ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

新東名 開通後3ヶ月間の状況報告(NEXCO 中日本)

2012年08月04日 | 高速道路
NEXCO中日本は新東名の開通後3ヶ月間の状況を公表した。

これによれば、相当数のトラフィック、特に大型貨物が新東名に振り替わっていることがわかる。
対象区間を通過する車両が新しく走りやすい道を選ぶのは、まあいってみれば当たり前のことだろう。

この発表で気になる点は2つ。

まず、10キロを超える渋滞が3ヶ月間で5回しか発生しなかった、ということ。たいした成果のように思える。しかし前年同期の同区間10回を超える渋滞は50回程度。
9割減ったという見方も出来るが、ゴールデンウィークを挟んでの3ヶ月に50回しか渋滞しない「もともと大して渋滞しない路線」だとしか言いようがない。
大型連休の高速道路では10kmを超える渋滞は東名の他区間や中央、関越などで500回程度発生しているのだ。

渋滞緩和という観点からのみいえば、この区間の高速道路複線化のプライオリティが高かったとはとても思えない。

次に、第二東名の平均旅行時間が97km/hという点。制限速度100km/hを守って97km/hを達成することは至難の業だろう。おそらく実際の巡航速度は100km/hを超えている。
この道路の制限速度に関しては、100km/h規制を120km/hまたは130km/hにするべきだという議論があったが、これは見送られた。
というか、おそらくは120km/hにして仮にそれが原因で事故が発生した時の責任を誰も取りたくないのだろう。

しかし、現在の自動車の設計を考えると100km/hと120km/hに大きな安全上の差異はないように思うし、他国をみれば道路の走りやすさに応じて120km/h制限を採用している国のほうが圧倒的に多い。

実はここには他の理由もある。大型トラックの制限速度は80km/hで、さらに90km/hのリミッターがついている。
乗用車の制限速度が120km/hになると、大型トラックとの速度差が事故を誘発するのではないか、という危惧もあったようだ。
しかしこれも走行路線の厳格化などで対応は可能なのではないかと思う。

いずれにしても、制限速度論議が決着したのは今年の3月。どう考えても作ることありきで、本来一番重要である活用についての十分あな議論や準備がされていたとは思えない。

関越バス事故で思うこと

2012年05月06日 | 高速道路
関越のバス事故、その後のマスコミ対応などにかなり違和感をもっている。
中国残留孤児の運転手は下請けの日雇いだったというような品質管理面がクローズアップされているようで、運転手自宅の家宅捜索なども報道されている。

でも、居眠り運転は人間がオペレーションしている以上は避けられない。
大手と中小で労務管理による差があることはそのとおりだろうが、それは程度の問題。
私は論点が違っていると思う。

運転手が居眠りをすると重大事故に発展する大型バスに、フェイルセーフ装置を義務つけないことがおかしいのだ。線路を走る電車でもATSが付いている。

レーダによる追突防止や、カメラ認識による車線逸脱警報は以前から比べれば格段に安くなっている。
私は以前から「高速道路の重大事故は大型車の追突だから、追突防止装置装着の法制化をITSよりも先にすすめるべし」といってきた。
それに加えて、車線逸脱警報などの居眠り警報も必要だろう。

マスコミは運転手やオペレーション会社の労務管理体制など、犯人探しにやっきになっているように感じるが、そんなことは再発防止にまったく役立たない。
安全装備法制化の議論を盛り上げてもらいたい。

あと、これはどの程度議論がされているがわからないが、防音壁とガードレールに隙間があったという件。
設置時点ではこれで良かった、今はそうしていないというようなNEXCO側の説明だったようだが、危険だと認識され今は隙間を空けずに設置している以上は、過去の工事箇所も直すべきではなかったのか?
安全に関する改修は過去にさかのぼって実施するのは製造業では常識だが。

新東名が静かに開通

2012年04月14日 | 高速道路
本日、新東名が開通した。

この巨大プロジェクトは、意外なほど「無駄使い」という批判を受けることなく進行した。
多分、地震による物流動脈確保という大義名分になんとなく皆納得させられている、という感じだけど本当なのだろうか?

