングが増えているとはいえ駐車場が見つからない事が多い。
一方で都市部では車を持たない人が増えてきているし、高齢世帯ではすでに車を手放して駐車場が空いているという戸建ても多くなってきた。

空き駐車場の登録、管理、予約や料金支払い、受け取りなど、貸す側、借りる側どちらもスマホの通信を使えば簡単にできる。そうしたビジネスが「akippa」「B-times」など続々登場しており、急速に成長している。サイトを見ると、実際に駐車したかどうかは物理的には把握していないようだ。まあ、その程度の管理でも成立するのだろう。
今まで一円もお金を産まなかった土地がコストゼロで収入源になるのだから、貸す側としてはメリットしかない。借りる側も一般の駐車場より安いのでメリットが有る。
これは普及しないわけがない。

ETC2.0普及促進研究会もそれに目をつけてこのような研究をしているという。
まあ、正直やっておられる側ももはやこれくらいしかETC2.0の活用方法のアイデアがないので無理は承知だろう。
でも常識で考えて個人宅や農家がおそらく100万円はくだらないと思われるETC2.0の読み取り、通信ポストを設置する訳がない。
(しかし農家のイラストは笑っちゃうね。なんで「おじさんが現金を受け取る」んじゃだめなんだろう)

何回でも繰り返すが、ETCには高速道路のノンストップ料金収受以外の用途はないと思ったほうが良い。

ETC2.0と光ビーコンの情報は「迷惑」か「有用」か

2018年11月13日 | ITS
レスポンス掲載の自動車評論家岩貞るみこ氏記事。
ETC2.0と光ビーコンの情報は「迷惑」か「有用」か

私はETC2.0の渋滞情報サービスや途中下車サービスが始まる前に中国に来てしまったので、ETC2.0についてさんざん悪口を書き散らしているくせに自身では体験をしていない。
しかし、日本から離れて暮らしていてもだいたい想像通りの結末だということがよくわかった。

高速道路に入ると行く予定のないはるか先の渋滞情報が流れてくるという。岩貞氏の言う通り大半のドライバーには意味のない情報だ。
確かにそこまで行く人には有用だろうが、日本の高速道路はそれほど経路の選択肢がないわけで、わかったところで対して役に立たないのではないか。
中央道に入ってから長野で渋滞といわれてもいまさらどうしようもない。

道の駅途中下車に関しては岩貞氏もご指摘の通り、なぜ通常ETCを除外するのか全く理解できない。メカニズム的には問題なく対応可能であるが、単に普及促進策としてETC2.0に限定しているだけ。
まあ、道路会社は民間企業なんだから普及促進のインセンティブを何にどうつけようが構わないが、この施策に関しては国交相が「長時間ドライブによる疲労運転を防止する効果がある」と明言されており、交通安全の施策を普及促進のためにETC2.0に限定している、という実に不誠実な実態が浮かび上がる。

氏は最後に「これについて絶対、効果評価の検証していないよね?やればいいって思っているよね?それ全部、税金だよね?って思うんだよね。」と述べられているが、多分役所はやらないだろう。
ETC2.0つけて便利だという声はネット上のどこにもない。効果測定してもポジティブな答えは得られないことは国交省は百も承知だと思う。
(官製アンケートの18番、「とても便利」「まあ便利」「不便」の三択で、『過半数が便利と言ってました』的なのはやるかもしれないけどね)

あと、蛇足だけど「ETC2.0と光ビーコン」という、国交省(高速)と警察(一般道)という監督官庁違いで同じようなものが違う規格で用意されているというのもなんだかな~。ITS推進の謳い文句に、一つの車載器ですべての情報、というのがあったと思うんだけど。

ますます便利にはなりそうもうないETC2.0

2018年10月03日 | ITS
前回のエントリーで中国のナンバー読み取り式ノンストップ駐車場について書いたら、日本人さん(ハンドルネーム)より情報を頂いた。

ETC2.0はユーザーにとっての利便性向上という謳い文句に、各種料金支払いのキャッシュレス、ノンストップ化というのがある。
曰く、駐車場、ガソリンスタンド、ドライブスルー、フェリー等。
しかし、これは実は2.0に限ったことではなく、ETC出現時からすでに15年以上言われ続けていることなのだ。

