ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

i-dioとエフ・エム東京の闇

2019年06月25日 | モバイル・ウエアラブル

V-Lowメディア「i-dio」といってもほとんどの人が知らないだろう。
テレビがアナログからデジタルに変わった後、総務省はアナログテレビが使っていた電波帯を様々な事業に振り分けた。
既に撤退してしまった携帯でみるテジタルTV「Nottv」もその一つ。

i-dioはエフ・エム東京が主たる事業者として2016年に開始されたデジタルラジオ放送だが、知名度がないどころか専用受信機すらまともに販売されておらず、主要チャンネルの一つだったアマネクチャンネルも4月に撤退したという悲惨な状況になっている。当然損失も相当なものだろう。

そのエフ・エム東京、5月の決算を前に「会計、内部統制上の問題があった」として決算報告を延期、第三者委員会を設置して状況を調査するという。また、会長、社長をふくむ役員6人が一斉に退任してしまった。

会計、内部統制上の問題が何であるかは明らかにされていないが、「過年度決算における連結対象範囲の判断など」と、どうやらこのi-dio事業が関係しているらしい。内部統制の問題+第三者委員会という場合、一般的に会計上の不正があったことを意味する。想像できるのは子会社であるi-dio事業の損失が適切に連結処理されていなかったということではないのだろうか。

i-dioはデジタルTV放送のNOTTVが撤退するという「絶妙」なタイミングでスタート。すでにインターネットラジオのRADIKOもあり、デジタルとはいえいまさら電波をつかった放送に誰もが首をかしげた。しかも専用の受信機が必要というハードル。既存のラジオやスマホで音楽が聴けるのにわざわざ専用チューナーを買ってまで聴きたくなるコンテンツを提供できるとは誰も思わないだろう。

この、アナログテレビの跡地の活用は総務省の管轄。当時関わっていたのは櫻井パパ。テレビに続いてラジオもデジタル化、というのは世界的にはそうなんだけど、すでにネットの普及でそれは意味をなさなくなっている。2016年の段階で無理だという判断ができなかったとしたら相当問題だ。

実際にはエフ・エム東京内部では反対論が大きかったようだ。(考えすぎかもしれないが、末尾にtをつけるだけで「愚か者」になってしまうi-dioというネーミング自体、無理だと思ってた担当者の抵抗なのかもしれない)
しかし、総務省の意向をうけてラジオのデジタル化を信じて突き進んだ経営陣がいたということらしい。
今回その経営陣が退陣するわけで、これはある意味撤退への布石かもしれない。

ただし、i-dioは地域別に異なった情報を流せるという特徴から自治体の防災ラジオとして採用されており、それが足かせになってしまう恐れもあり前途は多難だ。


上海高島屋、やっと撤退

2019年06月25日 | 中国生活

このブログで何回も「一刻も早く撤退するべきだ」と書いてきた上海高島屋がやっと撤退する。
日経新聞記事リンク

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「開業(2013年)直前に中国全土で大規模な反日デモが起きるなど、想定通りの売り上げを確保できなかった」というのは単なる言い訳。
過去記事でも繰り返し指摘しているように立地選定を誤ったのが最大の原因だろう。誇張なしに「お客より店員のほうが多いデパート」だった。

ただ、上海の百貨店事業は完全に飽和状態にあり、もし最高の立地で始めてたとしても「日本ブランドでござい」だけでは成立していなかったと思う。

撤退は正しい判断だと思うが、なぜその決断にこんなに時間(7年)をかけてしまったのか?オープン1年くらいで無理だと判断できなかったのか?少なくとも傍観者である在留邦人は全員そう見ていた。

こうした判断は中国企業は速い。だめだと思うとすぐ撤退する。高島屋は無駄な出血を続けてしまったということになる。