当面の完成形として、神奈川と愛知を結ぶのに4兆4000億円かかるという。渋滞解消という意味では最も重要な「厚木から先東京まで」つなぐのには多分あと1-2兆円が追加で必要だろう。

4兆円というともはや金銭感覚がなくなってしまうのだが、これはベトナムの国家予算の2倍。本当にそんなとんでもないお金をかけて東名高速を二重化する必要があったのか? 少子高齢化、若者の車離れなどで、この先交通量は増えない。

東海地震のバックアップというが、中央道だってある。というか、地震対策として4兆円をかけるべきは高速道路ではなく、まずは地震・津波から命を守る対策であるべし。東日本で亡くなった方は津波で流された。その後物流が分断され物資が届かなくて困ったのは事実だろうけど、津波被害の比ではない。

高速道路の整備は、渋滞のボトルネックとミッシング・リンクの解消を優先するべきだ。しかし、新東名は事故がなければ渋滞しない静岡県内。用地買収や住民運動対策など、大変だということはわかるが、圏央道、外環道を東名までつなげることのほうが静岡県内の複線化よりも重要だろう。

もう一回いうけど、これは国家戦略的に見て4兆4000億円に値するインフラだとはとても思えない。

首都高の距離別料金検索がよくわからない

2011年12月31日 | 高速道路
首都高㈱のWEBサイトにある距離別料金検索がとてもわかりにくい。

首都高速距離別検索

例えば、出発地を高井戸にし、到着地を外苑出口にして検索にすると、距離は9.9km、ETC割引料金600円、現金料金900円となる。
しかし、その手前にある代々木出口を到着地にすると、距離は23.3km、ETC割引料金800円、現金料金900円とかえって高くなる。
激しいのは、さいたま見沼から6キロほど離れた与野へいく場合。なんと距離が70.9kmと表示される。

これはつまり、「その出口は反対車線にあるのでそこから出る場合ははるか先の環状線までいって一周して戻ってこなくてはならない」ということなのだ。
理屈では全く正しいのだろうが、そんな出口の表示は不要だろう。

例:高井戸からの距離早見表
4号新宿線の出口を見ると、代々木、幡ヶ谷などの反対車線の出口の距離が大きく表示される。

さらに意味分かんないのは入った高井戸が、30.9kmとして表示されている。
これは、C1をサーキットにして帰ってくる暴走族用の表示なのだろろうか?

実際には大きく遠回りしなくては降りることができない反対車線の出口を表示する必要はないだろう。むしろ、出口がどちらの車線にあるかを知らない人は混乱するばかりだ。
記載するにしても、そうした出口には何らかの注記をつけるのが普通だろう。

利用者にとってどうしたら使い勝手がいいか、理解しやすいかを考えずに機械的に掲載しているとしか思えない。
やっぱりまだ民間会社ではないね。

明日から首都高の距離別料金開始

2011年12月31日 | 高速道路
明日から首都高速の距離別料金がスタートする。

一昨日高速道路を走っていたら、結構それを知らせる掲示板が目についた。また、メディアにもそれなりに告知を出しているように思える。
しかし、ETCをつけていないと無条件で最大料金という一番ネガティブなポイントはあまり強調されておらず、むしろ横浜から埼玉まで行く場合は大幅に安くなる、というメリット系を強調した記事が多かったように感じる。

実際に最大料金を当初計画していた1200円から900円に下げたため現行料金との差は200円に過ぎず、ETC未装着車のユーザーもたまに使うだけならあきらめが付くのかもしれない。
首都高Xがやめになったのも、この金額差ならETC未装着ユーザーから大きな苦情が出ないのでそこまでする必要はないということか。

いろいろと批判があって上限を900円に抑えたのはいいが、なぜ下限も引き上げたのだろう?
シミュレーションの結果で下限も引き上げないと収入減になるということなのかもしれないが、当初は短距離の料金を下げることで今まで利用しないユーザーが利用するようになると言っていたように思う。これはその通りだと思うのだが。500円では短距離で使おうとは思わない。

今回の改訂で、埼玉、東京、神奈川のゾーン別料金を廃止したことでの最大料金ダウンはかなり大きい。というか、私にはずいぶんな大盤振る舞いにみえる。
なんとなく、このあたりの整合性がよくわからない。 まあ、この区間を使う人にとっては朗報でしょう。

