平成8年5月
3日・石裂山 → 10:00(入山)~14:50(下山)
4日・方塞山 → 9:00(入山)~12:00(下山)
加蘇山神社に入山と行程の無事をお願いし林道を荒井川の支流に沿って
加蘇山神社・下の宮へ向かった。何時の山行でも第一歩を踏み出す緊張感は
いいものだ。 冷気に寝不足の体が引き締まる
(略)
寄り添う沢の澄んだ水は飛沫を上げながら滑や小滝を作り大気の香りと
まだらに注ぐ春の陽光に五感をくすぐられながら進むと、やがて
龍ヶ滝を右に抱えた休憩所に着いた
滝は2段になって落ちている様だが木々に邪魔され全容を見る事は出来ない
(写真の滝は落差4mの清滝)
左にせせらぎを聴きながら緩く登ると前方に高さ23メートルあまりは有る
天然記念物の千本桂が見えてきた
側へ近づくと一つの株から数えきれない程の成長したヒコバエ一体となり
巨樹となって天に向かって伸びていた
行者返しの岩場
奥の院の一枚岩と奥の院
痩せ尾根と髭剃り岩
(記述は略)
尾根へ突き当たった所で左にジグザグ道を進むと指導標の有る主稜線に
飛び出す 登りも一服してやがて東剣ヶ峰に着いたが犬を連れていた家族が
休んでいて、うっかり見逃してしまい気付かぬまま通り過ぎてしまっていた
直ぐにまた鎖の下降が始まった。いよいよ私の番
だが、ここの鎖が掴みづらい嫌な鎖だった こうなったら三点支持と思い
軽業もどきで下降していると上から鎖を持って!と女性の叱咤
“どんな降り方をしようと別にいいじゃない”と心で思いながら
急下降を終えて登り返すと西剣ヶ峰に着いた
(略)
ここからの展望は申し分ない
ただこの辺りの山々は私達にとって未知の領域であり展望図と照らし合わせ
「だろう」「かもしれない」と言った同定にならない同定に終わった
近くに居た登山者達も「さぁ・・・」と頼りない
西剣ヶ峰でランチタイムとし20m程の梯子で折角登った高度を捨てる様に
御沢峠に下れば石裂山への本格的な登りになった
石裂山は月山への縦走路から外れた所に在り樹林に囲まれて好展望では
無かったが男体山を始めとする日光連山が立木と立木の中に
スッポリ納まる形で望まれた
月山に向かう尾根上はカタクリの群生地らしく名残の花を二つ三つ残して
まだら模様の葉が犇めいている
石裂山塊の最高峰月山からの眺望は素晴らしかった
左からベットリ雪を付けた日光白根、男体、大真名子、小真名子、女峰等々が
五月晴れの強い陽光を浴び銀色に輝いている もう、ここからは下るだけだ
皆が腰を上げる中、横木に腰を下ろし修験者達も眺めたであろうこの風景を前に
至福の一時を噛みしめながら温かいコーヒーを味わった
月山からは木の根が剥き出しになった急斜面を木に掴まりながら一気に下った
滑りやすい赤土なので気が抜けない 一旦、坂は緩み手入れの行き届いた
檜林に入るがそれも長くは続かず谷底に向っての急坂を強いられる
どの位、下っただろうか とにかく激しい下りの連続だった
水筒の水は飲み干し喉はカラカラだ
先行のパーティを次々に追い抜いて漸く水場に着いた
「ここの水は美味しいですよ」と教えてくれた言葉に雄さんが水筒に汲んで
くれた水を喉を鳴らしながら飲んだ 箕輪の水も美味しいが
やはり自然の中で飲む水は一味違う この先で龍ヶ橋から登って来た道と合流
下の宮方面で山菜取りをして来たと言う土地の人達(手には鹿の角)や
真岡から来たというご夫婦と話しながら駐車場に戻った
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その夜は河原に近い木立の中でテント泊
予定としては古賀志山へ登る事になっていたのだが真岡の御夫婦にの薦めで
急遽古峰高原~方塞山に行く事にした
ここは天狗の庭
一汗掻いた頃三枚岩に出た
中を覗くと不動明王が祀られ蝋燭が燈されていた
ここは出流山から男体山までの修行路の途中に有るとの事
水場で喉を潤し先に進むと時期にはさぞかしで有ろうツツジの群生地が有り
そこから一旦下って登り返した地点にベンチが置かれ遠慮深げに
方賽山と書かれた標識が在った そのまま通過してしまいそうな山頂だ
三枚岩に戻ると白装束の人達がお堂の扉を閉めているところだった
普段この扉は閉められているらしく丁度、居合わせた私達は幸運だったのだ
足尾を望むベンチに座りコーヒーを飲みながら羊羹を食べた
見あげる空にウロコ雲が出てきた 天候はどうやら下り坂に向かっているらしい
たっぷり休憩を取り腰を上げた時、行きには気付かなかった
男体山が樹林の上に雄々しく聳えているのを
私は振り返り振り返り眺めながら帰路に着いた
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