新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

多忙だった10月24日

2015-10-25 11:08:12 | コラム
杉山蕃氏の講演は誠に印象深く感動的だった:

NPBの日本シリーズ:
24日は六本木の国際文化会館で開催された第1008回目の武藤山治記念講座で元統合幕僚会議議長・杉山蕃氏の講演を聴いてその感動を共に参加した方々と六本木ヒルズのホテルコーヒーショップで語り合って帰宅すればヤクルト対ソフトバンクの日本シリーズが始まろうとかという時刻だった。当方はそもそもヤクルトはソフトバンクの的ではあるまいとの予想を立てていたので、残っていた杉山氏の講演の感動に押されて観戦に全く集中できなかった。

試合が始まるやいなや例によって感じた閃きでは「これは駄目だ」というもので、更にソフトバンクは四番打者の内川が何故か負傷欠場と聞くに及んでシリーズ全体の行方まで見えてしまった。それは過去に何度かそういう例があったことで、中心となる者が何らかの正当な理由で欠けた場合、それが大きく戦力を削ぐことはなく、残った者が何としてもその穴を塞ごうと決起するので所謂「一丸」となった結束力が増すもので結果として勝ちをもたらすのだ。

しかもヤクルトの石川が一回で六連安打を受けて3点を失った辺りで交替させる時期を誤った真中監督の采配を見せつけられた時点でこの試合の結果が見えたので観戦を止めて、一日中今年初めてとでも言いたい強行日程になってしまったたことも手伝った眠気に襲われて早寝にしてしまった。

そもそも六本木まで行く往路で、山手線新大久保駅のホームに上がった途端に「線路に人が立ち入った」為に内・外回りとも運転中止とアナウンスがあり、急遽大久保駅まで全力歩き総武線で代々木まで行きそこから大江戸線で麻布十番まで行かねばならない羽目に陥ったのだった。これは物理的のみならず心理的にもかなりの思わぬ負担となったので「大丈夫かな」と少し不安になった次第。

杉山蕃氏の講演:
演題は「今後の防衛のあり方」で穏やかな口調で語られた内容は穏やかではなく、言うなれば「平和ボケ」に安住しているだろう一部の国民や安保法制案を「戦争法案」だの「子供や孫を戦場に送るな」などと世迷い言を言った野党、左翼学者と評論家、愚かな学生たちにも聴かせてやりたい警鐘を鳴らすものだった。私は在職中からメモをとらず聴くことに集中し後は記憶力に頼って纏めてきたが、昨日は知らない分野の事柄故に少し書き留めた。

そのメモの中から私が要点だと思うものを書き連ねていこう。杉山氏が配布されたレジュメの「結言」は「平和と独立に対する国民の決意」とあり、そこで述べられたことは順番が逆かも知れないが、そこから入っていく。

*わが国は工業・産業立国であり、科学的技術を中心に置く防衛をすること、

*日米同盟、それも嘗て同氏がアメリカの代表と協議して纏められた「日米共同作戦計画」が中心となるし、その充実を図る、

*わが国の自衛隊の戦力に不足するものは原子力潜水艦である、

*安保条約でアメリカの核の傘にあるなどと思って安閑とするな。そこにあるものは「瓶の蓋」と形容する「アメリか他の諸国はわが国が再び軍事力を備えてくることを極度に警戒し極力押さえ込んでおこうとしていると知れ、

*民族と国家存立の目的は何か。戦に勝つことではない、誇りある名誉と地位を保つことである、過去の歴史から何処に向かって進むかを考え直すことだ、

*民主党は他の野党とともに「戦争法案」だの何のと安保法制案に帯して言われなき批判を繰り広げた、これは一度は政権を担った政党が言うべき事ではない。彼らはまともな日本語すら出来ないのだ。

ここで順番を前に戻せば、杉山氏が長時間をかけてスライドを使って解説された中国の軍備の凄さと、その増え続ける一方の予算に触れておかねばなるまい。杉山氏は「中国に対して世間には『中国の軍事力は大したことはない。中国軍は弱い』等と言う俗説が流布されているが、それは誤りである」と断定されてから、スライドを使って詳細に解説された。

一例を挙げれば、中国海軍の装備をトン数で表せば自衛隊のそれの3倍であり(注;正確な記憶はないが147万ton)である等々、ロシア製の戦闘機、武器、艦艇をを揃え、その肥大化する中国軍の実態を解説された。その軍拡の目的は習近平が語った「一帯一路構想」にあり、新シルクロードと称するトルコからロシアを経てオランダまで伸ばし、海路はギリシャまでを含むものである由だった。

更に彼らはアフリカに進出して開発援助を行い、微笑外交で絶大な人気を獲得している。そこには低開発国の取り込み、国際社会における数の取り込み等の狙いがある。更にわが国のADBや世界銀行が乗り出さない諸国のインフラ整備に向けてAIIBを設けている。uKが真っ先にこの構想に参加した背景にはアヘン戦争を仕掛けた贖罪の空気があるのではないか。

杉山氏は中国の軍事力の泣き所を指摘するのをお忘れではなかった。それは中国威信には開発と製造能力が乏しく、戦闘機も航空母艦も原潜も武主要な器類も全てロシア依存である由だった。これではロシアと友好関係を保つ以外ない立場にあると私にも解る弱点だった。

そこまで聴いたことで私が痛感したことは。以前に防衛学会の高井教授の講演で知った中国は尖閣諸島は言うに及ばす沖縄も台湾も、さらにはわが国もその手中にとすら思わせる「覇権狙い」は承知していたつもりだった。だが、杉山氏の講演でそれどころではない実態の規模の大きさと恐ろしさに驚き、軍備を世界最速で拡張する意図が解ってきた。忘れてはならぬ事は杉山氏が「わが国が置かれた環境」も解説された点だったが、詳細は避ける。

もう一つ印象的だったことがあった。それは質疑応答に入って「ここまで語られた事柄を安倍総理以下の閣僚等の要人に上がっているのですか」との質問に対して杉山氏が「勿論」と答えられた点で、私は大いに安心したのだった。私は以上の杉山氏の講演は素晴らしいの一語に尽きると信じている。