ということで、首都高速株のWEBサイトにある新料金早見表を見てみたのだが、これが全くわからない。
詳しくは次のエントリーで。

第二東名と制限速度

2011年11月30日 | 高速道路
静岡県が、第二東名の制限速度を140kmにしたらどうか、という提起をしたらしい。
記事には、設計速度が120kmとあり、なぜそれが140kmで良いのかかははっきりしない。

私は安全面でいえば120kmでも140kmでもいいと思う。高速道路の制限速度を100kmに設定した昭和40年代から比べれば、クルマやタイヤの性能、安全性は遥かに進化している。
ただし、日本市場向けのクルマは100km制限を前提にギヤ比などが設定されているため、120km以上出すと燃費が急に悪化する。

それ以上に言いたいことは、この時期に140kmとかいう話をする静岡県に意図的なものを感じる、ということ。第二東名はトンデモない巨額の公共投資なのだが、その必要性について真剣に議論がされてきたとは思えない。

東海震災時の大動脈バックアップとして絶対必要、という議論があるけど、バックアップなら中央道がある。
さらに、その費用。
総工費7兆円と言われているが、東日本大震災による住宅や道路、工場設備などへの直接的な被害額の試算は16兆円~25兆円。もし東海大震災があるなら、7兆円の使い道として「東名のバックアップ」よりも、「復興の足し」に確保しておいたほうが遥かに合理的だ。

どうも、今回のリリースはそのへんをかわすために持ち出されたように感じる。
140kmと100kmでは所要時間は相当違う。これはドライバーにとってかなり魅力的なことには違いないし、多くのクルマ好きにとってはワクワクする話だろう。騙されちゃいけない。

それにしても静岡県って、空港やら第二東名やら、巨額公共投資が大好きだよね。

首都高Xはやめたみたいですね

2011年11月06日 | 高速道路
首都高速が距離別料金を導入するにあたって、ETC未装着車は最高料金を入り口で支払わなければならない。
これを回避するために、電子マネーベースの料金収受システム通称「首都高X」というシステムの開発が進んでいた。 しかし、なんでこんな暴走ゲームみたいなコードネームにしたのかね。

コンビニ等で保証金を払って通信機器を貸与し、カードを作ってそれに課金。
入り口で係員にカードを手渡しすると最高額900円が引き落とされ、出口では自動的に割引額が記録される。
でもその割引額の入金はコンビニの端末でしか反映されない?スイカみたいな自動入金もなく、足りなくなったらコンビニや入り口で入金しなければならない。

ETCをつけていないユーザーからの批判をかわすというか、割引制度を確保するためにとても頭の良い人が一生懸命に考えた迷路のような仕組みで、そんなん無理筋だろ、と私は2007年に書いている。
しかし、本体はパナソニック(と聞いた)、電子マネーはEDYで着々と進んでいたようだったが、結局やめたらしい。
まあ、どう考えたってそんな面倒なことする位なら普通のユーザーはETCをつけるし、(いまや実売1万円を切っている)そこまで頻繁に利用しないユーザーは数百円高くても諦める。

首都高Xをやめたかわりに、首都高速はETCの装着支援をするという。普及の初期に行われていたのと同じ5000円補助。
でも、これだけの数量が普及しておりもうコストは5000円を下回っているだろう。
それを、民間業者の流通を介して15000円だかの価格で販売し、5000円を首都高が補助するというのはなんだかなぁと思う。

首都高距離別料金制へ移行・その理由の怪しさ

2011年11月05日 | 高速道路
首都高速のWEBページには、距離別料金制度への移行の理由として以下の3点が挙げられている。

1.ネットワークの拡大に伴い利用距離のバラツキの拡大及び短距離利用と長距離利用のお客様間における負担の不公平感が拡大してきたこと
2.ETCの整備により、出口料金所がなくても利用距離を把握し料金計算をすることが可能 となったこと
3.多くのお客様がETCをご利用いただく状況となったこと

しかし、2と3は距離別料金制への移行の環境が整ったと言っているだけで、移行する理由ではない。

したがって、首都高速㈱が上げている理由は、「お客様間の不公平感」だけなのだが、そんな消費者感情って、本当にいうほどあるのか?
いつも自分は5kmしか首都高を使わなかったのに、それよりもはるかに長い距離を使うユーザーと同じ金額を支払うことはけしからん、と思っているユーザーがどれほどいる?

