見知らぬ社長

「本部のＸＸです」

知らない名前だが、本部に知った名前などほとんどいない。

「ご苦労様です」

「社長、行ってますよね」

えっ、社長来るなんて聞いてない。

来るならもっと大騒ぎになるはずなのに。

わたしが知らないだけで本当は来てるの？

しかし周りの人に聞いても誰も知らないし、もちろん誰も社長を見てないという。

「お見えになってないようですが」

「え～、そんなはずないよ。社長の桜井さんだよ？」

えっ、うちの社長、桜井じゃない。

わたしの知らないうちに桜井さんって人が社長になったの・・・？

まあ、最終的に間違い電話だったのだが。

うちの近所の会社で、電話番号がひとつしか違わなかった。

おかげで知りたくもなかったよその会社の社長の名前を覚えてしまった。