ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ITSスポットサービスの利用者評価

2012年08月19日 | ITS
国交省は、ITSスポットの運用開始から一定期間が経過したということで、利用者からのアンケート調査を実施し、その内容を国土技術政策総合研究所のアニュアルレポートの中で発表した。(なぜかA41ページのPDFが1.5メガもあって、中国からだとなかなか開かない。)

書いてあることは以下のとおり。

700人のモニターに合計3回インタビューを実施した。
モニターは一般ドライバー、団体職員(商工会議所、トラック協会等)、バス・タクシー等の事業者、レンタカー利用者、行政関係者等。
サービス開始から間がなかったので、モニターの多くはサービスを経験していない。
具体的には700人のモニターの中で、ダイナミックルートガイダンスは153人、安全運転支援情報は192人しか経験していない。

そのうち、ダイナミックルートガイダンスについては非常に役立ったが20%、やや役立ったが51%。
安全運転支援情報は非常に役立ったが37%、やや役立ったが38%。

調査結果では、非常に役立ったとやや役立ったを合計し、概ね7割の肯定的回答が得られたと結論つけている。
一方で、この調査対象者をみるに、自腹を切って機器をつけている運転者はかなり少ないのではないか、と推察される。

ルートガイダンスにしても、安全運転支援にしても、この装備に対するトレードオフは存在しない。
例えば、この装備を使っている間はラジオを聞けないなどの条件は存在しない。プラスの要素しかないから肯定意見が過半を占めるのはまあ当然といえる。
しかし、実際の市場では「払った対価」というトレードオフがある。
実際に3万円のITSスポット対応ETCを自腹で装着したユーザーへの調査がどうなるのかが気になるところ。

調査の結論は、「7割が肯定しているのでサービスはOK。あとはこの調査を通して得られた評価を一般ドライバーに情報提供し、普及を進めるのだ」としている。
しかし「やや役立った」と回答した人が3万円を出費するとは考えにくい。
私には、この程度の肯定評価の商品が3万円で売れるのか、という事のほうが課題だと思う。