更に言えば、首都高速㈱は3月に実施した公開意見調査では長距離の料金アップに対する反対が多かったのだが、それには答えていない。この料金改定によって不公平が是正されると考える「お客様」より、今回の料金改定を値上げだと考える「お客様」のほうがはるかに多いはずだ。

さらに、この改訂と共に首都高速の深夜・日曜割引も廃止になるという。

今回の料金改定は値上げではないと首都高速㈱はいうが、これは絶対に経営対策だろう。
それならそうとはっきり言いい、きちんと利用者と対話をするべきだ。

存在しない「不公平感」なんてものを理由にするのはおかしい。

首都高速の距離別料金制度、ついにやるらしい

2011年10月22日 | 高速道路
ついに首都高速の距離別料金制度が始まるらしい。10月19日にメディアが一斉に報じた。
「過去記事を消さない」47ニュースの同記事リンク

現在の700円定額制から500円~900円の距離別利用金となる。
利用者の3割にとっては値上げとなり、長距離利用で通勤をしている人にとっては日当たり400円の負担増となるこの料金改訂が、あまり大きな議論なく決まってしまうことに違和感がある。
まあ、当初の計画では400円~1200円とか言っていたから、それに比べればリーズナブルかもしれない。
しかし、前にも書いたけど首都高速はリンクの切れたくもの巣のような構造であり、道路の都合で遠回りするようなケースも多いのだから、単純な距離別料金制度が正しいとは思えない。

首都高速道路株式会社は、距離別料金についての意見募集をした。平成23年2月25日に意見募集をし、なんと平成23年の3月4日に締め切っている。
皆さんもご存知だと思うが、2月という月は28日までしかない。10日間もたたずに締め切っている。
その意見募集は高速道路の割り引き制度とセットになったものであり、首都高速の距離別料金制度についてフォーカスしたものではない。

で、その結果がこれ。(PDFです)
「距離別の上限が現行料金を超えるのはおかしい」という意見が1107件も出されている。
これに対する報告書はこれ
主文を読むと、高速道路の2000円上限制度のことしかかかれておらず、首都高の距離別料金に関する意見は見事に無視している。
そもそもこの報告書は、「こういう意見があった」といっているだけで「だからどうする、どう考える」という部分がまったくない。普通の会社だったら、こんな報告書を上げたら怒鳴られるね。

エクスキューズとしてきわめて形式的な意見募集はされているが、その意見はまったく無視されているのだ。

ところで、フェリカを使った複雑なキャッシュレス料金収受システム「首都高X」はどうなったのだろう?
2008年にはカードはEDYを使う、と発表されたから、なんらか進められているんだろうが、本当にあの仕組みを実行するのだろうか?

東北高速道路トラック無料、打切りで良いのか?

2011年08月22日 | 高速道路
国交省は、不正利用が多いことからトラック・バスに関する東北地方の高速道路無料化を8月末で打ち切ることにした。
報道によれば、「有識者から異論がなかったから」からだという。
その取りまとめを日本総合研究所の寺島実郎理事長が行ったということなので、この有識者とは「高速道路のあり方検討有識者委員会(PDF)」のことだろう。どうも被災地の産業代表の意見などは反映されていないように思われる。

そもそも、何故この制度を始めたのか?それは被災地の復興支援に他ならない。
その復興支援に対する効果は評価したのか?悪用する人間がいるからといって、やめてもいいのか?
逆に、やめてもいいというような程度の話なら最初からやらなければよかったのでは?
トラックの無料化は復興支援に必要なのか否か?なぜか国交省はそれには全く言及していない。

この制度が被災地と関係のない企業や個人に「活用」されてしまうことくらい考えるまでもなく判ることだろう。新しい仕組みやシステムを作る余裕はないので、そこまで織り込んで被災地復興支援をしようということだと、私は思っていた。

