ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

高速道路での大型トラックによる追突事故

2013年08月03日 | 高速道路
先日、名古屋の高速道路で走行車線に止まった車に大型トラックが追突し、子供がなくなるという痛ましい事故が発生した。
走行車線に止まるのがいけないのだ、という人もいるかもしれないが、レンタカーで奥さんが運転していたということなので、急にトラブルが発生した時に路肩に寄せることができなくても仕方がないだろう。都市部の若い人を中心に車を持たない派が増えるなかで、こうした事故は増えると思う。

どんな理由であれ、追突はしたほうに責任があるのでトラック運転手の責任は免れない。しかしこうした事故は、何か普通と違う状況が発生したことに起因しており、起きやすい過失であることは間違いない。

大型トラックが高速道路で乗用車に追突すると、死亡重大事故につながる可能性が高い。乗用車同士と比べて死亡事故になる確率は10倍以上と言われている。
事故死者を減らすための課題としてはかなりプライオリティが高いはずだ。
最近、TVで盛んに宣伝されているように、レーダーとカメラ認識技術による追突軽減ブレーキは技術的には確立している。
大型トラック用も既に商品としては存在する。価格は50万程度であり、「運送業者の負担」が問題にされているようだが、業務用装置で50万円の投資、しかも死亡事故に対する保険と考えれば金額的に問題となるものではない。
トラック用は完全に安全に停止するまでの技術が確立されていないようだが、それでも軽減効果はあるだろう。

国交省もようやく装着義務化の方針を出したらしいが、遅すぎる。
現時点ではほとんど死亡事故軽減に寄与しない「路車間、車車間通信によるITS」なんかより、こうした自律型ASV技術へ援助や運送業界への補助金のほうが税金の使い道としてははるかにプライオリティの高い案件だったんじゃないか?

ITSは、「前に止まっている車があるよ」ということを路側センサー(若しくは車載通信機)か察知し、通信で後方車の車載器に警報する。専用車載器があまねく普及するまでは機能しない。それ以上に、なぜそんなまどろっこしいことをしなければならいのか。路側表示で注意を促し、車載レーダーで警報を出すほうが確実で手っ取り早い。
今やっているITSは「車と通信の融合は既定路線である」、という固定概念から抜け出せず、また産学官で進んでいるプロジェクトを止める事もできずに空気で進められているだけだろう。一旦リセットしたかどうなのか。今年の10月に東京で行われるITS世界会議でも、実効性の低い我が国の取り組みなんてたいして注目されないだろう。
-----
以上は10年近く続けてきているITSを疑うの根源的な指摘の一部です。私が指摘し続けている通り、通信を使ったITSは10年たっても一向に普及していません。