それがフェリーを除いては未だに実現していないというのは、何らか問題があると考えるべきだろう。

ガソリンスタンド、ドライブスルーはいずれにしてもノンストップにはならないから現実的にさほどのメリットがない。
唯一確実に便利になるのは駐車場だ。

それもあって、通信設備等の関係業界が「ETC2.0普及促進研究会」を作って駐車場のETC利用(2.0普及といいながら、通常ETCで対応可能)の実験を全国3箇所で進めていた。
その実験は今年の3月末で終了
そして、この研究会のウェブサイトのNEWSはこの半年前の記事以降、更新がない。
記事には「結果を国土交通省へ報告し、駐車場などにおけるETCの多目的な活用ができるまで、お待ちください」と書かれている。
そもそもETCは高速道路料金収受専用なので法改正が必要らしいが、それにしてもあまり進展がないと見るのが妥当だろう。

ユーザーからみれば間違いなく便利な駐車場のETC利用だが、なぜ普及が進まないのか?

以下は以前にも指摘しているが、実情はこのようなものだろう。

1.費用対効果
ETC決済をするためには駐車場にポストを設置し、それをオンラインで繋げる必要がある。その費用についてはネット上にあまり情報がないのでわからないが、古い情報では1基800万円。
では、その費用を回収できるか?答えはNO。駐車場の料金収受は自動精算機の活用などで今でも最低の人数で運営している。ETC専用にして現金車お断りにしない限り収受員は必要であり、結果人件費削減は望めない。
一方、投資に見合う収入増となるかというとそれも怪しい。駐車場はまずロケーションと料金で選ぶ。ノンストップだからといって大幅に入場車が増えるとは思えない。

2.割引処理
商業施設利用による駐車料金割引はたいていの駐車場で行っている。これをノンストップ退場時に反映することが難しい。
今考えられている方法は、ETCカードと同じ発行会社(イシュアー)のクレカで買い物をしてもらい、発行会社側でカード料金請求時に割引するという方法しかないようだ。
そのほかにも、ETCカードを抜き取り持参し、買い物時にレジで情報インプットしてもらいオンラインで割引情報をサーバーに送る等の方法があるだろうが、結構煩わしい。

法改正がされたとしても、上記二点が解決されない限り急速な普及はないだろう。


追記
上記の制約がない公共駐車場、例えば空港などはさっさと導入するべきだろう。ETC普及が日本ほどではない中国でも、筆者の知る限りでは上海虹橋、北京首都空港の駐車場で使われている。

まだ進化しそうな中国の駐車場ノンストップ決済

2018年09月29日 | ITS
中国ではいま、駐車場のナンバー読み取り化が進んでいる。
センサーによるナンバー読み取りとスマホ決済(ウィーチャットペイ、アリペイ)の組み合わせで利便性はかなり高い。

入り口はナンバー読み取りで、チケット発券はなし。
決済は駐車場や付帯商業施設内に掲示されているスマホ決済のQRコードを読み取り、車両のナンバーをインプットしそのままスマホ決済することで出口でもノンストップ出場となる。
飲食店などにはQRコードが用意されていて、支払い時に申し出てスキャンし車両のナンバーをインプットすれば割引を受けることができる。
一度利用すると車両ナンバーが記憶されるので二回目からはナンバーインプットの必要はなく、表示されるナンバーをクリックすればOK。

そして、これがさらに進化しようとしてる。

中国大手ITのテンセント(ウーチャットペイ)、アリババ(アリペイ)はコネクテッドの車載OSを開発中だが、そこにスマホ支払いの機能を入れてくることは間違いない。
これらのコネクテッド車載OSが搭載されれば上記のような駐車場はスマホによるQRコード読み取りの必要はなくなり、完全ノンストップになる。
商業施設でウーチャットペイもしくはアリペイで支払うことで割引処理もシームレスに行うことができるだろう。

コネクテッドカーにオンライン決済機能をもたせるという考え方は以前からあったが、ドライブスルー決済、ホテル予約のデポジット支払いなど、あまり利用頻度が高いとは思われない絵空事のような話しかなかった。よく言われるガソリンスタンド決済もよく考えると「フルサービスなら店員さんが授受してくれる」「セルフサービスはいずれにしても下車し機械のところで操作しなければならない」から、結果として車載機器で支払うことによる利便性向上はあまりない。私は一貫してこれには懐疑的だったし、実際これらは普及していない。テレマティクス~コネクテッドカーともう20年近く言われ続けている割には車+通信がいうほど活性化しないのは、まさにユーザーにとってのキラーコンテンツがないからなのだ。