もし復興に必要ならば続けるべきだし、同時にどうしても不正利用を無くしたいのなら、何らかの証明書を発行すればいい。証明書は偽造できるという人もいるだろうが、それは違法行為。
でも今いわれている「悪用」は適法。ここに最大の違いがある。

更に言えば、「悪用」がなくならなければ無料化は打ち切る、と運輸業界団体に通告していたようだが、これはまったく意味が無い。そもそも団体に属するような企業はコンプライアンスがしっかりしている。
コンプライアンス意識のない人にとって「やめなければ無料化は打ち切る」という警告は警告になっていない。やめても何らインセンティブがない。むしろ、「なら打ち切りまで精一杯利用しよう」と思うくらいだろう。
損害を被るのは善意の利用者なのだ。

今回の国交省の一連の対応はしっくりこない。

東北高速無料、不正が減らないなら9月から中止って、それは違うんじゃないの?

2011年07月29日 | 高速道路
東北地方復興支援のため、中型以上のトラック・バスは東北道の白河、常磐道の水戸、磐越道の新潟中央の各インターチェンジ(IC)より北であれば走行区間すべてが無料となる仕組みになっている。

その結果、復興支援と関係ないトラックが、東北以外の地域から水戸や白河で一旦出て、一般道路でUターンし再度高速に乗る、という行為が増加している。磐越道から日本海側を通って京都に抜けるルートを使えばかなり遠くまで無料で走る事ができる。
実際、磐越道の大型トラック交通量は無料化以前と比較して8割ほど増えているらしい。

そんなこともあって、本日大島国交相は「この悪用がなくならないなら、無料化を8月末で打ち切る可能性もある」と発表した。

不正(と言っていいのか?仕組み上は禁止されているわけではない)が無くならなければ、正規に活用している人達を含めて中止するという。全く耳を疑う発言だ。
中学校の校則か?

そもそもこんな仕組みにしたら、こうした利用をするユーザーが出てきて当たり前だろう。
さらに、そこには明確なルールはなく、したがって違反行為ではないのだ。これは、一般車の被災者証明も同じ。

きちんとしたルールや対策・仕組みを決めず、当然予想されるべきであった結果に対して、「悪用がなくならないならそれはトラック業界の連帯責任だから全部中止だ」というような幼稚な対応しかできない政府って、一体何なんだろうと思う。

東北地方の高速道路無料は相当無理がある

2011年07月22日 | 高速道路
週末千円や、地方の無料化を中止するのと引き換え、という感じで東北地方の被災者の無料化が行われているが、料金所の渋滞が半端じゃない問題になっている。

そもそも、有人ゲートで被災者証明を提示する、って仕組みならこんなことが起きるって想像出来なかったわけがない。
さらに、自治体によっては無条件に被災者証明を出しているというが、これとて明確な定義をきめなければ、そうなってしまうのは自明のことだろう。

またトラックバスも無料対象になっているが、北関東辺りから西に向かって配送をする、東北とは全く関係のないトラックでも、一旦北上し、白河で「降りて、乗って」磐越道経由をつかえば無料で関西に抜けることが出来る。実際、そうしたトラフィックは確実に増大しているらしい。

ETC限定で、全車全時間東北域内は三分の一程度にするあたりが現実的だったのではないか?
今の仕組みだと、東北外から東北へはいる車に優遇がない。地域の観光振興にはあまり貢献しないばかりか、むしろ料金所渋滞を懸念して観光客が減ってしまうかもしれない。

有人ゲートで証明書提示なんてのが無理筋だってことくらい分かると思うんだけど。

高速休日1000円終了で不正通行は増えるのか?

2011年06月19日 | 高速道路
高速道路休日1000円が今日で終了するが、これにともなってETCの不正通行が増加するのでは、という懸念があるようだ。
MSN産経ニュース
新聞社のリンク先はそのうち消えてしまうので、概要を。

