新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

ドナルド・トランプ氏が大統領に?

2016-02-27 09:12:36 | コラム
ドナルド・トランプ氏が本当にアメリカの大統領になるのか?

「頂門の一針」第3942号にAndy Chang氏が

「オバマがアメリカをダメにしたのは誰でも知っているが、アメリカの沈没は次の大統領が国をもっと悪化させると思われるからである。共和党主流はトランプの暴走を抑えられずパニックに陥っている。」

と指摘しておられた。確かに大方の予測に反して現在のところまでは「暴走」は続いている。

23日に開催された21世紀パラダイム研究会の例会では知性高き会員の皆様は「最終的にはアメリカ人の知性が彼の独走を許さないだろう」との結論を導き出した。誰しもそう考えたいものだろうと思う。そこで、先月に私がアメリカの3人の友人知己に今回の大統領選挙について尋ねた際の彼らの意見を採録してみよう。彼らは明らかに知性派であると思う。

(1)W社を引退した言わば知日派のエンジニアーの意見:

もしも、トランプ氏が大統領になってしまえば、国際的に見ても”disaster”(「ジーニアス英和」には災害、天災、大惨事、酷いこと、めちゃくちゃ等の訳語があるのだ)となるだろうと思っている。

(2)ハーバードのMBAで現職のビジネスマンの見方:

私にはトランプ氏は情緒不安定であり、あのようなエゴ丸出しで安定感に乏しいのでは、世界のリーダーとなるには相応しくないとしか思えない。しかしながら、我が国には彼の斬新さと愉快さを支持するグループがいるのは確かだ。だが、それだけで大統領になれるものかどうかは大いに疑問であると思う。

(3)ビジネスの世界引退後に大学院大学の教授を経験したMBAの意見:

ドナルド・トランプ氏は道化役者だし、バーニー・サンダース氏は我が国にとっては左傾し過ぎだとみる。伝道師的で保守的なテッド・クルス氏も同じようなものではないか。

何れもトランプ氏については否定的であるとみていると解釈出来るのではないか。

それでは、私はどのように見ているかだ。私はバラク・オバマ氏が初めて大統領に選ばれた際に、昔の上司や友人知己に意見を求めたものだった。その時には共和党支持者が多かったせいもあって肯定的な意見は少なかった。中でもウイスコンシン大学の修士である退役陸軍中佐の見解が最も印象的だったので、これまでに何度も紹介した。それをここにも敢えて引用してみよう。

「オバマ氏は政治・経済・軍事・外交等どれをとっても経験がない素人である。また上院議員を一期務めたとは言うが、その4年間の半分は選挙キャンペーンに費やしたので現実的には議会の経験も乏しいのだ。だが、選んでしまった以上今更如何ともしがたいのが現実だ」という手厳しいものだった。しかも現実には彼が懸念したことは現実となって悲しいほど現れたではないか。そこはAndy Chang氏も指摘された通りだ。

そこで、私が思うことは、トランプ氏にこの退役陸軍中佐の見方がほぼ当てはまるような気がしてならないことだ。オバマ大統領は民主党の大統領としてクリントン元大統領の路線を引き継いだのか、決して我が国に対して好意的とも思えない政策が多かった。その点ではトランプ氏は所謂暴言的な言動の中で我が国と中国にやられっぱなしにはしたくないとまで述べていた。

それが万一の場合にどれだけ現実的になるかは別として、「政治的には全ての面で素人と敢えて言いたい不動産業者が大統領に就任したらどうなるか」を考えておかねばならないのかも知れないと思うのだ。矢張り、21世紀パラダイム研究会の会員諸賢の一致した見解のように「アメリカ人の知性に依存するしかないのか」となりそうだ。だが、今やアメリカという国は知性派ではないと思われていた少数派が間もなく多数派になるだろうとの問題を抱えている国だということを忘れてはならないのだ。現に富裕ではない層にトランプ氏支持者が多いと報じられている。