はたで見るほど楽ではないのが実態:
昨日TPPを論じて、以下のように述べました。
<これは「商社から適切な人材を引き抜いてくれば良い」等という安易な話ではないのが実態。既に高額な給与を得て言わば安住の地で活躍している人材が「何時まで”job security”が保証されるかも不明な外国の会社」に敢えて転身するかだ。>
そこで、私が知り得た限りの総合商社とアメリカの会社(外資系ではありません、アメリかそのものです、念のため)の実態を述べてみます。
総合商社論:
商社には優秀な人材が数多く集まっているのは論を待たないのですが、私は世間で考えられメディアで勝手に報じているほど商社は優雅でも極楽でもないと認識しています。それはそこには大手製造業のような整った福利厚生が準備されている訳はないようなのです。例えば、海外勤務から帰国すると社宅が用意されていないことが多く、自力で探すのです。その諸経費と家賃等は給与に含まれている、福利厚生費は自己負担出来るだけ給料が出ていると言う意味か。
海外の支店長乃至は代理の適齢期が近付いても支店長以外では転勤は受けないとまで言う豪の者もいました。それは支店長だけが社宅でガソリン代も会社持ちですが、それ以下は自分で家を探し家賃を負担し、交通費(ガソリン)は自己負担です。回避する意味も解るというものです。しかも、本部に戻ってきた時の然るべき地位は空きがあれば幸運で、さもなくば子会社行きも。また長年の海外暮らしで浦島太郎化していれば使い物にならない場合もあるやに聞きます。
仄聞するところによれば、ある商社では40歳前後の課長代理級で年俸2,000万円見当、課長ならば3,000万円、部長ともなれば4,000万円と思っていても良いとか。これでは外資が我が国に新規参入して適切な人材を商社に求めるなどは無謀かと思ってしまいます。商社より高給で優遇せねばならないならば、本国の本部長か副社長級の年俸になってしまうのでは。私はあり得ないと思うのです。
アメリカの会社:
一方のアメリカの会社ですが、私が転身した1972年の時点でも「高給の商社からは容易に引き抜けないので紙パ業界からならば・・・」という言わば悲しいようなとも言える、聞きたくもないような裏話を聞きました。私は商社の仕事の内容を知り得る立場にありましたから言えますが、製造業と対比すれば仕事の内容が異なるので一概に比較は出来ませんが、遙かに激務であると言えるでしょう。
アメリカの会社は商社とは異なった意味でも、彼らとは比較にならない精神的にも肉体的にも激務でした。この点はこれまでに繰り返し指摘したことなのでここで敢えて詳細に触れません。そこでは我が国の会社では余り類がな「如何にして失職することなく生存するか」という難しさがあります。即ち、人事権という「生殺与奪の権」は事業部本部長のみの手中にあり、彼は”I don’t like you.”という解りやすい理由で何時でも部下を馘首出来るのです。
ここまで極端な理由ではなくても「昨日までで君の仕事は終わった」という紙一枚で馘首された実例は幾らでも見てきました。彼らはそれに逆らいません。何故ならば、それが社会通念で受け入れられている国であり、社会なのですから。
更に、アメリカの組織では一つの職(仕事)を二人でというか正と副の二人で担当することは先ずありません。身代わりはいないのですから、短期・長期の有給休暇は自己責任で計画的に取れますが、病欠などは以ての外です。草臥れたの辛いだの厳しいだのと泣き言を言えば「ならば辞めれば良いじゃないか」の一言。これは脅しでも何でなく現実にアッサリとなります。「じゃ、貴方は何で転身したのか」とお尋ねですか。それは「アメリカの実態を知らなかったから」だけでした。
結び:
申し上げたかったことは「このような相互の企業社会における文化の違いを弁えずに外国に進出するとか、外国の会社に転身するとかは、時と場合によっては極めて無謀なことになり、所期のあるいは希望か見込んでいた結果が得られないことになる」という点でした。
