新500円玉が自動販売機で使えない問題というのが発生しているようです。対応するのに費用が掛かるし、それ以前に半導体不足で対応ができないということで結構な自販機が新500円玉使えません、状態のようです。
そうはいっても最近の飲料自販機はたいていスイカなどの交通系キャッシュレス決済機能(以下、Felica)がついていて、この先2024年には新札もでるしいっそ自販機なんかはFelicaだけにしちゃえばいい、という議論もあるかと思います。
日本におけるキャッシュレス決済はFelicaが先行しました。この手の「近距離無線通信」は入門証カード等で一般的で、NFCと呼ばれて世界中で使われています。
FelicaはNFCの一種ですが、日本独自規格で実は日本と香港でしか使われていません。一般的なNFCより高速で信頼性が高いのが特徴です。
実際私も上海では交通カードという一般的なNFCのカードを使っていましたが、読み取り速度、精度ともスイカより劣るものでした。
しかし、日本独自ということが足かせにもなっています。この手の技術で先行するけど、主にコストの問題で世界スタンダードにならない、ってのは日本のお家芸ですね。
でも、ここでお話ししたいのはFelicaがグローバルスタンダードにならなかったということではありません。それはそれで残念なんですが、NFCには限界があるんです。
日本でもQRコード決済が普及してきましたが、中国ではAlipayとWechatpayの2つのQRコード決済が主流です。
これに対して、Felicaのほうが「手軽、早い、セキュリティに勝る」のですぐれている、ということを言う人がいますが、そんな単純なことではありません。
中国のQRコード決済は商店での会計に加え、通販決済、公共料金支払い、自転車、モバイルバッテリ、マッサージ機等のシェア、自動販売機、タクシーの配車から支払い、レストランの予約、注文から支払い、高速道路支払い、駐車場、出前の支払い、友人同士の割り勘等、ほぼ生活のすべてをカバーしてます。完全に「エコシステム」が構築されており、レジでの決済はその中のごく一部に過ぎないのです。
この環境は経験しないとわからないと思います。レジでの支払いだけを切り取ってキャッシュレスを語ってもあまり意味がありません。
Felicaに限らず、NFCの場合はリーダーが必要になります。基本的にはリーダーが設置された設備での支払いにしか使えません。拡張性がないんです。一方QRコードは表示するだけでいい。中国では物乞いがQRコードを表示している、と話題になりましたが、そういうことなのです。
日本はFelicaが先に存在し、レジでの支払いに関しては早く便利だからQRコード決済が普及しない、したがって生活全般に拡張できない、という残念な状況になっています。
さらにQRコードもXXペイが乱立し、エコシステムどころではありません。店によって使える使えない、なんてのは論外です。
単なる顧客囲い込みだけを目的とし、生活のすべてをカバーするエコシステムを構築するというビジョンがないXXペイはさっさと市場から退出するべきでしょう。