・「これまで千円で通行できていたのに…」。高くなる料金へのそんな反発心から不正通行が増加するのでは、と高速道路会社は懸念する。
・NEXCO西では、不正通行は平成19年度の12万642件がピーク。多くはETCを未課金で通過してしまう「うっかり突破」だが、1割程度は開閉バーを強行突破するなど常習性、悪質性の高いケース
・その中で「最も危険度が高い」(同社関西支社の担当者)のが、「カルガモ走行」と呼ばれる不正通行。
・カメラ監視や不正通行者を特定するチーム発足など、対策が徐々に成果を上げ、不正通行は減少傾向にあり、21年度には8万619件とピーク時の3分の2にまで減った。22年度はさらに下回る見込みだという。
・しかし、19日で休日上限千円や無料化実験が終了することから、NEXCO西は高くなる料金への反発などで「『うっかり』ではなく『故意』の不正通行が増加するのでは」と懸念。

以前から、ETC突破は悪意によるものではなくほとんどがカード入れ忘れなどの過失だろう、むしろカード入れ忘れや接触不良でゲートが閉まる現在の仕組みの方が危険なのではないか、と言ってきた。
そして、今回の記事で判るとおりやはり不正通行の9割は過失だった。

それはそうと、この記事を書いた記者はもう少し数学的なセンスを持ったほうがいい。
故意の不正通行は1割しかない。対策を行って故意の不正が完全に無くなっても、1割しか不正通行は減らない。「対策が徐々に効果を上げ、ピーク時の2/3にまで減少した」と言った時点でおかしいと思わなくてはいけない。
ユーザーの習熟やNEXCOによる各種入れ忘れ警告などにより過失による突破が減少している、というのが本当のところだろう。

では、1000円廃止で不正が増加するか、と言われるとこれは疑問。
カルガモ走行などの悪質な不正通行は利用頻度の高い業務車両に多く、土日1000円を享受していた一般のレジャーユーザーがそんな悪質な行為をするとも思えない。

高速道路無料化の凍結 6月19日から

2011年06月12日 | 高速道路
土日高速道路1000円走り放題と地方高速道路の無料化実験が、来週には静かに幕を下ろす。

そもそも土日1000円は2011年春までの暫定ということで当時の政権が決めたことだから、やめることについて誰も文句をいうことは出来ない。
それ以上に、被災地復興の資金確保という大義を前に、誰ひとりとして声高には反論が出来ない。
しかし、観光地の打撃は大きいと思う。

まあ、この土日1000円は無くなっても土日は半額になるので、通常の週末レジャー利用における高速道路の「値ごろ感」はある程度保たれる。
しかし、地方高速道路の無料区間については、無料になったインフラにまた課金が始まるわけで、ライフスタイルや事業計画に影響が出る人や企業も多いだろう。

この実験については、6ヶ月経過した今年3月はじめに国交省から報告書が発表されている。
これを読む限りでは、社会実験は成功しているように見えるのだが、この結果に対する評価や見解発表なく凍結というのがどうもよくわからない。

高速道路料金の行く末

2011年05月01日 | 高速道路
高速道路の料金は東日本大震災の復興費用捻出のため、早朝深夜・通勤・大口割引を除いて全て廃止されるらしい。らしい、というのは、未だに民主党内でも異論がくすぶっているからだ。

今回の料金の見直しでは、民主党国土交通部門会議が了承を見送ったまま、政府と党執行部が中止を決定。そこに東北地方の高速道路無料化が出てきたが、「誰がどこで何を決めているのか、わからない」(川内博史衆院議員)というような状況らしい。

無料化実験対象の道路は、並行する一般道との時間差があまりないので「お金を払ってまで使う価値がない」ような道路が主体だったと思う。こうした道路は、有料で事業が成立するという見込みが間違っていたわけで、でももうできちゃっているんだから、インフラの有効活用という意味で引き続き無料化すればいい。

そもそもこの施策は「実験」という名前が付いている。実験とは「理論や仮説が正しいかどうかを人為的に一定の条件を設定して試し確かめてみること」であり、必ずその結果報告が必要だ。結果が報告されないのであれば実験を行う意味はない。
しかし、残念ながら今回の発表にそうした評価の発表はない。

土日1000円の廃止も観光への打撃は大きいだろうが、それについての議論がみえてこない。

東北の高速道路は無料化するという事に関しては、直感的にはそうかな、と思うがこれとてどのような経済効果があるのかには言及されていない。私と同じレベルで直感的に言っているように聞こえる。

どうも民主党政権の高速道路料金をめぐる一連の政策からは、深く、かつ科学的に検証されたという感じがしないのだ。