しかし、上記の駐車場完全ノンストップはキラーコンテンツになる可能性がある。

日本ではETCを使った駐車場ノンストップ決済の実験が行われている。しかし、このためには駐車場は高額な読み取り機を設置しなければならず、また商業施設割引問題も解決できていない。
一方でこのナンバー読み取り+スマホ決済なら遥かに手軽だ。決済プラットフォームも既存のものを使うだけ。

どうも日本は先行しても完璧にリスクを排除することで高額となり普及せず、その後の環境、技術の進化の中から生まれたより廉価で便利なシステムに負けてしまうというパターンが多い。

ETC2.0の正体 一般道に密かに設置されている経路情報収集装置

2018年08月21日 | ITS
ETC2.0。ETCより価格が1万円以上高く、ユーザーメリットもほとんどないため圏央道の割引などのインセンティブをつけてまで国交省がしきりに普及を進めているETCの次世代機だが、なぜ国はそこまでして普及を進めているのだろうか?
その理由は交通経路情報の入手だ。ETC2.0はポストを通過したときにその車の過去50~100km程度の通行経路、速度、急ブレーキなどの情報を国のサーバーに送信する。この交通データはプロープデータと呼ばれ、携帯通信を利用した民間のデータがいくつも存在するが国として自前のデータがほしいのだろう。

それが交通行政に役立つなら何も否定するものではない。また、経路情報を読み取ること自体は(各種割引に活用する、というベールに包んだ上で)公表されている。

では、このポストはどこにあるのか?
まず、高速道路の料金所。ここでETC2.0は支払い関係情報だけでなく、経路情報も国のサーバーに吸い上げられる。

次に高速道路に1700箇所あるITSスポット。ここでは各種情報が車載器に提供される一方、同様に経路情報も吸い上げられる。

後は一般道路。本日の論点はここにある。

一般道路のITSスポットは実験的なものが数箇所にあるだけとされている。しかしそれは車載器に情報提供をするITSスポット、ということだ。
実際には車両の情報を吸い上げるだけで車載器には全く情報提供をしない、つまりユーザーには何のメリットもない通信ポストがすでに一般道に2000基近く(推定)あるのだ。
 
これは「経路情報収集装置」と呼はれていた。現在は違う名前がついているのかもしれないが全く公表されていないのでわからない。

図は総務省が公表している無線基地局に関するもの。ITSスポット関連の3GHz~6GHz基地局(ポスト)の設置状況が記されている。2010年(平23)に増加したのはITSスポット(高速道路上)だと書かれているが、2013年からの1800箇所近い増加についてはなぜか何も書かれていない。


この正体は前述の一般国道などに設置された「経路情報収集装置」なのだ。内訳が公開されていないからそのすべてがそうであるかはわからないが、国交省関連機関の資料に2013年以降1500基の設置が計画されているという記載があったので、おそらく1500~2000の間の数が設置されているのだろう。注)大手通信機器メーカーの資料に1900基設置されている、との情報があった。

ここで不思議なことは、「経路情報収集装置」に関する情報はネット上でほとんど見つける事ができない、ということ。単に「公表していない」というよりは意図的に隠されているように感じる。

ETC2.0の経路情報収集の目的は国家公安に関するものではなく、個人情報は含まれていない。そもそも装着率100%ではなく、また電源を切ってしまえば通信ができなくなるETC2.0は公安目的には使えない。
だが個人情報は保護されるといっても不透明であり、そうしたことへの世論の批判を怯れているのだろうことは容易に想像できる。

繰り返すがそれが交通行政に役立つなら私は否定しない。(ETC2.0のデータは使い勝手が良くない、また民間ですでにある情報より非常にコストが高くついた、というのはここでは置いておく)
問題は、なぜそこまで国民に秘密にする必要があるのか、また目的は国のデータ収集であるにもかかわらず、あたかも良いものであるかのように宣伝し高い車載器を買わせるという姿勢にも疑問を感じる。
正しい方法は、ETC2.0の走行情報収集機能をオープンにし、それに同意するユーザーに対してむしろ通常ETCより安く提供するということだと思う。