ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

通信と電力

2011年04月02日 | 雑記
原発の是非とか、節電とか、電気に関する議論があちこちでおきている。
温暖化などの環境問題を別にしたとしても、化石燃料が有限である以上はそれに頼らない電気化が今後の規定路線であることは間違いない。

電気はクリーンなエネルギーだ、というイメージがすっかり定着している。たしかに自然発電に関する限りはそうだろうし、原発だって少なくともそれが安全であるうちはクリーンだった。
しかし、この辺の事情がここで変わってきている。

一方で、放送から通信へという流れを既定路線だという人が多い。
しかし、これはサーバーなどへの電気需要を大きく押し上げることになる。
今の勢いで通信需要が拡大すると2025年にはIT関連機器に電力消費は全体の20%に達するという総務省レポートがあったが、これは仮に原発事故がなかったとしても発電施設の拡充が必要な数字だ。
それを受け、ITによる省エネとか省電力サーバーなどの推進が言われていた。

でも、ここで考えたいのは、本当に今以上に通信トラフィックを増大させる必要があるのか、ということ。
日本中の家庭のテレビがHD画像をダウンロードして好きなコンテンツを楽しむとしたら、それはとんでもない通信トラフィックになる。そこまでする必要が本当にあるのだろうか?

さらにいえば、ITSの「車車間通信」。全ての車に通信装置を搭載し、車同士が通信でやり取りすることで事故を防止するという考え方だが、これだって相当な通信トラフックとそれを処理するサーバーが必要だろう。専門家ではないのでどの程度の電力消費かはわからないけど、レーダ技術や伝統的な信号機・路側表示の改善のほうが事故防止という意味でははるかに現実的だ。
車車間では歩行者との事故は防げないし、国民全てに通信機を埋め込むことは出来ない。
で、我が国の交通事故の特徴でもあるが、歩行者+自転車の死亡者は交通事故死者の過半をしめるのだ。

通信で実現出来ることは限りなくある。
でも、それが今よりどれだけ便利・安全になるかということと、それによるインフラ負担の得失がきちんと評価されていない様に思う。