昨日TPPを論じて、以下のように述べました。
<これは「商社から適切な人材を引き抜いてくれば良い」等という安易な話ではないのが実態。既に高額な給与を得て言わば安住の地で活躍している人材が「何時まで”job security”が保証されるかも不明な外国の会社」に敢えて転身するかだ。>
そこで、私が知り得た限りの総合商社とアメリカの会社(外資系ではありません、アメリかそのものです、念のため)の実態を述べてみます。
総合商社論:
商社には優秀な人材が数多く集まっているのは論を待たないのですが、私は世間で考えられメディアで勝手に報じているほど商社は優雅でも極楽でもないと認識しています。それはそこには大手製造業のような整った福利厚生が準備されている訳はないようなのです。例えば、海外勤務から帰国すると社宅が用意されていないことが多く、自力で探すのです。その諸経費と家賃等は給与に含まれている、福利厚生費は自己負担出来るだけ給料が出ていると言う意味か。
海外の支店長乃至は代理の適齢期が近付いても支店長以外では転勤は受けないとまで言う豪の者もいました。それは支店長だけが社宅でガソリン代も会社持ちですが、それ以下は自分で家を探し家賃を負担し、交通費(ガソリン)は自己負担です。回避する意味も解るというものです。しかも、本部に戻ってきた時の然るべき地位は空きがあれば幸運で、さもなくば子会社行きも。また長年の海外暮らしで浦島太郎化していれば使い物にならない場合もあるやに聞きます。
仄聞するところによれば、ある商社では40歳前後の課長代理級で年俸2,000万円見当、課長ならば3,000万円、部長ともなれば4,000万円と思っていても良いとか。これでは外資が我が国に新規参入して適切な人材を商社に求めるなどは無謀かと思ってしまいます。商社より高給で優遇せねばならないならば、本国の本部長か副社長級の年俸になってしまうのでは。私はあり得ないと思うのです。
アメリカの会社:
一方のアメリカの会社ですが、私が転身した1972年の時点でも「高給の商社からは容易に引き抜けないので紙パ業界からならば・・・」という言わば悲しいようなとも言える、聞きたくもないような裏話を聞きました。私は商社の仕事の内容を知り得る立場にありましたから言えますが、製造業と対比すれば仕事の内容が異なるので一概に比較は出来ませんが、遙かに激務であると言えるでしょう。
アメリカの会社は商社とは異なった意味でも、彼らとは比較にならない精神的にも肉体的にも激務でした。この点はこれまでに繰り返し指摘したことなのでここで敢えて詳細に触れません。そこでは我が国の会社では余り類がな「如何にして失職することなく生存するか」という難しさがあります。即ち、人事権という「生殺与奪の権」は事業部本部長のみの手中にあり、彼は”I don’t like you.”という解りやすい理由で何時でも部下を馘首出来るのです。
ここまで極端な理由ではなくても「昨日までで君の仕事は終わった」という紙一枚で馘首された実例は幾らでも見てきました。彼らはそれに逆らいません。何故ならば、それが社会通念で受け入れられている国であり、社会なのですから。
更に、アメリカの組織では一つの職(仕事)を二人でというか正と副の二人で担当することは先ずありません。身代わりはいないのですから、短期・長期の有給休暇は自己責任で計画的に取れますが、病欠などは以ての外です。草臥れたの辛いだの厳しいだのと泣き言を言えば「ならば辞めれば良いじゃないか」の一言。これは脅しでも何でなく現実にアッサリとなります。「じゃ、貴方は何で転身したのか」とお尋ねですか。それは「アメリカの実態を知らなかったから」だけでした。
結び:
申し上げたかったことは「このような相互の企業社会における文化の違いを弁えずに外国に進出するとか、外国の会社に転身するとかは、時と場合によっては極めて無謀なことになり、所期のあるいは希望か見込んでいた結果が得られないことになる」という点でした。