スマホナビの性能が向上し、事実上カーナビ同等の使い勝手になって来ている。それなのに我が国のカーナビ市場は一貫して対前年プラスで推移しており、2019年上半年でも対前年103%(JEITA)だという。なぜカーナビ市場は消滅しないのだろうか?
カーナビ市場というと一般的にはカーショップで販売されているカーナビを思い浮かべるかもしれないが、しかしこの市場はすっかり冷え込んでいる。実際市販ナビ国内大手メーカーの中でパイオニア、クラリオン、アルパイン、富士通テンは自力での生き残りができず外資などに経営体制が変更されている。
この理由はまさにスマホナビによるものだろう。ナビがついていない車にお金を出してナビをつけようという人はもはやいないのだ。
ではなぜカーナビ市場はそれでも拡大しているのか?
答えはメーカーでの標準装備が拡大しているということ。
次の疑問は、なぜこれだけスマホナビが普及しているにもかかわらずカーメーカーはナビゲーションを標準装備するのか、ということになる。
ナビゲーション機能のない液晶画面付きカーオーディオを「ディスプレイオーディオ」と呼ぶ。すでにもう6-7年前には登場しており、これにアップルの「Carplay」やアンドロイドの「AndroidAuto」という接続を使うことでスマホナビが車載画面で使える。当時はこれでカーナビは絶滅する、アップルが車のエンタメも支配する、というような論調が一般的だった。
しかし、2013年2月の当ブログ記事、「ディスプレイオーディオ(DA)の時代は来るのか?」でも予測した通り、いまだにディスプレイオーディオは決して一般的ではない。
それはこういうことだ。
安全性が重視されるようになり、リヤビューカメラの装備が一般的になってきた。リヤビューカメラには液晶画面が必須となる。したがって軽自動車をふくめ、ほとんどの車が液晶画面を標準で備えるようになった。さらに、この先車内の表示系をすぺて液晶にする「eコクピット」化も進むと予想される。
ナビ機能自体はハードウェア的には相当こなれてきており、液晶画面がすでについていればその(ハードウェアとしての)コストアップはたいしたことはない。
一方で、液晶画面がついているのにナビ機能がないと販売現場で非常に売りにくい。ユーザーは液晶画面にナビ機能を期待するし、スマホ連携機能があっても自動車営業マンにとっては説明は結構厄介なのだ。さらに未だにガラケーの人や、スマホでもアプリインストールなんかしない人はまだ沢山いる。ディーラーはナビ付きのほうが売りやすい。
なのでカーメーカーが敢えてナビ機能をはずしたディスプレイオーディオにするということは今後もないだろう。そういった車もでてくるだろうが、ディーラーオプションでナビユニットをつける前提になってるはずだ。
スマホナビを使いたいユーザーもいることから、将来はよっぽどの廉価仕様をのぞけば「スマホ連携機能もついたカーナビが標準装備」ということになるのではないか。