ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

清水草一氏のETC2.0体験記事

2016年04月09日 | ITS
乗り物ニュースに高速道路に詳しいモータージャーナリスト清水草一氏のETC2.0 に関する記事が掲載されている。
ETC2.0試してわかった問題点
清水氏はETC2.0 に対して以前から懐疑的な意見を出されており、私としては心強い。
最近国沢光宏氏も自身のブログで同趣旨のことを書かれている。

私は上海にいるためETC2.0を試す事ができない。
いれば購入し確認したと思う。実際以前光ビーコンや電波ビーコンを装着し、その価格に見合うほどの価値はないことを身を持って体験している。

清水氏は装着された感想をこの記事で述べられている。
まず、SAや道の駅のITSスポットだダメダメだという件。これはやる前から想像できた話で、これも以前からさんざん書いている。
そもそも官製サイトが魅力的であった試しがないが、誰も観ないんだから更新すら全くされていない状態だろう。

渋滞回避については、こればかりは体験しないとわからないので批評しなかったが、やはり大した使い勝手はないと氏はいう。
プローブによる渋滞情報はGoogleが無料で提供しており、それに対して相当のアドバンテージがなければ消費者はお金を払わない。Googleのほうが優っているのであれば、これはもうどうしようもない。

安全運転支援については、参宮橋実験のころから徹底的に批判してきたが、やはり氏も「気休め程度」とおっしゃっている。

唯一残されたメリットは割引で、それも圏央道だけ。しかも首都圏を回避したルートを選択した場合のみでありこれの恩恵がある人は限られる。
というか、この割引というメリットも普及促進のための「餌」で、意図的にETC2.0だけに提供されている。技術的には現行ETCでも割引は可能だ。
この先この「餌」を首都高速などでもばらまくとしたら、2.0に限定する理由は更に追求されなければならない。

なぜ国交省はこのユーザーに全くメリットがないETC2.0を推進したいかといえばその理由は2つ。
一つは、ETC2.0はGPS位置情報を一緒に官のサーバーにアップリンクすることから、その交通情報を自前で手に入れたい。
邪推すればNシステムに代わる国家セキュリティに使いたいという思惑があるのかもしれない。
二つ目は、やはりここまでお金をかけてインフラを整備した以上引き返せない。

しかし、もうすでにプローブ情報は民間に存在し、コストをかけ、さらにドライバーへの余計な負担を強いて自前の情報を持つ必要はないだろう。
国家セキュリティであるなら、それは相当に厳しい議論を巻き起こすだろうし、プロフィットモデルによる普及は成立しなくなるが、しかし正々堂々と公にすすめるべきだろう。

石井国交大臣 ETC2.0についてのコメント

2016年04月09日 | ITS
レスポンス記事。
ETC2.0の普及「徐々に」・・石井国交相

徐々に、というのはまあ何をどうしてもそうしかならないだろうからコメントはない。

気になったのはこの記事のなかに、そのメリットとして
「将来登場するであろう経路選択割引や高速道路の広域渋滞情報の収集に役立つと期待されている。道路の維持管理にも効果を発揮する。」
と書かれていること。
経路選択割引はGPS経路情報がなくとも、現行ETCでスポット通過情報を把握できるんだからで技術的にはできるはず。
渋滞情報収集はそれはもう通信によるプローブで実現している。ETC2.0でデータとらなくても民間から買えばいい。
道路の維持管理への効果ってのがよくわからないが、経路誘導で道路損傷をコントロールするのか、または車両の挙動から損傷を把握するのか?
どちらにしても今そんなに深刻に困っているとも思えないし、ETC2.0でなくとも対応できる。

すでにほぼ飽和状態まで普及している現行ETCを置き換えてまで実現する必要があるメリットには見えない。

このレスポンスの記事では、日本のETCがガラパゴスであると書いてある。DSRCを使う方式自体は別にガラパゴスではないが、日本のETCの仕様はコストが高く結局海外への売り込みがほとんどできなかったことはその通り。
そもそもコストが高い理由はETCが商業決済まで出来るようにその基本的な仕様を決めたからだと思うが、それは全くの絵空事だった。これはちょっと考えれば誰でもわかることで、このブログでは昔から指摘している。
そんなETCがやっとこさ普及した訳で、さらに2.0なんて展開する必要なんて無いんじゃないか。

中国では常識だけど日本人は誰も知らない「上火」

2016年04月09日 | 上海生活
先週、ツイッター方面で「上火」が話題になった。
中国人妻が上火を日本語ではなんというか、という質問を旦那にして、日本にはそんなコトバも概念もないことを知ってびっくり、というような話。

上火というのは漢方の概念で、「体の中に熱がたまりそれにより様々な症状がでる状態」。熱がたまるといっても発熱とは別らしく、熱はでない。
主に食物によりそれは起こり、肉や辛いものは上火の原因となるので、中国人はそれを下げる野菜や豆腐製品を一緒に食べる。メニュー選びでは結構これを気にしている。

中国人に聞くと、若い人でもこれを常識として知っている。
日本人は上火にならない、だから意味がわからないというと、「そんなはずはない、何人だろうが人間だからなるはずだ」という。実際中国人は「風邪をひく」ように誰でもしょっちゅうなるようで、上火を下げるといわれる「加多宝」「王老吉」という缶入り薬草茶の売上はコカ・コーラを上回る。

これについてうちのスタッフ数名から話を聞いて理由がわかった。

上火は体に熱がこもるからそれが「扁桃腺の晴れ、ニキビ、吹き出物、口内炎、鼻血」となって噴出し、また熱が水分を奪うから「便秘」になるという。

つまりこういうことだ。

ここに上げた症状は個々に言えば何人であろうと年に数回は経験する。
これらの症状のうちひとつでもでると中国人は「上火になった」と思う。
中国人以外はそれらの症状に関連があるとは思わない、ということ。